エールちゃんの冒険   作:RuiCa

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道中 ペンシルカウ 2

 エール達はイージスに連れられ、カラー達が暮らす村ペンシルカウへと案内された。

 

 両親が昔この村を燃やしたと聞いていたエールはドキドキしながら足を踏み入れる。

 

 そこは魔物が多く薄暗かった森の中とはうって変わって、明るく緑溢れる場所だった。さわさわと流れる川のせせらぎが心地よくのどかな雰囲気で、繊細な模様の入った住居のどれもが森に溶け込むかのように建てられており村全体で森を大事にしている様子が伺える。

「翔竜山から魔王がいなくなってまだ一年ほどしか経っていない。 これでも村人総出で復興させてはいるのだがまだまだだな」

 魔人戦争の際、魔軍の侵攻とパステルの強情によりやむを得ずではあるがペンシルカウは燃えることになった。そして魔人戦争終結後、すぐに近くの翔竜山に魔王城の建設が始まりその麓にあるクリスタルの森に居るのは危険だと判断され、カラーの一族は森から砂漠のシャングリラへ移住。それから十年以上もの間、カラーの故郷でありながらまともに復興することが出来なかった。

 現在はリセット達の手によって急ピッチで復興がすすめられ、焼け跡や荒れた土地は綺麗にされているものの村の広さに比べてまだまだ建物は少ないらしい。

 

「そーいやパステルさん、カラーの女王って今はシャングリラっすよね? こっちに戻ってくるんすか?」

「それはここを治めている方に聞くと良いだろう」

 そう言われ、エール達はイージスについて村の中を歩いて行く。

 村人全てがカラーであることと建設最中の建物が散見される以外は何か特別なことをして過ごしている様子もなく、穏やかな生活が営まれているようだった。

「うわー……本当にカラーしかいない。 綺麗な人ばっかりでなんか俺、感動……」

 長田君がきょろきょろと辺りを見回しながら、感無量と言った様子で呟いた。

 カラー達も人間の少女にハニーが珍しいのか、すれ違えば皆一様に振り返っている。中にはイージスに尋ねるものもいるが、エールと言う名前を聞くと驚きつつも気さくに手を振ってくれるカラーもいた。

「リセットがエールの事をみんなによく話してくれていたおかげか、人が苦手なカラーであっても歓迎されているようだな」

「この注目度、もはやハーレムじゃね!? やべーよ、俺生きてて良かった~」

 テンションが上がっている長田君に対し、エールは闘神都市でもそうだったが注目されるのは何となく気恥ずかしかった。

 

 そのまま村の中でも少し大きめの建物に到着した。

 

「お前がリセットの言っていたエールか」

 そこには一人のカラーの子供の幽霊が浮かんでいる。

 声をかけられたエールは頷きつつ、どちらさまでしょう?と尋ねる。

「私は先々代女王ビビッド・カラー。現女王パステルの祖母にして、リセットの曾祖母である」

 そう名乗ったビビッドに対し、エール達も改めて名乗り挨拶をした。

「先々代のカラーの女王様、って子供? リセットさんほどじゃないけどちっちゃいな」

 宙に浮かんでいるため分かりづらいが、身長はちょうどレリコフと同じぐらいだろうか。

 エールがなんとなく頭を撫でようとしたが相手は幽霊、物理的に触ることは出来ず、当然みかんを乗せることもできなかった。

 

 シャングリラでやりあった幽霊に似ている気がする、とエールは派手なカラーの幽霊を思い浮かべる。

「あの露出度の高いエロくてちょっと怖い感じのカラーの幽霊さん? いや、全然似てなくね? あっちは色々すごかったじゃん」

 エールは長田君をべしっと叩き、いきなり襲い掛かっては来ないが見た目ではなく透け感というか雰囲気が似ているとエールは言いなおす。

「シャングリラでか、おそらくそれは私の母だ。 しかしあれとやり合えるとは子供のように見えてさすが魔王と倒した者ということか」

 エールは改めてそう言ったビビッドを見つめた。

 体は小さいがこの落ち着きように女王の風格と威厳、子供ではないと感じさせ目の前に立つと気が引きしまる思いがした。

「とにかく次期女王リセットの大事な妹、魔王を討伐した者。 復興最中ということもあり見る物はないと思うが、せめてささやかではあるがもてなそう」

「いやー! 十分、目の保養っす!」

 長田君がイージスをちら見しつつ嬉しそうに言った。

 

