ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生with軍師の娘 作:雑賀衆見習い
イキキル①
~マーク視点~
「遅いじゃないか君!8時集合と通達があったはずだろう!入学式はたった今終わったぞ!」
「え?一体何の話ですか?」
…本当に何の話でしょう?気が付いたら机だの椅子だのがいっぱいある部屋にいて、いろんな部屋覗いてたら遠くで爆発音がしたんです。何事かと思って来てみたら、たくさん人が居てこれでようやく状況の整理ができると思ったら、真っ白な服の栗みたいな頭した人に怒られてしまいました。
「とぼけるんじゃない!この紙にそう書かれているだろう!」
その人はそう言ってポケットから紙を取り出しました。もちろん初めて見る紙です。
「つまり!この学園の生徒である君は、8時までにここに来なければならなかったのだ!」
「それは違うよ!」【モノクマの発言】
おっと、白い人に思いっきり反論した人が出てきましたね。アンテナみたいな髪の毛してますね。寝癖でしょうか?
皆さん、突然大声を上げた彼に興味津々ですね。…出来れば「言ってしまった」みたいな感じで両手で口元を塞いでないで続きを話して欲しいんですけど…
「違う?何が違うというのだね?」
当然、白い人が質問します。
「ご、ごめん。いきなり大声を出して。でも、そこの人、えーと…」
「あ、名前ですか?マークちゃんです!」
「マークさんね。本当に希望ヶ峰学園の生徒なのかな?」
「えっとぉ…ここに居るってことは…そうだと思うんだけど…」
リヒトさんみたいな小さな人がなんだか自信なさそうに言ってますね。希望ヶ峰学園とは何でしょうか?
「でも、だとしたら変なんだ。さっきの入学式の最初、モノクマが言っていたことを思い出してほしいんだけど」
「…そういえば最初、モノクマはこう言ってましたよね。(全員そろったみたいだし、始めようか)って」
さっきのアンテナさんにものすごく水色の髪をした美人な方が同意してますね。すごく素敵です。
「確かに、今日が初対面の私たちと違って、生徒全員を把握しているはずのモノクマが生徒を知らない、ということは考えにくいですわね」
「じゃあ何でマークはこんな所にいるんだべ?」
「私に聞かれても答えられませんわ」
「…マークと言ったな。この場所に一体どこから忍び込んだ?」
忍び込んだって失礼な言い方ですね。まるで泥棒みたいじゃないですか!
「ちょっと!そんな人を泥棒みたいに言わないで下さいよ眼鏡さん!」
「…貴様、俺のことを言っているのか?」
「だって私、皆さんの名前知りませんし。どう呼んでいいのかも分からないので」
「…俺は十神白夜だ。二度と下らん呼び方をするな」
なるほど、このメガネは十神さんだったんですね。この後皆さんに自己紹介してもらって、ここへ来た経緯を聞かれたんですけど、突然渦に巻き込まれたとしか言えないんですよね。でも皆さんもそんな感じだったみたいです。
霧切さんという方の提案で、この後全員でこの場所を探索するということになったんですけど…
「俺は一人で行動させてもらう。この中にすでに人を殺そうと企んでいる者がいるかも知れない。そんな奴らと一緒に行動できるか」
「待てコラァ!んな勝手は許さねえぞ!」
「ちょ、ちょっと二人とも落ち着いてよ!僕らが争ったって何にもならないって!」
単独行動をとろうとする十神さんと、勝手は許さないとする大和田さんの間で口論が始まった。苗木さんがそれを止めようとしたんですけど…
「あぁ!?テメェ今キレイ事言ったな?そいつは説教か!?俺に教えを説くっつうのか!?」
「そ、そんなつもりじゃ「るせぇ!!」
すごく面白い髪形した大和田さんに本気で殴られ吹っ飛ぶ苗木さん。それにしても、殴っただけで人ってあんなに飛ぶんですねぇ。
………そのあと、舞園さんや朝日奈さんにこってり絞られてましたけど。
~苗木視点~
僕が目を覚ましたのは、見慣れない個室だった。自分が何故寝ていたのかを思い出しながら周りを見回すと…
「まっままま舞園さん!?」
