戦姫絶唱シンフォギア Never Ending Odyssey   作:パイシー

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SONG人事ファイル
暁 切歌
 ギャラルホルンの能力で招集した装者の1人。
 大怪獣バトルにのめり込んだ影響で、装者の中で一番怪獣に精通している。しかし、怪獣図鑑を通して得た知識が中心であり、エピソードまではよく分からない。
 大好きな怪獣が跋扈する世界に来て、非常にご満悦の様子。
 お気に入りの作品は『ウルトラマンネクサス』


第6話「私の居場所」

 SONG本部から姿を消した調は、最悪の状態で切歌の前に姿を現した。

 ダークファウストは既に目の前に迫っていた。切歌は慌てて防御するが、力に押し切られてよろめく。ファウストがその隙を逃すはずはなく、切歌を蹴り飛ばした。

「調……一体どうして……」

「……」

 蹴り飛ばされた切歌はなんとか立ち上がって応戦しようとする。しかし相手が調と思うと、攻撃することができない。対するファウストは攻撃の手を緩めず、切歌を一方的に痛めつける。

 切歌はLiNKERの効果時間が迫ってきているのに、力が入らない。未だ自分の中にある躊躇いを断ち切れない。ファウストに首を絞められ、切歌は苦悶の声を漏らす。

 ファウストの戦い方は、機械のそれで、調らしさを感じない。最早そこに調の意思は残っていないのか、戦う人形と化してしまっている。

「調、目を、目を覚ます……デス……」

 なんとか声を絞り出す事ができたが、調にその声は届いていない。ファウストの絞める力がより一層強まっただけだった。

「……!」

 ファウストは乱暴に切歌を投げ、両腕にエネルギーを集中させて、両拳をぶつけることで解放する。ダークレイ・ジャビローム、ダークファウストの持っている必殺技だ。

 放たれた光線は、切歌の心臓を貫き、逃げ場のないエネルギーが切歌の体を駆け回る。同時にLiNKERの効果時間が終了し、切歌の体は無残に地面に転がった。

「おい!大丈夫か!?」

 同時にSONG本部から駆けつけたクリスが到着し、切歌を抱き起こす。切歌はまだ息があるものの、完全に心が折れてしまったようだ。

「……」

 ファウストの存在に気づいたクリスが、シンフォギアを取り出す。しかし、腕の中の切歌がそれを止めた。

「だめ、デス……。あれは、しら……べ……」

「なんだって!?」

 目の前の異形の正体が調と聞かされ、クリスにも動揺が走る。しかし、やらなければこちらが殺される。クリスは自分を奮い立たせ、シンフォギアを起動させる。

 『Killter Ichaival tron』

 クリスは牽制としてガトリングを乱射するも、ファウストには一発も当たらずファウストはこちらの弾幕の隙間を縫うようにして距離を詰めてくる。クリスは慌てて、ミサイルを発射するが、それでもファウストを少し後退させることしかできない。

「クソッ!撤退だ!おい!コイツのデータ、なんか心当たりはねえのかよ!こんなヒーローヅラした怪獣、すぐ見つかんだろ!」

『え?何言ってるの……?』

 通信機越しのマリアから返ってきたのは、意外な答えだった。調が敵に回ったという危機的な状況なのに、何故かマリアは焦っていない。

「何言ってるのって、お前!コイツが見えねえのかよ!いるだろ!目の前に!」

『そっちこそ何を言ってるのよ!こっちはそっちをモニタリングしてるけど、何も映ってないの!あなた達はさっきから何と戦ってるの!?』

「はぁ!?じゃあ、コイツはなんだよ!カメラに映らねえ怪獣なのか!?」

 通信機から聞こえてきたマリアからの一言で、切歌の中で何かが閃いた。この工場から発せられるスペースビーストの反応、目の間にいるはずなのに、カメラに映らない敵。

「そういうこと、デスか……」

 切歌の中で情報が次々と結びつき、一つの結論が出た。幻覚を見せるスペースビースト、それが敵の正体だと。

「クリス先輩、この場、任せてもいいデスか?あたしは本物の調を助けに行くデス」

「え?本物のって……。なんか心当たりがあるんだな?じゃあ、お前に賭ける。その代わり、絶対に助けて帰ってこいよ」

「はいデス!」

 クリスからLiNKERを受け取り、切歌はダークファウストを避けて工場内に向けて走り出す。本物の調は、敵にはまだなっていない、そう信じて。

 

