世界で一番かわいいヒロインは、この私、山田エルフなんだから! 作:冬希
思ったより長くなったので前半後半で分けました。
本編の内容を一部利用、そこからこうなっているだろうなあと内容を分岐させています。題名にある失言も本編のものです。
あの失言がめぐみと紗霧を結んだきっかけで、あれがなかったら今ほど深い関係はなかったんだろうなあ。
へーそう考えるのかーと読んでいただければ幸いです。
神野めぐみ。彼女の特徴を端的に言うと、「最強のコミュ力を持つ女の子」である。
それも、中学入学直後にほとんどの学年全員を友人にしてしまうという、常人の域を脱するレベルである。
しかし、時にそれは暴走し変な方向に彼女を動かすことがある。
彼女の目標は「学年全員を友人とすること」である。
しかし、それを阻む難敵がいた。
教師の出欠表、チェックが横にズラリと並ぶ一名の名前。
この問題を解決しない限り、目標は達成できない。
永久欠席とでも名付けようか、そんな椅子と机を成すすべなくぼんやりと眺めていた。
そもそも病気なのか、家庭の事情なのかもわからないから何も出来ない。
もちろん情報もない。強いていえばなんと中学校に一度も足を運んだことがないという情報だけ。言い換えればそれは「情報が全くない」という情報ただ一つあるだけということだろう。
「彼女の家がわかればいいんだけどねえ」
生憎小学生の頃の彼女の知り合いを名乗るものが表れない。
人海戦術もできない。
「なにかの弾みで住所をわかるきっかけがないかなあ」
住所さえ分かればその両親を説得すればなんとかなるかもしれない。
学校にさえ来ればあとはこっちのものだ。
「待てよ?両親を説得するだけなら」
顔を合わせなくても会話出来る方法があるじゃない!
私は家に着くと真っ先に「連絡網」を見る。
「なん…だと…」
彼女の連絡先が記載されてない?そんな馬鹿な。
クラスから省かれてるんじゃないか…これは教師陣からの悪質ないじめなのか?そうして彼女は登校拒否となってしまったのか?
私はそんな疑問をもって担当に問う。
「紗霧さんの連絡先を知ってる人がいないんだよねー、だから私が定期的に直接投函してるの」
「直接投函!?」
ようやく掴めた彼女の尻尾。
それに逃さまいとしがみつく。
「それ、私がやります!」
こうして私は和泉家をつきとめることができた。
「こんにちはー!」
私はインターフォンを押し、家に向かって挨拶をした。
「はいー!」
中からは親とは考えにくいような、若い声が聞こえた。
着実にミステリアスな闇を明かし、彼女の真相を捉える時が近づいている。
「こんにちは!神野めぐみです!紗霧ちゃんのクラスメイトです!」
家から出てきた青年に元気よく挨拶をした。
やはり両親とは思えないほど若く、数個年上のお兄さんといった容姿。
ちょっとした会話をし、和泉宅へ入り込むことには成功した。
「紗霧ちゃんと仲良くなるにはまずは紗霧を学校に来させること」
今日はそれを説得しに来た。
それに、紗霧ちゃんの関係者であれば当然「不登校である」という事実を深く受け止めているはずだ。
聞けば、まさに絵に書いたような引きこもりではないか。
それなら協力して、紗霧ちゃんを登校させよう!
と考えたところまではよかった。
しかし、お兄さんの反応がおかしい。
そんな紗霧を私から守っているようである。
「お兄さんって、このままでいいと思っているんですか?」
「そりゃ、良くないと思っている」
「ではどうして…」
この時まで私は
「学校に登校して、友達沢山作って、みんなでワイワイ過ごすこと」
が全員共通の楽しいことだと思っていた。
この答えを聞くまでは。
「あいつは部屋の中でもたくさんの人と関わりを持ち、応援されている。あいつは俺の誇りだよ」
私にとってはそれは新しい考えだった。
「引きこもりでも楽しむことができる」
正宗から諭された考えはこうだ。
しかし、「それでも学校の方が楽しいに決まっている」という私の考えは曲がらない。
だから次に私はクラスメイトを誘って紗霧宅へおしかけた。
「「「紗霧ちゃーん!学校おいでよー!!!」」」
「「「「「帰れー!!」」」」」
全員の声を足しても正宗のみんなを一蹴する怒鳴り声には勝らなかった。
紗霧を学校に行かせることは難しい。
お兄さんを説得させることも、自発的に学校に行かせることも。
クラス全員で呼び出す作戦も失敗し、私は詰まってしまった。
しかし、およそ一ヶ月経ったある日。事態は変わった。
きっかけは「紗霧ちゃんと共通の趣味を持とう」というアイデアである。
和泉家のカレンダーには彼が作家と思われる小説のイラストが描かれていた。
