「闇のチカラのシモベたちよ!」
「さっさとお家へ帰りなさい!」
……初代って、こんなだったっけ?
二次元の世界に転生して早くも10年。
此処が色々な世界の混合物で、埼玉の端には麻帆良学園があり、木更津の辺りにはIS学園と月光館学園なる人工島があり、日本一有名な週刊漫画雑誌では『ピンクダークの少年』や『ドラグ・ソボール』なる漫画が連載していたり、動物の村の安全を守る自らの頭蓋を掻っ捌いて食べさせてあげるヒーローの名前がアソパソマソであったり、お茶の間の話題を掻っ攫っている今一番有名な芸能人は『ドン・観音寺』であったり、ニューヨークにヘルサレムズロッドなる異界の街が出現したりと、大きなものから小さなものまで、いろいろと頭を抱えたくなるような世界であることは既に知っている。
去年も、ジュエルシードなる飛来物と闇の書なる厨二まっしぐらで地球がマッハだったところを、クラスメイトの高町さんとテスタロッサさんがご近所の高田さんというボディビルダーと八神さんらと協力して解決に導き、ご同輩の泉井くんが思いの外ヤッベエ化け物レベルの転生者だったことを改めて知り、意外と地球のピンチってそうそう無いんだなと、あと転生者ってけっこういるんだということも知ることが出来た。
胃痛と頭痛がダブルで痛いが、さほど深刻でもなくなっているので苦痛というほどでもない。
話を戻すが、私は生前、一応はニチアサ世代であったので、それがどういうモノなのかは把握している。
中学生女子が不思議生物を拾い、光のチカラでスーパーヒロインに変身する、という大元を辿ればセーラー服美少女戦士辺りに逝き尽くのではと予想される日曜朝のテレビアニメだ。
基本的に幼稚園児が観る予定で企画されているはずなのに、いい年を超えた大きなお友達からの支援がスゲェやつである。
よく覚えてはいないが、わかりやすい勧善懲悪の物理特化ヒロインではなかったかな。
『ザッケンナー!』
お相手はあの黒々しい影が寄り集まったような巨体か。
ああまで大きいと自重で自由に動けないかと思われるのだが、年端も行かない少女の拳でぐらついているのだから見た目に反してそれほどの物理作用も働かないくらい軽いのかも知れない。
ああ、こちらが10程度なのだから、年端も行かない等と言うのは間違っているかも知れないな。
さて、……現実を見るか。
今更だが、いわゆるプリキュアと呼ぶべきであろう彼女たちの恰好が、些か以上に異常である。
まず布地が少ない。
肌は惜しみなく晒されて、隠すべき局部がギリギリで隠れ見えているスリングショットなる
肩ショルダー、手套、チョーカー、アンクレットにイヤリングと装飾過多だが、それが少女の裸体を隠せているかと言えばそんなわけがない。
縦に大回転してしゃがみ込んで着地する仕草で、豊満な尻肉がむっちりと強調されている。
というか丸見えである。
そして、既に言ったが肉感が女子中学生に全く見えない。
乳房は動くたびにばるんばるんと風船みたいに揺れるし、尻も太腿もむちむちとしてて見る者の情欲を無駄にそそるであろう。
……これほんとに女子中●生?
思わず伏字にしてしまうが、カテゴリ間違えてないか。
これだと水●敬ランドに無事就職してしまったエロ漫画ヒロインだぞ。
なんだか不敬だが、言い得て妙な表現に至ってしまって申し訳なさと憤慨が同時に来る。
いつから絵柄担当がモグ●ンになったんだ。こんなの地上波の日曜朝から放送できるか。
「――ふぅ、大丈夫だった?」
「怪我は無い?」
少女たちが戦闘を終えて、画面隅で傍観していた私に声をかける。
残念ながら認識されていたらしい。
前屈みにならないでください、谷間が強調されて目に毒です。
色々と危ないので、あんな恰好の人に近づいてほしくは無いのが本音である。
「ええ、はい、大丈夫です。お姉さんたち、おつかれさまでした」
ぶっちゃけなんと云えばいいのかわからなかったが、内心引き気味で笑顔を向ける。
引き攣ってないことを祈るばかりだ。
「……うわっ、かわいい」
「……なぎさ、気持ちはわかるけど、無茶をしてはだめよ?」
げぇ。
と、内心で呻き声を上げる。
彼女たちの小声で自らの転生特典が発動したことを確認した。してしまった。
私の特典はけっこうなパッシブタイプで、望むと望まないとに拘わらず自動的に発動し、また自身で強弱の都合もつけられない。
ちなみにニコぽなどの類ではなく、こうした女性に発動してしまうのは副作用の方だ。
そこも強制力と言うほどまでは行かず、僅かに好感情を抱かれるといった、ささやかなレベルのモノだが。
……正直、呪いとしか認識していない。
私の外見でもこうなると、日常生活すらままならなくなるのだから。
……というか、コレは主に『人外の女性』に対して発動するのだが、彼女たちは人間ではないとか……?
『変身ヒロイン』というカテゴリ上の生物に分類したりするのだろうか。
「いやー、ちょっとだけ、ちょっとだけ抱きしめるくらい許されないかな? みたところ女の子っぽいし、スキンシップだって」
「あの制服は聖祥大付属よ、つまりは私たちの学園と同じレベルのお嬢様学校。下手に関わって通報されたら今後に支障が出るのよ、わかって?」
手のひらをわきわきと蠢かしながら茶髪の方がにじり寄る。
……地味にピンチだ。
間違っても性別がバレることは避けなくてはならない。
私は前世では女性であったが、今生では男子に属する。
しかし、何の因果か男の娘というモノに外見が固定されており、社会風潮も相俟って女性らしく育まれてしまった。泉井くんをご同輩と呼んだのはそういう意味だ。
無論、先に挙げた『IS』とかいうモノが関わっているのだが、この世界では男性蔑視はむしろ見当たらず、なんだか性意識の逆転現象が起こっている感が見受けられる。
証拠はボディビルダーに対する高町さんの反応。
……鼻血を吹いて蹲るとは、流石の私も衝撃の映像であった。
というか、通報云々が危機意識に抱えられているのだから、その恰好を辞めるべきなのではと思うのは私だけだろうか。
なんだ。このひとたち、実は単純に痴女なのか。
「ちょっとだけだよぉ、さきっちょだけさきっちょだけ」
「もう完全にアウトじゃないの! そこの子逃げて! 私がこのひとを抑えつけてるうちに! はやく!」
目の中にハートを作りながら鼻息荒く寄ってくる女子を見上げつつ、促されるままに全力ダッシュを決める。
こんなところで貞操の危機に陥るとか、まったく二次元は魔境である。
~麻帆良学園
『魔法先生ネギま!』より
~IS学園
『インフィニット・ストラトス』より
~月光館学園
『ペルソナ3』より
~ピンクダークの少年
『ジョジョの奇妙な冒険~ダイヤモンドは砕けない~』より
~ドラグソ・ボール
『ハイスクールD×D』より
~アソパソマソ
『僕は友達が少ない』より
~ドン・観音寺
『BLEACH』より
~ヘルサレムズロッド
『血界戦線』より
~ジュエルシード&闇の書
『魔法少女りりかるなのは』及び『A's』より
なんだか同時進行してた模様
~高田さんというボディビルダー
『魔法少女プリティ☆ベル』より
~水龍●ランド&モ●タン
よく知らない子はご近所のネットワークでググって見てね!
短編なのでサクッと短め