 

 廃工場の地下に、ミジー星人スズチェンコとレイビーク星人デイトナはいた。部屋の中央には、捕獲した調が機械のコードに繋がれ、周囲のモニターに彼女の様々な情報が映し出されている。

 この工場の前まで来た時、不意をついて罠にかけて捕獲したのだ。子分を何人も失ったが、それでも十分な収穫だった。

「……あぁ、かわいいなあ」

 デイトナは調を見て呟いた。機械に繋がれ、定期的に薬品を投与される度に声を漏らす彼女がとても魅力的に映ったのだ。子分が殺されたと聞いた時は激怒したものの、ここまでかわいいと流石に許してしまいそうになる。恋は盲目とは、よく言ったものだ。

「なあスズチェンコ、コイツ改造が終わったらボスに渡しちまうんだろ?勿体ねえなあ」

「それでも命令は命令だからね。しかもボスは気に入ったみたいだから、多分ボスの愛人にでもするんじゃない?せっかくスペースビーストも貰ったんだし」

 ボスから貰ったスペースビーストはかなり強力な個体で、その能力を駆使して外敵を一切寄せ付けない設備がこの工場にはある。

「いやぁ、まさに眠りの乙女!いいなあ、一回でいいから抱いてみてえなあ」

「やめときなって、それにこの子、レイオニクスみたいだし」

「レイオニクス!?あの怪獣使いの!?」

 暇そうにしているデイトナとは対象的に、スズチェンコはさっきから忙しそうにデータの解析を続けている。その中で、彼女の特性についてもいくつか情報が開示されてきている。

「うん。ストルム星人フィーネ、彼女と同じ遺伝子を持ってるから、ほぼレイオニクスで間違いないと思う。ボク達みたいに他の世界から来たみたいなんだけど……。まさか並行世界同士で同じ遺伝子配列を持った存在が、同じ場所にいるなんて考えられないし……。どういうことなんだろう?」

 スズチェンコはブツブツと独り言を言っていたが、デイトナは調がレイオニクスと聞いて、更に興味深そうにじっくりと観察をする。

「あ、デイトナ。少し離れて。ちょっとレイオニクス活性剤を試すから」

「へいへい」

 スズチェンコの操作で調に薬品を投与される。調は苦しそうに悶えるものの、暴れたりはせず、じっと耐えている。

 レイオニクス活性剤、かつてレイブラッド星人の驚異に怯えていたとある科学者が開発した試験薬だ。投与された時の反応が陽性なら、レイオニクスだと分かる仕組みになっている。集団ヒステリーに陥った各惑星で使用され、レイオニクスであることがバレて暴れだす者もいれば、無抵抗なまま殺されたレイオニクスもいたとされている。

「反応は……陽性。間違いないね」

 スズチェンコはすぐに解析したデータをボスのいる宇宙船に送信する。そしてすぐに、ボスから新しい指令が送られてきた。

『その娘を、すぐに送れ』

 スズチェンコはすぐに調を送る支度を始める。といってもやることは記憶をリセットだけで、それもボタン1つで完了してしまうような容易い作業だ。

「それじゃ、デイトナ。写真とか撮りたければ撮っていいよ。そろそろ送るから」

「マジで!?サンキュー!」

 デイトナはどこからともなくカメラを取り出し、調の撮影を始める。彼としては怯えた表情を取りたかったが、仕方がない。この際は寝顔だけで我慢するしかない。

 デイトナがカメラのシャッターを切ろうとした瞬間、いきなり地下室の入口が蹴り開けられた。

「そこまでデス!」

 イガリマを纏った切歌がやってきたのだ。予想だにしない侵入者に、2人は驚いて、大慌てで逃げる準備を始める。

「どうして!?偽装は完璧にしたはずなのに!」

「カラクリさえ、バレれば楽勝デスよ」

 実際の所、怪しそうな所を片っ端から破壊して回ったらこの部屋に出ただけなのだが、切歌は見栄を張るために適当なことを言っていた。

「さあ、調は返してもらうデス!」

 切歌は調が囚われている装置めがけて一直線に突っ込み、装置の電源ケーブルを叩き切る。直後、調の拘束具のロックが一気に外れ、倒れ込んでくる。切歌は調を抱きかかえて一気に部屋を離脱する。調は救出したので、もうここには用はない。後は追手を巻きながら逃げるだけだ。