「苗木君、気が付いたんですね。良かった」
超高校級のアイドル、舞園さやかさんが見守っていた。彼女曰く、同じ中学出身の苗木が心配でここにいたそうだ。今の状況について聞いてみると、あの後バラバラなって学園を探索していること、現在自分たちがいるのは生徒全員にあてがわれた個室のうち、僕の個室だということだ。
「舞園さ~ん。苗木さん起きました?」
という声とともに誰か部屋に入ってきた。
「あ、マークさん。苗木君なら今起きましたよ」
「ホントだ。いま一通り探索が終わったので、食堂で報告会を開くことになったんです。動けるようになったら来てくださいね~」
それだけ言うとそのまま部屋を出ていく。
「それにしてもよかったです。知ってる人が居て」
「え?舞園さんが僕のことを?」
逆ならともかく、同じクラスにもなったことのない人、ましてやトップアイドルとして多忙な日々を送っていた舞園さんが自分を覚えていたなんて驚いたなぁ…
「覚えていましたよ」
「え、声に出てた?」
「私、エスパーなんです」
超高校級のアイドルの突然すぎるカミングアウト
「冗談です。ただの勘です」
「…驚かさないでよ」
どうやら舞園さんの冗談だったらしい。心臓に悪いよ…
ちなみにこの後、舞園さんの超高校級の助手宣言にもう一度驚かされることとなるのを、まだ僕は知らなかった…
その後、食堂で行われた報告会では、
・食料の心配はないこと
カメラを除けば快適な個室であること。しかし、脱出への手がかりは無く、逃げ場のない密室に閉じ込められたということが分かり、全員の士気が低下する。ここでの一生を受け入れるべきだと主張するものまで現れ始めた。
「それよりも、一つ大きな問題があるんです」
「む、どうしたのだねマーク君」
「私の部屋がありません!これは由々しき事態です!」
マークさんだけ部屋が無い?あの個室がないってこと?
「何、それは本当か!?山田君、どうなんだ?」
「…そう言われてみれば、確かにマーク殿だけネームプレートを見ておりませんな。ほかの生徒のネームプレートは部屋のドアにかけられておりましたぞ」
「そりゃそうだよ!」
「「「!?」」」
音もなく現れたモノクマの出現に驚く一同。そんなこと気にせずモノクマは言葉を続ける。
「マークさんの部屋がないことについてだけど、そりゃそうだよ!マークさんはそもそも希望ヶ峰学園の生徒ではないんだよ。部屋なんか用意してるわけないじゃん」
「なるほど、確かにそうですね」
「何納得してんだよ。テメェの話だぞ」
「でしたら、どうしてこの学園に入れましたの?」
「それが、時の神殿を探索してたら渦に吸い込まれて、気づいたらここにいたんです」
「…貴女、私を馬鹿にしていますの?」
マークさんの要領を得ない説明に呆れるセレスさん。
…そもそも時の神殿なんていう場所、見たことも聞いたこともない。そういったゲームの話をしているのかな?セレスさんも追及しようとしたけど、意外な存在に止められた。
「聞いても無駄だと思うよ。ボクも何度も聞いたけどゲームの話しかしないんだよ」
「だからゲームって何ですかモノクマさん!私はありのままを話」
「アーハイハイ、もうそういうのいいから。話を戻すけど、マークさんは誰かに泊めて貰ってください。じゃ、そういうことで」
そのままスタスタと食堂を出ていくモノクマ。その後の話し合いで、今日は朝日奈さんの部屋に泊めて貰うこととなった。
翌日も探索が行われたが、昨日と同じで、特に成果は得られなかった。
僕は舞園さんと共に護身用の武器として模造刀を回収したぐらいかな。
その日の報告会の後、食堂を出て個室に向かう僕に、とある人が声をかけてきた。
「苗木さ~ん。ちょっとお聞きしたいことがあるんですけどいいですか?」
「マークさん?別にいいけれど」
「立ち話もなんですし、食堂に戻りませんか?」
そう言って食堂へ戻るマークさんに続いて僕も食堂に入る。二人が丸テーブルに座ると
「私もいいですか?」
と、舞園さんも現れた。
「あ、いいですよ。じゃあ三人で話しましょう」
