ルフィちゃん(♀)逆行冒険譚   作:ろぼと

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遅れて大変申し訳ない!

あ…ありのまま 今 起こったことを話すぜ!

『おれは先日3万文字を1万5千の2話に分けたと思ったらいつのまにか後半が3万に戻っていた』

な… 何を言っているのかry


はい、また二つに分けます。
サラダちゃんが過保護を止めるお話。
またゾロくんが主人公です。ウソップくんは次話大活躍します(3度目

次こそ、次こそウソップ編終ります…



16話 オオカミ少年・Ⅶ (挿絵注意) 

 

 

大海賊時代・22年

東の海(イーストブルー) ゲッコー諸島沖海軍第16支部巡回船

 

 

 

「どういう…ことだ?」

 

 

 “四海”(ブルー)と呼ばれる東西南北四方の名を冠す大洋。

 赤い土の大陸(レッドライン)偉大なる航路(グランドライン)に分かたれたこの四つの海は、その位置関係に準じた特異な風が吹くことからその名を持つ。

 ここ東の海(イーストブルー)で“常東風”と呼ばれるそれは、四海(ブルー)偉大なる航路(グランドライン)が交差する“登る運河”リヴァース・マウンテンを目指して東から西へと吹き続け、偉大なる航路(グランドライン)を目指す海賊たちを後押しする“夢の追い風”として時代と共に親しまれてきた。

 

 東の海(イーストブルー)の天候はこの“常東風”と、島々に吹く陸風・海風、そして四季折々の気温変動による季節風、その三つの風と壮大な海によって育まれる。

 現在の夏においては強烈な上昇気流が生み出す“夏風”が“常東風”と衝突し、島々の陸風・海風が凪となる早朝の外洋を大きく掻き乱す。故にこの時期の早朝の海  特に荒れが酷いゲッコー諸島遠洋  は遠洋航海には適さない、というのが航海士たちの常識であった。

 

 

 そんな真夏の東の海(イーストブルー)が朝日に赤く照らされる頃。暴れる“常東風”に荒れるゲッコー諸島沖の海上では、一隻の帆船が高波に煽られ大きく揺れていた。

 

 海軍第16支部所属一等巡回船『スケイブン号』である。

 

 

「何故“麦わら”が“クロネコ”に攻撃を…?同盟…では無かったのか…?」

 

「はっ!ど、どうやら両者の同盟は杞憂であったようです…」

 

 上官の推理にケチを付ける形になり、海兵の一人が恐る恐る客観的な視点を述べた。

 

 

 上官の名はネズミ。

 とある事情でここゲッコー諸島の巡回を一時的に担当している海軍支部大佐である。

 

 この男、極悪賞金首『“ノコギリ”のアーロン』を筆頭に実に8つもの海賊団との金銭取引関係がある悪徳将校だ。

 主な癒着は海賊行為の黙認と引き換えに貢金を受け取ることで、自身の管轄海域で活動する取引相手の海賊たちの懸賞金額が上がらぬよう悪事を隠蔽し、賞金稼ぎたちなどから守っている。

 

 そのような小悪党が面倒な荒海航行を行ってまでこの夏の早朝のゲッコー諸島沖を巡回している理由はたった一つ。諸島で営まれているシロップ村の富豪家の資産を手に入れるためだ。

 

「あの海賊共が令嬢の資産を巡って争っていることは状況的にまず間違いない…!だが、では何故“麦わら”は一度去ったあの島にまた戻ってきたんだ…?それに“クロネコ”は島の船員を引き上げている…?あれはどうみても上陸を妨害されて始まった戦闘  っ、ま、まさか…!?」

 

 荒れる海に込み上げる吐き気を耐えながら、支部大佐ネズミが目の前で争う二つの海賊団の関係を推理する。

 

「まさか連中  まだ双方とも資産を手にしていない…!?」

 

 ネズミは自身のその発想に目を見開いた。

 

 男がこの島でひっそりと佇む、とある資産家の屋敷の存在を知ったのは先日のこと。

 運良く屋敷のある村が海賊に襲われ、その被害の通報を行ったのが資産家の長女にして遺児を名乗る若い少女であった。

 

 令嬢の身元を調べ判明した屋敷の状況。それは愚かにも親戚との縁を捨て、屋敷を守る少女と数名の執事たちによる慎ましやかな生活が営まれている…というもの。

 

 まるで据え膳のように無防備な巨額の資産。

 当然、狙う不届き者共は多かった。

 

 支部大佐ネズミの双眼鏡に映るのは二つの海賊団。

 上位組織『海軍本部』さえもが異様なほど警戒し、大規模な討伐部隊が準備されている謎の新進気鋭の極々小規模一味『麦わら海賊団』。そして、かつて1600万ベリーの大型賞金首に率いられ、三年の年月を経て再結成した野望多き一党『クロネコ海賊団』だ。

 

 連中こそ、富豪の屋敷の資産を巡り争う海の不届き者共である。

 

