エールはベッドの上で目を覚ました。
「エールちゃん…! よ、良かった……」
エールの顔を覗き込んだスシヌは目を赤くさせていた。パセリや日光も心配そうにしている。
「急いで口に世色癌詰めたんだけど体は大丈夫?」
口の中が苦いのはそのせいか、エールは自分の体にヒーリングをかけつつ大丈夫だと頷いた。
体を起こして窓を見ると外はすっかり真っ暗になっている。
エールはハニーキングに負けてしまったことをスシヌに謝罪した。
「ううん! エールちゃんは頑張ってくれたよ。 私が……私のせいでエールちゃんまで巻き込んじゃって……」
「エールさんはまた無茶をして。 ウルザさんから言われたこと忘れていましたね?」
日光が窘めるようにやや厳しい口調で、しかし言葉とは裏腹にエールの頭を優しく撫でた。
『ハニワの里に侵入出来ましたら、スシヌ王女の無事の確認と、城にいるであろうハニーキングに手紙を見せて下さい。その際にスシヌ王女を連れ帰っていただければベストですが、難しいと感じたらエールさんだけでも確実に帰ってきて下さいね。女王の親書にあるゼスからの警告を知らなかったと言い逃れできないようにすることが目的です。そうすればいくらでも……様々な方法で交渉ができますから』
エールはウルザの言葉を思い出した。エレベーターが止められていたため既に脱出はできなかったとはいえ、依頼は失敗である。
何より自分が来たせいでスシヌが親善大使からペット扱いにさせられてしまったのだから、エールは青ざめて落ち込むしかなかった。
「お姉さんを助けたかったという気持ちはわかりますよ」
日光は慰めるように言ってから、また刀の姿に戻った。
「ハニーキングはエールさんもペットにすると言っていました。どこまで本気かはわかりませんが、隙を見て脱出する方法を考えなくてはいけませんね」
姉を助けに来たはずが自分まで捕まってしまったことにエールは情けない気持ちでいっぱいになっていた。
そうしているとコンコンと扉がノックされる。
「みなさん、お食事をお持ちしましたよ。 そちらの方、エールさんは神魔法が使えると聞いておりますのでお怪我は大丈夫かと思いますが、薬は要りますか?」
エールは首を横に振って食事を持ってきてくれたハニ子にお礼を言った。
「ふふ、あとで片づけの方手伝って頂きますけれどゆっくり食べて下さいね。 それとお部屋の余りがないのでこちらの部屋をスシヌさんと共同で使って欲しいとのことですわ」
ピンク色のハニーはそう言って嫋やかに微笑んで部屋を後にする。
ハニ子とはあまり話したことがなかったが、立ち居振る舞いから淑女らしさが溢れていた。
「ここにいるハニ子さん達、みんな家事が上手くてしっかりしてるんだ。 あとハニ子さんの中でも特に美人揃いなんだって…」
長田君が居たらデレデレしてたかもしれないとエールは相棒のハニーを思い出した。
………
エールはハニ子やスシヌと一緒に皿洗いを手伝いながら今後の事を考えていた。
まずはハニーキングを倒せるかどうかだが、少なくともスシヌと二人では無理そうだ。
ハンデをつけられ手加減されてたのが分かっていてなお歯が立たない。
ハニーキングの強さは恐怖感や絶望感はないものの、おそらく魔王であった父ランスとほぼ同格なのではないかと感じる。
そもそも攻撃と回復と両立させたエールの必殺技、AL大魔法はその名の通り魔法でありハニーキングには通用しない。
AL魔法剣で応戦しようにもハニーフラッシュは遠距離攻撃で間合いに入ることも難しく、魔法バリアを張ってもらってから近づく以外方法がない。
躱すことが出来ないなら受けてから回復と言う手があるが、こちらの的はエール一人。まともに食らえば回復も絶対に間に合わないだろう。
ハニーの魔人を倒したことはあるが長田君はもちろん魔人のますぞえよりもはるかに強い。さすがはハニーの王である。
とにかく正攻法で勝てる相手ではない事はよく分かった。
せめてもう一人ぐらい攻撃役か攻撃を引き受けてくれるガード役が居ればいいのだが…
「エールさん、次はこっちをお願いしますね」
ハニ子がそう言って追加の洗いものを持ってきた。
量が多いのはハニーキングの勝利を祝って祝勝会という名の宴会をやってるのだという。
エールはそれを受け取りながらもなんだか悔しくなりリベンジ出来る物ならと口を尖らせた。
エールはさらに考える。
スシヌを連れて逃げる。こちらの方が戦って勝つよりは現実的である。
しかしここは浮遊大陸、エレベーターを動かせないことには下に降りられない以上逃げることも出来ない。
エールは横で一緒に皿洗いをしているスシヌに魔法で飛んで逃げられるかどうか聞いてみた。