 エール達は茶と菓子を振舞われた。

 ビビッドの前にも置かれているが、飲めるわけではないらしくまるでお供え物のようである。

 

 エールはさっそくとばかりに一番聞きたかったリセットがどこに行ったのかを尋ねた。

 イージス達を護衛に各国を回っているとは聞いていたが、何故一緒に居ないのだろう?

「リセットならヘルマンで騒ぎがあったと緊急の連絡が入って急いでそちらに向かったよ。 本当なら次はゼスを周る予定だったのだが……私は警備の事で少し残ってた」

「えっ、ヘルマンに向かったってもしかして行き違いになっちまった?」

 長田君の言葉にイージスが口元に笑みを浮かべる。

「だがエール達が解決してくれたおかげですぐに追いかけられそうだ。 私は明日にでもヘルマンに向かうが良ければ共に行かないか? リセットも会えればとても喜ぶだろう」

 エールは首を横に振った。

 リセットには会いたいがさすがにレリコフ達とお別れをしてすぐ戻るのもばつが悪く、何よりペンシルカウの次はゼスへ向かう予定である。ヘルマンに戻れば逆方向になってしまう。

 向こうでリセットが聞かされているとは思うが、エールはヘルマンであったことをイージスに報告した。

 

「……大統領の娘の誘拐未遂か。なるほど、ヘルマンでの騒ぎの原因はエール達だったのだな」

 原因は東ヘルマンでボクたちは普通に冒険していただけ、と少し口を尖らせて訂正する。先ほど森で倒した男達がリセットに懸賞金がかかっているというような事を話していたがもしかしてそれも同じだろうか、とエールが真剣な目で呟いた。

「捕まえた者達はこちらでしっかりと尋問しておくが、その話を聞く限り奴らも東ヘルマンの手のものか、それに雇われた者達だった可能性が高いな」

「またかよー! ホント、何なんだよーもー、あいつらー!」

 イージスの言葉に長田君はぷんぷんと怒り出した。リーザス、ヘルマン、ペンシルカウ。東ヘルマンがどこにでも潜んで魔王の子を害そうとしている。

 エールも頬を膨らませたが突然はっと気が付いたように顔を上げた。

 護衛であるイージスさんが居ないのにリセットは大丈夫だろうか?リセットは決して弱くはないが優しすぎ、人の善意を信じすぎる所がある。

「それは大丈夫。始祖様がお守り下さっているから絶対に安全だ」

 イージスがはっきりと言い切った。

 始祖様っていうのは一体誰だろうか、エールは首をかしげる。

「伝説の黒髪のカラー、ハンティ様。この里を作り、カラーを守護してくださっている御方だ」

「ヒーローのかーちゃんか! さすが伝説のカラーってだけあってここでも偉い人なんだなー」

 ヒーローが言っていたがハンティ・カラーは魔法レベル3の持ち主。確かにあの人ならば安全だろうと、エールも胸をなでおろした。

 リセットに会えなかったのは残念だが、色々な国や場所で必要とされる姉は誇りでもある。

 エールは少し寂しく思いつつもゼスに寄ってから自由都市方面へ向かうならシャングリラをまた通ることになる、その時に会えればいいなと考えた。

 

 話を静かに聞いていたビビッドは自分の前に置いてあるお茶の入ったカップを宙にふわふわと浮かべた。

 飲めるわけではないが雰囲気だけでもということだろうか。

「イージスから聞いたが森にいたクリスタル狙いの賊共を倒してくれたそうだな」

 ビビッドが口を開いた。

「近くに魔王城があった名残でこの森には魔物が多いこともあり、近付く者自体ほとんどいない。しかし、それゆえにここまで来るような連中は腕の立つ者が多い。実のところ、お前たちが倒した者共には手を焼いていた。森を守るものとして感謝しよう」

