比企谷達は30歳前後ぐらいの設定です。
一か月後
「ほむん、今日も暑いのう、帰ったらビールで一杯やるか」
出版会社に勤める材木座は今日も仕事を終え自宅への道を歩いていた。
と、彼の携帯にメールが入る
『今どこ?』
「またか・・・」
材木座はため息をつき
『今日も残業で遅くなる』
と打つ、すぐに返事が来る
『うそ』
「もう、疲れてるんだから一人にしてほしいのだが」
『嘘ではない忙しくてな』
そう打つとまたすぐ返信が来る
『うそばっかり、だって後ろにいるもの』
ビクッとなり後ろを振り向くと
「義輝の嘘つき」
ストレートヘアーの美女が立っている
「鶴見殿、我も悪い気はしないよ?でもさすがに付き合ってもいない独身男性のところに押し掛けるのはどうかと、それにお主の仕事は大丈夫なの?」
「留美」
材木座はため息をつくと
「・・・留美、仕事はどうした?」
「仕事?」
キョトンとした表情で首をかしげる
「いや可愛く言ってもダメだから、お主もいい年だろうからそういうのはやめろ、つか八幡の所からこっちに出張で来てるのだろう?」
比企谷の会社で東京に長期滞在する人材が必要になったのだが、まだ新人の鶴見留美がいい経験になるからやらせてくださいと強い希望を出し東京に常駐していたのだった。
「冗談だよ、私の今日やることは終わった。あとは書類整理を義輝のところでやっておしまい」
「いやだからそれはおぬし会社で賃貸借りてる筈・・・もうよいわ来ればよかろう」
諦め顔の材木座の後ろを留美は嬉しそうに着いていく
何故こんなことになっているのか、これは比企谷たちの結婚式の時の話に戻る。
鶴見留美に不倫の話を書けと言われた材木座はその場をごまかしたつもりだったが結局比企谷邸の二次会の最中に捕まってしまい無理やり連絡先を交換され話を書かされることになった。
さすがの材木座も本当にそう言う話を書くのは気が引けたので
「多分我のラノベの行動をトレースするつもりなのだろう、我は能力者じゃないと再三いっているのに、それにしても鶴見殿は以前の雪乃殿ににておる、多分あれでは世の中上手くやっていけんのではなかろうか?聞くところによると雪乃殿もかなり苦労したとのことだし、この際ちょっと教育してやるか」
そういうわけで想い人と自分の職場で偶然会うことができた主人公はまず外堀を埋めるべく社員達と仲良くなるようにつとめるというところから書き始めた。
朝は自分から挨拶、きちんとお礼をいう、間違った時は素直に謝る、話を聞くときは正面からちゃんと聞く、相手を見下さず敬う気持ちで接すること等
「ビジネスマナーというか一般的なマナーだよなこれ、まあこんなんでいいか」
最後は周囲の協力もありようやく振り向いてくれた想い人と親友と一緒に新天地で暮らすという比企谷たちに渡した駆け落ち物と結末を似たようにしたものを書き上げる。
「鶴見殿は友人がおらんのではないか?たくさん友だちが出来れば不倫とか言うバカな考えも無くなるだろう、それに親友というのはいいものだしな」
そう思って書いたものを渡したのだ。
渡された留美は早速それを比企谷に読ませて不倫を迫ったが
「おまえ、この中のこと何一つできてないだろ」
と指摘を受けたため人間関係改善の為努力することになった。
比企谷の観察眼は大したもので入社面接時に変なのは全部弾いていたため社内の雰囲気もよく、そっけない留美の態度も愛嬌の一つとしてとらえられていたのだが、元々顔だちも良く賢かったため、人間関係改善に動いた後の評判はぐっと上がり、正式に正社員として入社するころには友人と呼べる人も何人か出来ており、毎日が忙しく充実するようになった為、不倫を考えることも無くなっていた。
