ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生with軍師の娘 作:雑賀衆見習い
かつて、世界に絶望をもたらさんとする邪竜と、父さん率いる…じゃなかった、クロムさん率いるイーリス軍の激突から一年ほどが経ち、世界には平和が戻ってまいりました。父さんはクロムさんと一緒にイーリスの統治に、ほかの人たちも、それぞれの道を歩み始めました。そんな中、私マークちゃんは父さんのような軍師になるべく、諸国放浪の旅に出ています!
今日はたまたま行商人が来ていて、武器が安く買えました。やったね!とか思いながら道を歩いていると、
「………ここに来るのも久しぶりですねぇ」
なんとビックリ!ここは時の神殿だったんです!いやー、ここは父さんたちが秘宝を求めて足を踏み入れると、私が行き倒れていた、という父さんと私の「出会いの場」なんですよね。
どうしてここが出会いの場なのかと言いますと、実は私、記憶喪失なんです。しかも、いつの間にか時空を超えてきたみたいなんです!
みたい、というのは自分に記憶がないからなんですよね。でも、実際並んでみると、父さんは私とあまり変わらない見た目してますし、しかも、私の父さんと母さんはまだ結婚すらしていなかったんですよ!
当然そんな状態では私が居るはずがなく、ほかにも未来から来たって人が居ましたし、だから私もそんな感じなんだろうなぁ、と思ったわけです。
………そういえば、あの時は父さんについていくことしか考えていなかったけど、もしかしたらここには私の記憶を取り戻す何かが眠っているのでは?
いえ、そうに違いありません!そうと決まればさっそく捜索開始です!
………それから2時間ほどが経過したんですが、成果は0でした。やっぱりここには記憶を取り戻す手掛かりはないのでしょうか…
そう思って帰ろうとした矢先、奥のほうの部屋で面白いものを見つけたんです!
「何でしょうか、これ…」
遺跡の中にある部屋のうちの一つ、その中央の空間に水色で出来た綺麗な渦が発生しているじゃないですか!
もしかしたら、これが記憶を取り戻す手がかりかも!そう思って近づいてみたんです。そしたら…
「うぇあ!?」
…うっかり吸い込まれてしまいました。よく分かっていないものに手を出すのは良くないですね。
…私、これからどうなっちゃうんでしょう?
~苗木視点~
私立希望ヶ峰学園
卒業したら人生の成功を約束されるとまで言われる日本屈指の名門校だ。
この学校は、ほかの普通の学校のような入学試験は存在しないため、次の二つの条件を満たす必要がある。
① 現役の高校生であること
② ある分野において、「超高校級」と呼ばれるほどの才能を持っていること
え?じゃあ僕はどんな才能かって?残念ながら僕には、そんな才能は持っていないよ。だから本来ならこの学園に入るなんて夢物語なんだ。
けど、そんな僕にも希望ヶ峰学園から合格通知が届いたんだ。理由は、僕が「超高校級の幸運」に選ばれたから。これは、全国の高校生の中からたった一人だけが抽選によって選ばれるという枠で、僕は本当に、運良くこの学園に入学出来ることになった。
…けれど、ここからが大変だと思う。だって周りは、僕と違ってその才能を認められた超人ばかり。ここから頑張っていかないと!
そう思って一歩踏み出した途端、視界が渦を巻き、僕は意識を失った…
「…ん?……………あれ?」
気が付くと、いつの間にか教室の中に居たんだ。けど、この教室、窓の部分には鉄板が打ち付けられていて、外が全く見えない。加えて天井には監視カメラが設置されている。
おかしいな、外から見たときはこんな風になってなかったと思うんだけど。そんなことを考えながら、手元にあった紙を開く
『入学あんない
あたらしいがっきがはじまりました。しんきいってんこの学えんがオマエラのあたらしいせかいとなります
入学しきは8じからたいいくかんしゅうごう』
時計を見ると、もう8時だ。ここにいても仕方がないし、とりあえず体育館に向かおう。
体育館に着くと、僕と同じ高校生の人たちが集まっていた。もしかしてこの人たちがクラスメイトなのかな?
