BLEACH〜空座町の死神代行少女と多重世界〜   作:桂ヒナギク

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第17話:虚園

 童守町。

 駅に着き、私は電車から降りる。

 辺りには禍々しい霊気が漂っている。

 逢魔ヶ刻に入っているのだ。致し方ない。

 私は童守小学校を目指す。

「なんか久しぶりね。四話ぶりかしら」

 などと(つぶや)いていると、童守小に辿り着いた。

 校門を抜け、校舎の宿直室に入る。

「ぬ〜べ〜、用事って何?」

 傍に老人の死神の姿が見える。

「死神に憑かれてしまった。俺はもう長くないようだ」

「そんなの鬼の手で……」

「死神といえど神だ。そんなことはできない」

 ぬ〜べ〜が言った後、死神様が口を開いた。

「ほう、尸魂界の死神か」

「なっ……!?」

「見ただけでなぜ? というような顔をしているな」

「なんで……そんなことが……?」

「これじゃよ」

 霊絡を掴む死神様。

「霊絡じゃ。死神の霊絡は赤いんじゃ」

「知ってるよ」

それと──と、ぬ〜べ〜を見る。「それは死神様って言うのよ」

「死神様? 死神だろ?」

「いや、ぬ〜べ〜に憑いてるのは死神様だよ」

 死神様……死神は尸魂界の魂のバランサーであり、対して生きてるものの魂を連れいて行くのを、死神様と呼んでいる。

「死神様、ぬ〜べ〜を連れて行かれると、色々困るのよね」

「しかし、デスノートには鵺野 鳴介は死ぬと書かれておる」

「以前にも連れて言ったよね。生き返ったけど」

 わからなければ、ぬ〜べ〜無印のあぎょうさんの回をお読み下され。

「ぬ〜べ〜を連れて行かないで下さい」

「ではお主が行くか?」

 死神様に刈り取られた魂魄は、尸魂界には行かず、生前の行いにより、天国や地獄へ導かれるという。

「冗談じゃよ。デスノートの内容は変えられない。鵺野は予定通り連れて行く。今日の夕方じゃ」

「夕方?」

 私は時計を見た。

「……って、もう時間が!」

「それじゃ、連れ行くからな」

 死神様がカマを取り出し、ぬ〜べ〜を刈った。

 体から魂魄が抜け出し、ぬ〜べ〜の肉体が倒れる。

 ぬ〜べ〜の因果の鎖が断ち切れた。

「死んだ……のか?」

 と、ぬ〜べ〜。

「助けられなくてごめん。死神様の決めたことは、死神でも変えられないんだ」

「構わんよ。行ってくるな」

「私も行く」

「え?」

「一緒に行って、生き返らせる方法を探す!」

 私はカイを飲み込んで死神化した。

 霊道が開き、私たちは天国へ(いざな)われた。

 何もない、真っ白な世界。

 ここが、天国だというのか。

「尸魂界のように街があるのかと思ったら、何もないんだ?」

 霧のようなものが晴れ、船が姿を見せた。

「三途の川か」

「三途の川……本では読んだことあったけど、本当にあるなんて……」

「これを渡れば冥界だ」

 私たちは船に乗り込んだ。

「な、なぜ死神が?」

 と、船渡し。

「この人を連れ戻る方法を探しにね」

「そ、そうか。しかし、できるとも思えんがね」

 船渡しは船を漕ぐ。

 やがて向こう岸に辿り着く。

 辿り着いた先は、辺り一面、砂漠だらけの大地だった。

「まさかとは思わないけど、虚園(ウェコムンド)?」

 と、振り返って船渡しを見るが。

「船渡しいねえ!? それどころか川もねえ!」

「聡美、虚園ってなんだ?」

「虚の世界。虚化した魂魄はここで暮らしているのよ」

「でも、なんだって虚園に連れてこられたんだ? 天国じゃないのか?」

「死神様は虚園の使いなのかもね」

「冗談じゃない。速く帰るぞ」

 こちらを向いたぬ〜べ〜の胸に、因果の鎖。しかも侵食が始まっている。

「ぬ〜べ〜、それ……」

 私は因果の鎖を指差す。

「シルバーコードが短くなって行く!?」

 虚園に連れてこられた魂魄は、最終的には虚に墜ちる。つまり、ぬ〜べ〜は虚になる。

「俺が虚に? 止める方法は?」

「虚化に抵抗して死神になる? 私も一度、死神の力を失った時、その方法で戻ったのよ。おかげで虚の力が手に入ってね」

 そこへ、精悍な顔立ちをした、胸に孔のある男性が現れる。

「ウルキオラ・シファー!?」

 私は思わぬ知人に驚いた。

「知り合いか?」

「うん。戦友」

 ウルキオラが口を開く。

「誰が来たのかと思ったら、聡美か。何しに来た?」

「死神様に刈られたぬ〜べ〜を生き返らせるためにね。グリムジョーは元気?」

「ああ」

 ウルキオラがぬ〜べ〜を見る。

「無理だな。こやつに死神の力はない。ただの霊媒師と言ったところか」

 

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