なんだか私の目の前にいる初代プリキュアが異常   作:おーり

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前回書き損ねましたが泉井くんは流用です




テンプレ転生したのに笑えない

「転生特典というモノはね、ぶっちゃけ大したものでも無いんだよ」

「はぁ……」

 

 

 神と名乗った()()を、私の目は『人』と形容することを許容しなかった。

 

 正直、金も労力も然程必要ともせずに暇に飽かせるお気に入りの投稿小説サイトなどで騙られる、テンプレ転生という眉唾な代物に遭遇したい、とは微塵も考えられはしない。

 そうしたモノを体感した結果、待っているモノは読み手や書き手の期待と、それにそぐわなければ『どうなるかわからない』という未来のみで、自らの努力や葛藤に関係なしに何かが決定づけられてしまう。

 そんな世界に生れ落ちることは私が望むものでは決して無く、そういったモノに今遭遇してしまっているからこそ、もう何をやっても碌なことにならないのだろうなぁ、という無気力性が前面に押し出されて対応している配慮などは微塵も露わにできやしない。

 だからこそ、それを引き起こしているコイツは邪神か、それ相応のクズ系の何かなのだろう、と話半分に相手する準備だけが出来ている。

 矮小な人間なればこそ、私はこういう奴とまともに相手したくは無いのである。

 

 というか、概念存在に値する神仏悪鬼魔霊の類に人格に似た何かが形成されていて会話が成立する時点で、それは詐欺確定としか言いようが無いと思うのは私だけなのだろうか。

 

 

「世の中の能力や現象には限りがあってね、それらは人間の許容できる範囲までしか知られることはできない。『よくわからないもの』を自由にすることができないのは当然だけど、そういうギャンブルに進んで勤しめるのは破滅主義者か快楽主義者、または自己を分析できない向こう見ず(おバカさん)くらいしかいない。それに、そもそもわからないものは形にできないから、無理矢理に自分のルールに当て嵌めて形作れば、結局は別個にある既存と大差のない『何か』にしか成り得ないわけだね」

 

 

 禅問答みたいなことをつらつらと並べられる。

 合いの手を入れることも億劫なのだが、それはそのことに何も言わず、本題は此処からだ、と指を立てた。

 

 

「そのうえで、転生特典と云うモノを解析しよう。それらはボクたちのような狭窄な世界を形成する者たちが思い思いに描く個人にできる範囲の決定づけられた限りなく不自由に近しい『自由』だ。能力であったり、現象であったり、才能であったり、資産であったり、因果であったり、試練であったり、宿題であったり、大なり小なり善しなり悪しなり、それらはボクらが望んでも得られなかったり、誰かに下せば面白いだろう、という意図を基に決定づけられる。しかし、オリジナルには『成り得ない』」

 

 

 手を広げる。

 パフォーマンス性だけは抜群だ。

 

 

「人間の発想には限りがあるからさ。知識は基本的に先人の受け売りで、知恵はそれを元手に育まれて形作られる。結局のところ、何かが出来てもそれは改善または劣化した複製でしかなく、人間は限られたリソースを上手くやりくりして『次』へ繋げてゆくことしかできやしない」

 

 

 ……意外と考えさせられることを言う。

 ところで、いま何の話をしているのであったっけ。

 

 

「つまりボクらの与える特典は、結局のところ何かのデッドコピーでしかない。そのうえで、ボクは語りたいわけさ。キミに与える特典のことを」

「あ、決定されてるんですね」

 

 

 もはや自由に選べる転生特典なんかは時代遅れなのだろうか。

 まあ、世の中自由にならないことばかりなのだから、死んだ後も自由が無いのはわかりきっていた。

 

 

「キミに与える特典は『ギャルゴ!!!!!』の主人公の性質だ」

「ギャ、ギャル語?」

 

 

 しかし、全く知らないモノを持ってこられたら、どうしたらいいのだろうか。

 いくらコレが詐欺師だとしても、寄越されるモノに罪は無い。

 私は恐る恐るどういうモノなのかを問うと、しょうがねえなこいつは、みたいな目で見られた後に説明をもらった。負けない。

 

 

「ひとむかし前のライトノベルでね、異常な事件に遭遇すると身体能力が向上する。それは事件の規模に合わせて倍率ドンされるが、通常時はあくまでも普通の身体だ。制限付きのヒーロー、好きだろう、こういうの?」

 

 

 ……意外とまともな特典でびっくりした。

 

 

「しかも、主人公は自身の得物を強化できる。強化した得物で事件の中心、すなわち原因を叩けば事件を終わらせることができる。原因を破壊する、または治療することで『元の状態』や『正しい状態』へと『回帰』させられる『解決方法の自由』が備わっている。主人公は中学生だったはずだが、彼は物干し竿で事件解決に勤しんでいた。言葉にすると恰好はつかないが、ご町内の平和を守るヒーローとしては、中々に素晴らしいと思わないかね?」

 

 

 なにそのアロンダイトの上位互換。

 しかも異常事件って銘打っていてもご町内限定で中学生が解決する程度なのだから、然程殺伐とした世界でもないことが伺える。

 そしてそうしたモノをコレが用意しているということは、それなりに危険が少ない世界に送られる、という意味に通じるのでは?

 

 

「しかもだ、ボクが附加するのはその『能力』だけではなく『性質』だ。『能力』だけを投げ売ったとしても、それを上手く扱えるわけが無いからな、扱うための資質としてキミに『主人公』と同等の『性質』を備えさせてあげようという心付けだよ。気に入ってもらえたかな?」

 

 

 私は無言で()の手を取っていた。

 そこまで危ない橋を渡らさせられないのだということを教えられて、それを無碍にすることは人間不信が極まるというモノだ。

 がっしりと握手をし、アンタサイコーだよ、と賛辞を贈る。

 はっはっは、と笑い返されて、私たちは十年来の友人のようにお互いに笑い合った。

 

 

「――ちなみに『性質』を附加する以上、主人公が持っていた『人外の女子に好かれる呪い』もついてくるのだが、構わないよね?」

 

 

 送られる直前、そんな言葉を投げかけられる。

 チクショウ、コイツやっぱり詐欺師だった。

 




~ギャルゴ!!!!!
 エクスクラメーションマークは5つ
 『はがない』が売れ出すよりもずっと前にエムエフ文庫から出版していた比嘉智康のライトノベル
 主人公の友人の秀吉枠の子がマッチョになったり、
 ドーベルマンが美女へ変身したり、
 巨乳風邪なる物が流行って町中の女子の胸がHカップ以上になったり、
 超絶内弁慶な妹のためにパラパラを踊ったり、
 そんな都市伝説と戦う中学生の少年の冒険が詰まった作品。今読み返しても充分売れるレベルだと思うのだが、残念ながらアニメ化も漫画化もされてなくって悲しい


ところで前回の話で主人公は性転換した男の娘だということが判明してるのだから、
今回の話では女の子であるわけで
…詐欺師に軽く流される女子って、萌えない?


あ、短編ですから続きは考えてません
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