「あっ!待って!その子はボスのお気に入りなのに……」

「俺に任せな!」

 後ろからレイビーク星人が追ってくる。切歌は肩の刃を飛ばして少しでも距離を稼ごうとする。出口までもう少し、ヘマをしなければ逃げ切れる。

「デェーーース!」

 切歌は出口を勢いよく飛び出すと、その勢いでクリスと戦っていたダークファウストを蹴り飛ばした。不意打ちの前にダークファウストは崩れ去り、そのまま光の粒となって消滅した。

「クリス先輩、お待たせしたデスね。大丈夫デスか?」

「遅いぜ。後数十秒遅かったら、やばかったかもな」

 そういうクリスは余裕そうで、疲れている様子はあまり見えない。

「お前ら!その子を返してもらうぜ!」

 やっと追いついたのか、肩で息をしているデイトナがやってきた。

「その子はボスのお気に入りだし、俺の恋路の邪魔はさせねえからな!!この場でぶっ潰してやる!」

 デイトナが合図をすると、工場から一体の怪獣が飛び出してきた。ギリシャ神話に登場する、ケルベロスを彷彿とさせる、凶暴そうな怪獣だ。

「やっぱりガルベロスだったデスね」

「ガルベロス?」

「強力な幻覚能力を持つスペースビーストデス!あのニセ調も、きっとアイツが出してたモノに違いないデス!」

 切歌は自慢げにガルベロスについて語ってみせる。クリスは呆れたようにため息をつき、イチイバルを一度解除する。

「とにかく、ここはあたしが引き受ける。お前は安全な場所にそいつを連れて逃げろ」

「分かったデス」

 切歌は調を抱えたまま走り出す。間もなくして、バキシムが現れてガルベロスと交戦を始めた。背後から、バルカン砲の音や、ガルベロスの咆哮が聞こえてくる。

 LiNKERの効果時間が終了して、ギアを解除した時にはかなり距離が離れた場所まで逃げてこられた。同時に、眠っていた調が目を覚ました。

「調!大丈夫デスか?!」

「切、ちゃん……?」

 調はゆっくりと立ち上がって、状況を確認し始めた。そして、自分が切歌に助け出されたのだと悟ると、逃げるようにどこかへ行こうとした。

「どこに行くデスか?」

「どこだって良いでしょ。切ちゃんには関係ないんだし」

 調の手は、血で赤く染まっていた。1人でLiNKERも無しに戦い続けたツケが回ってきている証拠だ。切歌には、調を行かせてしまえばきっと調は無理をして戦い続けるのだろうと分かってしまう。

「行かせないデス!調、あたしと一緒に帰るデスよ!」

 切歌は調の手をとるが、調はそれを振り払った。

「切ちゃんは、私なんかいなくても大丈夫だよ……」

 調は今にも消え入りそうな声で、そう呟いた。それは、調が絞り出した本音のようにも聞こえる。

「大丈夫なんかじゃないデス!」

 逃げ出そうとした調を切歌が思いっきり抱きしめた。切歌は少しだけ、涙目になっているように見える。

「離してよ」

「離さないデス!調がどっか行っちゃうなら、絶対に離れないデス」

 調は切歌を振りほどこうとするが、切歌の力は強くなる一方だった。

「お願いだから、私を離してよ。私がいなくても切ちゃん戦えるよ。きっとこの世界だって救える」

「そんなことないデス!」

 切歌の力は強まり、ついに調を押し倒してしまった。調の顔に、切歌の涙がこぼれ落ちる。

「例えこの世界を平和にしても、そこに調がいなきゃ、意味ないデス!あたしは誰よりも、何よりも、調を守りたいんデス!例え調が嫌がっても、あたしは調を離さないデスよ。調があたしから逃げるなら、世界の果てまで追いかけていくデス!」

 そこまで言ってみせた切歌に対して、調は驚いたような表情を作った。そして、どこか影のあった表情が消えて、安心したような表情ともに涙がこぼれそうになる。そして調は切歌の決意に応えるようにゆっくりと切歌を抱きしめた。

