BLEACH〜空座町の死神代行少女と多重世界〜   作:桂ヒナギク

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東の高校生探偵編
第01話:東の高校生探偵


 白皇学院上空の異界の消滅後、私は空座町に戻っていた。

 あの街も、もう私は必要ないだろう。

 私は家の自室でベッドに横たわっている。

「さて」

 起き上がり、ベッドを降りる。

 スマホを確認すると、メールが来ていた。

 メールの内容を読む。

 差出人に工藤と表示されている。

 言わずと知れた東の高校生探偵のことである。

 私は工藤とは、幼稚園の時、同じクラスだったクラスメイト。

 当時、私と工藤は幽霊はいるいないでよく喧嘩をしたことがあった。

 その工藤からメールが来たのである。

 メールを読んで、私は工藤と会った。

 工藤は謎の犯罪組織に薬を飲まされ、小さくなったという。

 今は江戸川(えどがわ) コナンと名乗って父親が探偵をしている毛利(もうり) (らん)の家に居候しているらしい。

「へえ、薬で小さくねえ」

 にわかには信じがたい。

 だが魂魄はコナンの身長を抜いており、工藤のものであると窺える。

 小さくなる薬は魂魄には影響しなかったみたいである。

「で?」

「で?」

「私を呼びつけたのには理由があるんでしょ?」

「うん、まあ」

「話しなよ」

「おめえ、まだ霊が見えるのか」

「見えるどころか悪霊と戦ってるよ。でもさ、あなた霊はいないと言ってたじゃん。それがどうして?」

「実はな……」

 コナンはたまたま目撃した事件で、被害者がいきなり血飛沫(ちしぶき)をあげ、肉体が消えるという現象に遭遇したという。

 マジックのタネかとも思ったが、現場を調べてもそんな痕跡などは見つかっておらず、依然、解決はしていなかった。

 私はコナンに連れられ、現場である米花公園にやってくる。

 コナンはここで小学校のクラスメイトと一緒にサッカーをしていて、たまたま茂みの中に入ったボールを取りに行った際に事件に遭遇したという。

 私は現場を霊視した。

 微かにだが、虚の霊圧が残っている。ここで人が襲われたのは間違いなかった。

「工藤くん、被害者の容姿は?」

「金髪で痩せた男だったぜ」

「……………………」

「なにか見えるか?」

「ここで悪霊が暴れたのは間違いないわ」

「悪霊か。どんな姿なんだ?」

「もう完全に怪物よ」

「そうか」

「恐らく、肉体ごと食われたんだと思う」

 ……!?

「いい匂いがするなァ」

 背後より虚の声。

 私は振り返る。

「工藤くん、逃げ……」

 ドン!

 コナンの体から工藤の魂魄が飛び出す。虚に肉体から押し出されたのだ。

「うお、なんだこれ!?」

 工藤はだるそうにしながら大勢を整える。

「体が重い。それにあの化け物は?」

「こいつが悪霊よ!」

 私は死神化し、虚を斬りつけた。

 しかし、顔面には入るものの、攻撃が浅く、致命傷には至らなかった。

「ち!」

 私は一旦距離を置き、もう一度攻撃を浴びせる。

 会心の一撃! 虚は消滅した。

「北神、俺どうなったんだ?」

「ああ、魂が抜けたのよ。肉体に重なれば戻れるわ」

 工藤はコナンの体に重なった。

「お! って、北神が消えた!?」

 私は肉体に戻る。

「さっきの黒服の私は霊体だから、普通の人には見えないよ」

「霊ってほんとにいるんだな」

「うん。犯人もわかったことだし、私はもういいよね」

「いや、もう一つ付き合ってほしいことがあるんだ」

「もう一つ」

「ああ。この間、近所に住む阿笠博士(あがさはかせ)と回転寿司に行って、そこで殺人事件に巻き込まれてな」

「ほうほう」

「犯人は追い詰めて警察に逮捕してもらったんだけど、それ以来寿司屋で不思議なことが起こるようになってな」

「不思議なこと?」

「もしかしたら被害者の霊がいるんじゃないかって思ってな」

「どういう現象なの?」

「回ってる寿司が皿の上から消えるんだ」

「霊が食べると消えるよ」

「やっぱりそうか。成仏させれるか?」

「うん、まあ」

「よし、そこ行こう!」

 私とコナンは回転寿司店へ。

 中に入ると、魂魄が寿司をパクパク食べていた。

「食べても食べても満たされない……」

 私は魂魄に声をかける。

「そこのお兄さん」

「え?」

 振り返る魂魄。

「僕のこと?」

「うん」

「なにかな?」

 私は死神化した。

「うわ!?」

 驚く魂魄。

「腹が減ってるんでしょ?」

「うん」

「尸魂界に行けば、腹は減らないわ」

 私は斬魄刀の柄を魂魄に当てた。

「いやだ、僕はまだ地獄には……」

「あなたのいくとこは天国よ」

 魂魄は光に包まれて天に昇って行った。

 私は肉体に戻る。

「成仏させたよ」

「霊はなんで寿司を食べてたんだ?」

「腹が減ってたらしいけど、たぶん殺されたときに食べられなかったから、それが未練で食べ続けてたんじゃないかな」

「そうか。一段落したら腹減ったな」

「奢らないよ」

「ち!」

 私たちは寿司屋を出た。

 


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