後に確認してみれば、その作者がこの前会話した和泉正宗だという。可能性として、妹もそれが好きな可能性が高い。
私は再び正宗にコンタクトを取った。
しかし…
「すでに紗霧は友達ができたみたいだぞ」
これを聞いた時、悔しかった。友達第一号になれなかったからだ。
しかし、彼女と友達になりたいことは変わらない。
そして、正宗と高砂書店に落ち合う約束を取り付け、例のアイデアを発表した。
「私も、キモオタ小説を読んでみたいと思います!」
ラノベ作家である正宗と高砂書店の看板娘でありラノベコーナーの主である高砂智恵の目の前で放ったラノベを軽蔑しきった一言。それは正宗を呆れさせ、智恵を怒らせた。
「戦闘民族、足立区民をなめんなよー!」
憤怒した彼女の咆哮が書店内に響き渡る。
「ここは書店だぞ、抑えて抑えて、どうどうどう」
対して冷静な正宗は鎮めようと二人の間に入りこむ。
「あの小娘!絶対許さん!!」
正宗がいなければ赤い布を見た雄の牛の如く突進していただろう。
言い方はともかくとしてラノベを読みたいという気持ちを汲み取った正宗が彼女を抑えこの場は済んだ。
「しかし、なんでまたライトノベルを読もうとしたんだ?」
「お兄さん、ライトノベル作家ですよね?妹さんと同じ趣味を持ちたいなーって思いまして」
なるほど。大勢で押しかけたり強引に連れ出そうとした前回よりは大いに成長している。
「ムネくんムネくん、ちょっと」
裏へ案内された俺はあの失言を許すわけにはいかんとある作戦を提案される。
「ヤツをラノベ沼にはめる」
最初は意図が掴めなかったけど、それはすぐに判明した。
ラノベを読みたいめぐみとラノベを薦めたい智恵で話はかみ合い、その後は特に騒動はおきなかった。
「めぐみちゃん、また明日ねー!」
別れ際に放った智恵のこの一言に強い悪意と確信を感じる。
そしてその結果はすぐに現れた。
夜に一通の電話が鳴る。
「お兄さん!続きはまだなんですか!」
睨んだ通り、電話に出るいなや質問をぶん投げてきた。
「続きはまだ先だ」
俺は無常の宣告、それはラノベの常だと言い聞かす。
「くぅーー…このなんとも言えない心のどこかが欠けたような気持ちどうすれは…」
「それを緩和させるには新しいラノベを読むしかないよ。それに、紗霧と共通の話題を持つ作戦、成功しているんじゃないか」
「あっ…」
「私…いつのまにかライトノベルにハマっている…」
その後日。紗霧の問題を解決するためにめぐみはモデルとして部屋に招かれ、なんとか紗霧と友達になることに成功した。
…ちょっとしたハプニングがあったけど。それも結果的には良い方向に向かって作用してくれたのかな。
そして、正宗とめぐみをつなぐ新しい手段として、ラノベが増えた。
そして彼女にまだ蒼い恋心の芽が発芽した。
中学に入学し二ヶ月半程度がした。一同はようやく中学校生活に慣れ、各々の生活を楽しんでいる。
例えば愛読書について仲間と語ったり、部活で共に汗を流したり。
その中にも当然恋愛的要素もたくさんある。
あの子とあの子は付き合っているーだとか、告白したけどフられたんだーだとか。それは男女共によく話題にとり挙げられるが、やはり女の子同士の会話だと多い。
そして、コミュ力と美貌の鬼、神野めぐみの名前がその会話に現れないはずもなく…
「ねえねえ!サッカー部のあのイケメンかっこよくない?」
「あの人、めぐみちゃんが好きだって誰かが言ってたよー」
「えーーうっそーーめぐみちゃんいいなーあんなイケメンに好かれて」
めぐみはそこに本人がいなくても話題にあがってしまう。恋愛的な面でも、ファッション的な面でも常に先頭を行く。
「好きです!付き合ってください!」
校門の前、人だかりが徐々に現れる星々と共に解散しかける時間帯。
めぐみは告白されていた。その相手は先日話題にあがったサッカー部のイケメン。
その容姿は常々話題になる有名人で、誰もが成功を確信していた。
「ごめんなさい!好きな人がいるんです!」
さらに二週間くらい経過した夏の昼休み。
昼休みの喧騒に紛れて「付き合ってください!」というめぐみに向けた声が聞こえた。
前回のきっと何日も前から「告白しよう告白しよう」と悶えた日々を過ごしたようなそれではなく、友人に押され勢い任せに想いを告げる。
前回よりは軽いけれど、告白は告白である。
「ごめんなさい!他に好きな人がいるんです!」
二度も同じ理由で告白を断っためぐみ。「好きな人がいるんです!」
この言葉を小耳に挟んだ女子は、自前の友人関係と情報網をフル活用した特定作業にかかった。
彼女が話す時のテンション、仕草、会話内容から推察しようと様々な推論が展開される。
