ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生with軍師の娘   作:雑賀衆見習い

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イキキル③

~苗木視点~

(…誰だろう、こんな時間に…)

 

もう夜時間だ。セレスさんの出歩き禁止ルールを誰かが破っていることになる。別に強制力は無いけど…

 

ピンポーン

 

チャイムがもう一度鳴らされる。もしかして…

 

(部屋で横になっていたら、ドアが急にガタガタと鳴りだして…誰かを疑っているわけじゃないけど…怖くて…)

 

それを思い出した僕は、チャイムの主は舞園の話にあった謎の人物だと結論付ける。ならばドアをこじ開けて部屋に入ってくるかもしれない。そう思って咄嗟に模造刀のあるほうへ手を伸ばす。

 

「あっ、しまった…」

 

だが、ここは舞園さんの部屋だ。残念ながらここには模造刀はない。いまだチャイムが鳴り響く部屋の中を見回してみるも、護身用となりそうなものは見当たらない。そうこうしているうちに、ドアの下の隙間から、一枚の紙が差し込まれる。それと同時に、部屋のチャイム音が消えた。

苗木は、ドアが突然開かないか警戒しながら、慎重に紙を拾い上げる。そこには…

 

【舞園さやかが襲われた。危機的状況につき、救援求む】

「!」

 

舞園が襲われた。その文字を見た瞬間、ほぼ反射的に部屋を飛び出していた。そして急いで舞園がいる自分の部屋に行こうとし…

 

「うわっとっと!危ないじゃないですか苗木さん!いきなり飛び出してきたら!」

「あぁ、うんごめん…」

 

部屋の前にいたマークとぶつかりそうになる。慌てていた苗木はマークに謝るが、そこで不可解な点に気づく。

 

「…マーク、なんでこんな時間にこんなところにいるの?」

「苗木さんを呼びに来たんですよ。なのに苗木さん、部屋のチャイム鳴らしても全然出てこないので、手紙を書いたら出てきてくれるかなーって」

 

つまり、さっきのチャイム連打もこの手紙も、すべてマークの仕業である。すでに夜時間になってからしばらく経っており、もう少しで寝付けそうだったのだ。そんな時に執拗なチャイムで起こされれば当然…

 

「……いい加減にしてよ!!」

 

こうなる。

 

「えっ?」

「えっ?じゃないよ!何度も何度もチャイム鳴らして、こんな夜中にたたき起こして、しかもこんな手紙まで用意して、どういうつもり!?」

「いや、ですから…」

「さっき舞園さんのドアをこじ開けようとしてたのもマークの仕業!?夜時間は出歩き禁止になってるのにこんなことして一体何になるのさ!」

「苗木さん、とにかく落ち着いてください。さっき手紙に書いた通り、舞園さんが危機的状況なんです。帰ってくるとまずいので、すぐに苗木さんの部屋に向かいましょう。」

「え?ちょっとマークさん!?」

 

それだけ言うと、マークは強引に苗木の腕を引っ張って隣の「元・苗木の部屋」へと入っていく。

 

部屋に入ると、まず目についたのは何故か床に無造作に置かれている模造刀だった。確かこれは枕元に置いてあったはず…

というか、どうして舞園さんが居ないんだ?

 

「苗木さん、ここ開けてもらえませんか?何故か開かなくて…」

 

そう言ってマークが指さすのはシャワールーム。まぁ開けられないのは当然なんだけど…

 

「僕だけ教えてもらったんだけど、ここって立て付けが悪いらしくてね、ドアノブをひねりながら、持ち上げるようにしないと開かないんだ。こうやって…」

 

そう言って実演しながら開ける。そしたら…

 

「…な、苗木君?」

 

痛そうに腕を抑えている舞園さんがいた。

 

「どうして?いったい何があったの!?そのケガは!?」

「それは、彼を交えたうえで話を聞くべきでしょう」

「彼っていったい誰?」

「それはすぐに分かりますよ。もうすぐドアが開きますから」

 

僕の疑問を、いつの間にか廊下に通じる扉前に移動していたマークが遮る。ドアが開くと言い終えた瞬間、マークは触ってもいないのに扉が自動的に開いた。そこに立っていたのは…

 

「ねぇ?超高校級の野球選手、桑田 怜恩さん?」

 

工具セットを手にした桑田君がそこに立っていた。

 

 

 

 

 

~マーク視点~

私には、集中すれば一定の範囲を上から見下ろす視点が得られる特殊な“目”があります。この能力は父さん譲りで、父さんも“目”をフル活用して、敵の位置や持っている武器などを確認し、誰に攻撃させるか決めていたそうです。

とはいえ、あんまり広すぎる範囲は見えないし、ちょっと疲れるのでずっとはやりたくないですけど、今日は皆さんの様子がおかしかったので“目”を使いました。

結論から言うと、“目”は開いて正解でした。もしこのまま誰にも気づかれることなく桑田さんがこの部屋に入っていたらと思うと………ゾッとします。

 

「まずは中に入ってください。話はそれからにしましょう」

 

目の前の状況が呑み込めずフリーズしている桑田さんをとりあえず中に招き入れます。

工具セットを持ってるということは、シャワー室のドアをこじ開けようとしてたんですかね。とはいえ苗木さんや私が居る前で誰かを殺すことはしないでしょう。

これで殺し合いは避けられましたかね。いやーよかったよかった。後はそこに落ちている包丁を回収すれば…

 

「桑田君…」

 

あ、そうでした。苗木さんに今回の一件を説明しておかないと…ってなんで苗木さんが包丁持ってるんですかね?しかもこちらに切っ先を向けて。

 

「舞園さんをコロそうとしたって本当?」

 

…あーなるほど。それは考えてませんでしたね。

 

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