その賢者、チートである   作:熊山打

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オリ設定・オリ解釈ありますが
温かい目で見てもらえるとありがたいです。


第1話…

―――『闇の回廊』

 極稀に自然発生し、そしてさらに微小な確率で、人や物を別の世界に迷い込ませる。この現象を知る人は主に『次元の穴』とも呼び、これに巻き込まれた人は『次元漂流者』と呼ばれ、時折『時空管理局』に保護され、元の世界が判明している場合、送ってもらうこともある。

 しかし、この『次元の穴』の発生原因について『時空管理局』はいまだ解明できておらず、場所や何らかの物品に含まれていた魔力が偶然、転移系統の魔法を発動したものと考えられている。

 

 

 

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

 

 

 

―――『海鳴大学病院』23時

 

「・・・」

 

「・・・」

 

「・・・おい」

 

「・・・」

 

自分の2歩分斜め後ろを黙って歩いている従者に声をかける。

 

「・・・アマタ、何とか言ったらどうなんだ?」

 

「・・・?・・・・・・なんとか」

 

「違えよっ!!黙ってないで何か喋れって言ってるんだ!!」

 

いつも道理どこかずれている自分の従者に辟易する。はぁ・・・

 

「結局こんな時間に成っちまったしよぉ、あんな早く起きる必要なかったじゃねえか」

 

ちなみに、起きた時間は朝4時・・・もちろん病院の受付はできない。

見回りしているナースとすれ違いながら、アマタは俺のぼやきに答える

 

「確かに、そこは私の落ち度でございますが、しかし、到着後2秒で気絶、19時までそのまま寝ていたのはマスターでございます、無駄にした時間はマスターのほうが多かったと記憶していますが?」

 

「そうだよっ!そうだけどさ!光に弱いってわかってんだから、日陰に移動して介抱するなりしてくれても良いんじゃないの?ってマスターとしては思うわけさっ!」

 

そう、特殊加工された俺の部屋から『闇の回廊』を使い、第97管理外世界『地球』へと移動した俺とアマタを待っていたのは、「オレ、参上!!」と言わんばかりに輝いた朝日であった、2秒で落ちた俺だったが、アマタは何も言わずに地面に座り自分の膝の上に俺の頭を乗せ、朝4時ちょいから19時まで俺の頭を撫でたり、髪をいじっていたりした。

 

「そうでしたか、大変申し訳ありませんでした、外出用のコートを着用していなかったのは、わざと陽光に身をさらし光に耐性を付けるためなのかと思いましたので、そのままにしたのですが・・・、まさか『賢者アンセム』たるマスターがそんな、『まぬけ』なまねをするとは思い至らず・・・」

 

「まぬけを強調するな!!」

 

・・・畜生、ホントはこいつ俺をマスターだと思ってないだろ。

 

「そのようなことはございませんよ、マスターは私の生みの親であり、唯一のご主人様でございます」

 

「あぁ、そうかよ、そりゃ・・・・・・?俺、今声に出してたか?」

 

「マスター、口は食事と発声のために存在し、耳は音声を聞くための器官ですよ?」

 

・・・はぐらかされた気がする、と、そこで目的のネームプレートを発見した

 

「さて、さっさと『借り』を返すとしますかね」

 

そして、扉の向こうに『回廊』をつなげた――

 

 

 

 

 

*

 

 

 

 

 

「…あちゃぁ、こりゃまた派手にやられてんな」

 

「生きているのが不思議なくらいですね」

 

入った病室の中には、弱いが安定していると思われるバイタルの音が響いており、ベッドの上では治療されて体の各所に包帯が巻かれてはいるが『瀕死の重症』と誰が見てもわかるくらいに弱り果て、眠ったままの、俺の…俺の………何だろうな?

 

「友人、で良いと思いますよ?」

 

「そか、俺の友人『高町 士郎』の姿があった。」

 

…いやまて

 

「お前、やっぱり俺の心読んでるだろ!?」

 

「私くらいの万能メイドともなりますと、主人の心など読めて当然です」

 

「なにそれ、怖い!?」

 

そんな機能つけた覚えないのに…

 

「そんなことより、いつバイタルが乱れて人が来るかわかりません、手早く治療したほうがよろしいかと」

 

そんなこと、って

 

「あとで、覚えてろよアマタ…」

 

自己進化に任せてたら、「こんなん」になっちまったからな、教育しなおしてやる。と心に決め士郎に向き直り『詠唱』を開始する。

 

「『紡ぎしは蘇生、訪れぬ終焉、永劫たりえる光の奇跡に名を与え、いま希望を宿せ。』」

 

