SND STAR WARS   作:和泉向慶

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第1章 番外編
Tatooine of the Hopes(タトゥイーンの希望)


ロウイツファイターがコルサントから飛び出した。

「ST、ハイパー・スペースに入る準備を」

STはハイパードライブのレバーを引くーーー

その瞬間ロウイツファイターは異次元空間に突入した。

 

「コレリアン・ランに異常は?」

「ありません」

 

ただただ水色の空間が続くハイパー・スペース内を1人のテグホンと2体のドロイドを積んだ戦闘機が進む。

 

 

「間もなくアケニス宙域です」

「わかった。降りてくれ」

 

ロウイツファイターはタトゥイーンの見えるところで異空間から戻った。

「よし、そのままタトゥイーンへ向おう」

「了解。」

 

 

ファイターはタトゥイーンの砂漠に着陸した。

「マスター・ヒユ、私たちはどうすれば?」

KSも近寄ってくる。

「すまない、待っててくれないか?すぐに戻る」

STとKSは悲しそうな仕草をした。

「マスターヒユ、どうかご無事で…フォースが共にあらんことを」

「ありがとう、何かあったらコムリンクに連絡してくれ。」

そう言ってヒユはロウイツファイターに背を向け、歩きだした。

 

ファイターの中ではドロイド同士の会話が行われていた。

「KS、知っているか?セン様が行方不明になったそうだ…」

「ケ…ム…」

「そろそろヒユ様の信頼が不安になる…」

 

 

一方のヒユは何もない砂漠をただひたすら歩いていた。

 

「ん?」何かスナイパー・ライフルの弾のようなものがヒユの横を通った。

そしてヒユはもう一弾来ていた弾をフォースで跳ね返した。

弾が飛んできた方を見るとそこにはタスケン・サイクラー・ライフルを構えたタスケンがいた。

「ウーウォッ!ウォッ!ウォッ!」

ヒユはタスケンに背を向け、再び歩き始めた。

だがそちらにもタスケンが。挟まれたのだ。ヒユはセイバーを起動して『ソレス』の構えをした。

今にも争いが始まるような雰囲気が漂う。

 

 

しかしそれを邪魔するかのようにクレイト・ドラゴンの鳴き声が聞こえた。

「ウォッ!?ウォーーー」タスケンはドラゴンの声に怯え、逃げていった。

しかしヒユは油断できない。近くにクレイト・ドラゴンがいるかもしれないのだ。

 

ヒユは鳴き声が聞こえた方へ慎重に忍ぶ。

 

【砂の山の先にいるのだろうか…何か物音が聞こえる。】

その歩くような音はだんだんとヒユに近づき、そしてだんだん速くなった。

【まずい】

ヒユはセイバーを起動して襲いかかる何者かの攻撃をかわす。

しかしその後も何度もショッキングピンクのライトセイバーを叩きつけてきた。ヒユは相手を倒そうとはせず、全てをセイバーで弾いた。

 

「待ってください!」ヒユは何度も叫んだが相手は止まらず、セイバーを叩きつけてくる。

ヒユはタイミングを計ってセイバーを振り、相手のセイバーを落とした。

相手はすぐにフォースで引き寄せようとしたが、ヒユがそれを止めた。

「私です、ミユ・ハリ。あなたは私をご存知のはず。」

「マスター・ヒユ?」

ミユはヒユを見た。

「はい、センの元マスターです。」

そしてセイバーを下ろした。

「ご用件は?」

「とても大切な話があります。できれば室内で行いたいのですが…」

ミユはライトセーバーをフォースで引き寄せ、ヒユを自分の家へと招いた。

 

そしてヒユは見覚えのある家の階段を降りた。

 

「そこに座ってください」

ミユはヒユをダイニングへ誘った。

「ブルー・ミルクはいかがですか?」

ミユは青い液体の入った容器を持って尋ねた。

「お言葉に甘えて。」

ミユは机上にコップを置き、ミルクを注いだ。

「それで、どうしてここへ?」

ヒユは真剣な表情で、ミユに話し始めた。

「あなたもフォース=センシティブなら感じたはずです。フォースの乱れを。そしてその乱れを起こした者も。」

「…まさか…そんな…」ミユは跪いた。

途端に違う部屋に居たのであろう2人の赤ん坊の泣き声が聞こえた。

「彼らは?」

「センの息子です…」

「ここにいては危険です。私の親しい知り合いに預けましょう。」

「そんな…」

「気持ちはよく分かりますがシスがあなた達を狙いに来るかもしれません。」

ミユは頭を抱え、しばらく悩んだ末、決断した。

「わかりました。しかし預けるのは1人だけにしてください。何かあった時に救いの存在となるように…」

 

ミユとヒユはかつてイトとワンが使っていたスピーダーに乗り込んだ。

 

養子として受け取る者の家に着くと家主が出迎えた。

「彼はジャスティン・ビャク。そして彼女はナノム・ビャク。あなた達と同じジーモンです。」

「こんにちはコミさん。はじめまして。」

「あなた達が私の子を預かってくれるのね。」

「ええ、大切に育てるわ。約束する。」

それを聞いたミユは涙目になりながら、そっと愛する第二子を渡した。

「希望は、無限大です」

そう言って仲良く並ぶ双子の太陽に背を向けて、スピーダーに向かい歩きはじめた…


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