「バスケ部のあいつよ!」
「いや、野球部のあいつだね!」
「いやいや、意外に吹奏楽部のあいつかもよ?」
しかしその推論はてんでばらばら。彼女の顔が広すぎて候補がたくさん挙げられてしまう。
「もしかして…好きな人がたくさんいるとか?」
「確かにありそう」
そんな悪い可能性すら示唆されている。
それほど学校での彼女はどの友人にも平均的に、かつ好意的に接している。
しかし家での彼女は違う。智恵の計略に陥れられためぐみは、夜になれば気を紛らわす談義に正宗を巻き込んでいる。
めぐみの知らない裏で悪い可能性が示唆されているのと同様に、彼女達の知らない裏で日々連絡を取り合っている歳の少々離れた男の人、もとい正宗がいるとは知る由もないだろう。
「えーー?付き合っている人もいなさそう?」
めぐみの好きな人は誰だという談義は夏休みを挟んでも続く。
「うん。というか、いたとしても特定ができない。それほど沢山の集団を率いて帰っているのよ。めぐみちゃんは」
スーパー委員長の名に恥じないコミュ力が特定班を困惑させた。
そんな滞った状況に打診の一手が打たれた。それは意外にも「びっち」を貫く彼女の謎の信念から生まれたものだ。
「そういえばさー、めぐみちゃんって彼氏持ち?」
もう、影で探りを入れることを諦め堂々と本人に聞いてしまうという脳筋なやり方を遂行した。
「彼氏?いますよ!大学生!二十歳!」
「…は?」
ぶっ飛んだ答えを聞いた女子はひたすら唖然とするしかない。
ジョークとも受け止められかねない。というかジョークであってほしい。
「危ないよそれ間違いなくカラダ目当てだって!」
「えーーまっさかーー」
声のトーンとテンションをあげ、ないないと手振りで否定する。
確かにそれなら好きな人がこれまで尻尾すら掴めなかったのも理解はできる。
とはいえ、そんな犯罪になりかねないいかがわしい関係に陥っているとしたら…
スーパー委員長、影で歳上男性と法を越えて‥越えちゃダメだよ!
「大丈夫です!彼氏とはそんないかがわしい関係じゃないです!」
その笑顔と自信が尚更不安を煽る。
そもそもそんな関係の有無関係なしにそう答えるだろうし自ら言うあたりが怪しすぎるぞこの女!
そんな噂はあっという間に流れ、自然とめぐみの好きな人は誰だと言う騒動は歳上男性との淫交疑いにシフトされた。
そして、その調査はめぐみ本人には決して悟られないよう慎重に行われた。
帰宅集団に混ざってみたり、週末空いてないかと誘ってみたり。
「めぐみちゃん、時々駅前の高砂書店に出向いてるみたいなんだけど、そこでも特別不審な行動はなかったわ。そこの看板娘も高校生くらいの女の子だったし…」
「うーん…」
クラスメイトとの淫交の有無を探る女子。
それに対し、その騒動に一切の縁がない男子はまた別の騒動を話題にしていた。
「ねえねえ、この前のエロマンガ先生VSエロマンガ先生Gの対決、見た?」
「おお見た見た!」
エロマンガ先生Gが超絶な美人であったこと、結局エロマンガ先生の姿が特定できなかったこと、「セカイモ」作者が一同の予想に反し若かった、特に山田エルフに関しては彼らとほぼほぼ同年代だったこと。
しかし、捜査隊はその会話に今回の騒動のヒントが隠されていることに気づくことはなかった。
追尾されているとはつゆ知らず、めぐみは今日も正宗に電話をかける。
ただし、時刻は夜十一時過ぎ。到底その時間までは女子中学生の捜査の足は及ばない。
「あの展開予想外でしたよねー!」
「すげーわかる!あそこで告白はすげー胸熱!」
同じ恋愛ラノベの話に華を咲かす二人。
誰にもたどり着けない真相、邪魔のできない関係がそこにある。
「そういえば和泉先生のラノベ読みましたよー!」
「おー!ありがとう!」
あの日、出会うことがなければ一読者にすらならない赤の他人だった。
ラノベを馬鹿にしたたった一つの失言から共通の話題が生まれ、そして正宗にとっても特別な一読者になっていた。
俺はめぐみと出会ったとき、敵だと思った。
紗霧を学校へ強引に連れ出そうとする悪魔だと思っていた。
そんな彼女も今は、俺の恋心を揺らげる小悪魔だ。
そんなめぐみに、俺は好意を抱いていないと言ったら全くの嘘になる。
いや、彼女と話している時が一番楽しいかもしれない。
そんな自分がまだ信じられないでいた。
そんな揺らぐ俺の気持ちにトドメをさしたのは秋の終わりの頃だった。
「めぐみの好きな人は誰だ」という騒動や淫交騒動はようやく収束、正確に言うと迷宮入りした。
そんな中、俺はめぐみの中学校の合唱祭に足を運ぶことになった。
というのも、俺は彼女から直々に合唱祭だけは来て欲しいと懇願されたのだ。