「ご、ごめん。アニス先生は当たり前みたいに使ってるけど、あれすごく高度な制御の難しい魔法で私じゃ……エールちゃんを抱えながらは無理……」
スシヌはエールに謝りながらそう言った。
確かにスシヌの細腕でエールを抱えるのは無理だ。仮にスシヌだけ逃げられたとしても辺りはハニワ平原、野良ハニーの巣窟に魔法使い一人いかせるわけにはいかない。
「残りは私たちがやりますのでお手伝いはここまでで結構ですわ。 エールさん、スシヌさん、王様がお呼びですので謁見室に顔を出してくださいな」
エールは少し身構えたが、行かないわけにもいかない。
顔を伏せてるスシヌの手を引いて謁見室へと向かった。
………
「やあやあ、よく来たね。 すぐに目が覚めたようで何よりだ」
ハニーキングがかっこよくワイングラスを回しながらエール達を出迎える。
エール達が謁見室に入ると、すでに宴会は終わっているらしくハニー達の数も減りまったりとした空気が流れていた。ハニーの少ない謁見室は随分と広く感じる。
「さて君は僕に負けた。約束通りスシヌと一緒にペットになって貰うよ」
エールは大人しく頷きながら、スシヌには酷い事をしないで欲しいと頼んでみた。
「それは君の態度次第だと言っておこう」
スシヌはゼス王国の王女で危害を加えたら困るのはハニー側と言ったがそれは意に介していないようだ。
ならボクがスシヌがされることは全て引き受ける、とエールが真剣な目で嘆願する。
「だ、ダメだよ、エールちゃん!」
元々、エールが来なければスシヌはペットにはならなかったのだ。
こうなったのは自分の責任だから当然、とエールはスシヌに言った。
「そもそも私がここに居なければエールちゃんだって巻き込まれなかったんだよ!?」
スシヌの方も引かなかった。もちろんスシヌはハニー好みの眼鏡っこ何をされるか分からないだろう、とエールも譲らない。
「うんうん。君たちは実に仲がいい姉妹だね、いいよ、いいよー」
「これが姉妹愛… 姉妹愛を肴にもう一杯いけそう」
「しまいまー、良い夢見れそう」
ハニーキングの近くに残ってハニー達もしみじみと頷いている。
「それじゃ、明日からさっそくペットとしての仕事をしてもらうから今日のところは休んでいいよ。何させるかは楽しみにしておいてね」
あやしく笑うハニーキングは不気味だった。
「あっ、そうそうエール。 君が僕に勝ったら二人とも解放してあげるよ。でも挑戦は一日一回だけね。君が勝つか、僕が飽きるまで頑張れー」
エールはハニーキングの余裕の態度に少し頬を膨らませつつ、感謝の言葉を述べる。
いまは勝てるとは思えないが、戦っているうちに何か掴めるかもしれない。
………
……
次の日。
二人は何をされるかと身構えていたが、ハニ子に言われて家事の手伝いをしていた。
城の掃除や食事の手伝いで、スシヌも普段と変わらないと話している。
ちなみに城に勤めているハニ子は8人。これは昔美しいメイドを8人侍らせていた人を羨ましく思って真似をしているらしい。
「エールさんは筋が良いわね。 スシヌさんも覚えだしたら早かったけれど」
メイド技能がありそうなハニ子達の指示は素早く的確で教え方も上手く、エールも見習うべき点が多かった。このまま師事したらメイドになれそうである。
そうして空には日が一番高く上る時間になった。
「エールさん、スシヌさん。ハニーキングがお呼びですので謁見室へ行ってくださいな。 あとエールさんは日光さんは置いて来て欲しいそうです」
「武器を持ってくるなという事でしょうか…」
日光が心配そうに声をかけるが、エールは負けた身である。大人しく従った。
………
エール達が謁見室に向かうと、ハニー達がわさわさしていた。
しかし普段ハニーキングの横に控えているハニ子も含め、なぜかハニ子の姿はないようだ。
「ふっふっふ。よく来たね。これからはじまる凌辱ショーはハニ子には刺激が強いから下がらせたよ」
スシヌは凌辱ショーという言葉に震えた。エールはそんなスシヌを庇う様に立ち、真っすぐにハニーキングを見つめる。
「色々と考えたんだけどね。 まずは基本中の基本からいこうと思うよ」
脇にいるブラックハニーがエール達に差し出したのは衣服だった。
これに着替えればいいということか、とエールが尋ねるとハニーキングはあやしげな笑みを浮かべる。
「それだけじゃないよ。 なんとここで皆が見てる前で着替させちゃおうって寸法さ!」
「そ、そんな! 無理矢理ブルマーを履かせるだけじゃなくてストリップだって!?」
「なんていうひどい凌辱なんだ……!」
「恥ずかしさのあまりにポロリとこぼれる涙……想像しただけでもう割れそう!」
