俺のラノベは間違っている’   作:もよぶ

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第四話

平塚先生が教師を辞めることを材木座が知ったのは雪ノ下母と姉が来襲してから2,3日後の現国の授業が終わった時だった。

「みんなに報告がある、実は私は教師を辞めなくてはいけなくなってな、来月退職することになった」

 

そう先生が言うと

「えーほんとですか?」

「先生!とうとう結婚相手が見つかったんですか?」

 

と茶化すものもいるし残念がるものいたが材木座だけはまさかと思い手を上げる

「おおどうした材木座?」

「先生、もしかしてこの間のことが関係してますか?」

「・・・それに答える義務はないな、さ、授業は終わりだ」

 

そういって平塚先生は教室を出ようとするが、その言葉で察してしまった材木座は机をガンと叩いて声を荒げる

「なんで先生が辞めないといけないのだ!先生にすべてなすりつけても何も解決しないであろう!クソ!これもあの雪」

最後まで言いかけた時に平塚先生が

「黙れ材木座!!!!!、ちょっとこい!」

 

材木座以上の声で怒鳴り胸ぐらをつかんで廊下へと引きずり出す

 

「材木座、この世はお前の好きなアニメやラノベの世界のようにはなっていない、誰かが貧乏くじを引かなくてはならないんだよ」

「でも先生、これはあまりにも勝手な話です・・・」

「雪ノ下も比企谷も私が部活に強制入部させたから責任が0というわけではない、私ももっと早くあいつらの異常に気がついていれば事態は変わっていたのかもしれないしな、だからもういいんだ」

「・・・すみません先生・・・」

 

「何故謝る?それより今日も奉仕部にこい、由比ヶ浜が紅茶の淹れ方をマスターしたとか言ってたから一緒にごちそうになろうではないか」

平塚先生はそういうと材木座の頭をガシガシとなでつけ職員室に戻っていった。

 

材木座が教室に戻ると水を打ったように静かになっていた、自分の席に戻ると隣の席の女子が話しかけてくる

「材木座くんこの間のことってなに?」

「何でもない、我が執筆しているラノベの話だ」

「えー?違うでしょ?平塚先生のことなんか知ってる感じだったじゃん」

いつの間にか他の人も交じって材木座の席はクラスの連中に囲まれていたが

 

「何でもないと言っておるだろう!!!」

もともと材木座の体は大きく威圧感がある、それが大声で怒鳴り散らしたものだから皆一様に引いてしまう

「ご、ごめんなさい・・・」

「ふ、ふん、き、興が削がれてししまったわ!!」

そういうと材木座は教室を逃げるように出て行き、放課後までの時間を屋上で過ごすことにした。

 

放課後になり奉仕部へ向かう、奉仕部の部室はすでに開いており由比ヶ浜が一人で以前雪ノ下が使っていた電気ケトルでお湯を沸かしているところだった。

「やっはろー中二、今日はどうしたの?」

「いや、平塚先生からお主が紅茶の淹れ方をマスターしたからご相伴にあずかれといわれたのでな、こうして馳せ参じたわけだ」

「さんじた?・・・三時はとっくに過ぎてるよ?」

 

「い、いやそれは、あれ?」

女子相手に自然と声が出ることに自分でも驚いている、雪ノ下の姉と対峙したからだろうか、女子が大した脅威に思えなくなってるのかもしれない、そうこうしていると平塚先生もやってきた。

「ふむ、由比ヶ浜お手並みを拝見しようか」

「任せて!ママからあたしでも入れることができる紅茶の淹れ方教えてもらったんだ」

そういって由比ヶ浜は鞄から黄色い箱を取り出す、箱にはLiptonと書いてあった。

「あのーその箱は?」

「これをこうして、カップのお湯につけるんだよ!1分ぐらい付けるのがコツなんだ!」

 

「いやそれ普通にティーバックであろう・・・」

「文句言うなら中二には分けてあげないからね!」

そんな様子を見て平塚先生は腹を抱えて笑い出す

「あっはっは、まあ確かにこれなら由比ヶ浜でも淹れることは出来るな!」

「んもー二人してなんだし!文句言うなら上げないし!」

 

プンプンとお怒りになっている由比ヶ浜をなだめて平塚先生と材木座は紅茶をいただくことにする。

紅茶を飲みながら平塚先生は材木座に話しかける。

「そういえば戸塚はどうしている?比企谷と仲がよかっただろう?」

「戸塚殿は・・・授業が終わるとすぐに部活に行っているようです、様子を見に行ったことがありますが、いつもの戸塚殿とは思えないぐらい厳しく後輩を指導してました。自分が声をかけても以前と違って態度がそっけなくて、まるで八幡を忘れたいかのように練習に打ち込んでいました」

