死んだと思っていたら神に会って転生させられた。稀によくある話である。……よくある話である。
よくある話同様、例に漏れず転生特典なるものを貰った。神さんに『サイキョーにして下さい』と言ったら却下された。めんどくさかったので『神さんが考える、俺に最も適してる能力を下さい』とお願いしておいた。おかげでどんな能力を貰ったのか俺は把握していない。別に知らなくても構わなかった。能力を使うつもりも、原作に関わるつもりもなかったからだ。
転生先は家庭教師ヒットマンリボーン。数年前アニメ放送されていたが残念ながら内容はあまり覚えていない。覚えていようがいまいが、主要人物に関わらなければ一般人として行きていけるだろう。ドンパチするのは前世でもう懲り懲りだ。
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一般家庭に生まれ、小学校3年生の頃に並盛町に引っ越しやって来た。あの時は冷や汗をかいたものだ。しかし主要人物とは一度も同じクラスになることはなかった。それどころか廊下ですれ違うこともなかった。
前世では幼い頃から
中学1年でも特に主要人物と関わっていない。パンツ一丁男なんぞ見てないし、持田先輩がボコられるサマも見ていない。運動会は高熱で休み、黒曜の連中に絡まれては華麗にスルー。風紀委員に目を付けられることもなく、日々青春を謳歌していた。
そんな平々凡々な生活を送ってきたにも関わらず、今朝ポストにとあるリングが入っていた_____!
そう!アレである。なんちゃらリング!!
………。もう、十数年以上前のアニメの内容などほぼ覚えていない。確か、バリアフリーなんたら集団と後継を賭けて戦うヤツだ。
正直油断していた。今までなんの接点も関わりもないのに何故これが届いたのか。どこで選択をミスったのか。思い当たる節が全くない。考えられるとしたら神さんの悪戯か、転生者の運命、もしくは妖怪の仕業である。
あれこれ考えるのをやめた。届いてしまったものは仕方がないのだ。そうやって拭えないモヤモヤを割り切った。
偶然に、両親が商店街で当てた旅行券で昨日から2週間家を空けているのも、叔父叔母の家に何故か虫が大量発生しているのも、全て仕込まれていたに違いない。
本来は両親が家を空ける2週間の間、祖父祖母の家にお世話になる予定だったのだ。しかしそれは中止となった。というか行きたくない虫コワイ。その結果、私は1人お留守番する羽目となった。
いくらなんでもタイミングが良すぎる。
きっと私が如何なる抵抗をしてもこの運命には逆らえないだろう。リボーンがどのような性格だったかあまり覚えていないが、この陰湿な手口。某魔法学校ならスリザリンに組み分けられるに違いない。
そろそろ家を出なければ学校に遅刻してしまう。
大きくため息を吐き、肩まで伸びている後髪を一本に束ね姿見を見る。
そこには黄色いブレザーにスカート。黒髪黒目にややつり目。凛として、しかしどこか幼さも残す顔の女の子が立っていた。
そうそう、今世の私は女だ。だが、完全に死に設定である。
TS転生なんぞ、本当に、よくある話である。
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家を出て一番近くの十字路を曲がるとツンツン頭の男の子がいた。
誰あろう、ヤツである。ヤツの足元には偉そうな服を着た赤ん坊もいる。
「ちゃおっス」
目が合うや否や話しかけてきた。私は反応に困り、取り敢えずリボーン、ではなくヤツ…もとい沢田をゴミを見るかのような目で睨みつけることにした。私は元々目つきが鋭い。大抵のやつはこれでビビり道を譲ってくれる。沢田はヒッと情けない声を上げた。しかし道は譲ってくれないようだ。どうやら私の前に立ちはだかるらしい。
仕方がない。時間ギリギリで遅刻の恐れがあるが、沢田&リボーンと会話をしなければならないようだ。
「…何か?」
淡々と短く、不機嫌に喋る。
「あの…その…えーと」ヒィィ
「しっかりしやがれ」ダッ
「」イッテー
ビビる沢田にリボーンが蹴りを入れ落ち着かせる。
立派にカテキョ?してやがる。
