俺のラノベは間違っている’   作:もよぶ

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第二話

二人がいなくなったことに始めに気が付いたのは八幡の妹の小町だった。

 

最近帰りが遅くなったり一旦帰ってはまた出かけるということが多く行先も教えてくれない状態が続き、きっと誰かとデートしてるのではと気を利かせていたつもりだったが、朝は普通に学校に行くといい出て行ったのにもかかわらず今日に限って全く連絡もよこさない上にこちらからいくら電話をしても全くでない、あれほどのシスコンの兄と連絡が取れないのは異常だと感じ知り合い全員に連絡したためだ。

 

無論材木座の所にも連絡は来た

『もしもし?中二先輩ですか?比企谷八幡の妹小町です、私のことご存知ですよね?おにいちゃん知りませんか?全然電話に出ないんですよ』

「これはこれは八幡の妹君であるか、そういえば今日学校では見てない気がするが、帰っておらぬのか?」

『そうなんです、しかも最近帰りが遅いときが続いてまして』

「部活か何かであろう、また厄介ごとを引き受けているのでは?」

『みんなそういうんですけど、雪乃さんにも連絡取れないんですよ?』

 

「え?」

 

まさかと材木座は思う

 

『で、中二先輩に電話したのは、最近お兄ちゃん紙の束をよく持ち歩いていまして、この間リビングに置きっぱなしになってたからこっそり見ようとしたら見つかっちゃって、その時にいつものお兄ちゃんらしくなく私から無言で紙の束を強引に奪い取ってから『これは材木座が書いたラノベって奴だ、読んだら目が腐る禁書だから絶対見るな』となんか怖い感じだったのでもしかして何か知っているのかと思いまして』

 

「い、い、いや、確かにラノベを書いて批評をお願いしたが、まま、まあ確かに八幡以外には見せられない内容であるし?、り、量も多かったのできっと空いた時間にちょくちょく読んでくれたのであろう!きっと!たぶん」

緊張で声が上ずってしまう

 

『そうですか・・・批評もしないでどっかに行っちゃうなんて中二先輩に失礼ですよね!お時間取らせてごめんなさい』

 

通話後、焦った材木座は比企谷へと電話をするが

『おかけになった番号は・・・』

と繋がらない状態、雪ノ下への連絡は怖くてできなかった。

 

そういえばと思い出す

「ラノベの批評をしてもらった次の日に図書室で八幡を見つけたと思ったら全国地図を広げて雪ノ下殿となにやらメモを取りながら真剣に話し合っていたな、てっきり部活でまた面倒なことを押し付けられてるのかと思っていたが・・・」

 

これはまずいまさかラノベの内容を実行に移したのだろうか?嫌な予感がする。

「叔父さんの所に電話してみようか?でも下手に電話すると叔父さんが変に気を使って学校に電話したりして大変なことになりそうだな」

どうしたらいいのか今の自分にわかるはずもなく布団をかぶって早々に寝てしまった。

 

次の日何度メールや電話をしても雪ノ下雪乃から返信が全くないことに疑問を感じた小町が騒いだため雪ノ下の失踪も発覚し大騒ぎになった。

何しろ地元では名士の御令嬢が同学年の男子とともに消えたのだ。

雪ノ下建設のあらゆる関係者が地元を奔走し足取りをつかもうと躍起になったが、千葉駅でそれらしい制服姿の男女を見たという証言を最後に足取りは全くつかめなくなってしまった。

 

学校でも大騒ぎになっていた、渦中の雪ノ下雪乃は学校でも指折りの有名人である、対して比企谷八幡も別な意味で有名人であったので、なぜあの二人が?と噂が噂を呼んでいた。

 

学内の廊下で戸塚とあった時にも

「材木座くん、八幡のこと何か聞いてない?雪ノ下さんも行方不明って話だし、駆け落ちしたとか心中したとか噂が流れてて僕心配だよ・・・」

「ま、まあ八幡のことだからそのうちひょっこり帰ってくるであろう、だから我々はいつも通り過ごしておけばよい」

「そうかな・・・」

戸塚は暗い表情で教室へと入っていく、ふと教室内を見てみると全体的に暗いムードだった、なにしろトップカーストグループがお通夜状態だったからだ。

グループに所属している由比ヶ浜がずっと泣いているのがその理由のようで、由比ヶ浜を三浦と海老名が慰めており葉山もいつものスマイル顔ではなく表情は暗かった。

 