「遅いじゃないか君!集合時刻は8時と明記されていただろう!」
…早速怒られた。いや、確かに書かれていたけど、こんな訳の分からない状況ではある程度は勘弁して欲しい。
皆の話によると、全員が同じように教室で目を覚まし、この体育館に来るように書かれた紙があったみたい。
このままでは何も始まらないので、一人ずつ自己紹介をしようという流れになった。
朝日奈 葵。超高校級の“スイマー”
日焼けによるものだろうか、褐色の肌を持つ彼女は、身体能力がとても高く、特に得意種目の水泳では数々の高校記録を塗り替えた実績を持っている。
石丸 清多夏。超高校級の“風紀委員”
品行方正、四角四面を絵にかいたような人物で、自分にも他人にも規律に人一倍厳しいんだって。さっき僕を注意したのも、風紀委員として見過ごせなかったからなんだろうね。
江ノ島 盾子。超高校級の“ギャル”
人気ファッション誌でカリスマ読者モデルを務め、オシャレに独自のこだわりを持っているらしい。それにしても、化粧すごいなぁ。
大神 さくら。超高校級の“格闘家”
ありとあらゆる武道に精通し、地上最強の女子と呼ばれている。一見男と見間違えるほど体が大きい。
大和田 紋土。超高校級の“暴走族”
関東一円を支配する巨大暴走族の頭で、全国の不良から憧れの視線を集める存在だ。どうでもいいけど、暴走族の才能って伸ばしていいんだろうか?
霧切 響子。超高校級の“???”
自分自身の才能についてよく分かっていないらしい。でも、何かしらの才能はあるはずだよね。幸運枠は僕が使っちゃってるし。
桑田 怜恩。超高校級の“野球選手”
野球選手らしからぬ髪型だけど、野球の名門校でエースと4番を兼任する実力者。本人いわくミュージシャンに転身する予定だとか。
セレスティア ルーデンベルク。超高校級の“ギャンブラー”
ゴスロリ調の服装に身を包み、左右の巨大な縦ロールの髪が特徴的な女性。ありとあらゆる賭け事に精通しているらしい。あの髪型は、毎日セットしてるんだろうか…
十神 白夜。超高校級の“御曹司”
かの有名な「十神財閥」の御曹司。幼い頃から帝王学を叩き込まれたらしい。でも、この高圧的な態度はちょっと僕は苦手かな…
葉隠 康比呂。超高校級の“占い師”
ドレッドヘアーが特徴的な男性。3割の確率で当たる占いが出来るという。…これから伸ばすのかもしれないけど、7割が外れているのは大丈夫なんだろうか?
