BLEACH〜空座町の死神代行少女と多重世界〜   作:桂ヒナギク

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第02話:霊媒師ドン・観音寺のそれは逆効果だ

 霊を魂葬した私は、(おもむろ)に家路に就く。

 道中、テレビ局のクルーが、霊媒師のドン・観音寺(かんおんじ)と言う男が除霊をしようとしているところを撮影していた。

 見えていないわね。

 観音寺は金属のステッキで、地縛霊の胸の(あな)を広げようとしている。

 やば!

 私は観音寺の元に駆け出し、「それやめて!」と、叫んだ。

 だが、時すでに遅し。観音寺は霊の胸の孔を完全に開いてしまった。

 霊が消滅する。

「え?」

 私は目を疑った。

 浄霊……できたのか、疑問符。

「おやー? Youも霊だな?」

 と、観音寺が私を見て言う。

「私は霊じゃない。死神よ。それより、あんたの除霊方法って……」

 その時、廃屋の屋上に、虚が構築された。

「なんだ? あの胸に孔の開いた仮面の霊は」

 さっきのは浄霊じゃなかったのだ。

「多分、あんたが霊の胸の孔を開けたから虚として再構築されたのよ」

「虚?」

「悪霊ってことよ」

「そんな……私のやり方は間違っていたのか……」

「今はそれより、あいつを潰すのが先決」

 私は屋上へと飛び上がった。

「キシャアアアア!」

 虚が襲いかかってきた。

 私は虚の攻撃を斬魄刀で受け止める。

「くっ!」

 その攻撃は意外にも重く、私は()()ってしまった。

 そこへ追い打ちの引っ掻き攻撃。

 死覇装が切り裂かれ、肩から血が噴き出す。

「痛えんだよ、このやろう!」

 私は虚の脳天に斬魄刀を突き刺そうとするが、仮面が硬すぎて奥まで刺さらなかった。

「え?」

 そのことに戸惑っていると、虚に殴り飛ばされ、その際に斬魄刀が手から離れてしまった。

 虚の仮面に斬魄刀が刺さったままのところは、フランケンシュタインを彷彿させているようだった。

「私の剣返せ」

 瞬歩で間合いを詰め、斬魄刀を引っこ抜く。

「脳天がダメなら首よ!」

 私は瞬歩で背後に回り込む。

 虚は私の姿を見失い、驚き戸惑っている。

「こっち!」

 私は虚の首を切り落とした。

 虚は光の粒子となり天へ昇って行った。

「You、やるな」

 観音寺が屋上に上がってきた。

「悪霊を片付けちまうなんて。よし、入門試験は合格だ」

「なんの試験よ?」

「今日からYouは私の一番弟子だ!」

「ならないわよ!」

「で? Youは死神らしいが、まさか私の魂を刈りにきたわけじゃないだろうな?」

「そんなことしないわよ」

 めんどいやつと関わってしまった。

「じゃあ何しに来たんだ?」

「帰る途中だったのよ」

「帰る?」

「私は死神をやっている人間で、家に帰るところだったのよ」

「死神って地獄の使い魔じゃないの?」

「違います」

 帰ろう。

 私は家に向かって一直線に飛び立った。

 後ろで観音寺がなんか言っていたが、気にせず帰路に就いた。

 


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