「…そう、そうだ!これは我々含む三つの勢力が別々の思惑で行動した結果拗れた状況なんだ!」

 

「!や、やはり偶然の三つ巴なのですね…!」

 

 当初、ネズミはこの両者が同盟を結んでいるものと想定していた。だが現状を見る限り、その心配は杞憂に終ったことになる。

 

「ああ、どうもそうらしい…!虎視眈々と資産を奪おうとしていた“クロネコ”の前に、船と物資を求めた“麦わら”が突然やって来て、村を荒らした…!潜んでいた“クロネコ”は連中のせいでおれたち海軍を呼ばれ、資産の存在が我々に悟られぬよう、昨夜にこちらを牽制するために攻撃してきたんだ!…そしてその後“麦わら”たちが資産の存在に遅れて気付き、舞い戻った…!!あそこでヤり合ってる連中はそれだ!!」

 

「な、なる…ほど…?」

 

 目まぐるしい状況変化にもかかわらず、小悪党のお得意の妄想癖は留まることを知らない。それでもある程度正解に近い謎の説得力を感じさせるのは、最早この男の天性の才なのだろう。

 

 もっとも、『麦わら』が洋上で如何にして見落とした資産の存在に気付いたのか、部下の海兵たちにはわからない。前提となる仮説が憶測の域を出ない、あまりにもあやふやな分析である。

 

 だが重要なのは事態の推理ごっこではない。大事なのは、近い日に貢金の回収に海賊たちのアジトを巡るこの巡回船を無傷で守ることと  最終的に『麦わら』と『クロネコ』のどちらの海賊団の手に屋敷の資産が渡ったのかを知ることである。

 

 『麦わら』であれば、当初の予定通りアジトだけ把握しておけばよい。連中は直にやって来る海軍本部の超戦力の討伐部隊に殲滅される故、態々こちらが犠牲を払う必要などないのだ。

 

 だが万が一資産が『クロネコ』に奪われるか、本来の持ち主である富豪の令嬢の手に残ったままであった場合、事情は大きく異なり他力本願な計画では不十分となる。

 

 そして最も厄介なのが、資産が『クロネコ』に渡った場合。 

 

「大佐!具申します!“麦わら”と協力し“クロネコ”を攻撃するべきです!」

 

「!」

 

「もし“クロネコ”の手に資産が渡れば、我々が連中から資産を奪うには我々自身の手で直接戦って奪うほかありません!“麦わら”は本部が潰すでしょうし、令嬢は交渉でどうとでもなります!最も困難な状況を避けるために、ここで“麦わら”の戦力を借り“クロネコ”を潰すべきです!」

 

 そう上司に提案したのは次官のラット支部大尉。初期の頃から上官を支え続けてきた腹心中の腹心である。

 その付き合いの長さから、二人の間に“海軍将校”として果たさねばならない義務に頓着するなどという発想は存在しない。あるのはただ、如何にしてより多くの富を得るかである。

 

「……他に意見は無いか?  ならばラット次官の策を取る!標的は“クロネコ海賊団”!艦は風下のまま反転!砲兵は後部砲室より順次発砲せよ!」

 

 

 戦略を即座に立て直した海軍第16支部は、富豪の資産を手に入れられる確率が最も高い状況を作り出すために、巡回船『スケイブン号』一丸となって三つ巴の戦いにその身を投じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大海賊時代・22年

東の海(イーストブルー) ゲッコー諸島某島海岸

 

 

 

 その感覚は、男がかつて戦った剣士殺しの能力者に膝を突かされたときに感じたものと同じであった。

 

 己が抱く勝利への執念が、ただの意思を超えた物理的な力となって身体を限界の更に先へと至らせる、謎の不可視の炎熱。

 何かを成す。その確かな意思が齎した、筋肉や精神による力の発揮とは明らかに異なる人知を超えた現象が、自身の肉体を通して起きていた。

 

 

「ゾ……ロ?」

 

 佇む男の鼓膜を、幼げな少女の鈴音の声が震わせる。

 

 はたと我に返りその持ち主へと振り向き、目にした人物の顔には、ぽかんと呆けたはしたない表情が浮かんでいた。

 

 

「……泣かせてねェ」

 

  え?」

 

 薄っすらと赤らむ少女の大きな目から視線を逸らし、男、剣士ゾロは自分の足元に転がる二人の男を見下ろしながら、バツが悪そうに復唱した。

 

「……おれはやられそうになんかなってねェ。……だからお前を泣かせてねェ」

 

 その言葉を言い終え、強情な男は少女に背を見せたまま砂浜のほうへと足を向ける。

 

 血だらけの体で地面に倒れ意識を飛ばしているのは、男の強敵との一騎打ちを邪魔した無粋な殿の二人組、“ニャーバン・兄弟(ブラザーズ)”。ゾロが先ほどから湧き上がる自身の力に身を任せ、反撃の一振りの下に叩き斬った敵の成れの果てである。

 