「分かった。切ちゃんがそこまで言うなら、そばにいてあげる」

「調……!」

 切歌も調を抱き返す。時間にしてほんの少しだったかもしれないが、調にとってはとても長い時間のようにも感じた。

(そっか、ここが私の居場所)

 調は切歌は何も変わっていない。今までどおりの切歌だったと、ここに来て理解した。切歌の温かさに包まれ、自分の中のわだかまりが溶けていくような感覚さえ感じた。

「おいお前ら!そういうのは部屋に帰ってからやれよな!」

 前線で戦っていたはずのクリスが何故かやってきた。その顔からして、劣勢だと言うことが伝わってくる。

「悪い、時間切れで倒しきれなかった。後は任せてもいいか?」

 切歌は調を放して、ゆっくりと立ち上がる。2人の顔にもう陰はない。元通りの、

「切ちゃん、いってらっしゃい」

「いってくるデス!」

 切歌がガルベロスに向かっていこうとした時、クリスを追いかけてきたのかジープに乗ったセレナがやってきた。

「雪音さん!乗ってください!離脱します!後、これも!」

 セレナは調と切歌にLiNKERを渡した。2人の臨戦態勢が整ったことを確認すると、セレナはジープにクリスを乗せて走り出した。

「あたしは、ガルベロスを何とかするデス」

「じゃあ、私は宇宙人を何とかする」

 2人の分担を確認すると、それぞれのギアを展開する。ガルベロスを前にして、切歌のコッヴが大きく吠えた。

調は踏み潰されないようにしながら、敵を探す。

「いた!おお!戻ってきてくれたのかぁ!嬉しいなぁ!」

 廃工場へ戻る道中、自分をさらったレイビーク星人と遭遇した。調を見て大興奮の様子で、今にも違う意味で襲いかかってきそうだ。

「さぁ!ためらうことはない!俺の胸に飛び込んでこい!」

 レイビーク星人は完全に調にゾッコンなようで、調はため息を吐いて、レイビーク星人に思いっきり飛び込む。

鋸を車輪へと変化させた上で。

「嘘だろッ!?マイ、エンジェル……」

 レイビーク星人は無抵抗なまま、無残に真っ二つに切り裂かれた。元々戦闘向きじゃないのか、面白いほどあっさり倒してしまった。

 調がガルベロスの方を見ると、自分とは反対に苦戦しているようだった。ガルベロスの幻覚は遺憾なく発揮されており、自分の幻覚を映し出したりしてコッヴを翻弄している。

「切ちゃん、頑張って……」

 切歌の健闘を祈り、調はギアを解除する。しかし、戦況がコッヴに傾く様子はなく、むしろ無駄に疲弊させられていく一方のようだった。これでは、クリスが倒せなかったのも納得である。

(私に、切ちゃんを守る力を……)

 調はもう一度、怪獣の召喚を試みる。さっきのテストとは違い、切歌に縋っていく為ではなく、切歌の隣を歩けるようにと祈りを込めて、詠う。

 しかし結果は変わらなかった。怪獣が出てきて一発逆転とはならなかった。

 だが自然と調の中から歌が浮かんできた。切歌の事を思い、調は全力で歌う。例えそれが誰も聞いていない歌であったとしても、その歌の力が切歌に届くと信じて。

 するとどういうわけかコッヴの反応が急によくなった。幻覚を物ともせず、ガルベロスと真っ向から戦えるようになっているのだ。

 ガルベロスも操っているレイビーク星人が倒れたからなのか、動きが鈍り始めていた。

(これなら、行ける……!)

 調は歌いながら勝利を確信した。どういう原理でこの現象を引き起こしているのかは不明だったが、現にコッヴは有利に戦えている。調はこの際、原理は考えないことにした。

 コッヴとガルベロスの戦いは完全に肉弾戦に移行していた。コッヴは両手の鎌でもってガルベロスに斬りかかるが、ガルベロスの2つの首がそれを抑える。

 ガルベロスはタックルを仕掛けるが、コッヴはガルベロスを蹴り飛ばして体勢を崩させる。LiNKERの限界時間まで、後1分。

 ガルベロスとコッヴとの体はぶつかり合い、一進一退の攻防が続く。お互いの実力差はやっと対等になったのだが、逆を言えば決定打に欠ける。

 互いの怪獣は体力を浪費させられると判断したのか、じっくりと互いを見つめ、隙を伺い始めた。状況は膠着し、仕掛けた側が負ける、そう言っても過言ではない状況だ。

 (切ちゃん、頑張って……!)

