めだかボックス~北斗七星の輝き~   作:kouma

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第四話:悲劇の星の下に!

木金コンビを痛い目に合わせたその日の夜。

アパートの自室で入浴後、夕食を食べている時に鬼瀬からメールが届いた。

メールには、電話番号もきちんとおまけされている。

 

「律儀だなあ」

 

文面はしっかりとした文章で、省略するが今後ともよろしくとある。

タイトルもつけられており、やはり几帳面だ。

 

(風紀委員でなけりゃ、モテるだろうね)

 

そんなことを考えつつ、彼女にあいさつがわりの返事を書く。

しかし、返信を送った十秒後

 

「……早いな」

 

すぐ返事が来た。

内容は……うん、最近の授業とかの話だ。

確かに入学してまだ一学期、色々中学と違うのでわかる話である。

 

「俺は古典がダメ……と」

 

そうして返信。

携帯を置き、自炊してるため結構大雑把だが……味噌汁を啜る。

 

「……」

 

また返事が来た。

しかし、少し食事に集中しようと携帯には触れない。

だが、その数分後……着メロが響く。

発信者は鬼瀬だ。

 

「……もしもし」

 

『こんばんは、お返事がなくてどうしたのかと』

 

「すまん、今夕飯で」

 

『えっ!?……あ、そうでしたか。じゃあまた後で』

 

「ああ」

 

そうして通話を切る。

もしかして鬼瀬は、意外と家では暇なのだろうか?

 

「……一応、友達としては認めてくれてるのかな」

 

とりあえず食事を終わらせる時詠。

そして、メールではまどろっこしいので通話に切り替えると……

 

 

 

気が付けば夜も更け、すでに23時

 

 

 

鬼瀬はかなりおしゃべりのようだ。

かなり学園とも、雰囲気が違い……こちらが本来の彼女なのだろう。

なんでも明日から取り締まりを強化していくと。

 

「ま、無理だけはしないようにね」

 

『しかし、最近は風紀の乱れがすごいんですよ!』

 

「あはは……高校なんだし、やっぱ羽目外したくもなるわな」

 

『その緩みが風紀を乱すんですよ!』

 

と、そんな感じの会話を続けていた。

だが彼女は夜に弱いのか、次第に声も眠くなってきており……いったんここで切ろうと時詠は考える。

 

「じゃ、時間もアレだしそろそろ寝るわ」

 

『……あ、はい……おやすみなさい』

 

「おやすみ~」

 

携帯を閉じる

しかし、原作では知り得ない彼女の一面を知った気がする。

 

「……ふう」

 

時詠は歯を磨いて布団に入り、電気を消す。

今のところは順調に原作通りだ。

部活動対抗の水中競技大会も、時詠は関係ないのでスルーしていたが……

 

(いよいよ生徒会メンバーもそろい、13組とか……ま、俺は俺のやりかたで進めていくさ)

 

そうして収穫の多かった一日が終わり、翌日。

時詠は……走っていた。

時刻はすでに始業五分前であり……理由は寝坊である。

 

ユクゾッユクゾッユクゾッユクゾッユクゾッ

 

と、移動にも手加減してられないぐらい切羽詰まっているようだ。

その移動方法も、人に見られたらまずいのだが……ギリギリ一分前。

教室に滑り込む。

 

「……あ、ぶね」

 

しかし……校門に風紀委員の姿が見えないのが少々気がかりだった。

今日から取り締まりを強化するはずだったのだが……

 

「霞! 遅刻ギリギリだぞ!」

 

「あ、すいません! 腹の調子が」

 

「猛烈ダッシュでか?」

 

コンッと、出席簿で軽く頭を叩かれる。

教室に駆けこんだのはいいが……すでに担任がスタンバイしていた。

クラスメイトも笑っており……学校って感じがしていた。

 

(……やれやれ)

 

自分の席に向かう際、友達からの笑い声を聞きながら適当に返していく。

しかし……どこか時詠は嫌な予感がしていた。

そうして授業も普通に消化していき、昼休み。

隣のクラスに赴き、ちらっと覗いてみるが……そこに鬼瀬はいない。

 

(こりゃ、アレだな……生徒会と一悶着だ)

 

今頃、鬼瀬は目安箱に投書している頃だろう。

正義感の強い彼女だ、きっと何が何でも生徒会、いやこの場合は生徒会長のめだかだろう。

そこの服装を直すつもりだと。

 

(……彼女も大変だねえ)

 

苦笑しつつ、時詠はクラスの友達と合流し食堂へ。

そこで今後のテスト関係の話などを進め……平和な一日は過ぎていく。

木金コンビも出てこないので、時詠はアパートに帰ってから軽く鍛練をしていた。

 