 足止めを倒した今、剣士が望むのは自身の獲物たる敵の首魁『“百計”の男』との勝負の決着だ。

 

「……おれをあの執事野郎のとこまで連れてけ、ルフィ」

 

 男の命令が少女、一味の船長ルフィの耳に響く。

 その内容が理解となって脳に浸透するにつれ、娘の目が潤み、頬はフグのように膨れ上がった。

 

「ッ、むぅぅぅっ!  バカっ!ゾロのバカっ!無鉄砲!あとむっつり!」

 

「誰がむっつりだ!あとおれはバカでも無鉄砲でもねェ!」

 

「バカよっ!だってそっち私たちの船の方向と逆だもん!」

 

 ルフィの怒鳴り声に小さく固まった剣士は、ゆっくりと少女の人差し指が示す方角へ振り向く。そこにあったのは男の、自身が乗り込む海賊団『麦わらの一味』が操る海賊船『ゴーイング・メリー号』の小柄な船影。

 

 そしてゾロは再度、己が先ほど目指していた方角へ向き直る。

 そこには見渡す限りの大海原。

 

 おかしい、メリー号が瞬間移動している。

 

「ほらっ!ゾロは目の前にでぇぇん!って浮かんでる船の存在すら見失って勝手にどっか行っちゃう迷子バカなんだからっ!」

 

「ッ、まっ、迷子じゃねェ!」

 

 首を捻りながらルフィの指摘に反論する男。

 だがゾロの主張を投げ掛けられた船長の頬は膨らむ一方。揺れ動く夜空の双眸はキッと吊り上げられ、痛ましい赤に染まっていた。

 

「心配したもん……心配したんだもんっ!!」

 

 男を睨みつける少女の口から吐き出されたのは、胸を突き刺す悲愴な叫び声。

 

「怪我してるのに…!我慢強くて頑丈なゾロがいつも痛そうにしてるほど酷い怪我なのに…っ!鍛錬もお酒も止めないし!戦わないでってお願いしてるのに、船長命令なのに言うこと聞かないしっ!!」

 

「…先に断っただろ」

 

「断んないでよっ!!」

 

 四の五の言わせぬ頑固な意思でゾロの弁論を受け付けない過保護な女船長。

 まるで子の身を案じる母親のように、一味のボスが身勝手なクルーを叱咤する。

 

「船長の私に謝りなさいっ!ナミとウソップにも謝りなさいっ!“怪我してるのに無茶してごめんなさい”って!“仲間に心配かけてごめんなさい”って!」

 

 反省の誠意を欲し、ルフィは剣士に謝罪を求める。

 強さを求め、強敵を求めるゾロにとっては認め難い要望だ。

 

 だが、船長の強要に抗議しようと感情を沸立たせた男の耳に微かに届いた、少女の口からポツリと零れた最後の一言は、震える沈痛な掠れ声だった。

 

 

  私も“二度としないで”なんて…言わないから……」

 

 

 はっと振り向いた先にあったのは、デニムの内ももの短い裾を握り締めながら俯く少女の姿。

 

 唇を噛み、小さく震える肩が、その胸中に押さえ込まれている感情の大きさを無言で語る。

 

 大切な人間が傷付く恐怖に男女の差などなく、その場に居ながら黙って見ていることしか出来ない無力感は誰であっても同じ。

 特に圧倒的な強さを持つこの人物だからこそ、仲間である青年の意思を重んじ、その手に宿る力を差し伸べることを封じ続ける遣る瀬無い思いは察するに余りある。

 

 自身が負う傷一つ一つが、少女の心の傷となる。

 

 その事実から目を逸らし続けてきた剣士は、これ以上逃げることを許してもらえなかった。

 

 

  悪かった」

 

 しばしの逡巡の後に下げた頭は、自身が想像していた以上に重く  

 

 

  うん、許します」

 

   少女の寛恕の笑みは、いつもの屈託の無い無邪気なものとは異なる、どこかの誰かの最期を想起させるような……心を偽る虚しい笑顔だった。

 

 

 その嫌な記憶の正体にゾロがたどり着きそうになる直前。子供らしく唐突に話題を変えた少女が声高々に剣士の勝負を賞賛した。

 

「そうよゾロっ!さっきソコの人たち倒す直前にまた覇気がぐーんって上がったわね、凄いじゃない!そのくらいだった頃のエースはわかり易いほど以前より体が頑丈になったり、五感とか直感が鋭くなったって言ってたわ!あなたもそんな感じなんじゃないかしらっ?!」

 

 今度こそ心底嬉しそうに目を輝かせ、歓喜に自身の愛らしい幼顔を高揚させるルフィ。

 島に置き去りにされてから、僅か一日。少女のその代名詞たる太陽の笑顔を見ていなかっただけで、随分と遠く、空虚な喪失感を覚えてしまうものだ。

 