ただ、自分をこのように変えてくれた人に対する感謝の気持ちが猛烈に膨れ上がってしまったのが材木座の誤算だった。
ちなみに鶴見留美はいろんなところが雪ノ下雪乃ににており姉妹と言われても違和感が無いような容姿になっていた。
「なあ留美?もう我はおっさんだぞ?こんなおっさんと一緒にいてもいいことなんてないであろう?」
「八幡は私でも生きる方向を示してくれたけど義輝はそこに道を作ってくれた。義輝と一緒にいると迷わなくて済む」
留美は材木座にそう語る。
「我なんていつも目の前真っ黒か真っ白だぞ、今日なんて何度目の前が真っ白になったことか!締切なんて無くなればいいのに!」
「疲れてるんならマッサージしてあげようか?」
「・・・この間みたいなことになるからいい、すまなかった」
材木座は留美に頭を下げる
「それはもういいって言ったじゃん」
独身一人暮らしの所に美人が押しかけてくるのだ、何もないわけはなく材木座は留美を襲いそうになった、すんでのところで理性が勝ってなんとか抑え込んだがなるべく留美と直接的な接触は避けていたのだった。
「ほんとはいつでもいいんだけど・・・」
ぼそっと留美が言うが材木座にはよく聞こえなかったため
「んぁ?なんだって?」
よく聞き取れなかった材木座は某難聴系主人公のようなセリフを吐く
ようやく材木座達はアパートにつく、留美は当たり前のようにキッチンに立って料理の準備を始める
「簡単な物作るから待ってて、そうめんでいい?」
「まだあったかな?それでよい、我は一杯やってるのでな」
材木座はビールを煽って一息つく、するとと携帯が鳴る
「今度はなんだ?・・・我だ」
『ざいちゃん?京華ですけど、今いいですか?』
川崎姉弟が山形へ行ってしまったため、京華が取り残されてしまった。沙希は京華のことを心配して結婚式後に一応面識のある材木座に面倒を見るよう依頼、その為連絡先を伝えており、材木座も出来るだけ川崎京華に連絡をしたり勉強を見てやったり学校で具合が悪くなった時は外回りのついでに迎えに行ったりとこまごまと気をかけていた。
問題は初めの頃は『材木座さん』と呼んでいた京華も、そのまま数年が経ち高校生になった頃いつの間にか『ざいちゃん』に呼び名が変わり、よく材木座のアパートに遊びに来るようになってしまっているということだった。
ちなみに川崎京華は色々なところが当時の沙希によく似ているが沙希のようにボッチ気味な性格ではなくむしろ人当りの良い性格になっていた。
「ああ、今一杯やっているところだ」
『今度の休みまた遊びに行きませんか?』
「いや疲れてるからいい、我エアコンの効いた部屋でゲームやってる方がいい」
『現役JKが誘ってるのに?なんでいかないの?』
「そこだ、おぬしと歩いてると傍から見るとどう見ても援交してるようにしか見えん、我はまだ捕まりたくない」
「また京華と話してるの?」
「ああ、また遊びにかないかだって」
「・・・先週私も一緒に海に行ったよね、今週はもういいんじゃない?」
『あー留美さんもいるんですか?ちょっと代わってくれませんか?』
めんどくさくなった材木座は携帯を留美にわたして
「遊びに行くならお主ら二人で行くとよかろう」
そういうと材木座はエアコンの温度を下げて横になりつつテレビを見始める
留美と京華は材木座のつながりで顔を合わせ、そのまま親しくなり一緒に遊びに行ったりと相当仲良しになっていた。
「ええ・・・相変わらず・・・まるでトドのように・・・そこがまた・・・ええ・・・わかった」
「話はまとまったか?我は小遣いあんま出してやれんぞ、欲しいゲームをネット予約してしまったのでな」
