BLEACH〜空座町の死神代行少女と多重世界〜   作:桂ヒナギク

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第11話:呪いのインコ

「お姉ちゃん、起きて」

 その日、私は康太に起こされた。

「うん? 何よ、こんな朝っぱらから」

 私は重い体を起こした。

「パパがインコを拾ってきたんだ」

「インコ」

「ただのインコじゃないんだよ。喋るんだよ」

「そりゃ、インコは喋れるさ」

 私は父が持ってきたと言うインコを見るため、リビングに移動した。

「こんにちは、僕の名前は柴田(しばた) 勇一(ゆういち)。お姉ちゃんの名前は?」

「柴田?」

 私は腹をよじって笑った。

「アハハ、インコに柴田って、なにそのネーミングセンス、ハハハ」

「違うよ、僕は人間だよ」

「はいはい、人間だと思い込んでる頭のいいインコさんですこと」

「本当に人間だったんだってば!」

 インコはぷくっと膨れた。

「え、だった?」

 よく観察すると、霊圧は確かに人間のそれだった。

「お姉ちゃんたち、僕の近くにいると危ないよ」

「危ない?」

「僕の近くにいる人たちはみんな不幸になっちゃうんだ」

 その時、家の壁が倒壊した。

 外には虚の姿が。

 状況を察した私は、鳥かごを手に、家を飛び出した。

 虚が追いかけてくる。

「勇一くん、君の家は?」

「一丁目のタバコ屋の向かい側だよ」

「そっか」

 私は勇一の家へ急いだ。

「それそれ、逃げろ逃げろ」

 背後から迫り来る虚が言う。

 なんとか虚を撒いて、勇一の家に着くと、私は中に入った。

 だが、そこはすでに(もぬけ)(から)。遺体は愚か、家具すらなかった。

 私はとりあえず、鳥かごを置いた。

「勇一くん、お母さんは?」

「ママ、さっきのやつが、生きてるときに殺されちゃったの。でもね、三ヶ月無事に逃げれたら、生き返らせてくれるって」

 そんな生き返らせるなんて不可能だ。

 ばき!

 天井が剥がれた。

「見つけた」

お前──と、続ける虚。「うまそうな匂いだ。この匂いは死神か?」

「だったらどうするって?」

 私は代行証を体に当てがい、死神化した。

 虚がカエルのような生物を投げてきた。

 私はカエルを大刀で切り裂いた。

 すると、中からヒルのようなものが飛び出し、私の体に張り付いた。

 虚が舌を鳴らすと、ヒルが爆発した。

「きゃあ!」

 爆風で吹っ飛ぶと、私は地面に転がる。

「くっ!」

 徐に立ち上がる。

「さて、そろそろ食ってやろう」

「あんたに食わせる霊なんていないわよ」

 爆弾を飛ばしてくる虚。

 私は咄嗟に爆弾を掴み、瞬歩で間合いを詰める。

「……!?」

 爆弾を虚の口内に思いっ切り突っ込んだ。

「速く舌鳴らしなさいよ」

「ぐう……」

「鳴らせないんだったら、その舌いらないよね!」

 私は虚の舌を引きちぎった。

「ぎゃあ! 俺の舌があ!」

「トドメ!」

 私は虚を一刀両断した。

 虚の背後に扉が現れ、その中に吸い込まれて行った。

 私は勇一の元に戻る。

「ありがとう、僕のために」

「いいのよ」

「でも、ママは?」

「……ママなら、尸魂界で待ってると思うよ。勇一くん、向こうまで送ってあげるね」

 私は勇一を魂葬した。

 


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