 エールが手練れと感じたのは気のせいではなかったらしい。それを不意打ちとはいえ軽々と倒した自分に強さが戻ったのも間違いはない、とエールは嬉しく感じていた。

「いやー、全然余裕! 大したことなかったっすよ! しかしまーだあんな連中いるんすね」

 特に戦ってはいない長田君が答える。

「昔よりは数は減った。これも孫やひ孫のおかげ」

 ビビッドの言葉には少し嬉しそうな響きがある。

「あーいうのがいるからここのカラーさん達だって人間を警戒するんだよな」

 エールも長田君の言葉に大きく頷いた。

 

「今から16年前の魔人戦争で人とカラーの距離は縮まった。 さらにここに戻れなくなって砂漠に居住を移すことになり、カラーは人と交流せざるを得なくなった。リセットやパステル達の努力のかいもあり、シャングリラとともにカラーは世界に受け入れられていった……しかしそれは良い事ばかりではない」

 ビビッドが真剣な目で話をしはじめた。

「保護条約が結ばれていても、カラーのクリスタルを狙ってくる人間が消えるわけではない。人と結ばれ幸せになるカラーもいるが、人に騙されてクリスタルを抜かれるカラーもいる。カラーの養殖をしようとカラーの娘たちが大量に攫われそうになった事もあった。昔のようにここペンシルカウでカラーだけで暮らしたいと願うカラーも少なくはなかった」

 リセットが悲しみそうな話だ、人間としてエールは少し心を痛める。

「だからシャングリラで人に馴染めない一部のカラーはここに戻って暮らすことにした。既にシャングリラに居を移してはいるが、カラーの故郷であるペンシルカウが荒れたままであるのはカラーの沽券に関わるし、ここにある歴代のカラー女王が眠る墓の守護なども必要。そして我等がここに戻ってこれたのはリセットやエール達が魔王討伐し翔竜山から魔物を退けてくれたおかげ、カラーの元女王として改めて感謝しよう」

 ビビッドの話を真面目に聞いていたエールは小さく頷いた。

 リセットはエール達の活躍を広くカラー達に聞かせていた。人間に強い警戒心を持っていたカラーがエールの名前を聞いた途端に友好的になったのもそのおかげである。

「それと人に警戒心がなさすぎる未熟なカラーへの教育もここでしている」

 森にクリスタル狙いの人間が来るということを知れば人への警戒心も育つ、とビビッドは考えていた。

「なるほどなー、って墓の守護? そういやビビッドさんとか幽霊ってことは死んでるんすか?」

「詳しくは省略するが正確には幽霊ではなく英霊。本来であればマザーカウという神殿で眠りについている身」

 ビビッドは淡々と話を続ける。

「ここペンシルカウにも統率する者が必要。しかし孫やひ孫はシャングリラでの役目がある。ゆえに眠らず、ここを治めることにした」

「幽霊になっても立派っすね~…」

 長田君が感心しているように、体は小さくともカラーの元女王としての責任感が強いのだろう。

「それに母も娘もマザーカウには戻らず、シャングリラでふらふらとしている。私だけあんな所で眠ってるのはつまらないし」

 本気なのか冗談なのか分からない口調でビビッドが言った。

 長田君の頭にはスシヌの杖に乗り移っているパセリが思い浮かんでいた。

 シャングリラでエールに襲い掛かってきたフルもそうだったが、今まで出会った幽霊は死んでいる感じはなくむしろ人生……霊生を楽しんでいるように見えた。立派に見えるビビッドも意外とお茶目な人なのかもしれないと、エールは少し笑った。

 

 そういえば、とエールはリセットが自分をひいおばあちゃん似と言っていたことを話した。

「私もあれほど小さくはない」

 確かにリセットがエールの腰ぐらいしかないことを考えると、ビビッドは頭一つ小さいくらいの大きさである。

「私は魔法によって常に宙に浮かび背の高い者達とも視線を合わせることが出来るがリセットはそれも出来ない。女王になる際、あの小ささでは苦労するかもしれんな」

 リセットにとって小さいことは大きなコンプレックスである。

 しかし父や兄も言っていたが、リセットは成長すればきっとすごい美人になり男に言い寄られることになるだろう。このまま育たなくても良いのではないか、とエールがしみじみと言った。

