エールちゃんの冒険   作:RuiCa

15 / 58
エールとホルス

「行ってらっしゃい。 エールちゃん、レリコフをお願いしますね」

「行ってきまーす!」

 手を振って見送ってくれるシーラに元気に挨拶をしつつ、ばっちりと準備を整えて出発した。

 

 目指すはホルスの巨大戦艦。

 一度行ったことのある場所とはいえ、ヘルマン北部の氷雪地帯はやはり大変な場所だった。

 雪の上は歩きにくく、動いてないと凍ってしまいそうなほどの寒さも相まってかなり厳しい環境である。

「う~、さっぶー… 鼻で呼吸すると鼻の中がいた~い~… 暑かったシャングリラが恋しい…」

 そう言って縮こまっている長田君にエールは賛同しつつ、ハニーの鼻とはどこにあるのだろうか、と疑問に思った。

 

 前に遭難しかけて危なかったから慎重に行こう、エールはリーダーらしく言った。

「りょーかい!」

 レリコフとヒーローの二人はそれに元気よく答える。

「今回はミックスもいないもんな。もし次、遭難なんかしたら……」

 長田君は寒さ以外でも体を震わせた。

 

 エールと長田君が苦労している中、レリコフとヒーローは寒さも歩きづらさもほとんど気にすることもなく雪の上をガンガンと進んでいく。

「わー、見てみて!」

 エール達はレリコフが指をさした方向を見た。

 雪の中で見えづらいが、目を凝らすとかなりの大きさの真っ白なナメクジのような生き物がいる。それも一匹や二匹ではなく、何十匹も群れを成していた。白い雪の中、赤い目を浮かばせうにょうにょと動く姿は不気味である。

「うおー… なんか気味の悪い生き物だけどあれなに?」

「あれ雪うさぎって言って、すっごい獰猛なモンスターなんだよ。 人を見つけると群れで襲い掛かってくるんだ!」

 レリコフが元気いっぱいそう言うと、気配に気付いた雪うさぎの群れが真っ赤な目を光らせ一斉に襲い掛かってきた。

 赤い目から光線を発射し、麻痺にさせてくるかなり凶悪なモンスターであり、何より数が多すぎる。

 四人は麻痺に苦労させられながらもその大群を撃退した。

「あはは、楽しかったねー!」

「いや、気づいたら避けようぜ!?」

 長田君が当然の抗議を入れているが、レリコフはご機嫌だった。

 慎重に行こう、と言ったエールの言葉はすぐに頭から抜けてしまったのか急に駆け出して道をそれては魔物の群れを見つけて突っ込んだり、冬将軍に襲われたりと騒がしく暴れている。

 そのたびエール達も付き合わされることになり、そのおかげで寒さは気にならなくなったもののてんやわんやであった。

「はあ、はぁ… 全くエールが常識人に… 見えるな……」

 肩で息をしている長田君がそんな感想を言った。

 まるでボクに常識がないような言い方はやめてほしい、エールが口を尖らせる。

「え!?」

 長田君はとても驚いた表情をエールに向けた。

 

 道中のキャンプも前の冒険ではロッキーや長田君、リセットが主だって家事全般をやっていたが今回は四人。

 長田君がヒーローにテントの張り方や焚火の作り方を教えたり、エールは料理をしたことがほとんどないというレリコフにちょっとした料理の作り方を教えたりする。

 最初は四苦八苦していたものの覚えてしまえば筋が良く、すぐに慣れてテキパキとこなせるようになっていく。それが嬉しいのかレリコフ達は積極的にキャンプの手伝いをしたがった。

 得意げにしている様子が可愛いのもありエールが褒めるように二人の頭を撫でると二人はふにゃふにゃと顔をほころばせた。

 

 大きなテントに四人で入る。

「ハニワくさ~い~」

 レリコフとヒーローの何気ない一言に長田君がちょっと傷つく一幕はあったものの、すぐ慣れるよ、とエールが言った。

 ヒーローはドラゴンだからなのか体温が高い。寝袋にくるまりながら、ヒーローに抱きかかえられるように大きな掛布団に入ればとても温かいので四人で寄り添って眠る。

「エールは良い匂いだよねぇ」

 レリコフとヒーローはエールに鼻を寄せる。

 エールは頬をくすぐるふわふわな髪や、頭に乗せられる大きな顎が少しくすぐったかった。

 