腐川 冬子。超高校級の“文学少女”
ベストセラーを次々手がける新進気鋭の女流作家。ただ、性格はとんでもなくネガティブみたい。
不二咲 千尋。超高校級の“プログラマー”
見た目は小学生と見間違うほど小柄だけど、極めて高いプログラミング技術を持つらしい。なんというか、小動物系の可愛さがあるね。
舞園 さやか。超高校級の“アイドル”
知らない人はいないと言われるアイドルグループでセンターとメインボーカルを務めている。実は僕と同じ中学出身だけと、向こうは知らないだろうなぁ…
山田 一二三。超高校級の“同人作家”
かなりの恰幅の良さを誇る彼は、学校の文化祭で自らの同人誌1万部を完売させた逸話が有名だ。
それぞれの自己紹介と状況の整理が終わり、これからどうするのかを考えていると、スピーカーから声が聞こえてきた。
「あー、あーマイクテスト、マイクテスト。大丈夫?聞こえてるよねこれ。全員集まったみたいだし、始めようか!」
その声に全員が体育館の壇上を見た。すると
右半身はかわいらしい表情をした白色の、左半身はいかにも企んでいそうな顔をした黒色のクマが壇上から飛び出してきた。
「ぬ………ぬいぐるみ?」
「ぬいぐるみじゃないよ、僕はモノクマだよ。この学園の学園長だよ」
そう言うと、モノクマは驚く生徒を無視し、説明を始めた。
モノクマが言うには、「世界の希望」である僕らには、ここで共同生活を送ってもらう。という内容だった。
別にそれだけなら全寮制ということで片付けられるのだが、問題はそのあとだった。
「えーその期限についてなんですが、ありません。つまり、オマエラは一生ここで暮らすのです。あー、心配しなくても予算は豊富にあるからオマエラに不自由はさせないよ」
「……一生…ここで?」
「おい!悪ふざけにもほどがあるぞ!」
一生学園で過ごす。この突然の発表に生徒からは口々に不満の声が上がる。というか僕もやだ。また家族と会いたいし。
「あー、ハイハイ。外に出たいっていうオマエラの要望にもお応えするため、あるルールを用意しました」
「ルールだと?」
「殺し方は問いません。誰かを殺した生徒だけが卒業し、この学園から出て行ける。それだけの簡単なルールです」
まるで何かのゲームのルールを説明するかのように、ごく自然に放たれた言葉に全員が戦慄する。
ここから出たければ誰かを殺せだって!?冗談じゃない!
「うぷぷ…こんな脳汁迸るドキドキ感は、鮭や人間を襲う程度じゃ得られませんなぁ。希望同士が殺し合う、絶望的なシチュエーションなんです」
そう言って興奮した様子を見せるモノクマに、次々と抗議の声が上がる。そして
「もういい!テメェの悪ふざけは度が過ぎてんぞ!」
「悪ふざけ?それって君の髪型のこと?」
「ガァァァァ!」
とうとうしびれを切らした大和田君がモノクマを掴み上げる
「ラジコンだかヌイグルミだか知らねぇがバキバキに捻り潰してやる!」
「わー!学園長への暴力は校則違反だよ!」
そう言って動かなくなるモノクマ、しかし、それと同時に左目が点滅し始める。
その異変に何かを察知した霧切さんが叫んだ。
「危ない!それを早く投げて!」
「あ?」
「いいから早く!」
大和田君が指示通り誰もいない方向に投げると、モノクマが爆発する。
「…爆発した?」
「あのヌイグルミ…死んじゃったの?」
「ヌイグルミじゃなくてモノクマ!」
「!」
爆発したはずのモノクマの声。と同時に…
「じゃ~ん」
体育館の壇上から再び姿を現すモノクマ。もはや誰も状況の理解が追い付かない中、モノクマは言葉を続ける。
「うぷぷぷぷ。今のは警告だけで済ませたけど、今後校則違反をするような悪い子には、グレートな体罰を発動させちゃうからね!」
爪を立てながらそう言うモノクマに、誰も言葉を返せない。
「じゃあ、これくらいにて入学式をおわります。ルールを守って、清く正しい学生生活を心がけて下さい」
言うことを終え、体育館から出て行くモノクマ。しかし、その後に残ったのは自分以外の人間に関する疑心暗鬼だけだった。
誰かが自分を殺すかもしれない。この状況で誰も声を発せずにいた。
「あ、やっと人がいました。おーい!すみませーん!」
もちろん、そのまま互いを牽制し続けるわけにもいかない。今の状況を整理しようとした時、体育館の入り口から声が聞こえてきた。そこに目を向けると…
「よかったー。窓には鉄板が打ち込まれてて外見えないし、見覚えのない場所だったので焦りました。しかし、そこは父さん譲りの冷静さで、現状の把握に努めるべく、行動を開始したわけです!…で、ここって一体どこですか?」
一人の少女が、そこに立っていた。