 調が切歌の勝利を願い、歌い続けた時、コッヴも歌に応えるように大きく吠えて、仕掛けた。ガルベロスとの決着は、この一撃で決まる。それは誰が見ても明らかだった。

 コッヴとガルベロスが衝突する直前、LiNKERの限界時間が来てしまった。調が纏っているギアも、コッヴも消滅してしまいそうになったが、それを調の歌がそれを繋ぎ止める。コッヴは消えるどころか、向かっていくの速度が大幅に上がっている。

 そしてコッヴがガルベロスにとどめの一撃を刺す寸前、姿が大きく変化した。これまでの響達のように体の一部ではなく、全身が大きく変化したのである。

 全身の姿が鋭利化し、さながら(スーパー)コッヴとでも言うような姿に変化し、ガルベロスの体を切り裂いた。

 ガルベロスの体が爆発四散すると同時に、コッヴの姿も元に戻り、役目を終えたことを示すかのように消えていった。超コッヴの姿を保っていられたのは、本当に一瞬でしかなかった。

 調が切歌の勝利を確認すると、一気に疲れが襲いかかってきた。全身の力が抜け落ち、その場に倒れ込んでしまう。

 戦闘が終わると同時に手の中に、見覚えのある白い機械が出現した。調はそれが何なのか、もう少しで思い出せそうだったが、それよりも早く調の意識は闇の中へと沈んでいった。

 

 

「……レイオニクスの力はいざという時のための切り札だ。俺が預からせてもらう」

「調をどうするつもりデスか!?」

「敵にレイオニクスの存在がバレた以上、こいつを自由にさせるわけにはいかない。意思を封じる」

 薄っすらと浮かび上がる意識の中で、誰かが言い争いををしているのが聞こえてきた。まだぼんやりと夢心地で、具体的な内容までは分からない。これがそもそも現実なのか夢なのかさえハッキリしない。

 目を覚ますと私はベッドの上で寝かされていた。メディカルチェックを受けていたのか、服も着替えさせられている。既に時間帯は夜のようでさっき聞こえてきた言い争いは終わっていたようで、私を庇うように切ちゃんが眠っていた。

 さっきまでの言い争いの内容はよく覚えていないが、切ちゃんが私を守ろうとしていたのは確かだった。

「調は、あたしが守る……デス……」

 切ちゃんはうわ言のようにそう呟いている。切ちゃんは夢の中でも私を守ろうとしていた。きっと、切ちゃんの隣は私の特等席。これから先、どんな未来になるか分からないけど、切ちゃんがいれば、辛いことも乗り越えられる気がする。そう思うと、私は自然と笑顔がこぼれた。

 私が感謝の気持ちも込めて、切ちゃんの頭を優しく撫でると、切ちゃんは笑って、「調ぇ……大好きデス……」と呟いた。

 うん。私もだよ、切ちゃん。




SONG怪獣図鑑 
フィンディッシュタイプビースト ガルベロス
体長:52メートル
体重:3万9000トン
ステータス
力:★★★☆☆
技:★★★★☆
知:★★★★☆

 スペースビーストの中でも上位に位置する実力を持っている個体。幻覚を操る能力を持ち、シンフォギア装者捕獲計画の用心棒として“ボス”から渡された。
 幻覚能力と高い生命力を武器としているが、力押しに弱いのが欠点。

幻覚調
 ガルベロスの能力で生み出された偽の調。切歌が調のことで頭がいっぱいだったので、調の姿として現れた。
 切歌の記憶から、ダークメフィストの姿を投影して襲い掛かった。切歌が見ていたテレビ本編のダークメフィストの強さと同じ力を持つが、結局は実体の持たない幻影なので、落ち着いて対処すれば突破は容易である。 

装者たちのコメント
切歌:調には怖い思いをさせちゃったデスね。でもこれからは大丈夫デスよ。調は何があっても守るデス。
クリス:幻覚を見せる怪獣って、かなり面倒だな……。やりようによっては、死体とかも偽装できるんじゃねえか……?
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