 取り戻せた彼女の本来の素顔に感じる形容し難い高揚感と、思い出しそうになったかつてのトラウマが霧散する、言い知れぬ安堵感。剣士は双方の奇妙な感情に困惑するも、船長が齎した新たな話題は、そんなゾロの関心さえも非常に強く引くものであった。

 

「あ、ああ…。やっぱこの、ぐつぐつしてるのが覇気…なのか…」

 

「ぐつぐつ…?……あの、ごめんなさいゾロ…私って武装色も見聞色も覇王色の覇気もある日突然使えるようになったの。あなたのソレはその前か…もっと前の段階だと思うから、よくわからないわ…」

 

 普段から喜怒哀楽の激しい人物であったが、今の少女の感情は負の方向へ振れ易いように思える。

 剣士の問いに答えられない。そんな些細な無力感であっても、彼女の心を大きく苛んでしまうのだろうか。

 

 とはいえ、その本質が陰ったわけではないらしい。

 

「……あっ!でもでもっ!さっきゾロ、めちゃくちゃに暴れる執事の居場所捉えてたわよね?!そっちは私がいつも使ってる“見聞色の覇気”の素質だと思うわ!武装色の覇気の身体強化もさっき使ってたし、もうそこまで覇気を掴んでるなんて、流石ゾロねっ!!」

 

 些細なきっかけや閃きでコロコロと忙しなく表情を変える少女ルフィ。

 常に振り回されてばかりの剣士は内心を悟られまいと慌てて返す言葉を捜した。

 

「ッ、そう、そうだあの時、時間が引き延ばされたような妙な感覚があった。もしやソレか…?」

 

「そうそれっ!エースが目覚めそうになったときになんかそんなコト言ってた気がするわっ!あの力は相手の心の声を聞くコト以外に体感時間を延ばしたりも出来るから、ゾロの“時間が引き延ばされた”~って感覚も同じ見聞色の覇気よ!きっとそう!」

 

 何とも煮え切らないが、どうやら彼女は男が双色の覇気の素質を持つと信じ疑っていないらしい。

 真に才ある者のみにしか発現しないと語るその特異な力。ゾロは己が全てに恵まれているなどという楽観的な考えは持ち合わせていない。

 だが目の前の少女の自信に満ち溢れる笑顔を見ていると、何故か根拠の無い確信を覚えてしまう。

 

 意思の力。

 信じることで我が物と出来るのであれば、たとえそれが戯言であったとしても、強者たる“王”の玉音ならば信ずるに値する。

 

 一匹狼として生きてきたはずの剣士は、ここ一月未満の短い時間における自身の心の変わりように小さく苦笑した。

 

「……これも“信頼”ってヤツか…」

 

「…ッ、信頼……」

 

「……いや、何でもねェ。  それより早く船を出せ、執事を追うぞ…!」

 

 信頼には信頼を。

 ゾロは無言で一味の船長に求める。

 

 

   おれを信じろ。

 

 

 倒しそびれた敵との決着を求める力の求道者、未来の大剣豪ゾロ。

 

 その力強い剣士の視線に、少女ルフィは僅かにたじろぐ。

 

 嫌。傷ついて欲しくない。無事でいて欲しい。

 そう願ってしまうのは、あの日の夜に見た“夢”で、大切な人を失う恐怖と苦痛を知るからこそ。

 

 それでも、覇気を通し感じる男の強い意思が、少女の心を船長のそれへと引き締めさせる。

 

 かつて“オレンジの町”で『“道化”のバギー』との再戦を望んだゾロに教えられた、“仲間を信じる”ということ。ルフィ少年が理解し、自分が理解していなかったもの。

 

 今、少女の仲間が再度、少女にその理解を求めていた。

 

「…ッ」

 

 ズキズキと胸中を侵す痛みに耐えながら、ルフィは深呼吸を繰り返す。少しずつ強くなっていく己の心が、仲間を守るための暴力以外の力へと昇華してくれることを祈りながら。

 

 

 そして船長ルフィは覚悟を決めた。

 

 

  わかったわ。私も、もう泣かない」

 

「…ッ!」

 

 ゾクッ…と剣士の体を何かが走り抜けた。

 

 少女が成した決意は、少女が世界に穿つ心の楔。

 海を揺らし、空を震わせ、時代に選ばれし寵児の意思が大地を響かせる。草木が、石土が、まるで万物が“王”の御意を得たかのように、目に見えぬその頭を垂れた。

 

 王の素質とは、臣民を従え背負う、王の意思を叶える力。

 

 臣下を信じ、その意思を背負うと決めた、若き海の女君主(プリンセス)。覇道を進む王者の覚悟が、弱き少女の悲痛を耐え忍ぶ新たな力となって、未来の海賊王の玉体に宿ったのだ。

 

「……私、もう泣かないから。……だから、ゾロ  

 

 少女の満天の夜空の瞳が剣士の心を射抜く。

 

 下されるのは、男が従う覇者の王命。

 民を導き、覇道を進み、この世の全てを欲す偉大な海の王女が臣下に望む、たった一つの願い。

 

 