「私もあれが育っていないとなんだか落ち着くのも事実」

 エールの言葉にビビッドも素直に頷く。

 凄く小さいけれど雰囲気は大人でしっかり者というそのアンバランスさもリセットの魅力だ、とエールはその場にいないリセットを思い浮かべながらうんうんと頷いた。

「それちっともフォローになってないと思うぞー…」

 長田君の頭に泣きべそを浮かべるリセットの顔が思い浮かんだ。

 あのリセットもいつか子供を作らなければいけないのだろうか、エールはシャングリラにいたリセットのファンという連中を思い出すともやもやとした気持ちになる。

「本人は育つ気でいるようだが、リセットは私よりさらに小さい。普通の性行為が難しいのであれば掟に従って優秀な男の精液を探すことになるな」

 精液を探すというダイレクトな言い方にエールは驚き、長田君が割れた。

 ビビッドは自らが作った掟のことをエール達に話した。

 

「そ、そっか! カラーって女の人しかいないからカラーだけじゃ子供作れないのか」

 長田君は手をポンと叩いた。

「昔はここペンシルカウで精液奴隷として人間の男を飼っていた。現在ではカラーが人を奴隷とすることは保護条約により禁じられているので過去の話だが」

「奴隷っつってもカラーを孕ませるのが仕事なんだよな? まじでうはうはカラーハ-レムじゃん……俺もそんなんならぜひ」

 ハニーじゃ精液採取は出来ないから無理だろう、とエールが冷静に長田君に話した。

「精液奴隷は名の通り精液を採取するだけの存在。扱いは家畜と同じだった」

 どうやら男の夢、ハーレムとはいかないようだ。

「カラーの女王は特別優秀な男を探し精液を採取しそれを体内に入れて妊娠する掟。 いつかリセットもそうなるやもしれん」

 リセットの相手は少なくとも自分より強い男でなければならない、とエールは手に力を込めた。

「そうか。ではリセットの婿選定の際はエールにも手伝ってもらうことにしよう」

 任せてください、とエールは気合を入れた。

 ランスにダークランスにエールを倒さなければリセットを貰えないのであれば、リセットは一生独身なんじゃないかと長田君は思った。

「いやいや!リセットさんも恋愛とかさ、結局好きあってるのが大事で …ってあれ? でも、パステルさんとランスさんって」

 パステルはランスをあの男という呼び方をし、邪見にしている。その態度を見れば二人の間で恋愛などと言う言葉はとても想像できない。

 そしてパステルのクリスタルの色は青色、冷静に考えれば父がナニをしたのかはエールにもうっすらと想像がついた。

「ランスは私の恋人でもある。シャングリラで再会した時もハーレムに入れと言ってきたしな」

「ランスさん、まじ羨ましいな……」

 今更誰がランスの女であると聞いたところで驚きはないが、長田君はイージスの胸元付近に目をやりながらしみじみとつぶやいた。

 イージスに昔話を聞くとランスは過去に少なくとも二度ほどカラーの村が襲撃された際、その存亡の危機を救っているらしい。

 魔王になってからはそんな事も過去の偉業になってしまったが、カラーの中にはいまだに昔のランスに憧れているものもいる……またそれがパステルにとっては気に入らない事らしいのだが、やる時はやるのが父だ、とエールは少し嬉しく思った。

 

「しかしエールが女で残念だ」

 突然そう言いだしたビビッドにエールは首を傾げた。

「世界で消えかかっている神魔法が使え、レベル神を持ち、聖刀・日光が扱える。そして魔王の子達をまとめ、魔王を討ち果たした討伐隊のリーダー。何よりもリセットが楽しそうに嬉しそうに話すその存在。エールもリセットを大事に思ってくれている様子、パステルは反対するだろうが男であればリセットの婿に迎えられた」

