BLEACH〜空座町の死神代行少女と多重世界〜 作:桂ヒナギク
放課後。
帰り支度をしていると、
「あら、鷺ノ宮さん」
「お帰りなんですね、死神さん」
「そういえば、今日は見かけなかったけど、どこにいたの?」
「道に迷ってフランスに行ってました」
なんで道に迷っただけでそんなところに行くのだろう?
日本とフランスの間には海がある。飛行機にでも乗らない限り行けないのだが。
「死神さん、ちょっと来てもらえますか?」
「いいけど……」
私は伊澄に案内され、理事長室へ。
金髪縦ロールの女の子、
「理事長さん、連れてきました」
「北神 聡美さん、あなたにお話がありますわ」
「お話?」
「ハヤテのことについて」
「綾崎くんの?」
「はい」
「実は、ハヤテがハヤテじゃないんです」
「え?」
意味がわからなかった。
「どういうこと?」
「昨日あたりから、ハヤテがまるで別人のようになってしまって」
「綾崎くんが、別人?」
「はい」
「もしかしたら、虚とかいう悪霊の仕業なんではないでしょうか」
「うーん、別に何も感じなかったけどな」
「とりあえず、ハヤテを呼びますから、その死神代行……なんでしたっけ?」
「死神代行戦闘許可証。略して代行証」
「そう、それでハヤテの魂を引っ張り出してみてもらえないでしょうか。もしかしたら、別の魂が」
「なるほど」
理事長が綾崎を呼び出した。
「なんでしょうか、天王州理事長」
おかしい。彼は一昨日は理事長をアーたんと言っていた。
私は綾崎の体に代行証を押し付け、魂魄を引っぺがした。
魂魄はナギだった。
「ナギ?」
「ハヤテは?」
ナギはことの顛末を話す。
どうやら、ナギとハヤテは階段で転げ落ち、入れ替わってしまったようだ。
胸の因果の鎖も結びついてしまっている。
「これは私の手には負えないわ」
「ハヤテはどこ?」
「ハヤテなら屋敷で寝てるぞ。体調不良だってな」
「そう……」
「どうやったら戻れるのだ?」
「もう一度、綾崎くんと転げ落ちる」
「いやだ。痛いだろ」
「うーん」
私の脳裏に浦原の顔が。
「浦原さんに相談してみるか」
私は携帯で浦原に相談した。
浦原の答えでは、やはりもう一度同じ衝撃を与えるしかないとのことだ。
「やっぱり転げ落ちないとダメなのか……」
私たち三人はナギと共に彼女の屋敷に向かう。
寝室のベッドに横たわるナギの姿をした綾崎。
「お嬢様に、みなさん?」
「綾崎くん、具合悪いところ申し訳ないんだけど、ナギとまた階段から落ちてくれる?」
「構いませんが……」
私たちは屋敷の階段に移動した。
「ここの階段で入れ替わったんだ」
と、綾崎姿のナギ。
「じゃ、やってみよう」
綾崎とナギが階段を登り、転がり落ちる。
そして——。