BLEACH〜空座町の死神代行少女と多重世界〜   作:桂ヒナギク

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地獄先生編
第01話:その少女、死神


 私の名は北神(きたがみ) 聡美(さとみ)。どこにでもいる高校生だ。霊媒能力があること以外は。

「ちょっとあんたたち!」

 私は通りがかりに、交通事故で亡くなった男性への供物(くもつ)を荒らしている不良の男子たちに怒鳴りつけた。

「なんだ、てめえ?」

「供物を荒らすんじゃないわよ!」

「なんだと、こら?」

 不良の一人に胸ぐらを掴まれる。

 私はそいつの股間に膝蹴りを叩き込んでやった。

「うっ!」

 胸ぐらを手放し、激痛に悶える男A。

「岡田!」

 もう一人の仲間が、「てめえ!」と、私に向かって拳を突き出してくるので、ダックで(かわ)して、その体勢から手首を掴んで背負い投げを浴びせた。

「ぐはっ!」

 吐血するB。

 Cは怯えて膝が震えていた。

 私は横で浮いている精悍(せいかん)な顔立ちをした男の霊を指差し、「あんたたち、この人に謝んな!」と、怒声を浴びせる。

「ひ、ひえ!?」

「す、すみませんでした!」

 不良たちは逃げて行った。

「あなた、よく見たらイケメンね」

「そうお?」

「もし生きてたら、子ども産んであげてもよかったわ」

 冗談を言ってみる。

「とりま、速く成仏するのよ。今度、お花持ってきてあげる」

 私はそう言って、その場を後にする。

「ただいまー」

 家に帰り着き、ドアを開けた。

「お姉ちゃん、おかえり」

 と、出迎えるのは、小学生の弟である康太(こうた)だった。

「お姉ちゃん、僕お腹が空いたよ」

「うん。じゃあ、晩ご飯でも用意しようかしらね」

 私はここ、北神家で弟の康太と二人暮らしをしている。

 炊事、洗濯、掃除等の家事は私が全て行っている。

 母は康太が産まれてすぐ、原因不明の謎の死を遂げ、父親は警察官をやっている。

「お姉ちゃん?」

「うん?」

「どうしたの? ぼーっとして」

「ああ、ごめん」

 靴を脱ぎ、洗面所で手を洗い、すぐに食事の準備をした。

「いただきまーす」

 出来上がった料理を、康太が食べ始める。

{ホロウ……ホロウ……}

 私の腰についている死神代行証が、(ホロウ)という悪霊の出現を知らせる。

 説明がまだだった。

 私はこの街、空座町(からくらちょう)で死神代行をやっている。

 死神というのは、死を遂げて現世を彷徨う霊の成仏を手助けしたり、虚を浄化したりする職業だ。

 本来は尸魂界(ソウル・ソサエティ)という所謂(いわゆる)あの世から死神が派遣されて仕事を行うのだが、それでは間に合わない場合もあるため、現世に駐在する死神代行がその職務を全うすることがある。

「康太、ちょっと出かけるね。代わりにこいつおいてくから、言うこと聞くのよ」

 私は飴玉状の小さな玉を飲み込んだ。

 すると、私の体が肉体から飛び出し、死覇装(しはくしょう)と言う黒装束を纏った霊体となった。

 元の体には、改造魂魄(モッド・ソウル)のカイの人格が現れる。

「カイ、頼むよ」

「ごゆっくりー」

 私は家を飛び出した。

 霊的パワーを先ほどの事故現場から感じた。

 私は事故現場へ急いだ。

「ひええええ!」

 事故現場へ着くと、先ほどの男が虚に襲われていた。

 私は斬魄刀(ざんぱくとう)と言う大刀を手に、虚の攻撃から男をかばった。

「来たか、死神」

「お前は?」

「これから俺に食われるお前に教えても意味はない」

「なるほどね。お前は私を(おび)き出すためにこの霊を襲っていたってわけか。とんだ食わせ物ね」

だけど……──と、私は続ける。「お生憎(あいにく)、私を食べても、まずくて口に合わないわよ!」

 私は大刀を振るった。

 ぶん回される斬魄刀を軽々と躱す虚。

 しまった! 勢いよく振りすぎた!

 隙を突かれ、殴りつけられた。

「きゃあ!」

 私は吹っ飛び、ブロック塀に背中からぶつかった。

 体勢を立て直し、瞬歩(しゅんぽ)と言う走法で虚の頭上に回り込む。

「消えた?」

「どこを見てんのよ!」

 虚が上を見た刹那、振り下ろした斬魄刀が、その体を真っ二つに切り裂く。

「ぎょええええ!」

 虚は除霊された。

「お嬢さん、もしかしてさっきの?」

 私は振り返る。

「私、死神なの」

「死神!? まさか僕を連れて行くのかい?」

「連れて行かないよ。送るのさ」

「送る?」

魂葬(こんそう)……って言ってね、成仏させるのよ」

「そうか。じゃあ速くやってくれ。もうあんな思いはしたくない」

 私は、斬魄刀の(つか)を、霊の額に当てがう。

 すると、霊は成仏して尸魂界に送られた。

 

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