 二人が起こすトラブルに巻き込まれつつも、四人でキャンプをしながら歌を歌い思い出話で盛り上がりながら仲良く冒険するのはとにかく楽しいものだった。

 エールはレリコフやヒーローとさらに仲良くなれた気がした。

 

………

……

 

 なんとか遭難することもないままホルスの巨大戦艦へとたどり着いた。

「到着ー!」

 四人でハイタッチをしつつ無事についたことを喜び合っていた。

 

「皆様、またなぜここに……」

 見張りから連絡があったのか、すぐに女王が護衛やお付き数名を連れて現れた。

 

「テラちゃん、こんにちは! おひさしぶりです!」

「お久し振りです。 皆様もお元気そうで何より、魔王も無事に倒されたと聞いております。この星に住まうものとして感謝を。 ソソソ」

 ホルスの女王テラは突然の来客に驚いたが、四人を出迎えた。

 見た目こそムシのようだが優雅な物腰に女王の貫禄と気品を備えている女性である。

「寒かったでしょう、とりあえず中へお越しください。 ソソソ」

 

「そうだ。ここに魔人がいるって本当?」

 レリコフが何の前置きを入れることもなく、そう訊ねた。

 テラはもちろん、脇に控えていたお付きのメガッスも目を見開いた、ように見えた。

「それは何かの間違いでございましょう。 ヌヌヌ」

 エールが日光を鞘に収めたまま突き出してみる。

「……いえ、ここには間違いなく魔人の気配があります。 前に来た時は感じなかったと思いますが……」

 前と言うのはまだアームズが日光のオーナーで、ジャハルッカスという危険な生物が暴れていた時の話だ。

 日光がそう言うと、メガッス達は押し黙る。

「そう警戒しないでください。私達は魔人を討伐しに来たわけではなく、ヘルマンの大統領から依頼を受けてそれが事実かどうかを確認しに来ただけですから」

 使い手であるエールも大きく頷いた。

 少しシリアスな雰囲気にエール達も押し黙る。

「魔人が切れる武器、聖刀・日光。それでは誤魔化すことは出来ませんね。 ソソソ」

 

 エール達は巨大戦艦の少し開けた、応接室のようなところに案内された。

 ホルスが育てている木の蜜から作ったという蜜茶を振舞われる。

「うめー! なにこれ! こんなお茶飲んだことないわー」

「おいしーねー! 前に一回飲んだことある気がするけどけどもうほとんど覚えてないや」

「たまーにお家に持ってきてもらってるみたいなんけど、全然取れないからすっごい貴重なんだよ。えへへー、美味しいねー」

 エール達はその美味しいお茶を堪能していた。

 

「聖刀・日光のオーナー、エール様。 魔人を討伐しに来たわけではない、というのは真実でしょうか。 ソソソ」

 危険な魔人じゃなければ倒したりしない、とエールは言った。

「実際、もう何人も見逃してるし、エールはでたらめにぶちのめすようなことはしないんで安心っすよー!」

 長田君もフォローを入れてくれた。

 

「わかりました。……メガラス、こちらへ。 ソソソ」

 

「……………………………………」

 テラの背後に瞬間的に真っ白な甲殻を持ったホルスが出現した。

「わーーー!」

 いきなり現れたので全員が驚いた。長田君が驚いて割れている。

「メガラス。子供達をあまり驚かせてはなりません。 ソソソ」

 テラの声は少し微笑むような柔らかさがある。

 

「彼はメガラス。いまから4000年以上前魔王アベルに……捕えられ魔人にされたホルスです。 ソソソ」

 エール達は頭を下げた。

 しかし、メガラスの方は頭も下げず真っすぐにエールを見つめている。

 