 男だったらリセットの婿になれていたのか、と思うとエールはとても残念だった。

「いや、そもそもリセットさんとエールは血繋がってるっすよ!?」

「それは些細な事。エールは優秀。精液を貰ってここのカラー達を孕ませてもらうことも考えられただろう。それを考えると実に惜しい」

 

 ビビッドの言葉にエールは自分が男に生まれてハーレムを形成してる様子を思い浮かべてみる。

 カラーの娘だけではなくエールの可愛い姉妹や日光まで混ざっていてより取り見取り。

 そしてすぐ横には愛するリセットがいて……それは楽しそうだが、ランスが切り込んでくるところまで容易に想像できた。

 

「そうなったら俺、エールのソウルフレンドやめるわ……いやそもそもソウルフレンドになれてねーわ」

 ちなみにエールのハーレム想像では遠巻きに見て泣いている長田君やザンスの姿もあった。

 それはあんまりなので自分が男に生まれていたらその時は長田君はハニ子の長田ちゃんだといいかもしれない。

「いや、それはねーだろ!?」

 エールはギャルっぽいピンク色のハニーが頭に浮かびあがり、一人声を殺して笑った。

 

 そうして談笑していると窓の外ではすでに日が沈みかけ薄暗くなっていた。

「今日はここに泊っていくと良い。 夕食もこちらで用意させよう」

 ビビッド達の好意でエール達はペンシルカウで一泊させて貰えることになった。

 

 エールと長田君が夕食までまったりと過ごしていると噂を聞き付けたカラーの娘たちがやってきた。

 人間嫌いなカラーではなく、いわゆる人に警戒心がなさすぎるカラー達である。

「エール様のことはリセット様がいっぱいお話してくれて会いたいなって思っていたんです」

「すごく強くて、でもすごく良い子で、いっぱいお世話になったって。もし会ったら歓迎してあげてねって言われてたんですよ」

 世話になったのはエールの方である、と話すとカラーの娘たちは笑った。

「先ほどはありがとうございました!おかげで変なこともされずにすみました」

「ルリッカったら相変わらずドジなんだから。エール様が居なかったら危なかったのよ?」

「颯爽と助けられたってちょっとうらやましいかも… 私達より小さいし女の子なのに噂通りすごく強いのね、エール様って! 魔王討伐でのお話聞かせてくださーい」

 恥ずかしいが、褒められれば悪い気はしない。エールも日光を振るう様子を見せたり、レベル神を呼び出したり、回復魔法を使ってみたりとサービスをするとそのたびにきゃあきゃあとカラー達が沸いた。

「……ぐすん」

 エールばかりが囲まれているのを長田君が悲しそうに見ていた。

 話ならばこっちの長田君がボクより上手、とエールが長田君を紹介すると長田君もカラーの娘たちに一緒に囲まれることになった。

「へへっ、俺の話が聞きたいって? しょうがねーなぁ!」

 そのまま話が盛り上がりつつ、夜の食事には彩り豊かで美味しいカラー料理が振舞われた。

 配膳やお酌もしてもらいこれがハーレムみたいなものなのかも、とエールは貴重な体験をした。

 長田君も終始ご機嫌である。

 

………

……

 

 次の日、エールはさっそく次の目的地へ向かうことにした。

 少しあわただしいが、ビビッドが未熟なカラーに対して人間に対して警戒心を育てたいと考えているならば、人であるエールが長居するのは良くないだろう。

 

 イージスにヘルマンにいるというリセットによろしく言って貰える様伝えると、ゼス側のクリスタルの森入り口を教えてもらうことが出来た。

 さらに警備隊のカラーが途中まで案内してくれるらしい。

「達者でな。お前達ならまた歓迎しよう」

 そう言ったビビッドやカラーの娘たちの見送りはなんとも華やかだった。

 

 目指すは魔法大国ゼス、スシヌは元気にしているだろうか。エールは魔法を教えて貰ったり、冒険の事を話したり、次こそ姉に甘えたいと思っていた。

 

 エールはもっと滞在したいと駄々をこねる長田君を引っ張ってペンシルカウを出発した。

 


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