後日談前のも含めてフルネーム有のキャラをできる限り登場させたつもりです。
これで本当におしまいです。
お付き合いいただきありがとうございました。
ラノベを書き終わった材木座は広報部に回され軽く仕事を手伝っていた。
主な仕事は姫菜の暴走を止めることでほとんど仕事らしい仕事もなく、社内を見学したり特別休暇をもらった留美や京華を遊びにつれていっているような具合だった。
「なんか我ずっと遊んでるような気がするのだがいいのか?」
比企谷が最近の様子を聞きたいと材木座を社長室に呼び出していた。
「社内ニートが希望だったんだから願ったり叶ったりだろう、んなもんお前が気にすることではない、あと9月は社員旅行で京都に行くからな?お前ももちろん来るよな?」
「いや我は社員じゃないんだが?しかも京都って高校の時行ったであろう、また行くのか?」
「ようやく社員旅行ができるぐらい落ち着いたんでどこにしようかと雪乃と結衣に相談したんだ、そしたら京都に行って因縁を晴らしたいってさ、まあ奉仕部の時にちょっとあってな」
「そう言えばなんかお主ら修学旅行から帰った後ずいぶんと雰囲気が変だったな・・・なんか姫菜殿がかかわってるとか留美は言っておったが?」
「ああ、葉山も戸部もかかわってる、アレはあんまり思い出したくないことなんだが雪乃と結衣はその嫌な思い出を上書きしたいとか、詳しいことはそん時にでも話す、だからお前も来るんだぞ?」
「左様か、ならば行かねばなるまい!もっともただ飯食わせてもらえるならどこにでも行くがな!しかしなんか悪いな」
「さっきも言っただろう気にするな、もくろみ通りようやく正常な状態に戻ってきたんだ、休止していたテニスサークルだって活動再開できてようやく一人で壁打ちしなくても良くなったし、一応資金繰りもめどが立った、お前のおかげだ、それにお前はあちこちでうちのことを宣伝してるってことになっている、夏の某イベントにだって仕事っていう名目で三人で行ってきてもらっただろ?」
「いやあれえび・・ではないな姫菜殿とその仲間たちが出店するからと3人で手伝いに行ったまでだ」
「彼女らの出す物にはうちの宣伝を入れてもらったり機械で作った物とかも売ってもらったからな、何気に人気高いみたいだぞ?アルミ削りだしのフィギュアなんて早々お目に書かれるものではないし、ああいうのが元で受注がきたりするんだよ」
「でもあんなので手当てもらうのは悪いだろ、京華にもバイト代出してるそうではないか・・・姫菜殿達は無償でやってるというのに」
「姫菜達は行くなと言っても行くからな、お前達に関しては皆同意している、俺の独断ではないから出さないわけにもいかん」
「しかしだな・・・」
「感謝の気持ちだから受け取ってくれよ、それに黒服の報告によれば留美や京華のコスプレでまたデレデレした顔になっていたそうじゃないか?」
「え?いたの?マジデ?」
「ああいう場ではよからぬ連中もいるからな、お前達だけでは心配だから特別にお願いしていた。実際お前がトイレに行った隙にナンパしようとしたりやけにローアングルから撮影しようとした輩がいたので始末したとか言っていたな」
「始末ってなにそれ?こえーよ八幡」
「彼が言うには二度と近づく気をなくさせたと言ってたかな、まあそれより帰りに観覧車乗ったり買い物したりと楽しそうだったと聞いている」
「ま、まあな、いつもはさっさと帰っていたものでな・・・」
「それとな・・・観覧車に乗る前と降りた後では3人ともずいぶんと表情が変わってたとも聞いているぞ・・・」
「っぐ・・・」
「・・・どっちを選んだんだ?」
「我に選べるわけなかろう・・・とりあえず京華が高校卒業するまで引き延ばしたが・・・答えが出るまで3人で正式に付き合うって話になってしまった・・・」
「そうか・・・経験者から言わせてもらうと決断するのは修羅の道だぞ」
「分かっておるわ・・・貴様が決断し今の道を選んだのを我は見ているしな、しかしなんでこうもことごとく実現してしまうのだ」
「たしか周囲の人の協力で想い人に振り向いてもらえて想い人と親友と一緒に新天地で暮らすって結末だったかな?どうする材木座?」
「我の敗けだ・・・クソッお主の思惑通りになってしまうではないか!京華もこっちの大学に進学希望と言ってたし、もし落ちてもどのみち八幡のとこに勤めるから心配はないよとか言われたぞ!こうなったらやけだ!行き着くとこまでいってやろうではないか!」
「もし両方選ぶなんてことになったら親御さんの説得は大変だから俺たちも協力する、最も沙希の方が大変だがな」