「へー、本当に魔人なんだ。 でもここにいるってことは魔王ランスに従わなかったんすかね?」

「話すと長くなりますが彼は15年ほど前の魔人同士の争いで体を失い魔血魂に。それを戦争終結後ホーネット様が探し出し、妾達に……」

 

 エールは二人がなにやら話しているのを無視してその白い甲殻の魔人をじっと見つめ返した。目は合っているのだが、それ以外の反応はない。

 エールは手を伸ばして胸の辺りをペタペタと触ってみるととても堅かった。それでいてハニーである長田君とはまた違う感触である。

 触ってみても反応はなくただ無口なままのメガラスをエールは触りまくった。

「何やってんの、エ-ル?」

 なんか触り心地がいい、すべすべしているとエールが言った。

「へー、ボクも触ってみよう!」

 レリコフも触りだした。

 

ぺたぺたぺたぺた

 

「あの、何をなさっているのでしょう? ソソソ」

「真っ白でかっこいいなーって」

 エールも頷いた。

 女王以外のホルスは皆、緑色で金属のような光沢の甲殻でいかにもムシっぽい。

 そんな中、汚れのない真っ白な甲殻は白磁器のような優雅な風貌に感じた。

「…………………」

 メガラスはエール達の手から逃げるように一歩下がった。

「エールもレリコフも何やってんだよ。 魔人って言っただろ!危ないってば!」

 何の反応もないからつい、とエールは謝った。

「彼に危険はありません。 ソソソ」

 長田君は慌てて口をつぐんだ。

 

「前の戦争でもホーネット派でしたし、魔王ランスからも離れておりましたので人類に危害を加えることはしておりません。 ソソソ」

 ならば、なぜ隠していたのだろう。

 エール達は事情を聞くことにした。

「魔王ランスが世界を蹂躙している間、各地で魔人も暴れておりました。その間、人類は魔人を、異形の魔人など到底受け入れることなど出来なかったでしょう。そしてメガラスに危険はありませんが、いかに人類に友好的な魔人であろうと魔王の命令は絶対。安全とは言い切れないという事情がありました。 ソソソ」

 テラは少し目を伏せるように言った。

 エールは人類へ手引きをしてくれていたという魔人リズナが、魔王の命令でエール達の前に立ち塞がったことを思い出した。

「ですから、秘密にしておりました。もっともヘルマン大統領は気が付いていて深く聞かなかったのでしょう。 ソソソ」

「ヘルマンとホルスは仲がいいもんね」

 レリコフの言葉にテラは微笑む。

「魔王はもういない……それであればメガラスは我等ホルスに害がない限りもう人類に危害を加えることはないでしょうな。 ヌヌヌ」

 メガッスがそう言うとエールは危険でない魔人なら倒すつもりは全くない、と頷いた。

 エールが日光に目をやる。

「私もエールさんと同じく。人類に害のない魔人ならば戦う理由はありません」

「ありがとうございます。その言葉を聞いて安心しました。 ソソソ」

 日光の言葉にテラは胸をなでおろした。

「ねーねー、メガラスさん全然喋らないけどどうしたの?」

「無愛想なんだよ。 ヌヌヌ」

 テラの後ろに控えていた親衛隊のメガフォースがそう小さくつぶやいた。

 メガラスはジロリとそっちを見るが、やはり何も言わなかった。

 テラが少し寂しそうにしている。

 

「ん? オイラの顔になんかついてる?」

 メガラスは今度はヒーローの方を見つめていた。

「メガラスを魔人にした魔王アベルはドラゴンでしたからな。それで警戒されているのではないかと。 ヌヌヌ」

「あー! だからかーちゃんがなんか言ってたんだ。でもオイラは酷い事とかしないよ、大丈夫」

「ヒーローは悪いドラゴンじゃないよ。 ボクの大事な友達なんだから!」

 魔人もドラゴンももちろん人も良い人も悪い人もいるもの、とエールは頷きながら言った。

「おっ、エール、良いこと言うねー! ハニーもさー、人に危害を加えるハニーとかいるけどそのせいで俺みたいな普通のハニーは迷惑してるわけよー」

 長田君がそう言ってうんうんと頷いている。

 

