魔法少女と言うのを知っているだろうか?
彼女等はこの世界にいるのだ、救われぬ者に救いの手を。その理念で持って行動を起こすヒーローより情熱的でヴィランよりもタチが悪い彼女等が。
「逃がさないんだにょ」
その姿正に可憐な乙女が纏うに相応しいピンク色のヒラヒラの衣装をまとった乙女達。
「逃げろ弔!奴らが奴らが来た!魔崩衝除(まほうしょうじょ)だ‼︎先生が以前管理局の冥王に殺され、俺たちには後がないお前が生きていなければならないんだ!」
凄まじい衝撃と共にアジトの壁は粉砕され、並み居る配下達は問答無用でその命を刈り取られていく。
「悪い子は月に変わってお仕置きにょ!」
服の下から服を押し上げる……ギリシャ神殿の柱に引けをとらないシックスパック。
その大きな胸にはきっと男の子の夢が詰まっているのだろう可愛らしい鈴付きリボンがチャームな……乳首すら鍛え上げられていそうな大胸筋。
そのスカートの下は何人も覗くことかなわず、夢破れたお兄さん達はきっとその思い胸に成長したのだろう……その下から覗く美しく切の入った大腿四頭筋
その腕は多くの者を救い、ある時は涙を流す者達を抱きしめて来たに違いない……巌のように鍛え上げられ無個性でありながら壁を殴ってなお傷一つつかない拳。
その掌に握りしめるは、魔法少女を魔法少女足らしめる魔法のステッキー「いやー‼︎凛さんでも士郎さんでもじじいでも良いですから助けてください!ルビーが死んじゃいますよーーーーー‼︎」ーその乙女の親指よりも頼りないステッキを手に並み居るヴィランに華麗な魔法を放つ乙女達。
「ディバイン・バスター【ガァァァァァァぁぁぁぁ‼︎】」
呪文により発動したのは、その鍛え上げられた呼吸による魔法の衝撃。
決して肺活量にモノをいわせた力技では断じてない。きっと、たぶん、おそらく、めいびー。
緑谷出久は無個性である。4歳の時個性診断で無個性を言い渡された彼は、途方にくれるなか爆豪にイジメられる日々を過ごしていた。
どれだけ助けを望んでもヒーローは来ない、大人も見て見ぬ振り、母もいつだって僕を見て悲しい顔をする。
僕だって個性があればきっとヒーローになれるんだ。
「マジカル・トランス‼︎」
そんな時彼女達に出会った。
イジメを放置した学校に殴り込みに来た乙女達。沢山のイジメっ子をその拳で教育して先生もその蹴りで倒していく。
そして最後にはイジメの資料全てを遅れて来た警察とマスコミに渡して颯爽と去っていく姿。
ヒーローオタクとして初めて見た乙女達に心奪われた出久は数年後。
「マジカル・フォーム‼︎」
その鍛え上げられた肉体で共に無個性な魔法少女達と無認可ヒーローの日々を送っていた。