戦姫絶唱シンフォギア Concerto 〜歌と詩で紡ぐ物語〜   作:鯛で海老を釣る

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遂に両作主人公合流


交わる『物語』

◇◇◇

 

 

 

時は数刻前に遡る。

 

 

場所は特異災害対策機動部2課の仮設本部である潜水艦。その内の作戦発令所において司令官を務める風鳴 弦十郎は、作戦発令所に並んでいるモニターの中でも一際大きなモニターに映し出された報告を見ながら眉をひそめた。

 

 

「ーーー完全聖遺物ギャラルホルン、か」

 

 

北欧神話においてラグナロクの到来を告げた角笛の名を冠する完全聖遺物。特異災害対策機動部2課で密かに管理され続けられ、静寂を保っていたものが、突如として起動が確認されたことにより、今こうして彼はモニターの前に立たされている。

 

 

「こちらの世界からこぼれた可能性が生んだ平行世界と、こちらの世界とを繋げる特性。並行世界側で異変が生じたときのみ発動する……筈なんだが、この報告を見る限りではやはりーーー」

 

 

「ーーーそうとも言い切れない、という事ですか?」

 

 

弦十郎の隣で呟いたのは特異災害対策機動部二課のエージェントである緒川 慎次。彼の言葉に弦十郎は頷きで肯定を示し、思案顔で右手を顎に当てては小さく息を吐く。

 

 

「その通りだ。過去の起動でギャラルホルンから発せられたエネルギーの波形と今回の起動で確認されたエネルギー波形が、全く以って別物なのだからな」

 

「別物、ですか」

 

 

「あぁ。今回のエネルギー波形は、前回のと比べ物にならない程に強大。それに起動したのは数秒という短い間。解析は不可能と言ってもいい状態らしい」

 

 

弦十郎は腕を組み、この不可解なギャラルホルンの起動について頭を悩ます。そして首から掛けていた紐の先、服の内側に収めていたモノを引っ張り上げ、表へと晒す。

 

 

「ーーーさらに、こいつもまた問題の一端となっているからややこしい」

 

 

弦十郎は胸から取り出した「ギアペンダント」を掲げてみせる。

その時、弦十郎の丁度後ろに位置する自動開閉式のドアが開き、私立リディアン音楽院高等科の制服を身に付けた少女が一人入ってくる。

 

 

「師匠ッ!お待たせしましたッ!立花 響、只今参上です!」

 

 

制服の少女ーーー特異災害対策機動部二課所属の聖遺物をその身に宿すシンフォギア装者、立花 響は走ってきたのか、軽く息を切らしながらも快活な良く通る声を作戦発令所内に響かせる。

 

 

「響くん、突然の招集ですまない。翼とクリスくんは別の任務で外していてな。今は響くんに頼らせてもらうぞ」

 

 

「はい!任せてください!それで師匠、もしかしてその手にある物が今回の招集の理由ですか?」

 

 

響は弦十郎が握っているギアペンダントを指差し、小首を傾げてみせる。特異災害対策機動部二課にはギアペンダントは二つしかないことから不思議そうにギアペンダントを見つめる響。その視線に気が付き弦十郎は説明をしようと口を開く

 

 

「ん?あぁ、これはーーー」

 

 

「あっ!!分かりましたよ!遂に師匠がシンフォギアを纏ってーーー」

 

 

「残念ながら、響くんの期待には応えられないな。これは二課で密かに管理していたものでな。その聖遺物の名は【アイアスの盾】、未だ誰とも適合を示していない聖遺物だ」

 

 

期待に目を輝かせながら自分を見てくる響の言葉を弦十郎は、言わんとすることは分かるのか、先に制するように食い気味に言葉を被せ、話が脱線しないようにする

 

「で、ですよねー。それじゃあ起動実験でもするんですか?」

 

 

若干残念そうな表情をしつつも弦十郎に気圧され、表情を引き締めて今回の招集理由を尋ねる

 

 

「いや、それも違う。響くんをわざわざ呼んだのはギャラルホルンが異常な起動を示したからだ。ギャラルホルンについては一度響くん達にも話しているから説明は省かせてもらう。その異常な起動というのは、平行世界に繋がる時よりも遥かに高出力のエネルギーが観測された、というものだ」

 

 

「えーと、ただ平行世界に繋ぐだけなら、使う筈ない使わなくていいエネルギーが観測された……もしかしたら平行世界じゃない、別の世界に繋がった可能性があるってことですか!?」

 

 

「察しがいいな響くん!その可能性が高いと俺は踏んでいる。幾ら聖遺物であろうとも、元の能力から大きく逸脱した現象は起こせない筈だからな。しかし、そうだとするならば、我々が知り得ない世界に繋がった事になる。そこでここら一帯をチェックすることにーーー」