そのまま舞園さんも加わって、三人で丸テーブルに座る。
「それで、聞きたいことって何?」
「そんな大したことじゃないんです。自己紹介みたいな感じです。ほら、私あとから皆さんと合流したじゃないですか。あの時は名前しか教えて貰えなかったので、もう少し皆さんの事を知りたいなぁと思ったんです。それでこうして皆さんに聞いて回っているんです。」
「あぁ、なるほど、じゃあ僕からね。僕は苗木誠。希望ヶ峰学園には“超高校級の幸運”として入学しているよ。特にこれといった特技はないんだけど、強いて言うなら前向きなとこかな」
「すごいですね!さっき石丸さんに聞きましたけど“超高校級の幸運”って何百万人という人の中から年に一人しかいないって話ですよ!」
「いやぁ…たまたま運が良かっただけだよ。抽選だからね」
「それでも選ばれるってすごいことだと思いますよ。じゃあ、次は舞園さん、お願いします」
「はい、私は舞園さやか。“超高校級のアイドル”としてこの学園に入学しました。苗木君とは同じ中学出身だったんですよ」
「へぇ、二人は同じ学び舎出身だったんですね」
「…学び舎?」
「すみません、私のところだと勉強するために通うところは学び舎というんです」
「…へぇ、そうなんだ」
「あと、アイドルって何ですか?」
「知らないの?舞園さんが所属するアイドルグループって言ったら…」
「いや、その前に“アイドル”という存在を…」
「「そこから!?」」
まさかアイドルの定義そのものを聞かれるなんて思いもしなかったな。実際、日本だと舞園さんを知らない人はいないと言われるくらいには有名だし…そもそ「学校」じゃなくて「学び舎」なんて言い方…
もしかしてマークって外国から来たばかりとかなのかな?確か一つ上の77期生には超高校級の“王女”がいたらしいし、セレスさんもいるし…
そんなことを思いながら舞園さんの実演を踏まえつつ説明したけど…
「えーと、踊り子が歌を歌うような感じ、と考えればよさそうですね」
「あー、うん。間違ってはないかな」
「そうですね…」
伝わった…のかな?
「じゃあ私、マークちゃんの自己紹介ですね。私はマーク。誕生日は5月5日で、年は記憶喪失なので分かりません。夢は父さんみたいな立派な軍師になること。そのためにイーリス、ペレジア、フェリア、ヴァルム等々、様々な国々を渡り歩いてきました。戦術関係はお任せください!」
………ちょっと待って、世界中を渡り歩いたって言いたいのかな?ただ問題なのは…
「あの、マークさん。いーりす?でしたっけ。それはどこにあるんでしょうか?私たち、ちょっと名前に聞き覚えがなくて…」
そう、国の名前が聞いたこともない国なんだ。いや、もしかしたらイギリスみたいに、日本ではなじみがない名前なだけかもしれない…
「イーリスはイーリス大陸の南東に位置する王国ですよ。国王はクロムさんです。その西にペレジアが隣接してて、両国の北側にフェリア連合王国が…」
「ごめんねマーク、ちょっと待ってもらっていいかな?僕たち、マークさんが何を言っているかさっぱり分かんなくて…」
…だめだ。もうお手上げ。本当に理解できない。
「そういえば石丸さんも似たような渋い顔をしてましたね。何故でしょう?」
「マークさんの説明がとんちんかんだからじゃないの?」
「「!」」
「あ、モノクマさん」
「いや、マークさん。何普通に対応してるのサ。そこは二人みたいに驚くとこだよ?」
音もなく現れるモノクマに、普通に対応するマーク。今回ばかりはモノクマの言う通りだと思う。
「あ、そうなんですか?じゃあ今度からそうしますね」
「…まぁいいや。それよりお三方。もうすぐ夜時間ですよ。早く食堂から出てってね。でないとオシオキだよ~」
うぷぷと笑いながら消えるモノクマ。確かに時計を見ると9時50分。確かにもうすぐ夜時間だ。僕たちは言われた通り食堂を後にする。
「あ、そうだ。聞いておきたいことがまだありました」
別れる直前、マークが唐突にこう切り出した。
「お二人は、誰かを殺してでもここを出たいって思いますか?」
「「!!」」
…マークさん、今それ聞く?