その話は前夜にさかのぼる。
いつも通り俺たちはラノベについての会話に華を咲かしていた。
「私のクラスのみんなが輝く姿をお兄さんにだけでも見て欲しいんです!」
突然俺は懇願された。
でも、よく考えれば紗霧も名簿の上ではめぐみと同じクラスだもんな。
それならせめて俺だけでも見に行って、その感想だけでも紗霧と共有して欲しい。そういうことなのだろう。
「わかった。いつなんだ?」
「今週の土曜日です!私たちは一年生なので十一時の会場に合わせて来ていただければすぐに出番が来ます!」
「よし!わかった!土曜は開けておくよ」
「ありがとうございます!それではお兄さん、おやすみなさい!」
「おやすみ、めぐみ」
彼女が彼女なりに紗霧とクラスメイトとして接しようと努力しているのがよくわかる。
よく考えてみれば紗霧とめぐみが初めて出会ったあの日だってそうだ。
当時の俺にはあいつが紗霧を連れ出そうとする悪魔にみえた。
でも、その行為は彼女の紗霧に対する好意の一つとも言える。
紗霧と共通の話題を持とうと自らラノベを読んでみたり、モデルになってくれたり。
…ひょっとしたらめぐみは俺よりずっと紗霧のことを思っているのかもしれないな。
合唱祭当日。俺は約束通りの時間に会場を訪れた。
体育館前方に生徒席が、後方に一般席が置かれている。その一般席のほとんどは親御さんだろう。
空いてる席に腰かけた瞬間に電気は消灯、唯一照らされたステージに注目が重なる。
吹奏楽部の演奏で合唱祭の幕間が彩られる。
それが終わるとすぐにクラス毎の発表になる。
「めぐみ!?」
俺は寸出のところで声を飲み込む。
彼女はここでもクラスを引っ張っていた。
彼女が指揮棒をあげれば規律された動きで歌うための陣形が作られる。
彼女が指揮棒を振り出した時、ピアノが旋律を作り出した。
二、三種類の声はそれぞれを引き立て、時に引き立てられる。
そして、音楽の盛り上がりに合わせてめぐみも抑揚をつけた動きが多くなる。
「めぐみ…かっこいいな」
ここまで真剣な目つきの彼女は初めて見るな。
いつもはあんな下ネタばかりなのに。
…すげえかっけえ。
何度でも言ってやるさ。
そしてこの時正宗は彼女にかつてない輝きを感じた。
それは紗霧にも、エルフにも感じたことのない彼にとっては新しい「憧憬」という感情。
いま、憧れの人が指揮棒を振っているのだ。
「私に惚れない男の子なんていないはずなのに」
そんな話があってたまるか。
なんて当時は思ったけど。
今の俺なら信じられる。
—俺は彼女に惚れたのだ。
演奏が終わると俺は精一杯の拍手を送っていた。
そしてその晩、俺は初めて自分からめぐみに連絡をいれた。良い作品を読んで感想を作者に送る読者のように。
「紗霧、今日紗霧のクラスの合唱祭を見てきたんだ」
「ふーーん」
「すごいんだ!あのめぐみがめっちゃ輝いてたし、他のみんなも生半可な出来じゃない」
嬉々として語る俺だが、イマイチそれが伝わっていない。
「見てないからよくわかんないけど、兄さんがラノベ関連以外のことで褒めるのは珍しいなーって」
「確かになあ、でもそれほど凄かったんだ」
「へー…」
俺とは対照的に一向に興味を示そうとしない紗霧。
延々とムッとした顔をやめない紗霧。
あっもしかして…
興奮でうっかり抜けてしまったが、紗霧、クラスメイトに学校においでよって全員で押しかけられている。
それで良いイメージを持てと言われても難しい。
「兄さんのばか」
察した俺は一瞬で青ざめ、せめてもの謝罪をと膝と頭をついたのだった。
しかしその後、めぐみ本人も高校と作家を兼ねる正宗ともなかなか時間を合わせることができず、会って会話をすることもままならず、唯一声が聞けるのは夜のラノベ討論ぐらいである。
展開がようやく進んだのはそれからおよそ半年後の春のことだった。
それは俺の父親の妹、京香さんが突然俺の家を訪れたことから始まる。
「紗霧の現状を改善させること」
「小説家として一定の成果を上げ続けること」
俺と紗霧はこれらを条件に二人暮らしを許してもらっている。
京香さんが突然俺の家を訪問した理由の一つ。それはこれらの条件を満たしているかを確かめるためであった。
後者はアニメ化という大きな成果を残しているため大丈夫だろう。
しかし、前者はどうだ。解決したと言えるかどうかは怪しい。たしかに出会った時は一年は自分の部屋から出ることすらままならない相当重症な引きこもりであった。
確かに改善はされているが、果たして京香さんにはどう映るか,
なんとか猶予期間をもらうことができたので、それまでになるべく良い方向へ持っていこう。