 

 

「それで!結果はどうだったんですかッ!?」

 

 

響は結果が気になるのか堪らず弦十郎へと詰め寄る。その様子に弦十郎は苦笑しつつも、咳払いをして仕切り直ししてから口を開いた

 

 

「結果は今しがた出されるとこだ。藤尭、進捗はどうだ?」

 

 

「観測結果出ます!ギャラルホルンと酷似したエネルギー残滓が特定されました!現場に絞り、衛星写真の提出を要求。間も無くーー承諾の回答きました!スクリーンに出します!」

 

 

藤尭と呼ばれた男性オペレーターが、キーボードを叩き巨大スクリーンに転送された写真を映す。最先端技術で写されたものは、ボヤけることなく鮮明にその場を映し出す。そこには、なんだか派手な衣装を着た少女と長身な人型のロボット

 

 

「女子供と……あれは二足歩行型のロボットか?ともかく、この者達を確保するんだ!時間帯や場所に似つかわしくない格好、偶然の一言で片付ける訳にはいかない。響くんーーー」

 

 

「司令官っ!ノイズ反応を検知しましたっ!場所はーーーギャラルホルンと酷似したエネルギー残滓が確認されたところです!」

 

 

藤尭が弦十郎の言葉を遮る。それは特異災害対策機動部二課が相手とする人類の天敵、ノイズが出現した事を意味する藤尭の報告であった

 

 

「ノイズだとぉ!?」

 

 

「更に追加の衛星写真届きました!こ、これってーーー」

 

 

「うえぇぇっ!?な、なんで未来が居るのーーッ!?」

 

 

新たに転送された写真を見て響は驚愕の声を上げる。それもそのはず、見間違う筈のない特徴的な白いリボン。其処には先程別れたばかりの親友が映っているからだ。

 

 

「響くん!甲板にヘリを用意する。此処からだったら5分とかからないだろう。任務は二つ、少女とロボットの保護とノイズを殲滅すること。勿論未来くんの事もだ。その場に残す訳にもいかないからな。頼んだぞっ!!」

 

 

「わっかりましたッ!!行ってきますッ!!」

 

 

ガッツポーズと力強い返事と共に響は作戦発令所から勢いよく駆け出していく。かくして、立花 響はヘリコプターと共に現場へと向かい、本来巡り会う筈のない彼方の歌姫と出会うこととなる

 

 

 

◇◇◇

 

 

幸に小丘にはヘリコプターを着陸させるのに充分な広さがあった。着陸したヘリコプターから響が飛び出し、未来の元へと真っ直ぐに駆け寄る。

 

 

「よかったぁーッ!未来が無事で本当よかったよー」

 

 

「響ったら、私は大丈夫だから。でも心配してくれてありがと」

 

 

未来の前に来るや否や、未来の両手を包み込むように握り、ブンッブンッと上下に動かす。対して照れ臭そうにしつつも満更ではない未来だったが、命の恩人でもある少女に視線を移しては

 

 

「二課に頼まれたこと、まだあるんじゃないの?」

 

 

「そうだった!えーと、周囲にノイズがいないってことは、貴方達がノイズを倒したってこと!?」

 

 

「そうなるのかな…。無我夢中でやったことだから大したことはしてないですよ」

 

 

控え目な回答をするイオンだが、『ノイズを倒した』という事実は無視することの出来ない、とても重要なものである。それを聞いた響は、鳩が豆鉄砲をくらったみたいな表情に一瞬なるが、直ぐにキラキラした表情へと移り変わる

 

 

「す、すごいですよ!シンフォギアも無しに一体どうやったんですかっ!?……じゃなくて、あの、そういった事色々聞きたいので私と未来と一緒に来てくれませんか?」

 

 

どうやってノイズを撃退したのか気になるとこだが、弦十郎からの指令を優先するべく、二人に向かって頭を下げてお願いする響

 

 

『だってさ。どうするイオン』

 

 

「行く宛も頼る宛もないし、この世界の事も色々知りたい。それに、私はこの女の子が悪い人には見えないから、付いて行ってもいいかなぁ…って思うけど、アーシェスはどう?」

 

 

『いいと思うよ。このまま野垂れるのは嫌だからね』

 

 

「ありがとうございますッ!それじゃあ、このヘリコプターに乗って移動するので付いてきてください!」

 

 

アーシェスとイオンは響に手招かれながらヘリコプターに乗り込む、最後に未来を乗せれば、ヘリコプターは浮上し、小丘から離れて行った

 

 

 

 

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