「それが沙希殿の方はもう説得済みだそうだ・・・付き合うことになったんだからいつでもとか言われたよ、なあ八幡、我はいつの間にエロゲの世界に入り込んでしまったのだ?三十路のおっさんの自分にベタぼれの美女二人しかも一人は女子高生とか」
「俺から言えるのはその日が来るまで避妊はちゃんとしとけってことだけだ、もしできちまっても俺たちで何とかする、託児所も作る予定だしな、それに同意の上だから何も問題はない、受け入れろ」
しかしだなと困り顔になる材木座に比企谷は続けて言う。
「そうだ!この間会社のために書いてくれたラノベな、あれが実現したら式の費用もお前らの住む家の費用も全部だしてやるってのはどうだ?」
「ハハハ、それは豪気だな。さすがにそんなことはもうないと思うが実現したら是非頼む、地下室とか天井裏の隠し部屋とかにあこがれててな、冗談でも希望が持てるワイ」
「まあ確かに田舎の一企業があんな話のようになるなんてのはまず無理だからな、だからもっと豪勢にプシューって音がして上下に開くドアとか侵入者を検知すると動く石造とか無意味にくるくる回っているレーダーも付けちゃうよ?なんか超かっこいいな、俺んちにもつけたい」
「お主の家につけたら雪乃殿と結衣殿から文句が来そうだな」
「ああ、確かにな、結衣からキモイキモイと連呼されそうだし雪乃からは『目の腐り度合が減ったと思ったのだけれど頭に回っていたようね』とか言われそうだ・・・ま、妄想話はここまでにしてだ、これからのこと話そうか、まず転職にするかお前んとこの会社からの永続的な出向扱いにするかとかあるんだが・・・」
比企谷がこれからの具体的な話をしようとしているところに材木座は言う
「しかしなあ八幡よ、我は前おぬしに間違っても書き続けろと言った気がするが自分がその立場になると躊躇してしまうのだが」
「何を言ってんだ?お前のラノベの結末はみんな幸せ大団円なんだろ?これ以上何を望むんだ?」
「しかしだな・・・我は八幡のように賢くもないし強くも無いのだが・・・」
「お前言ったよな?書く前から間違ってるんじゃないか、不安だなんて言ってどうするんだと、書かなければ間違っていたかどうかなんてわからないってな?だから一緒に最後まで書いてみようぜ?」
「我とお主との合作か?どんな話になるのやら、まともな話にはなら無さそうだな」
「ふん俺もお前もお互いイレギュラーよりな存在だっただろ、まともなのは戸塚ぐらいだな、それより正式にここで働くことになったらちゃんと俺のことは社長って呼べよ?」
「そう言えば社内見学してて気が付いたが高校の時の連中はほとんどおぬしのこと社長って呼んでないよな」
「そうなんだよ・・・だから役員会議が学級会みたいでさ・・・しかも俺が今後の方針とか問題について話をするとそれらをどう解決するかって細かいところまで追求されるんだよ。大概答えにつまるから平塚さんが声あげて雪乃や葉山が仕切ってくれてようやく話が進むんだよ・・・」
「ふん!問題を片付けるためおぬしが犠牲になるのを皆危惧してるのだろう?お主に任せるとすぐ自分を犠牲にしてことを済まそうとするからな、日頃の行いという奴だな」
「同じようなことを雪乃にも言われたよ」
「お主はもっと回りの人間を頼ればよかろう、今回我に頼ったようにな、でも土下座はもうするな」
「わかった、肝に命じとくとよ」
「ふん、頼んだぞ。しかしこんな結末を迎えるとはな」
「結末じゃねぇよ、俺たちの戦いはこれからだろうが」
「ちょ、八幡、それ打ち切りフラグ!」
「打ち切りにはさせねぇよ?なんなら果てしない男坂を上るまである」
「未完!ってか?つかやっぱり打ち切りじゃん!」
二人がこれから先のことに思いをはせワイワイしているはるか上空では飛行機が飛んでいた。
飛行機の中には超大型の案件の取りまとめをほぼ終わった陽乃が最終調整の為某国から某国へ向かっているところだった。
窓から外を見ながらふとつぶやく
「八幡・・・喜んでくれるかな・・・」
陽乃は世界中の航空宇宙関連のメーカーを回り航空機のエンジンの一部やロケットエンジンの一部の部品を国際標準規格として世界的に共通化させることに成功していたのだった。
比企谷が材木座に見せた海外の技術関係のニュースサイトには続きがあり、乱立している規格の統一にむけて日本のとある企業の女性が主導し世界を飛び回ってくれている、部品もその会社が所有している特許でしか製造できない物である為成功すればこれからその企業に大量受注が見込まれるであろうということが書いてあったのだ。
比企谷がそれに気が付くのはしばらく後のことであり、数か月後陽乃が帰ってからいろんな意味で大騒ぎになるのだがそれはまた別の話である。