しばらく見ていると葉山と目があった。

材木座はやばい雰囲気を感じ退散しようとするが、あっという間に葉山に捕まってしまう

「材木座くん、君は比企谷と仲よかったよな?何かしらないか?」

「い、いや、件の噂のことであろう?我は何もしらぬ」

「君はよく雪ノ下さんと比企谷に自分の書いた小説を読ませてたんだろ?その時に何か聞いたりしてなかったか?」

葉山の目はかなり真剣だ

 

「いや、何もしらぬ、何も聞いてはおらぬ、いつもあの二人は我のことを邪険に扱っておるので必要なこと以外は何も聞いておらぬ!」

「君が最後に奉仕部に行ったのはいつだい?」

「先週だったか?普通に設定やら文章にダメだし食らってそのまま追い出された」

先週のことを聞かれて焦りまくる材木座

「・・・そうかその時なにかいつもと変わったこととかなかったか?」

「い、いつも通り散々なこと言われただけだ、たた、たまにはほめてくれても良かろうと思わぬか?」

「・・・そうか、呼び止めてすまないね・・・」

葉山はそういうと教室内に戻るが

 

「比企谷・・・雪乃ちゃんをいったい・・・あいつ・・・」

そんな独り言が葉山から聞こえた

 

材木座はこれ以上ここにいるとまた誰かに捕まると思い自分のクラスへと戻ろうとしたところ、今度はロングヘアーの女子のヤンキーに絡まれ、そのまま廊下の角まで引っ張って行かれる

「あんた・・・比企谷と仲よかったよね?」

「は、はひ!ど、どちらさまで!」

 

ヤンキーは壁ドンをして更に怒鳴るように質問を続ける

「あんた!比企谷のことなんか知ってるんじゃないのか!?」

「ししししらぬ!八幡のことも、雪ノ下殿のことも我は知らぬ!」

材木座は恐怖で足がすくんでしまうが、ヤンキーの様子が一変する

 

「あいつ・・・どこにいったんだよ・・・あいつに私は・・・まだ・・・」

下を向いて体が震えている

「比企谷・・・」

ヤンキーはそのまま床に座り込んで顔を手で覆って泣いてしまう。

材木座はこれはチャンスとばかりにさっさと教室へ戻るが、教室でも色々話が飛び交っていた。

二年の生徒会長が生徒会室に籠って出てこないとか、一年にいる比企谷の妹がいてずっと泣いているので授業にならず保健室へ運ばれたとか

 

「なぜこんなことになってしまったのだ」

HR時に学外へ話を漏らさぬよう教師からの通達を聞いた材木座は頭を抱える

この件に関しては外に漏らさないようにと生徒達に学校側から強く口止めするよう通達が出され、噂を学内で抑えようとしているようだった。

 

「我はラノベを見て話を聞いてほしかっただけなのに、本当に駆け落ちしてしまったのだろうか?・・・一体あの二人になにがあったのだ?」

 

しかし今更どうしようもない、言ってしまえば行動したのはあの二人の勝手である、こちらには責任が無いともいえるが行動の引き金を引いたのは自分という罪悪感があった。

いっそのことラノベのことを先生や皆に言った方がいいのだろうかとも思ったが、何故自分に口止めもせずにあの二人は姿を消したのかということを考えると、彼らの選んだ行動を尊重しなくてはと思い、黙っていることにした。

 

そもそも材木座は比企谷と違い正真正銘のボッチである。

学校内では奉仕部自体あまり知られてないのと、比企谷の存在感の薄さも相まって一部を除きほとんどの人に材木座と比企谷や雪ノ下とのつながりを知られていないのである、また自分のクラスでは原稿に向かって一人ニヤニヤしてる変人というのが周りから見た彼の印象であるため、今回の騒動に関係してるとは誰にも全く気が付かれる心配は無かった。