  勝ちなさいっ!!!」

 

 

 高く、玲瓏とした声が剣士の魂を圧倒する。

 まるで砲撃の爆風を受けたかのような衝撃が身体中を走り、男はあまりの威圧に硬直した。

 

  ッッ!!」

 

 最初の出会い。シェルズタウンで受けた、あの意識を飛ばすほどの凄まじい気迫が再度“王”より放たれる。

 だが少女が放つ此度の力の奔流には、威伏させる武の意思を感じない。

 

 あるのはただ、己の信じる剣士の勝利を後押し鼓舞する“王”の信頼のみ。

 

 そしてそれは、未来の海賊王の背中を守る未来の大剣豪が、己の主に望んだ何よりも尊い意志の力であった。

 

 

 ……その信。剣士として、男として、応えねばなるまい。

 

 

  無論だぜ、船長ォッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大海賊時代・22年

東の海(イーストブルー) ゲッコー諸島沖『ゴーイング・メリー号』甲板

 

 

 

 ここは『麦わら海賊団』が無断で拝借しているキャラベル船『ゴーイング・メリー号』。

 海賊らしく傍若無人でありながらも、他の海賊の襲撃を受ける一味の狙撃手ウソップ少年の故郷、シロップ村を守るために海へと繰り出した、義理堅い一味でもある。

 

 そんな彼らが進む先にあるのは二隻の帆船。

 敵の一党『クロネコ海賊団』と、突然現れた世界治安維持組織『海軍』の巡回船である。

 

 前者は問題ない。先日から標的として定めている、れっきとした敵である。

 

 問題は後者。一味の彼ら彼女らがその海軍船に抱いているのは純粋な疑問、「何故ここにいる」である。

 

 いきなり島を攻撃し、一味の戦闘員である剣士『“海賊狩り”のゾロ』と敵の親玉『“百計”のクロ』との一騎打ちに水を差した不躾な“絶対正義の執行者”。

 そんな連中に、そもそも海賊として良い感情を抱けるわけがない。

 

 だが、この場で最も闘志を昂らせているはずの男、ゾロは今、腑抜けになっていた。

 

 

「……“信頼”ってなんだ…?」

 

 虚ろな目を空に向け、ポツリと呟くその言葉は実に多くの議論を呼ぶ難題であった。

 

「…なんかゾロが深いこと言ってるぞ、ルフィ」

 

 そんな剣士の状態を同情めいた視線で見つめていた一味の狙撃手ウソップが、全ての元凶である隣の少女に指摘した。

 少年の言葉には隠す気の無い非難の意が籠っている。

 

 だが当の少女、一味の船長ルフィは、きょとんとした顔で自身が島の海岸から回収してきた剣士に問い掛けた。

 

「何メソメソしてんのよ、ゾロ。ちゃんと受け止めてあげたじゃない。怪我にだって気を使って無事な右腕と右足を掴んだのよ?“過保護は止めろ”って言われたから止めたのに、今度は“優しく扱え”だなんて優柔不断だわっ!」

 

  ンな一千メートルも先の海に放り投げるバカがいるかっ!!海岸で敵と戦ったときより死ぬかと思ったじゃねェか!!」

 

 少女の心底不思議そうな表情に猛烈な憤怒を抱いた剣士、ゾロが抜けた腑をかき集め気力を取り戻す。

 

 先ほどまで殊勝なか弱い女の子の顔をしていたと思えば、いきなり圧倒的強者の王器を示した、己の偉大な船長ルフィ。

 その覇気に当てられ気が高揚していたはずのゾロの思いを唐突に裏切った少女に、男は信頼という言葉の意味を考え直すハメになっていた。

 

「……てめェさっきまでおれのコトまるでガラス細工みてェに心配してたじゃねェか。突然こんな扱いするとか、おれなんか嫌われること  命令無視して敵と戦ったな、うん。……すまん」

 

「別に怒ってないわよ?もう全部許したし  それに私ゾロの意志を尊重して、あなたのコトちゃんと信じるって決めたもの!」

 

「だからって扱い雑過ぎるだろ!!」

 

 食いかかる剣士にルフィは不愉快そうに頬を膨らませる。

 

「…だって男の人に身体触らせるワケにはいかないんでしょ、ナミ」

 

「……へっ、私っ?」

 

 突然話題を振られた一味の航海士ナミが目を見開いて少女を見つめる。

 その理解に欠けた彼女の顔に、ルフィは更に腹を立てた。

 

「だからナミが“簡単に男に身体触らせちゃダメ”なんて言うから、ゾロを投げるハメになったのっ!……それにゾロに聞いたら私の身体にそんな、見ただけで何万ベリーの価値なんて無いって教えてくれたわ…っ!ナミのバカっ!嘘吐き!」

 

『……は?』

 

 一人で勝手に良くわからないことを口にしながらぷりぷりと怒る麦わら娘に、その場の全員の頭上に疑問符が浮かぶ。

 

「……ねぇゾロ、どういうこと…?」

 

