めだかボックス~北斗七星の輝き~   作:kouma

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第二話:はじまりは唐突に

眼を開けるとそこは瓦礫の天国。

ということはなく最近やっと慣れてきた、自分の部屋だ。

 

「今日から高校か」

 

自身の声で、確かめるようにつぶやく。

もうすぐ16歳になる自分。

しかし……身を起こせば、まだ明け方の四時。

 

「……ここ、本当にそうなんだな」

 

自分の本来の部屋ではなかった。

そして、一軒家でなくアパートだということ。

きちんと以前の記憶はある……転生したことで、今までの生活も。

 

「一人で県外の高校へか……以前なら考えられなかった」

 

転生前の生活の記憶も残っている。

自分が生まれて、しばらく経ってから神様が転生前の記憶を呼び起こしたらしい。

それと同時に……地獄は始まったのだ。

 

「お師さん、ねえ……似合ってはいるけど」

 

神様はまず、転生後の肉体が自分にしっかりなじんでいるのを確認。

そうして年齢を重ねるごとに、トレーニングを重ねていった。

無論、神様が師匠であり……自分をお師さんと呼べと。

 

「俺にサウザーになれってか?……ま、最後の試練はなかったからいいとして」

 

さすがに神様相手とかシャレにならないと。

苦笑しつつ、ここまで鍛えてくれた神様には感謝していた。

と、枕横に何かメモのようなものを見つける。

 

「っと、電気電気」

 

パチッと明かりをつける。

薄暗い中で、ようやく見えるようになった。

その内容は……今後の注意点などが書かれたメモだった。

 

『このメモは必ず読むべし。まず君の体はトキのスペックを有しているが、全てを扱うことはできない。私が師匠としてある程度鍛えてあるとはいえ、まだ肉体は15歳なのだから』

 

「……神様って、意外に面倒見がいいんだよなあ」

 

ここに来る前、何故か神様が自分を鍛えていた。

それには両親も何も言わず……もう一度言うが、地獄の一言だと言える。

だが、周囲にバレることもなかった……それが唯一の約束だったからである。

 

「怪しまれず入学するためには、隠し通すこと……か」

 

箱庭学園に行くにも、ノーマルと認識された方がいい。

そのため、神による修行後も必要以上に力を使わず生活してきたのだ。

 

『しかし、全てを使えないというのはまだ君の体が成長期だからだ。あそこで揉まれるうちに、少しずつ開花していく……無理は体に悪いからな。約束した通り、高校入学日と同時に必要な知識は全て起きているはずだ』

 

「あれだけやらしといてよくもまあ……でも、そうだよな」

 

やっと16歳になろうとしている自分。

そんなときに無理しすぎで体を痛めてしまえば今後に響くのもわかる。

そして北斗神拳と南斗聖拳の知識がなかったのも、暴発を防ぐためあらかじめ神様がロックしていたのだという。

 

『そして今の君なら、言葉はおかしいが「基本的な13組」相手なら十分だ……それ以上は、君自身が決めろ。以上、幸運を』

 

「……はい。第二の人生、頑張ります」

 

そうして、メモを折りたたみ大事にしまおうとして……後ろにも何かあるのに気付く。

 

「?」

 

『追伸。北斗神拳は加減して使いなさい、南斗聖拳もね……バスケもほどほどに』

 

「……殺す気はないですよ、さすがに。自重も大事ってことですね」

 

苦笑し、そのメモを机の中に入れる。

と、気が付いたら外が明るくなってきていた。

 

「準備しないと」

 

初日から遅刻だけは避けたい。

そう思い、ベッドから起き上がった。

 

 

 

「世界は平凡か?」

 

「未来は退屈か?」

 

「現実は適当か?」

 

「安心しろ」

 

「それでも」

 

「生きることは劇的だ!」

 

 

 

などという見事な……実際はあまり心に響かない演説を聞いている一人の男子。

周囲をちらちらとみて、二度目の高校生活を楽しもうと考えている。

 

(……こういう行事ってめんどいよな)

 

教室に戻れば、それは余計に感じられてしまう。

学校行事で、誰でも長いお話に嫌気がさす学生も多かった。

ここではどうかわからないが……少なくとも、彼はそうだった。

 

壱ノ2

 

それが彼……霞 時詠(かすみ ときよみ)の所属するクラスだ。

血液型はAB。

成績、普通。

容姿も普通で、逆立てた黒髪と……実は学生服でわかりにくいが、鍛え上げられた肉体。

身長は170ほどだが、成長は続いているので今は十分だった。

しかし他の学生と違う点はある。

 

特技:スポーツ(特殊なバスケ)、北斗神拳、南斗聖拳

 

という項目が、プロフィールには書けない。

ちなみに利き腕は右だ。

 

(北斗、南斗……使わなくても余裕な感じだ)

 

それが一般学生に対する評価。

が、11組などの特待生もこの学園には存在する。

 

(……黒神めだか、生徒会長かあ)

 

先ほどの演説。

まさに原作通りで少し感動したが、どうも嫌な予感しかしない。

関わりたいのだが、本当にいいのかと。

しかし、隣のクラス……壱ノ1には今、人吉善吉や不知火半袖がいることは確認済み。

例の消しゴムから、向こうもすでに始まっていた。

めだかも会長に立候補したというのならば、入学当時の日之影空洞と三日三晩のアレも。

その後の教師達とのいざこざも。

全て順調に時系列通り……ついに始まるのだ。

 

「俺だけの、めだかボックスか……ま、もう二度と死兆星が見えないようにしないとな」

 