「痛っー!えーと!隣のクラスの沢田です。白木恵さんですよね?」
白木 恵
そう、それが私の名前である。
それにしても名前の確認をするということはやはり初対面。なぜ私が選ばれたのだろうか?駄目だ、このことについて考えるのは辞めにしたのだ。平々たる日常を送っていたら非日常な厄介に巻き込まれることなど、よくある話だ。
「…そうですけど、何か?」
取り敢えず簡潔に返事を返す。相変わらず沢田はおどおどしている。ちらりと腕時計をみる。時間がやばい。このままでは遅刻してしまう。
駄目元で提案してみることにした。恐らく話の内容は今朝届いたリングについて。そしてマフィアについて。歩きながら話していいような内容ではない。だから駄目元だ。
「話は歩きながらでいいですか?」
「その必要はないぞ。学校には俺から欠席の連絡をしておいたからな」
案の定、リボーンにより私の案はひと蹴りされた。今日私は学校に行く必要がないようだ。しかし本当に?嘘かも知れない。
もちろん、原作のリボーンなら本当に連絡をしているだろう。でも、目の前にいるコイツは?私というイレギュラーがいる以上、何かしら、原作との相違があってもおかしくない。
そもそも原作知識があったとしても、私と彼らは初対面。初対面の人をいきなり信じるほど私は優しくない。
「証拠は?」
「これだぞ」
リボーンはどこからともなく一枚の紙を出した。何今のすごい後で教えてもらおう。紙を受け取ると欠席届と大きく書いてあった。承認者には雲雀恭弥の名前が彼の字で書いてある。どうやら私はインフルエンザで約2週間学校を休むらしい。初耳である。
このプリントは偽物なのではないか?———流石にそこまで疑うとキリがない。
それに私は雲雀恭弥を知っている。知り合いではない。並盛中に通っていれば嫌でも知ることになる。彼は間違いなく原作通りの雲雀恭弥であった。
_________ハァ
思わずため息が漏れる。なんとなく空を見上げた。清々しいまでの青空が広がっていた。
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一先ず沢田とリボーンを家に招き入れ、苦っいお茶とマッズイお菓子を出し、詳しい話を聞かせてもらった。
マフィアのこと。ボンゴレのこと。次期後継者のこと。守護者のこと。私が雪の守護者に選ばれたこと。ヴァリアーのこと。来るべき戦いが差し迫って来ていること、などなど。3時間みっちり聞かされた。沢田は何度も何度も謝っていた。巻き込んでごめんなさいと。
私を選んだ理由について追求すると、明確な理由ははぐらかされた。
何を求めて、何に期待して私を選んだのか。前世はともかく、今世の私は喧嘩したこと愚か、殴ったことも殴られたこともない。つまり一般人である。
「______少し、考えさせて欲しい」
リングが届いた時に割り切ったつもりだったが実際に当人から話を聞くとやはり不安が強くなる。
沢田とリボーンの客間に残し、逃げるように自分の部屋に籠った。
side リボーン
冷静な判断力と俊敏さは是非ファミリーに欲しいと予てより考えていた。
並盛中ケンカの強さランキング20位、足の速さランキング1位。今まで何度も接触を試みるも全てが失敗。何度もツナをけしかけたが、自然に、たまたま、運悪く、合わすことが叶わなかった。ただ偶然が重なり、どんどん後回しになっちまった。
六道骸の時も、黒曜の生徒に襲われるが無傷で逃走。柿本千種、城島犬でさえ傷1つ付けることが出来なかったらしい。
調べた結果、白木家は代々足が速い家系であることがわかっている。その中でも白木恵はずば抜けて速いが。
裏社会の話をする時も黙々とあまり表情を変えることなく聞いていた。恵が部屋を出て行ってから数十分。全く戻ってくる気配がない。ツナも表情が暗く、俯いている。
ヴァリアーが来るっていうのにこいつはやべぇな……。
最悪なファーストコンタクトになっちまった。
主人公の足の速さは遺伝である。……遺伝である(無茶振り)
次の更新は一ヶ月後とか二ヶ月後とか、もうしないとか、なんとか。
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