社会復帰の定理、それも京香さんが認めてくれるような達成条件。
紗霧の現状から考えると…
「学校に登校する」
が一番わかりやすいだろう。もしかしたらそれを条件として提示してくるかもしれない。
家を出ることすらままならない紗霧にそれができるか。
…正直難しい。
とりあえずめぐみに相談を持ちかけてみるか。
去年学校に登校させようと尽力した彼女なら力になってくれるに違いない。
「なるほど…しかし、なんでまた急に?」
「俺の叔母が紗霧の引きこもりが改善しているかを確かめにテストをするんだ。わかりやすくいうと抜き打ちテストだ」
今時の中学生なら抜き打ちテストの恐怖はわかってくれるだろう。
「なるほど…でも、紗霧ちゃん、大丈夫ですかね」
「正直怪しい。でも、頑張ってもらうしかない」
いつもなら紗霧の心的安全を優先したい。
しかし、そうはいかない緊急事態だ。
「わかりました!このスーパー委員長におまかせください!とりあえずお兄さんのお家で作戦練りましょう!」
「わかった。待ってるよ」
とりあえずめぐみとはコンタクトがとれた。
あとは紗霧だ。
「なあ紗霧、今の紗霧ならどこまでやれそうか?」
「…わからない。でも、自分でも変わらなきゃって思ってる」
「それなら話は早い…けど、本当に無理なら無理だって言ってくれ」
「わかった」
こうして、俺と紗霧とめぐみによる鍛錬が始まった。
めぐみも毎日のように家に来ては紗霧のお手伝いをしてくれた。
出会った当初はあれだけ毛嫌いしていたのに、今となっては俺よりも仲良くなってるかもしれない。正直羨ましい。
しかし、それによる新しい問題が生まれた。
「めぐみが知らない男性の家に毎日出入りをしている。相手は歳上と考えられる」
この近辺に住むめぐみの同級生が毎日のように俺と会っているという事実を不審な目で見ていたのだ。
彼女のクラスメイトであれば、以前の騒動で俺という人物が少なくともめぐみと関わりを持っていることを把握しているだろう。
しかし、「同級生全員と友人以上の関係を持つ」めぐみなら確かに俺との関係がわからないという人も多いだろう。彼女の顔の広さが仇となった。
学校一の有名人といっても過言ではない彼女が、毎日男性と会っている。
その話題は、先の淫交騒動もあってか有名人のスキャンダルにも負けぬ勢いで、めぐみの知らないところで蔓延していった。
そんな中訪れた試験の日、めぐみの案で、リビングを教室に見立て登校(を再現)した。
そして紗霧の必死の挨拶もあってなんとかクリアすることができた。
しかし…春休みも終わった登校日。ついに裏の騒動とめぐみが対面する。
「ねえ、めぐみ。春休み毎日毎日誰の家にいってたの?」
決して何か悪いことをとがめようとしているわけではない。
むしろその逆だ。歳上の人に脅されているのかもしれない。邪な行為を強引にやらされているのかもしれない。
親友が悪い意味で誰にも言えない秘密があるとしたら、それを解決してあげなければという彼女らなりの親切心だ。
「お友達のお家ですよー!安心してください!決して怪しい関係だとか、イケナイ関係なんかじゃないですから!」
「それならいいけど、もし何かされたら絶対相談だよ!」
淫交騒動も合わせて否定はしたが、まだ信じきってはくれないだろう。
「わかりました!もしもそうなった時は頼りにさせていただきます!」
一年生のクラスメイトと別れ、新しいクラスになる。
学校側と紗霧を繋ぐ貴重な手段として重宝されたのか、はたまたたまたまなのか紗霧とめぐみは同じクラスとなった。
「お兄さん!お兄さん!来週の土曜日中学で文化祭があるので来てください!」
めぐみから文化祭へのお誘いが来たのは大型連休も終わり、五月もまもなく後半にさしかかろうという頃のことである。
文化祭かー、そっちのクラスは何をやるの?」
「お化け屋敷です!それよりももっと面白いイベントがあるので、それにお兄さんと一緒に出たいなーなんて」
「それは学校関係者以外の人が出ても大丈夫なのか?」
「大丈夫です!まあ大半が私の中学校の生徒ですけど」
中学生に混じって高校生が出るのかよ…なんて一瞬たじろいでしまうが、めぐみにはこの前の借りがある。
「…何をやるんだ?」
「ナンバーワンカップル決定戦です!」
なるほど、中学生のカップルに混じって俺とめぐみで出るという訳か。
いやまて。結構難しい依頼だなおい。
相手はほとんど中学生になるだろうし、俺だけ高校生なんて場面も容易に想像できる。
しかもペアの相手はこともあろうか中学ナンバーワン候補の女の子…。少なくとも恨みや妬み等々を多少は買われてしまうだろう。