 

そんなおり二,三日後の材木座家の夕食時に義輝の父からうれしい?ニュースが聞けた

「義輝、山形の叔父さんの工場を覚えているか?ほらあのスカウトされそうになったとこ」

「覚えてるがそれがどうかしたのか?」

「うむ、あの工場にお前と同じぐらいの年の妙なカップルが来たそうだ」

「ほうほうそれで?」

「女の方はかなりの美人で男の方は目がちょっとおかしい人相だったそうだ」

「ほう、それは確かに妙なカップルだな」

平静を装い興味深く聞いているふりをしていたが内心ではまさかと思い落ち着かなくなる

 

「うん、それでだその男女が突然工場に来てだな、男の方が叔父さんと顔を合わせるなり『ここで働かせてください!お願いします!』といって切粉や油でいっぱいの工場の床に土下座したんだと、何度も額を床に叩きつけていたそうだよ」

 

「ずいぶんと必死だな・・・」

「そうなんだ、んで叔父さんが絶句して動けなくなってると、女の子も『またあなたばかり』とかなんとか言って自分も汚い工場の床に膝を突いて土下座し始めたもんだから、騒ぎを聞きつけた叔母さんが慌てて止めに入ったそうだ、なんか肌がとても白くて綺麗な女の子だったとか」

 

目がおかしい男子と肌の白い美人の女子、間違いない、良かった、八幡と雪ノ下殿は無事工場にたどり着いたのか、察するに雪ノ下殿に何も言わずにいつものように汚れ役を買って出て土下座作戦をしたのであろう、こんな状況でもそんなことをするとは八幡らしい、しかし噂の中には心中したとか言ってる人もいたのですごく心配してたんだぞ、と表情には出さず安堵する材木座

 

「んでその男女だいぶ訳ありみたいで名前以外はどこから来たのかとか一切教えてくれないんだと」

「なるほど、確かにそれは大分事情がありそうだな」

 

「んで名前もなるべく他人には口外しないでくれとのことで俺も教えてもらってない、つかこの話自体家族以外にするなと言われている」

「結局訳有カップル雇ったのであろうか?」

 

「それがそのカップル、試に働かせてみたら働きぶりがすごいから即採用したんだと、なんでもあっという間に工場の資料の整理やら紙資料を電子データ化したりして呑み込みも早いし礼儀正しいし、叔父さんもどっかの御令嬢と御子息が駆け落ちでもしたんじゃないかって笑っていたよ」

 

八幡は一般家庭だから叔父さん半分正解だ。

内心苦笑いをする材木座

 

「住むところも昔従業員がいたとき寮として使ってて今はアパートとして貸し出してるところがあるからそこに住まわせてるんだそうだ」

「まさかそこはもしや風呂なしトイレ共同とかではあるまいな?」

「さすがに今のご時世それはないよ、八畳一間の1Kの普通のアパートだってさ、一人一部屋のつもりだったけど二人一部屋で十分ですと言って受け付けなかったそうだ」

 

ふむ、神田川は実現することは無さそうだな、現実問題として風呂が無いのはきついし共同トイレってのもちょっと嫌だしな

 

「避妊はしろよって言葉で二人とも顔を真っ赤にしてたそうだがな!どうだ義輝!様子を見に今年も行ってみないか?」

「今年は受験があるから遠慮する、その訳有カップルも知らない人が来ると警戒するだろうからやめた方がいいのではないだろうか?」

「それもそうか、まあ年頃のカップルが駆け落ちとかアレだな、ドラマみたいだな、なんか興奮するな?」

そう義輝の父は言いゲラゲラと笑う、どうも酒が入ってきてるようだ

友人をダシにした下ネタで盛り上がりたくは無かったので早々に食事を終えて自室にこもる。

 

これから自分はどうすればいいんだろうか?

何しろ味方になれるとしたら自分しかいないのだ。

彼らの為になんかできることは無いか考えても出てこないので宿題を済ませて早々に寝ることにした。

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