 極めて素朴な疑問を当事者の片割たる剣士ゾロに投げ掛けたのは、謎の怒りを向けられた美しい女航海士ナミ。

 その至極もっともな問いに男はルフィと共に語りだす。

 

 それはつい四半刻ほど前の出来事であった  

 

 

 

 

 

『じゃあ、早く船に戻りましょ!私がだっこして連れてってあげるわっ!』

 

『応っ  って、は?』

 

 “王”の命を受け、謎の高揚感が身体中を巡る剣士の昂る闘志を吹き飛ばしたのは、当の“王”のそんな言葉であった。

 

 

『はいゾロ  きてっ!』

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 突然少女が胸襟を広げ、男に満面の笑顔を見せる。

 

 勢い良く開いた腕に釣られるように、思わず効果音の幻聴が聞こえてしまうほど重たげに揺れる、二つの豊か過ぎる小麦色。

 様々  そう、実に様々な状況において、相手を自分の胸元に迎え入れるための仕草。そこに込められた意図を理解することを、招かれた剣士自身の理性が全力で拒絶する。

 

 硬化したまま顎を垂らすゾロの姿を疑問に思い、こてんっと小首を傾げた少女はしばしの思考を経て、突然あることに気が付いた。

 

  ハッ!ダ、ダメっ!ごめんなさいゾロっ、やっぱダメよっ!私に触ったらゾロの借金がまた増えちゃう…っ!!』

 

『…………は?』

 

 脅えるように自身の身体を抱き、顔を青ざめさせる絶世の肢体を持つ愛らしい少女船長ルフィ。

 まるで目の前の無体な男に乱暴されそうになっているかのように震える人物が、まるで理解不能なことを口にする。

 

 しばしの時を考察に使ったゾロであったが、すぐに徒労に終ることに気付き、大人しくこの頭のおかしい女の言葉の続きを待った。

 

『あ、あのねゾロ…!ナミがね、私の裸は見るだけで何万何十万ベリーもしちゃって、触ったりなんかしたら何百万も払わないといけないんだって言ってたの…っ!』

 

『………………は?』

 

『わ、私も知らなかったんだけど……その、ナミが入る前に二人きりだったときに、えと、わ、私そういうの全然わかんなくて、結構ゾロの近くで着替えたり身体拭いたりしちゃってたじゃない…?あれもお金取られちゃうんだって…!』

 

 前言撤回である。

 これはいくら考察しても、当人の言葉の続きを待っても、到底理解出来る話ではないようだ。

 

『……何言ってんのかさっぱりわかんねェが、その“お金取られちゃう”ってのはお前がおれから取るんだよな…?』

 

『えっ?何で私がゾロからお金なんか取るの?』

 

『…………だったらどこのどいつが請求するんだ?』

 

『えっ?……あれ?誰かしら…?』

 

『だからお前じゃねェなら誰なんだよ!!?』

 

 ゾロの咄嗟のツッコミが冴え渡る。

 

 まるで第三者が不運な多額債務者の状況に同情しているかのような他人目線の文脈が、少女の言葉の内容を著しく混乱させていた。

 

 もっとも本人の反応を見る限り、どうやらただナミに言われた言い付けや受け売り  若しくは軽い冗談の類だったものを、このバカが曲解してマジメに捉えてしまったのだろう。

 

 

 ……考えるに値しない、極めて無駄な時間であった。

 

『……安心しろ。あの船が手に入ったら二度とそんなことは起きねェから、その借金とやらも忘れろ。フツーの女の身体にそんな価値はねェ、いいな?』

 

『え?…で、でもナミが“ある”って…』

 

『さァな、アイツがそう言うならアイツのにはあるんじゃねェの?身体だろうがなんだろうが、てめェの価値なんざてめェで決めるモンだろ?』

 

 その言葉の何かが琴線に響いたのか、少女が神妙に考え込む。

 

『私の……うーん、嫌な人に触られるのはヤだけど、別にお金貰うよりは怒って殴りたいかな…?』

 

『ならお前の身体の価値は、海軍基地施設を真っ二つにするお前の一撃と同等ってことだ。よかったな』

 

『むぅ……ナミの嘘吐き…!』

 

 不満そうに頬を膨らませる少女の子供っぽい仕草に毒気を抜かれ、ゾロは溜息を吐きながら船長に乗船許可を催促した。

 

『何でもいいからさっさとおれを船に乗せろ。もう執事の船があの謎の海軍船の近くまで離れてやがる』

 

『あれくらいならメリー速いしすぐに追い付けると思うけど……あ!』

 

 明るく輝くルフィのその顔に言い知れぬ不安を覚えた剣士が、嫌そうな表情を浮かべて小さく後ずさる。

 

『ねぇ、ゾロ?…私の身体に触れずに船に乗れれば“何でもいい”のよね?』

 

『……おい』

 

『じゃあ私の手を掴んで。  投げてあげる』

 

 

 ゲッコー海に浮かぶ幾つもの島の一つ。

 