加えて何かの弾みで万が一悪い印象を植え付けてしまったらどう対処すればいいのか想像がつかないし…それはそこそこリスキーな行為なことは間違いない。
「もしかして、回りが中学生だらけでうまく馴染めるかなーなんて思っちゃったりしてます?」
まあ半分図星といったところか。
「そこは安心してください!場のノリでなんとかなりますし、司会者がきっと盛り上げてくれます!」
「めぐみは大丈夫なのか?」
俺と出るという行為そのものもそうだけど、俺と出ることによって彼女に対する周囲の印象もどうなるかわからない。
「多分…いえ、なんとかします!それではお昼の正午に正門集合で!」
約束を取り付け、電話を切った。
「文化祭かー」
俺は文化祭未経験の妹を脳裏に浮かべた。
「文化祭、紗霧にも経験させてあげたいけど…無理だよなあ」
あの賑わいに人混み、紗霧には致命的な環境だけどそれが克服できる日がきたら、いつか一緒に回ってみたいなあ。
俺はいま、めぐみの中学校の校門にいる。
さすが文化祭。以前合唱祭の時に見た厳かな校門もその面影一つ残らずデコレーションによって華やかなものになっている。
集合時間までは結構時間もあるし、一回りしてみようか。
校舎の玄関口は完全に来客者向けになっている。
生徒の靴箱に来客者の靴をしまい、スリッパを受け取り中に入るシステムだ。
俺も例に漏れず靴とスリッパを交換する。
校舎に入りまず目に飛び込んでくるものは今後入学する小学生に向けた記事だった。
中学校とは何をするところかだとか、中学校ならではのイベントだとか、小学校と中学校の違いだとか様々なことが書かれている。
俺はその隣で気になる記事を見かけた。
「体育館内でのイベントタイムテーブル」
そう蛍光ペンでてかてかと書かれた張り紙の一日目午後の部一番上。時間にすると午後一時。
「ナンバーワンカップル決定戦」の文字。
そこにはめぐみには教えてもらっていない、詳細情報が記載されていた。
「なぞなぞ、フリースロー、借り人、ブラックボックスクイズ、二人三脚にて勝負を決める」
そして俺が気になったのはちょっとオカルティックな記事。
「このイベントの優勝カップルは必ず結ばれる!」
まあいかにも中学生らしい発想というか、妄想にありがちな設定というか…
そんな設定も文化祭だからこそ実現出来たのだろう。
まあ今日一日くらい、中学生のような夢を見るのも悪くはない。
「怪談校舎〜消えた友人の謎」
概要 生徒が一名失踪した。封印された校舎とそなミステリーの関連とは。
俺はめぐみが言っていた「お化け屋敷」の前にやってきた。
なるほど。
端的に言うと神隠しか何かだろうか。
俺は早速列に並ぶ。
人はそこそこ並んでいたが、捌けるのもそれなりに早く十分もすれば出番は来た。
「高校に眠ると言われる伝説をひとり探る教師がいた。しかし、ひょんなことから伝説の噂が漏洩、蔓延してしまう。失踪事件が発生したのはその頃だった」
最初の話はスクリーンに映し出される画像とナレーションで進められる。
「その人の直前を見た人に話を聞くことができた。その人曰く、失踪する直前の彼は気になるものを見たんだとひたすら言っていた。どうせまたくだらないものなんだろと流す俺たちを気にすることもなく、やばいものだととにかく言い張る。それならばその場所に案内してもらおうと彼に案内を要求し、先行してもらった。しかし、薄暗い古い校舎への渡り廊下あたりで彼を見失った」
古びた渡り廊下のような絵柄に変わる。
「渡り廊下の先にある、古い校舎は昔から怪奇現象の絶えない場所だという。そこへの立ち入りは「古すぎるため危険」と制限されており、現に渡り廊下の先の扉は埃を被って鍵もかけられている。まさに幽閉された扉と言ってもいいだろう。老朽化しきった渡り廊下と一体化され、開けるには破壊の他ない。こんな場所で見失うなんて、俺はそう思って元来た道を戻ろうとしたんだ」
「その時だった。輝きの何一つない渡り廊下の先に何かものが見えたんだ。鉄錆色の地にある光り輝くもの。そこにはそれを拾おうとする人らしき姿が添えられていた」
「おばけだっ!!亡霊だ!!」
「しかしその姿を彼と認めることはなく、怪奇現象とすぐに判断した俺は踵を返し、走り出した。それから彼の姿は見ていない」
ここまで話すと道が開かれ、先に進めるようになった。
俺たち含めた数人は薄暗いトンネルを進む。
そこは渡り廊下を模していた。進むと鉄錆色をした扉が俺たちの前を塞ぐ。
「その話を聞いて、伝説を研究していた教師は当然黙っていなかった。
渡り廊下の扉を蹴破り、中へ侵入した」
扉は開いて、続いて古びた旧校舎を模した空間に俺たちは溜められる。そしてまた同様に物語が展開される。