「そうか・・・」

 

部室内は一転して重い空気になってしまったが、そんな空気をぶち壊すかのように勢いよく扉が開く

「静ちゃん!!教師辞めるって本当?!!!」

そう叫びながら陽乃が入ってきた。

 

材木座と由比ヶ浜は身構えてしまうがそんな二人を無視して陽乃は平塚先生へ話し続ける。

「もしかしてうちの母がなんか言ったから?」

「上から言われてな、奉仕部の顧問だった私に責任とって辞めるようそれとなく言われたんだよ、だから表向きは自主退職ってことになっている」

 

「そんな・・・あの時、私てっきり減俸とか始末書だとかその程度だと思っていたのに!なんで静ちゃんが辞める必要があるの!」

「・・・そのことはもういいんだ、いまさら騒いだところでどうとなる物ではない」

「ちょっとまって、今お母さんに電話するから!」

 

そう陽乃は言って母親に連絡をする

「あ、お母さん、静ちゃ・・・平塚先生のことなんだけど・・・え?・・・でも辞めさせることは・・・どうしてよ!!」

しばらくごねていた陽乃だったが、無駄と悟ったのか暗い顔になり電話を切る

 

「ごめんなさい、家のことなのに静ちゃんの人生まで狂わせちゃって・・・本当にごめんなさい」

そういうと陽乃は膝を突き平塚先生に土下座する

「顔を上げろ陽乃、こんな姿お前を知っている人が見たら大騒ぎになるぞ、それにもういいと言ってるだろ」

顔を上げた陽乃は材木座と由比ヶ浜へ詰め寄る

 

「本当に行先に心当たりはないの!お願い!教えてよ!」

陽乃は顔を歪めて由比ヶ浜へ縋り付く

「雪乃ちゃんと比企谷くんに一番近かったのはあなたじゃない!なにか本当に聞いてないの?本当に知らないの?」

「・・・ごめんなさい」

 

由比ヶ浜が頭を下げると陽乃は放心した顔で

「・・・もういいわ・・・でも諦めないから・・・」

そういうとふらふらとした足取りで部室を出て行った。

 

しばらく無言だった3人だったが

「なんか雰囲気が暗くなってしまったな、お前らももう帰れ、材木座、由比ヶ浜を送って行ってやれ、自暴自棄になった陽乃に何かされるとことだ」

「承知した、由比ヶ浜殿はよろしいか?」

「・・・うん、そうだね・・・」

そうしてその日は終わった。

 

その日以降材木座は奉仕部の部室を訪れることはなかった、また陽乃が来て問い詰められたりしたら白状してしまいかねないからだ。

そしてあっという間に一か月が過ぎた。

 

今日は平塚先生の最後の授業になる、先生は生徒にはかなり人気があった為、花束を渡されたり泣きつく生徒も少なくなかった。

表向きは自主退職となっているが、事情を知っている材木座は憤慨していた、しかしいくら憤慨したところで現状が変わるわけもなく、そうなった事の発端は自分にもある為、自分になにかできることは無いかと頭をひねる。

 

「こうなったらあの二人にこの始末つけさせるか、誰にも相談せずに勝手にいなくなった奴らが悪い!」

責任感と憤りを感じた材木座はあることを思い立ち職員室へ向かい平塚先生を探す、先生は最後だからと自分の席でたばこをガンガン吸っているようだった。灰皿がたばこで山盛りになっていて先生の席だけ煙幕が張っているかのようだった。

 

「先生、お時間はよろしいですか?」

「おお、材木座じゃないか、どうした?」

先生は相変わらずの調子のようだ。

「先生はここを辞められたらどうされるおつもりですか?」

 

「こう見えても蓄えはあるからな、全国ラーメンめぐりでもしようかと思っている、全国回っていればそのうち比企谷と雪ノ下に会えるかもしれんしな」

先生は遠い目をして言う

「あと比企谷にあったらまず顔面を思いっきりぶん殴ってやる、もう教師で無いわけだから遠慮することは無い、あいつめ、更生の為に奉仕部に入れたのに雪ノ下を誑し込みやがって」

と鼻息を荒くして指を鳴らし始める、その迫力に比企谷はよく今まで五体満足でいられたなと材木座は思う。

 

「ま、最もあの二人が一緒ならどこでもやっていけそうだしあまり心配はしていないんだがな」

そう言うと平塚先生はにっこりと笑う。

「でも今回は由比ヶ浜がいないからな、対人関係が不安だ、どうせなら彼女もつれて行けばよかったのに・・・おっとこれは失言だったな」

こんないい先生に気に入られてあの二人は幸せもんだなと材木座は軽く嫉妬してしまう。

 