 朝日に赤く照らされるその近海の洋上で、麦わら帽子の女の子が一人の男を一千メートル先の船まで砲丸投げし、それを空を飛びながら追い駆け着弾直前に回収し、優しく味方の海賊船の甲板に降り立つ何とも珍妙な光景が広がった  

 

 

 

 

  バカじゃないの?」

 

  バカじゃねェの?」

 

  バカなんだよ!!」

 

 船長ルフィの仲間たちが同時に少女を失笑する。

 親分としてあまりにも耐え難い屈辱に、麦わら娘は顔を羞恥と憤怒に赤らめ怒声を上げた。

 

「バッ!バカにしてぇっ!!バカよ!?バカなのは知ってるわよ!!?でもそんなにバカバカ言う必要なんて無いじゃないっ!バカって言う方がバカなのよっ!!  ん?……あっ!これでみんなバカね!一味の名前“バカバカ海賊団”にしようかしら!」

 

『抜けるわ一味』

 

 一同の辛辣な返しに少女がしょげる。

 

「まあ、つまりこのバカの誤解だな」

 

「誤解っていうか……何なのこれ…?」

 

「バカで十分だろ、時間の無駄だ。さっさとあの海軍どうするか決めて、執事の船におれを連れてけ」

 

 ウソップの“誤解”という単語にぴくりと反応した少女が拗ねながら、それでいて何かに縋るような顔を航海士に向けた。

 

「……その、つまりナミは嘘吐いてないのね…?」

 

「いや嘘っていうか……まあお前がただのバカってことだよ。航海士の姉ちゃんは悪くねェから安心しろ」

 

 嘘に詳しいオオカミ少年が自身の発言に強い説得力を持たせ、バカを落ち着かせる。

 

「そう、ならいいわっ!誤解してごめんなさい、ナミ!」

 

 無条件に仲間の言葉を真に受ける無垢(バカ)な少女がぱぁっと花のような笑みを浮かべ、航海士に謝罪した。

 

 あまりの素直さに一味の三人は接敵するまでの時間中、ずっと船長に哀れむような、生温かいような、そんな視線を送り続けていたとか、いなかったとか。

 

 

 

***

 

 

 

 

  “クロネコ”が海軍に追い着いた!攻撃も始めてる!」

 

 子供の高い声が風に乗り、高波に大きく揺れる甲板に広がる。

 出航からずっと見張りを引き受けていた人質四人衆、自称『ウソップ海賊団』の一人、遠見が得意のにんじん少年である。

 

 少年の声に『麦わらの一味』はハッと緩んだ気を締め直し、自称船長ウソップが童子に詳細を求めた。

 

「でかした!どこだ!?どんな感じだ!?」

 

「あっち  えぇと、北北西っ!」

 

「まあ船の観測員なら方位じゃなくて干支かクロックポジションがいいんだけど、まあいいわ。見つけてくれてありがとっ、にんじんくん」

 

「でっ、でへへ…」

 

 鼻の下を伸ばす情けない顔の少年と、彼を骨抜きにした小悪魔ナミを交互に見つめながら、少女船長が己の航海士に尊敬の眼差しを送る。

 海賊としての憧れがあの『“赤髪”のシャンクス』や“夢”のルフィ少年ならば、少女ルフィの女としての憧れは目の前の“ナミお姉さん”であった。

 

 そんな目を輝かせる少女を放置し、ゾロはこの場で最も豊富な海賊の知識を持つ長鼻の少年に訊ねる。

 

「執事が海軍を沈めるのにあんなに執着する理由は何だかわかるか?」

 

「…悪ィ、全然だ。そもそも『“百計”のクロ』は一度海軍に捕まってたはずなんだ。それが何でカヤの執事なんかやれるほど自由な身になってたのすらわかんねェ…」

 

 語り手のウソップも首を捻るばかり。深まる謎を前に、剣士は最後の切り札たる、バカだが偉大な船長の力を求めた。

 

「ルフィ、お前の覇気でなんかわかんねェか?」

 

 誤解が晴れて上機嫌な少女は、一度男へ振り向き目をぱちくりさせる。そしてこくりっと嬉しそうに頷き、遠方の二隻を一瞥した。

 

 

  あら?なんかあの人たちお嬢様の資産のコトばかり考えてるわ。執事のほうと同じで紛らわしいわね」

 

『……は?』

 

 僅か一秒足らず。

 まるで息をするかのような気安さで、遥か遠くを進む敵の戦略目的を赤裸々にする己の女船長。覇気に目覚めて間もないゾロは少女の途轍もない力をより詳しく理解し、そして戦慄する。

 

「……相変わらずとんでもないな、ウチのボスは」

 

 故に真っ先にルフィが齎した情報に反応出来たのは、既に“オレンジの町”で一度彼女の力を真横で目の当たりにし、全てを達観していた航海士ナミであった。この化け物船長の化け物っぷりはいつもの通りなのだから。

 