「何十年放置された空き家のような旧校舎を御構い無しに進むその教師。蜘蛛の巣を掻き分け、木材を喰らう虫を蹴散らし、そこに棲まっていたゴキブリを眼中にせず進んだ。もう既に彼は引き返すことを考えられなかった。何ヶ月にも及んだ研究の成果が先にあると信じて進んだ」
「階段を二つ三つほど降りた先。太陽の光は一切届かない地下空間があった。その地下空間は鼻を刺激する腐敗臭のような匂いで充満している」
ここまで話が進み、再びその場を再現した道を進む。同じように扉がいく先を遮断する。
「タスケテ…」
「そんな馬鹿な!」
「教師は立ちすくむ。携帯のライトをぶん回す。先の扉を見つけ出し、渡り廊下の時と同じように蹴破った」
現実の扉が開いた時—。
「きゃあーー!!」
後ろから耳を突き刺す高音が遅いかかってきた。
俺も目を凝らした。間違いない。これは女性の死体…を模した生徒だ。
「そこには数名の女性の死体と思しきものが横たわっていた。いつのものかは想像がつかない。白骨化死体だ」
この死体を模した人間は白骨化していないが、そこまで再現するのは難しかったのだろう。
「そして、その隣に並ぶように失神している彼が横たわっていた」
ここまで話すと再び先に進むことができるようになった。先と同じ廊下を模した道だ。
「この旧校舎は戦時中、防空壕も兼ねて建てられた物らしい。しかし、それは活用されることなしに任期を終え、立ち入りが禁止された。
俺が渡り廊下からみた光り輝くものはあとあと考えてみればカナブンかなにかだと思う。伝説の噂を聞いた彼が煌めくカナブンを宝物だと彼が勘違い。さらに深追いしようと奥に入っていくと死体と対面、驚きで失神してしまった。これが謎の真相だった」
気がつけば最後の部屋だ
「後で聞いた話だが、その女性の死体は複製で、遠い昔使わなくなったものをそこへ放置してしまった。しかし、雰囲気もあり死体と勘違いしてしまった。その教師も生徒も立ち入り禁止の場所に入ったことについて説教を喰らった。しかし、その教授は懲りずに伝説と旧校舎の関連を探っている。果たしてそれは報われるのだろうか」
暗い教室から脱出した。物語はともかく、その再現度は高かったと思う。
…そういえばめぐみはどこにいたんだろう。
「お兄さん驚いてくれたー!」
誰もみていない場所で死体は動き出し、恍惚の表情を見せた。
約束の時間までまだもう少しあるな。
あとのことを考えて飲み物くらいはかっておこうか。
「3.1アイス…?」
そのどこかで聞いたようなお店にふらりと立ち寄ってみる。
偶然か、はたまた図ったのか、その教室は三年一組のものだった。
「ポッピンシャワーとイチゴムース味で」
俺は結局元のお店でよく買うもの三選からあったものを購入した。
落ち着くカフェテリアを模した教室でそれを平らげる。
集合時間まで程よく時間を潰すことができたので、飲み物だけ買って集合場所に向かうことにしよう。
そして、約束の時間になり、俺は校門でめぐみを待つ。
「お兄さん!」
死体メイクをさっぱり落としたいつものめぐみが俺を呼ぶ。
「さあ行きましょ!なにって、私たちの文化祭デートですよ!」
「ちょ、めぐみ!人の前でさすがにそれで歩くのは…」
人混みの中、腕を組んで歩く二人は当然人の視線を集める。
「いいじゃないですかー。いまのうちに注目度を上げておけば、後々有利になるかもしれませんよ?」
度が過ぎると逆効果になるけどな。
「そうだけど…俺が…」
「もうっ!本当にお兄さんは女の子慣れしてないんですからっ!」
「悪かったな!人前に出ることも確かに多いけど、こういう人混みの中に放り出されるのも慣れてないんだよ!」
人前で話すことと人混みの中に放り出されるのは訳が違う。
「それなら今日、克服してしてしまいましょう!」
「それはいいけど、常識はずれな行動だけはやめてくれよ…」
今後の俺の様々なモノがかかってるからな。
「はい!お兄さん!」
しかし、いざ二人が校舎に入り、二年生の校舎に入ると…
「あれが、神野めぐみと付き合っているという人…なのか?」
「その割にはパッとしねーな」
「見た感じ、大学生かしら」
正宗に見覚えない人はめぐみと付き合っている人が彼である噂を疑う。
しかし、本当に彼だとしたら、数ヶ月も彼女の好きな人が特定できないのもうなづける。
きっとあの外見からは想像もつかない彼女が惚れた点があるのだろう。
「もしかしてあの人…」
一年ほど前。紗霧を呼びにクラス一同で出向いた時のことを想起している人物もいた。
もっとも、彼の顔を鮮明に覚えている人はごく数名だが。
「ほらほら、覚えてる?紗…霧ちゃんだっけ?そんな感じの子を登校させようとみんなで駆けつけた時私たちを追い返した人!その人だよ!」