「週末、京華はここに来ることになった、あとネット予約したゲームはキャンセルしておいた」
「えーちょっとなんで?我めっちゃ楽しみにしてたのに!」
「痴漢するゲームとかダメ、どうしてもしたかったら私とか京華にして」
「・・・冗談でもそんなこと言うものではないぞ、まあいいか、予約特典とか無かったし、つか勝手にPCを見るな」
「うん、でもエッチなのはよくないよね」
そういうと大皿に山盛りになったそうめんを出してくる
「たべよ?」
にこっと笑う留美に材木座は顔を赤くしながら
「う、うむうまそうだの」
そう言いながらそうめんを食べる、結局留美は材木座の所へ泊ることとなった、こういうときが何度もある為材木座は寝袋を用意しており、留美はベッドで寝る。
初めは材木座は緊張で眠れなかったが最近はもう慣れてしまい朝までぐっすりなことが多くなっていた。
週末、京華が遊びに来る、たまに遊びに来るので材木座は配管工やらピンクの物体やらが戦うアレや配管工がレースするアレや爆殺しまくるアレや友情を破壊するアレやコントローラーを振り回しテニスとかのスポーツゲームが楽しめるゲーム機やらを常備している為朝から3人でキャーキャー言って楽しむ。
でもさすがに日頃の疲れもあり早々に疲れ果てた材木座はベッドに横になってゲームをしている二人を見る
「なんだかこういうのをリア充とか言うのかのう、同僚に知られたら嫉妬の嵐でボコボコにされそうだわい、八幡も奉仕部の時はこんな感じだったのかもしれぬの」
ぼーっとしていると留美が材木座に話しかける
「ねぇ・・・義輝はどっちが好き?」
「んぁ?どっちとな?我としてはその緑のLさんがお気に入りだな、そこはかとなく虐げられてる感がなんとも共感を・・・」
「ふざけないで」
材木座の方を向く二人
「私と京華どっちが好き?」
固まる材木座
「い、いや、好きとか嫌いとかそういうのは我には無縁でな・・・ハハハ」
「ざいちゃん、私たち本気だよ?」
そう京華が言いながら材木座へ詰め寄る
「ば、ばかもの!おぬしたちに手を出したら我を信じてくれている八幡や沙希殿の信頼を裏切ることになるであろう!」
「・・・八幡が許可出せばいいんだね?」
そう言って携帯を取り出す留美
「あ、さーちゃ、いえ、姉さんもついでに呼んでください」
京華もかなり真剣な表情だ
「あ、八幡?あの・・・え?出張は終わり?明日帰れって?だってまだ・・・引き継ぐからって引き継ぎもまだ・・・え?どうして?」
絶望的な表情で留美は電話を切る
「八幡に戻れって言われた・・・義輝ごめん、電話しなきゃよかった」
「留美さん・・・」
あの八幡が強引に戻れというのも珍しいなと材木座が思っているところへ自分の携帯が鳴る
「はい、材木座ですが・・・え?長期出張?月曜から一ヶ月ぐらい?引き継ぎは?現地のテレビ電話からって?先方の意向だから断れないって?ちょっと!」
「もしかしてざいちゃんも?」
「ああ、八幡の所へ行くように言われた、引き継ぎとか現地からやれだと」
比企谷の会社は一般向け商品も開発していたため、材木座の会社のあらゆる雑誌に広告をよく出してた、その為広告主のような立場にあり比企谷には頭が上がらない状態となっていた。
「私だけ・・・また一人ぼっちになっちゃったな・・・」
寂しそうに言う京華に焦った材木座は
「マテ、京華は今夏休みであろう?なら一緒に来ても問題あるまい!向こうには京華の姉や兄もしるし元高校教師や成績優秀な連中がゴロゴロしてるからな、勉強もばっちりだ!」
「京華、一緒にいこ!」
「はい!」
嬉しそうに笑いあう二人、とりあえずさっきの話がうやむやになって良かったと安堵する材木座だった。