今日も青空。

だがこの学園で血を見るのはそう遠くないだろう。

教室で起こるような、でなく……箱庭学園全てを巻き込む事態になるはずだ。

と、自分を呼ぶクラスメイトがいる。

どうやら昼食の誘いらしい……友達作りは大事だ、そう思い時詠は立ち上がった。

 

(……ま、なんとかやってみるか。自分も相当だが、周りもチートキャラ多いし)

 

あの北斗の次兄とまではいかない、それでも彼は歩き出す。

乱世を駆けた拳法と共に、時詠の箱庭学園での生活は始まった。

 

といっても、ここ一か月は平和だった……表向きでは、だが。

 

事件というものは、ほとんどめだか率いる生徒会が解決。

設置された目安箱……それが少しずつ機能していた。

自身のクラスでもたまに話題に上がるものだが、特に相談することのない生徒は興味すら示さない。

 

「なあ霞、お前部活はまだ決めてないのか?」

 

「……うーん、俺はあまり」

 

「そうか……どうせなら有名な柔道部とかどうだ?」

 

クラスメイトによる柔道部の勧誘。

実は何度か目にしているが……最近、生徒会と柔道部でいざこざがあったと。

 

(阿久根君が生徒会書記になったんだっけ……といってもなあ)

 

時詠は部活を決めきれないでいる。

自身の身体能力もそうだが、あまり派手な動きでは目をつけられそうで嫌だった。

そうして友達と別れ、時詠は一人……生徒会室の前を通ってみた。

 

花が、生徒会室の外に出ている

 

その花の前にかがみ、ジッと見ていた。

綺麗だ、よく手入れされている。

自然と笑みが浮かぶ……次第に、この花がどんどん増えていくのだろう。

 

(……帰るか)

 

もうすぐ夜になる。

あまり長くいてはだめだと、時詠は下駄箱へ向かい靴に履き替えた。

暇なので、今日は帰ってトレーニングでもと思っている。

しかし

 

「……え~」

 

いきなり大変な場面に遭遇した。

帰宅時間になってさあ帰ろう、と思えば妙な感じがした。

 

(体育館裏?)

 

どう見てもありきたりすぎるのだが、自身の感覚が少し敏感すぎた。

殺気ではないようだが……ここ最近暇だったので、そちらへ向かってみる。

すると

 

「!?」

 

なにやら金属バットらしきものを持った生徒?らしき人影。

いや、もう一人……こちらは木製のバットだろうか?

そしてその二人に追い詰められている男子生徒。

暗くなりかけているが、その顔は……自身のクラスメイトだった。

 

「おいさっさと出せよ」

 

「隠さないほうが身のためだぜ?」

 

「……う、うう」

 

どう見てもカツアゲ現場です、本当にありがとうございました。

と、いまどき珍しいと思えるぐらいだが……

 

「お~い」

 

「「「!?」」」

 

時詠は身を乗り出し、歩み寄っていった。

対してあちら……時詠はほぼ忘れていたが、彼らの名はそのうち明かされるだろう。

まあ、今回のもお約束といえるイベントみたいだが

 

(あ、俺なんか主人公っぽい)

 

そんなことを考えてるとは、この二人組は思わないだろう。

どうやら時詠が一人で何も武器を持っていないと感じたのか、ニヤッと笑いこちらに来ていた。

 

「俺たちになんか用かな?」

 

「用っていうか、彼……俺のクラスメイトなんで。ちょっと離してやってくれませんか?」

 

「ほう~それはまた。まるでマンガにでる正義の味方みたいじゃねえか?」

 

(確かに……まあ、普通はそうだよなあ)

 

面倒なことに首を突っ込まないのが人間だ。

自身に被害が来るからである……あえて首を突っ込むのはマンガやラノベの世界だ。

しかし、出来る限り穏便に済ませたいのも事実。

 

「まあ、そういうことで彼は」

 

「まあまあ、せっかく来たんだしよ~」

 

金属バットを持った一人が歩いてくる。

時詠は……内心溜息をつきながら、少しだけ力を振るおうと身を動かし

 

「そこっ! 何をしているんですか!」

 

甲高い声。

これは女性だ……と、小柄な女子が向かってくる。

その手に持っていたのは、何やら頑丈そうな金属……いや、手錠!?

 

 

 

「校―――則! 違反です!!」

 

 

 

よく響く、綺麗な声だ。

だが、女子の方を見て……先ほどの二人組が目を見開いていた。

 

「げっ!?」

 

「ちくしょう面倒な奴がきやがった!」

 

そう言いながらすぐに走り去っていく。

何故逃げたのかと思っているが、その女子の腕にある腕章。

 

(風紀委員、か)

 

この箱庭学園では、主に生徒会が設備や学生の不安の解消を担っている。

しかし、それとは別で……風紀委員は文字通り学園の風紀、治安維持を担っているのだ。

彼らは理事会、職員室などから影響を受けることもない。

取り締まりについても、かなり過激になることもあるとのことだったが……と、いつの間にかクラスメイトも逃げていた。

まあ……彼もあの二人と似たような存在だったのかもしれない。

 

「大丈夫でしたか?」

 

「……あ、ああ。風紀委員さん、ありがとう」

 

「いえっ! これも我々の役目ですので!」

 

「俺は壱ノ2の霞 時詠。君は?」

 

「これはご丁寧に……私は壱ノ3、風紀委員の鬼瀬針音です」

 

ここから時詠の物語は、本格的に動き出す。




ようやく原作キャラ達登場……ですが、生徒会メンバーの出番はまだです。
主役たちより早い登場の木金コンビ……意外に好きなんです!
これからも、どうかよろしくお願いします。

感想、ありがとうございました。

世紀末はじきにやってくるのでお待ちください!
……この学園メンバーって、世紀末でも生きていけそうですね。
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