「しかしそう遠くない場所にある東ヘルマンがあります。こちらに魔人がいることが知られたら妾達ホルスにも敵意を抱き、こちらに軍を派遣しないとも限りません。ソソソ」

その時はやっつけてしまえばいい、とエールは言った。

「よろしいのですか? ヌヌヌ」

 やられっぱなしになれなんて言う気は全くない、自分の身を守るためならば戦うのが普通である。

「何かあったらうちに連絡してね、ボクも、ヘルマンも協力するから!」

 レリコフがそう言って胸を叩いた。

 ただ魔人を倒せる武器は日光とカオスしかないのだから、仮にバレたとしても魔人のいるところにわざわざ攻めてはこないのでは、とエールは考えていた。

 日光はエールが持っているし、カオスを持って行ってしまった父ランスはホルスの男魔人など全く眼中にないだろう。

「確かにあの男はそういうやつだったな… ヌヌヌ」

 ランスのことを知っているメガフォースがそう呆れたように言った。それを聞いたメガッスも苦笑している。

 父を知っているのか、とエールは聞いてみた。

「うむ、面白い方でしたな、魔王になった時は驚いたもんじゃ。 ヌヌヌ」

「あいつには迷惑かけられたからな。 ヌヌヌ」

 

 もしかしてテラ女王も父の女の一人なんですか?エールが聞いてみた。

 その言葉に今まで静かに控えていたメガラスが動揺をした、ようにエールは見えた。

「そんなわけないだろ! あいつはテラ様の、ホルスの外骨格の良さが分からんような奴だからな。 ヌヌヌ」

「ふふ、妾達はこの星の方々とは外見が異なりますから。 ソソソ」

 エールは納得しつつ、メガラスもちょっと安堵しているように見えた。

「そういやハニ子もやったことないって言ってたよなー、なんつーか異種族には手を出さない感じなんかね?」

 長田君も変なことをつぶやいて納得していた。

 ドラゴンとはやったことあるかもしれないと言っていたのだが、エールは今になってランスのOKなラインが良く分からなくなった。

 

 とにかく魔人の調査という依頼は危険はないので放っておいても問題なし、ということで達成である。

「へへっ、俺らには余裕な依頼だったなー!」

 ここに来るまでが大変なだけで会って話すだけだったからね、エールは少し拍子抜けだった。

 

「かーちゃんにちゃんと話しておくねー」

 レリコフの言葉を聞くと、話は終わったとばかりにメガラスはどこかへ消えてしまった。

 最後まで愛想のない魔人だった。

 エールはメガラスと少し話がしてみたいと思ったが、無理そうである。

「挨拶ぐらいしてゆけばいいものを。 ヌヌヌ」

「申し訳ありません、私も戻ります。 メガワス、皆様の案内をお願いできますか? ソソソ」

 

 テラがメガッス達を連れて退出した後、エール達はホルスの蜜茶を飲んでまったりしつつ残されたメガワスという女性みたいな口調のホルスに巨大戦艦を見て回りたいと頼んだ。

 すると快く艦内を案内して貰えることになり、戦艦内にある様々な不思議な機械や蜜が取れる木等を見せて貰った。

 

 大きな部屋に人が余裕で入れるほどのガラスの容器のようなものが所狭しと並べられている。

 中には寝心地の良さそうなベッドが入っている。

「なにこれ?」

「これはコールドスリープ装置ね。細胞を劣化させない、簡単に言うと全く年を取らないまま眠ることが出来るの。 ヌヌヌ」

「年を取らないとかすっげーヤバイ装置じゃね? でも寝続けるってあんま意味なさそーだけど」

「へー、ちょっと使ってみたいかも」

「残念だけど一回入って装置が作動したら最低五か月は出られないわ。 ヌヌヌ」

 五か月も寝続けたらそのまま目を覚まさなくなりそうだ、とエールはその機械を触りながら考えた。

「あなた達のお父さん達が入って大変なことになったことがあるのよね。 ヌヌヌ」

「とーちゃんが? 何しに来たの?」

「そうね、娘さんに教えるのは……すごくくだらない事だから聞かない方がいいわ。 ヌヌヌ」

 女絡みなんだろうな、とエールは確信した。

 