失敗したらヤバイので詠唱して丁寧に治療することにした、足元に菱形の魔方陣が形成され光を放ちだす。

 

「ご自分で発動する魔法の光は平気なのは、なぜなのでしょうか…」

 

…後ろでメイドが何か入っているが気にしない、俺にもわかんねぇよ…

 

「『レイズデッド』」

 

まばゆい光が放たれ士郎の体全体を覆い尽くし、光が体内に吸収されていく、包帯の隙間から微かに見える顔には生気が満ちていき、バイタルも安定している。

 

「お見事です、マスター」

 

…ま、まぁこれくらい当然だな

 

「さて、起こすか」

 

「起こしてしまうのですか?」

 

アマタが、「すぐ帰るのではなかったのですか?」と、目線で問いかけてくるが

 

「当然だろ、こちとら慈善事業じゃないんだ、『俺』が借りを返した、と士郎に認識させておかねば」

 

別のとこで請求されても困るからな…

 

「…かしこまりました、それでは、私にお任せください」

 

「まてやめろ、士郎にやったらさすがに死ぬ!」

 

俺はともかく普通の人間が『イノセントシャイン』なんか食らったら一瞬で『浄化』(消滅)しちまう。

 

「さすがに、『ソレ』はいたしませんよ」

 

涼やかな顔してやがるが、前科があるんだ、いつでも動けるように…

 

「…それほどまでに、信じてもらえないとは、アマタは悲観にくれて手元が狂ってしまいそうです」

 

泣きまねをしながら懐から取り出したものは………?

 

「なんだそれは?」

 

スプレー缶と今も士郎の顔についている『呼吸器』に似た形のパーツだった。

 

「これですか?これは、一吸いすればアラ不思議アッというまに天国に!『ウェルカムトゥヘブン』です。」

 

「やめたげてよぉ!」

 

せっかくあの世の淵から戻ってきたのに、逆戻りとか…嫌すぎる。

 

「仕方ありませんね、では…」

 

カポッ、と缶部分をはずして懐に戻し、新たに取り出したのは………

 

「今度は何だ?」

 

またしても、スプレー缶であった。

 

「これですか?これは、一吸いすればアラ不思議どんな寝ぼすけさんでもオメメパッチリ!『ハヤオキクン』です。」

 

…そうか、まぁそれならい………あ、

 

「…おい、なぜ俺にはソレを使わなかった?」

 

カポッ、と吸入部分を取り付け、いざ、という体勢でアマタが停止した。

 

「………た、試して、見たんですがね、ええ、もちろん、あっ、ほらマスターって毒物効かないじゃないですか、そ、それですよきっと」

 

こちらを向かず、クネクネしだすアマタ、…きょどってんじゃねぇか、

 

「…わかったよ、じゃ早く士郎を起こせ」

 

「かっ…んっんんっ…かしこまりました、マイマスター」

 

途中で持ち直し平時の状態に戻ったアマタが、士郎の呼吸器をはずし『ハヤオキクン』とやらを吸入させる、アマタは数歩下がり、俺の斜め後ろに立つ、戻る時に俺から顔をはずしていたが…

 

「………ん、んうん」

 

士郎のほうは問題はなかってようで、目覚めだしたようだ。

すこし、手助けすることにする。

 

「おい、士郎、起きろ!」

 

声をかけると、目を開けこちらに向ける、そして予想道理…

 

「ッ!!!…!?!?」

 

飛び起きて体勢を立てようとしたのだろうが、計算済みだ、テロの最中に瀕死になったらしいしな、『バインド』に阻まれ身動きが取れない士郎は、なんとか抜け出そうともがいている、人が来ては面倒だ…

 

「まて、士郎!落ち着け、殺すつもりならとっくに殺してる、まずは落ち着け」

 

相手は警戒しているので距離をつめないように動かずに告げる、少しばかり冷静になったようで動きは止まった

 

「落ち着いたな、いいか?ここは『海鳴大学病院』お前は仕事中にテロに巻き込まれ、瀕死の重傷を負った、ここまではいいか?」

 

「………その前に聞いていいか?」

 

いまだ警戒を解かない士郎は鋭い目で俺に問いかけた

 

「いいぞ、大体のことには答えてやる」

 

…これでも、俺は『賢者』だからな!ふふんっ

 

「じゃあ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キミは誰だい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれえっ!?」

 

予想外な質問が飛び出したのだった…

 

 

 

 

「ーーーッ!くふっふっふふふ、マ、マスター、忘れられてますよ」

 

…こいつ、ほんとに俺の従者かよ

 

 

 

 




「賢者わすれられる」

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