 

 

イメージするのはトキの動き

 

 

 

あの鮮やかで華麗な……その動きを。

神様がつねにイメージトレーニングはやれといわれていたからだ。

 

「……ふう」

 

そうして気が付けば、汗により服が重くなるほどだった。

時間もすでに夜になっている。

左右の腕を肘から天井に向け直角に伸ばし……北斗有情破顔拳を放つイメージで終わる。

 

「くっ……」

 

やはり、この脱力感はすさまじい。

イメージとはいえ……神様の修行中、見せられた動きに追いつけない。

あの動きをとらえた時こそ、また一つ上に行けるのだ。

そして現在、時詠は箱庭学園で北斗神拳を使うほどの相手とは会っていない。

だが、このまま進めばいずれその時は来るだろう。

 

「さて」

 

携帯を手に取る

かける相手は鬼瀬だ。

電話帳から選び、通話ボタンを押して耳に当てる。

数回のコール後、繋がったようだ。

 

「もしもし」

 

『こ、こんばんは霞くん!』

 

思ったより元気そうな声だ。

幾分安心したのか、時詠は話を切り出す。

 

「こんばんは……鬼瀬さん、体は大丈夫? 今日昼に誘おうと思ったけどいなかったからさ、休んだのかなって」

 

『えっ!?……そ、それは申し訳ありません。実は、今日生徒会の方々とお話をしてまして』

 

「生徒会……よければ、詳しく教えてくれない?」

 

やはり生徒会の件だった。

聞けば、自分は危うく間違いを犯すとこだったと……反省したらしい。

そして黒神めだか会長のことでも……今も不愉快だが、彼女のことで少し考えたらしい。

 

「ふ~ん、あの会長が……」

 

『ええ……私は自分の事が、まったく見ていなかったんです』

 

「鬼瀬さん、そうして自身を見直すことは中々できないよ? それだけで十分さ」

 

『そうですかね……外装ばかりにこだわってた自分が恥ずかしいと思います』

 

原作通りに話は進んでいる。

ということは

 

「……あまり気負いすぎるなよ? 相談や愚痴位なら俺がいつでも聞いてやる、そんときは頼ってくれ」

 

『……はい、その時はよろしくお願いします』

 

通話を切り、時詠は考える。

今の感じでいけばじきに生徒会と風紀委員会の対立が始まる。

 

「……一回、仕掛けるか」

 

時詠はそう思い、明日のために準備を始めた。

そして翌日、いつもより早めに起きた時詠は身支度を整え……学園へ。

と、入口に人影を見つけ……

 

「おはようございまっ……!?」

 

「お、おはようござ……か、かかかか霞くん!?」

 

まだ人があまりいない中、風紀と書かれた腕章をつけた鬼瀬がいた。

しかし、その格好はいつもの白い制服ではなく

 

「あ、あのさあ……それ」

 

「う、ううっ!」

 

胸元が盛大に開かれ、全体的に黒っぽい……そう、黒神めだかの制服。

やはり身長その他が足りないせいかダボダボで……おまけに、胸元にピンク色の「何か」が見える。

気まずそうに視線をずらすが、ちらっと見てしまう。

まだ朝といってもかなり早い時間の為、他の風紀委員たちはいないようだ。

と、時詠の視線に気づいた鬼瀬は……いつもの手錠を持った手で必死に胸元を隠した。

 

「「……」」

 

静かになった。

まあ、色々言いたいのはあるが

 

「い、いいんじゃないかな?」

 

「うう……じ、じろじろと見ないでくださいっ! 不愉快ですっ!」

 

顔が真っ赤で、おまけに涙眼。

こんな女子がいると、はたから見るといじめてるように見えてしまう。

しかし……

 

(可愛いな、やっぱ)

 

濃いキャラばかりの中で、こういう感じだとやはり新鮮に感じれる。

と、あまり見ているのも失礼なので

 

「鬼瀬さん、大丈夫……みんなわかってくれるって」

 

「!?……うっ、うわああああああんっ!」

 

その目が優しすぎたのか、鬼瀬は学園内へ。

そんな後ろ姿を見ながら時詠は……格差社会というのを、改めて思い知った。

 

「不幸な時代だ……」

 

時詠は眼を細め、そう言い残し……教室へ向かう。

後で何かおごってやろうと、そう思いながら。




鬼瀬は可愛い、アニメでさらに可愛い。
と、いよいよ風紀委員会と生徒会の対立がはじまる中……時詠はどう動くか。
そして北斗神拳はいつ出すのか。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
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