「これどれぐらい長く眠れるの?」

「さぁ……わからないけど何万年も眠ることが出来ると聞いたことがあるわ。 ヌヌヌ」

「かーちゃんよりずっと長く生きられるってこと?」

「すごいねー、でも寝ちゃうんじゃ意味ないような?」

 何万年も眠る、というのは想像もできなかった。

「なーなーもしもだけどさ。何万年も経ったら人間に代わって俺らハニーが世界を埋め尽くしてたりしてな!」

 長田君がそんな冗談を言った。

「ホルスが増えてるかもしれないわよ? ヌヌヌ」

「ドラゴンかもよー!」

 メガワスやヒーローがそれに続いたので、案外最弱モンスターのイカマンが繁栄したりして、エールもそんな冗談を言って笑い合った。

 

 エール達を案内してくれたメガワスは話しやすくとても良い人だった。

 四人でわいわいとメガワスに群がってランスのことを聞いたりホルスが空を飛べることを聞いたりした。

 15年前の魔人戦争ではホルスの空を飛ぶ力を偵察に役立てたこともあるらしい。

「あなた達のお父さん、ムシはいらないとかいって自分達の船に乗せてくれなくてね。 ヌヌヌ」

 父がすいません、とエールは何となく謝った。

「似てないわねー。 ヌヌヌ」

 そう言って笑うメガワスは父に悪い印象は抱いていないように見えた。

 

 その後、メガワスに掴まってちょっと飛んで貰ったりしてはしゃいでいると、思い出したようにメガワスが言った。

「そういえば、メガラスって最速の魔人って呼ばれていたらしいわよ。 ヌヌヌ」

「さっきいきなり現れたのは速すぎて見えなかったってこと?」

「そういうことね。 ヌヌヌ」

「うーん、でも全然お話してくれなかった……そっとしておいた方が良かったのかな。悪い人じゃなさそうだったし」

「別にいいわよ。ずっと隠し続けるなんてテラ様も心苦しかったでしょうからホッとしたはずよ。メガラスもね。4000年以上も会えてなかったんだもの、余計な事考えず平和に過ごして欲しいわ。 ヌヌヌ」

 レリコフはエールの裾をぎゅっと掴んだ。

 四人は平和に暮らしているホルス達に無粋な人の手が入らないように祈るばかりだった。

 

 エール達はそのまま艦内で一泊させて貰えることになった。

 

 振舞われたご飯はやはり蜜で出来ているらしいが、煮たり焼いたりと調理が施されておりどれもとても美味しいものだった。

「栄養も豊富に含まれててね。 昔は蜜を狙うモンスターがわんさか来てたものよ。 ヌヌヌ」

 その気持ちもわかるというものだ。 四人で美味しいと言い合っていると少しだけお土産として蜜を持たせてもらえることになった。思わぬ嬉しいお土産である。

 

 その夜。

 

 就寝前に何となくエールが外の気温と違い暖かい艦内を散歩していると、テラとメガラスがなにやら親しげにしている様子が見えた。

 会話は聞こえず、そもそもメガラスが話をできるかどうかも知らないが、その様子はいわゆる良い雰囲気というやつに見えてエールはすぐ引き返した。4000年以上、離ればなれになっていたというのはどれだけなんだろう。

 

「どこ行ってたの? エールねーちゃん、いなくなっちゃったから心配したよ」

「迷子になっちゃったのかと思っちゃったよ。 ここすっごい広いもんね」

「明日はもう帰るからな。 早く寝ないと体力持たないぜ? はぁ、また明日は雪の中… ずっとここに居たいよな、暖かいしさ…」

 エールが借りた部屋に戻ると三人が寝ないで待ってくれていた。

 

 エールは胸に温かいものを感じ、三人の頭を順番に撫で、三人が不思議そうな顔をしてる間に、おやすみといってそのままベッドに潜った。

 




※ 「メガラスは生きている」というお話 ゲーム内で見たかった…

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。