「……“お嬢様の資産”って…まさかあのカヤお嬢様が持ってるヤツ…?何で海軍がそんなものに興味を示すの…?」

 

「え?は?あの、お前ら何の話してんだ…?」

 

 対する新入り狙撃手は未だに化け物船長の発言の内容どころか、発言そのものの意味さえもわからずに混乱し続けていた。

 

 そしてルフィの情報を正確に分析出来たのもまた、幸か不幸か、異なる事件における被害者であるその人物であった。

 

 

  ちょ、ちょちょちょっと待って!今思い出した!あの巡回船、私前に見たことある…っ!!」

 

 いつも海賊相手に見せる底無しの憎悪。それに勝るとも劣らない強烈な感情を噴出し始めたその人物、ナミへと一味の三人が一斉に顔を向ける。

 

「あの船に乗ってる海兵は“ネズミ”って大佐よ!海賊共と癒着がある悪徳海兵、生粋のクズなんだから!」

 

 船長ルフィの超人的能力はわからずとも、航海士の記憶と経験、そしてその溢れんばかりの悪感情なら信じられるウソップ。病弱な令嬢を案ずる友達思いの少年は、この時初めて事態の深刻さを理解した。

 

「なっ!海軍だぞ!?ア、アイツらまでカヤの財産を…!!?」

 

「……御祓いでも行ったほう良さそうだな、そのカヤお嬢様ってのは」

 

 『クロネコ海賊団』に身内にまで入り込まれ、村を襲った『麦わら海賊団』の被害を世界政府に訴えれば、救援にやって来たのは海軍の皮を被った詐欺師集団。何とも踏んだり蹴ったりな病弱令嬢である。

 

「くそっ、どうすんだ…?!執事野郎はともかく、海軍に攻撃したらおれたち完全にお尋ね者に…っ!」

 

「いや、おれたち海賊だぞ?今更なに怖気付いてんだウソップ」

 

 当然のように言い放つゾロに、少年は思わず唖然とする。

 そして剣士の言葉を挑発と受け取った小心者は、勇気を湧かせて言い返した。

 

「かっ、海賊だろうとなァ!手当たり次第に敵作る必要はねェだろうが!こ、ここでアイツら撃ったりしたら、この“キャプテン・ウソップ”さまが賞金首に、に、に……あわわわ…!」

 

「落ち着けウソップ。船長が無名なのに、ただのクルーのおれたちが先に手配書に乗るワケねェだろ…」

 

 その慰めに胸を撫で下ろした新入りを軽く叩いて励まし、男は一味の最高権力者、ルフィに問い掛けた。

 

 

「……で、どうすんだ船長?」

 

 ゾロが試すように意地の悪い笑みを浮かべる。

 その顔に同じような表情で返した少女船長が声高々に宣言した。

 

「しししっ!決まってるじゃない!当然、沈めるわよっ!!」

 

『沈めるぅ!?』

 

 唐突の全面衝突宣戦布告に臆病なオオカミ少年たちが驚愕のあまり悲鳴を上げた。どうやら他の人質童子たちもいつの間にか集まっていたらしい。

 

「何驚いてんのよ、ウソップ。それにちびっ子たちも。連中にシロップ村はこの私の縄張りだと知らしめないと、またお嬢様のお宝狙われちゃうわよ?」

 

 当然のように言い張る船長ルフィ。聞く耳を持たなさそうな無鉄砲バカの説得を早々に諦めたウソップが助けを求め、一味有数の常識人たる航海士へとその身を縋った。

 

 だが少年は思い出すべきだった。彼女が目の前の海軍に抱く巨大な負の感情を。

 

「…うふふ、私怨がある身としては大賛成よルフィ…!ココで遭ったが百年目ってヤツだわ…っ!それにあのクズが目を付けたんだもの!船を沈められるくらいのしっぺ返しじゃないと、またお嬢様の資産を奪いに来るでしょうし  ウソップ、もう一度お願いよ!絶対に潰しなさい!!」

 

「ちょ、航海士さァん!?あんただけはマトモだと思ってたのにィ!!」

 

「マトモだからあのクズを殺したいほど憎いのっ!さっさと覚悟決めて撃ちなさいよ、男でしょ!?」

 

『ひぃぃぃっ!!』

 

 

 少女の憤怒の表情に為す術無く、自称『ウソップ海賊団』は復讐者ナミの尖兵へと転職することが決定した。

 

 

 

 

 三年の雌伏の時を経て、遂にその牙を向いた『クロネコ海賊団』。

 

 新たな仲間の故郷を守るべく立ち上がった『麦わら海賊団』。

 

 哀れな少女の全てを奪う、正義のカモメを掲げる悪党『海軍第16支部』

 

 

 朝日に紅く輝くゲッコー諸島の荒海。

 平和なはずのこの海で、これより令嬢カヤの資産を巡る、三つ巴の決戦の火蓋が切られる  

 

 

 





かわいいサラダちゃんが描きたかった…
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