すぐに一蹴されてしまい、顔すら見てない人も多いので現場にいた人の中でもその話で通じる人、通じない人が現れる。
そして、もっとも二人の関わりに驚いた者はその騒動とほとんど関わりを持たない者だった。
「あの人…神野と一緒にいる男の人…」
「和泉マサムネじゃね?」
「やべーよあいつ…どこまで顔広いんだよ…」
顔出し放送を見た者にとって、この顔は何度か見た顔であった。
彼の著作がアニメ化するとかしないとか囁かれ、コミカライズ化する作品を世に送り出し、その界隈ではそこそこ名前の知られた人物である。
「やべえよめっちゃ注目されてるじゃん、お前どんだけこの学校に顔なじみ多いんだよ」
「うーん、三分の二くらい?」
「やべえなお前」
「でもお兄さんもこの学校ではそこそこ知名度高いですよ!時々会話で聞こえますもん」
「えっ、マジ?」
そんな奴がいまここでめぐみと二人歩いてるところをみたら、それこそビッグイベントだよなあ。
イベントを前に、体育館は異様なざわつきと興奮に包まれている。
俺たちは一般参加枠として参加申請を行った。
「一組目の二列目です!」
空いていた枠に俺たちの名前が入った。
一般参加枠数組と学校枠十組程度が集められ、ルールを説明される。
「まず、なぞなぞ、フリースロー、借り物競走、二人三脚の四つで競われます」
あれ、もう一つ項目なかったか?
「どうやらブラックボックスクイズとやらは準備ができなかったんだとさ」
「色々大人の事情ってのがあるもんだなあ」
「三組のなかの一位と二位がこのあと行われる決勝に駒を進むことができます
最初三つの競技は体育館で行われ、最後の一競技は体育館から案内に沿って外に出てもらい、二人三脚でゴールという流れになっています。そのため、競技開始前各自靴を所定の位置に置いてください。なお、基本的に早上がりなので早抜けした場合はどんどん次の項目をこなすことができます。しかし、フリースローとなぞなぞはかかる時間の差が大きいため、「なぞなぞ一問で一周する」という制限がかかります。また、借り物競走につきましては、自分のチームもしくは相手のチームから人を借りることはできません。それ以外で何か質問はございますか?」
「あの、何点先取ですか?」
それはまた大事なところを欠いたなおい。大丈夫か?
とまでは思ったが当然声には出さない。
「なぞなぞが五問、フリースロー三本、借り人競争が一人…です!フリースローは男女最低一回はする必要がございます」
聞いたところすごく単純だ。運営は少し不安だけど。
運動を嗜んでいない俺たちにとってはいかに借り物競走となぞなぞを効率よく通過するかにかかっているだろう。
「それでは準備をして、十分後にここに集合です」
解散し、いざ体育館に出てみる。
「…このイベント、毎年ここまで盛り上がるものなのか?」
「毎年こんなもんかなあ。自分の部活のマネと部長が出ると立ち上がって応援するからもっと迫力出るよ」
なるほど、そのなかで色々やるのか。この大舞台に慣れてるって意味では俺たちの利点かもしれないが、状況はアウェーといえる。ここでは五分五分だろう。
まあつべこべ言わず、楽しもうじゃないか!
「まもなくナンバーワンカップル決定戦予選第一組は五チームが参加します」
「第一組、一列目…」
順々に名前と応援団のコールが鳴る。
ただ、俺は怖かった。
この中学校はただ妹の名前があるだけ。
名前を呼ばれたところで、体育館に展開されるのはきっと静寂——
「三列目、神野めぐみ・和泉正宗」
俺とめぐみは手を振った。俺は静寂を覚悟した。今の俺は、決して現実から逃げず勇敢に手を振る俺だ。
「和泉せんせー!小説読んでます!」
「アニメ化待ってます!!」
「イラストすっげーかわいい!」
………正直俺は驚いた。まさかここまで応援してくれる人がいるなんて。
めぐみ人気の歓声と、俺を知る読者の声援が部の応援団に負けじと体育館内にこだました。
メンバー発表が終わって、早速第一ステージが始まる。
「高まってるかー!」
「うぉーーーーー!」
「まだまだ声が小さーい!」
「うぉーーーーーーー!」
「選ばれもしくは我こそはと名乗り出た候補のカップルからナンバーワンを決める、ナンバーワンカップル決定戦、いまに始まり!」
会場のボルテージは最高潮に沸かされた。
…ここからなぞなぞとは少しやりにくいけど。
何はともあれ、勝負の刻はきた。
後編へ
ついに始まった「ナンバーワンカップル決定戦」。二人に襲いかかる(?)複数のミッション、壁。
そして勝負が終わり、想いがより強まった正宗はついに行動を起こす。