「ところで先生はかなりのラーメン通とお聞きしてるのですが耳寄りなお話がありまして」

「ほう、どんな内容かな?」

「実は親戚の工場に若い夫婦が入りまして、その奥さんが作るラーメンが絶品なんだそうです」

「ほほう、興味深いな」

「んで近くラーメン屋も立ち上げたいと思ってるそうですが何しろ味がわかるのが周りにあまりいなくてラーメンに詳しい人にアドバイスが欲しいとか」

「なるほど、それで私が試食してアドバイスをすればいいわけだな!」

「その通りです、どうでしょうか?全国めぐる前に一度行ってみていただけないでしょうか?場所は山形なのですが・・・」

「ふむ、よかろう、どうせ暇になるしな、しかし山形か、他にうまいラーメンはあるかな?」

「先生、山形はラーメン店舗数では日本一なんですよ?それに何故か客が来ると出前のラーメンを取るという謎の文化があるぐらいラーメン好きのようです、そして夏になると冷やしラーメンという変なラーメンも出てきます。意外とおいしいですよ?」

 

「冷やしラーメンか、噂には聞いたことはある、しかしそこはラーメン好きにとっては天国のようなところだな、気に入った、是非行ってみよう」

「もっとも店が多いだけでおいしいかどうかは保証できないですが・・・あと看板に蕎麦と書いてある店でも普通にラーメン出しますので気を付けてください、というか飲食店はチェーン店以外100%ラーメンを出すと思っていただいて結構です。ではこちらが場所になります。」

材木座はそういい、例の工場の住所が書いてある紙を渡す。

「ふむ、本当にラーメンだらけのようだな、そういう中から当たりの店を探すのも楽しみの一つなのだよ!」

連絡先を受け取りながら気合を入れる平塚先生だった。

 

「・・・先方に連絡もしておきますので。では先生、今までどうもありがとうございました。お元気で」

「ああ、最後にいい情報をありがとう、材木座も元気でな」

 

職員室を後にしたあと雪ノ下へメールする材木座

『職を失ったアラサーがそのうちそちらへ向かう、詳しいことは本人へ聞いてくれ、あと八幡は顔面を殴られる覚悟しとけと伝えてくれ』

 

数日後、材木座家の夕食時義輝の父がまた情報を持ってきた。

「義輝、叔父さんの工場だが、今度はまたすごい人がきたそうだ」

「どのようなお人なのであろうか?」

「長髪のとうが立ってそうな美女だそうだが、なんでも高級そうな外車のスポーツカーで颯爽と乗り付けてきてだな、来るなり「うまいラーメンを食わせてくれると聞いてきたのだが」とか言っていてたそうだ、何のことやらわからずにいると前に入社してた元ご令嬢が走り出てきて先生!といって抱き着いたそうだ」

「ほほう、それでそれで?」

 

「その美女はご令嬢を見てものすごく驚いていたみたいでな、しばらく二人で泣きながら抱き合ってたそうだが、男の方が出てきた時に男の名前を叫びながらものすごい速さで男の顔面を殴り飛ばしてな、そのままマウント取ったかと思うとまた泣きながら男を殴ってたそうだ」

「なかなか凄惨な光景であるな」

「どうも先に入ってた男女の恩師だったらしい、詳しい理由は言わなかったが教師を続けられなくなったのでラーメンを食うついでに二人に会いに来たんだとか」

「んでその人はどうなったのだ?」

 

「雇ったそうだ、先に入った二人のおかげで工場の生産性がアップしたり助成金の申請も降りたとかで金回りが良くなってるし、開発に力を入れ始めたところだからそろそろ人を増やしたいとおもっていたそうだ、だからちょうどよかったんだと、細い女性なんだが力があるからと現場で働くことになったらしい、なんかラーメンが大好きだとかで出前のラーメンを食べさせたら感激してたそうだ」

 

「それはよかった」

 

「それでうまいラーメン屋をしらないかとか聞いてきてな、叔父さんもそういうのは良くわからないからと近所のラーメン出すところいくつか教えたら早速二人を引っ張って食べに行ったんだと、なんか山形のラーメンを食い尽くすとか妙に張り切ってたそうだよ」

 

よかった、作戦は成功したようだと材木座は思ったが、学校の方を考えるとまだ問題が残っていると考えてしまった。

平塚先生がいない今由比ヶ浜が一人ぼっちになってしまったではないだろうか?

 

「こればっかりは我でもどうにもならん『どうしても困った』状態だ、相談のメール送っても大丈夫だよね?」

その晩雪ノ下へどうしたらよいかの相談のメールを送った。

 

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