「胸……大きくならなかったな。」
「うるさい……!!」
「背……高くならなかったな。」
「うるさい……!!」
「色っぽくなれなかったな。」
「うる、さい……!」
「100年も経ったのにな。」
「うるさいって、いってるだろ!!」
妹紅が陽斗を殴る。
今の会話からわかる通り、妹紅は色っぽくならなかった。
――いや、なれなかった。何故なら、100年経っても年を取らなかったからだ。だから、何も変わらなかった。
……いや、口調だけは変わったか。
「今、そこにいる女の子が色っぽくないと聞こえたが、君が言ったのかね?」
「ん? ああ、俺が言った。……っていきなり胸倉掴むのは無いだろ!? ……てか、あんた誰だよ?」
「おっと、自己紹介が遅れたが私の名は、阿倍清明だ。」
「安部清明って、都で最も有名な陰陽師の安部清明?腕は良いけど、セクハラすることで有名な?」
「その通りだ。」
妹紅は安部清明の悪評に顔をしかめている。
「私の名前がわかったようだからもう一度聞くが、彼女が色っぽくないとはどういうことだね?」
「逆に聞きたい。どこが色っぽいんだ?」
俺は、こいつ頭おかしいんじゃね?と言う視線で
妹紅は、期待した視線で、安部 清明を見る。
「小さい胸、低い背、子供っぽい顔。どこが色っぽくないんだ……!?」
速報、安部清明はロリコンだった!!
もう一度言う、安部清明はロリコンだった!!
妹紅は絶望で燃え尽きていた。
「プッ。お前ロリコンかよ?……俺は絶対巨乳の方が良いがな」
「ふん、ぶくぶくと太った女に興味は無い!!」
「あ?なんつったてめぇ?」
俺と清明が睨み合う。妹紅はまだ、沈んでいる。いや額に青筋が見えるようになった気もする。気のせいか?
数分睨み合っていたが、
「にしても、まだエロについてこんなに語れる人物がいるとは……都も捨てたもんじゃないのかもな。」
「いや、私も久しぶりだよ。こんなに語れたのは。女の子はすぐ逃げるし、男は最近流行りの草食系ばかりだし。」
俺と清明はうんうんと頷いた後、堅い握手をする。
「これからは清さんって呼んでいいか?俺のことも陽斗でいいから。」
「わかったよ。陽斗君。」
握手をさらに堅くさせる。
「……良い雰囲気の所悪いけど、私の怒りパラメーター吹っ切れてんですよ。さっきから、胸が小さいとか、背が低いとか、顔が童顔とか、本人が気にしてることズバズバ言ちゃってくれて、キレても良いですよね……?」
目からハイライトの消えた妹紅が近寄ってくる。
さっきのエロ談議で大きくなった息子が再び小さくなる。
清さんなんて、泡吹いて漏らしてるし。男のお漏らしとか……キモいだけだから。
俺、死んだかも。
これ、生き残れたら、色っぽいお姉さんと結婚するんだ。
妹紅の拳が顔面に近づいてくるのを鑑賞した後、俺の意識は消えた。