ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生with軍師の娘 作:雑賀衆見習い
~マーク視点~
十神さんが行方不明ということで、全員で手分けして捜索することになりました。
うーん、十神さんの居そうな場所となると………そういえば昨日本に興味を示していましたね。図書室に行ってみましょう。
「………マーク、貴女それを持って行くの?」
「だって勿体ないじゃないですか、霧切さん」
せっかく上手くできたロイヤルミルクティーも飲んでもらわないと。
図書室に入ると、十神さんが飲み物を片手に読書をしていました。何を読んでいるんでしょうか?
「…十神君、貴方何をしているの?」
「釣りでもやっているように見えるか?」
「読書ですか?十神さんってマイペースですよねぇ~」
「貴様にだけは言われたくないな」
「なっ!失礼な人ですね!」
私は十神さんみたいに単独行動していませんし、今日みたいにみんなを放っておいて読書しません!
………何ですか霧切さん!その「確かに」みたいな目は!
「十神君、今全員で貴方を捜索しているわ」
「何故俺が探されなければいけない?」
「朝になっても姿が見えないので、もしかしてもう被害に遭われたのかなーって…」
「………なるほどな、“ゲーム”に巻き込まれ命を落とした可能性を考えた訳か」
“ゲーム”……コロシアイのことですね。
誰にも知られずに誰かを殺害することで、この閉鎖された空間から確実に脱出できる、極限の騙しあいともいえる命がけのゲーム。
「とりあえず、十神さんは図書室にいたことを伝えてきますね」
「俺を連れて行こうとしないのか?」
「十神さんは一人でいるのが好きそうなので。もし気が向いたら来てくださいね」
「………気が向いたらな」
そう言って、読書を再開した十神さん。この様子じゃ、ロイヤルミルクティーは飲んでもらえそうにないですね。
残念ですが、ロイヤルミルクティーは別の機会に飲んでもらうことにします。
十神さんを発見したので、皆さんに伝えに行きましょう。
~苗木視点~
マークさんから十神君が図書室にいたこと、調査をするため一人で行動していることが全員に伝えられた。
石丸君はどうにか参加させたいみたいだけど、多分無理じゃないかなぁ…
それからしばらくしたある日の夜、夜食を取りに食堂に向かうと、マークさんに出会った。
「あ、苗木さんも夜食ですか?珍しいですね」
「うん、ちょっとお腹すいちゃってね」
「私もです。今日はなんだか眠れなくて」
あの後そんなに説教されたのか………
そんなとりとめのない会話をしているとき…
「もういっぺん言ってみろや!!!!」
食堂から大声が聞こえてきた。
「何ですか!?今の」
「食堂からだ、行ってみよう」
事件は食堂で起きた。いや、起きていた。
「おお、苗木君、マーク君、いいところに来たな!」
「おう、苗木、おめぇちっと立会人になれや」
うわぁ、これ絶対面倒なことになるやつだよ…
「さっきからこいつが舐めたこと抜かしやがるんだよ。俺を根性無しだとかよぉ」
「根性無しだからこそ、秩序も守らず、そのような奇妙な格好で珍走するのだろう!?」
「だったらお前には俺以上の根性があるのか!?」
うん、やっぱりこの二人は相性が悪いと思う。
「それで、さっき言ってた立会人って?」
「こいつと俺、どっちが根性あるのか勝負する」
「はっ、これから河原で殴り合いですか!?そして最後には男の友情が………」
「マーク、僕たち今閉じ込められているから…」
というかマークさん、そんな漫画みたいな展開そうそう起きないって…
勝負の内容は、殴り合いではなく一階の大浴場に併設されているサウナで我慢比べをするというものだった。
ここで大和田君が、石丸君に対しハンデをやると言って服を着たまま勝負しようとするが、ここにマークさんが待ったをかけた。
「駄目です。ハンデは認められません」
「あぁ!?言ったろうが!楽勝過ぎてもつまんねぇ…」
「勝負は公平に行われるべきです。そのハンデで勝負を分けたとしたら、本当に根性があるのはどちらか決着がつきません」
「俺が負けるって言いてぇのか!?」
「………それに、言いたくありませんがその服は大和田さんが負けた時の“言い訳”になりかねませんからね」
「なるほど、確かに服のせいにすれば自分が負けたという現実も多少和らぐという寸法か。初めから自分にまけている君らしい」
「………後悔すんじゃねぇぞ!!」
そう言って、大和田君は乱雑に服を脱ぎ捨てた。
そのあと、マークさんが勝負のルールを細かく定めていった。
1.お互いタオル一枚を持ってサウナに入室。
2.退出は無し。退出した場合降参とみなす。
3.相手への妨害行為は禁止(念のため)
4.5分に一回、苗木が入室し二人の意識があるか確認する。声を掛けても返事が無い場合、失格とする。
「って、僕もやるの?」
「はい、だって苗木さんは、立会人ですから!」
………やっぱり夜食なんか取りに行くんじゃなかった。
こうして始まった二人の我慢比べ。さすがにすぐ決着がつくとは思っていなかったけど、5分経ち、10分経ち、30分経ち………
1時間ほど経ち、ついに夜時間になってしまった。だけど二人はいまだ我慢比べを続行するようだ。僕もう寝たいんだけど………
「もしよかったら、代わりましょうか?」
僕が眠そうにしているのを見て、マークさんが交代を提案してきた。
「…お願いできる?さすがに付き合ってられないよ」
「ええ、このマークちゃんにお任せです!」
「ありがとう、じゃあ部屋に戻るね」
「おやすみなさい、苗木さん」
僕はそのまま自室に戻り、特に何もすることなく寝た。
二人のことは気になったけど、マークさんがついているし、死んでしまうようなことにはならないだろうと思っていた。
翌朝、食堂に向かうと、そこでは信じられない光景が広がっていた。
生徒名簿.2
舞園 さやか
超高校級の「アイドル」
知らない人はいないと言われる5人組アイドルグループでセンターマイクを務めるトップアイドル。言動に一本芯が通ったしっかり者であり、周囲からの信頼も厚い。ちなみに、苗木誠とは同じ中学校に通っていた。周囲の人間の考えていることを言い当てる。本人曰く「エスパーですから」ということだが、真相は不明。
クラスメイトの中で一番、勘が鋭い。
誕生日は7月7日