「そ、そんな……こ、ここで着替えって……みんなの前で脱ぐの?」
スシヌは驚いているが、エールは表情をかえない。
「ふっふっふ。しかも服は一着だけ、着替えてない方は大事な姉か妹が恥辱に晒される姿を見て存分に悲しんでもらおうって寸法さ!」
「まさに一石二鳥! さすがキング!」
「鬼畜の所業、鬼畜王!」
「今日の僕は鬼畜モード! 容赦はしないからね! さあさあ、どっちが着るんだい?」
「え、エールちゃん、ここは私が」
スシヌがその服に手を伸ばそうとして、エールは素早く横からその服一式を奪い取った。
畳まれた服を広げてみるとエールは見たことない上下セットの服のようで下半身は下着のような露出度の高さである。真っ白な靴下に赤いハチマキ、さらに上履きもついている。
「た、体操着だね。エールちゃん、これなら私前に着たことがあるから大丈夫――」
エールがスシヌはみんなの見てる前で脱げないだろう、と言うとスシヌは俯いた。
前の冒険での裸洞窟でも恥ずかしそうにしていたのだ、ハニーとはいえ男の前で脱げるはずなんかない。
逆にボクは裸洞窟でも無駄に堂々としていた、と説得されるとスシヌは黙るしかなかった。
「それを受け取ったということはエールがやるんだね。 君なら絶対にそうすると思ったよ」
エールは大きく頷いた。
「ふっふっふ。 じゃぁ、さっそくはじめてー」
ハニーキングが言い終わるのを待たず、エールが勢いよくすぱぱーんと裸になった。
「きゃー!」
「うわ」
「あんっ!」
見ていたハニー達はその様子に呆気に取られたり、目を覆ったり、引いたり、パリンと音をさせて割れた。
「エールちゃん!?」
あまりにも勢いよく裸になったエールにスシヌまでも驚き、パセリもきゃーきゃーとなぜか楽しそうに騒いでいる。
「ちっっがーーーう!」
ハニーキングはそんなエールに思わずタオルを投げた。
「なんでそんな勢いよく裸になるんだい!? 君に恥じらいってものはないの!? その前に体操服着るだけで裸になる必要はないでしょ! なんかもう、すごいびっくりしたよ!」
エールはハニーキングに怒られてしまった。
周りのハニーからも興奮しているハニーもいるが主にブーイングが上がっている。
「エールちゃん、早く下着だけでもつけて~!」
エールの肌を隠すようにかけられたタオルを持ってくれているスシヌに庇われながら、エールは服を着なおした。
エールはスシヌにこれは下着じゃないのかと聞いてみる。
「最近では少しずつ見なくなってるけどこれは体操着とブルマーって言って、運動するための服なんだよ。だからエールちゃんがつけてるキュロットと同じ感じで着るの」
エールは噂には聞いていたものの実際にブルマーを見たことがなく下着と勘違いしてしまった。
しかし、それならばエールが今着ている服とあまり変わらないのではないだろうか。
「違うよ!! 全然違うよ!! ブルマーだよ!? 動きやすさとエロスを兼ね備えた若い女の子にしか許されない発展途上の健康的なふとももが眩しい伝統衣装で世界の至宝と言っても過言ではなく、それを露出度が高いから無くそうなんていう世論に我々は真っ向から反対し――」
すごい勢いで詰め寄ってきた説明ハニーがブルマーの良さを力説し始めた。
エールは説明ハニーを叩き割った。
「やっぱスシヌに着てもらおうよ。ブルマーは眼鏡っこと合わさる事で最強に―」
エールはそう言ったハニーを眼光で射殺せるぐらいに睨みつけるとそのハニーが恐怖で割れる。
そうこうしながらハニーを割っていると、一人のグリーンハニーやってきてエールにそっとメモを渡した。
"下着が見えるが見えなくなるように隠しながら、恥ずかしそうにゆっくりと一枚ずつ脱ぐ"
エールがそれに目を通すとそのグリーンハニーは親指をぐっと立てた。恥ずかしそうに、という部分に二重線が引いてあるのでハニーキングも言っていたように恥じらいが大事なのだろう。
「このメモってセクハラだよね……」
スシヌはそう言っているがエールは的確なアドバイスに感謝しながら親指を立てる。
エールは仕切りなおした。 もう一度、今度はゆっくりと服を脱いでいく。
うつむきながら肌をできるだけ隠すように心がけると、ハニーの視線が一斉に向けられる。
ハニー達もいきなり全裸になった時よりも興奮しているようではぁはぁと息を荒げている。
「おへそが見えたー」
「きゃー、えろーい!」
衣擦れの音が響き、ぱさっと服が地面に落ちる。
「パンツが見えたぞー! 白だー!」
エールは実況されるとさすがに少し恥ずかしくなった。
「ああ、エールちゃんが…」
視姦されているエールを見て、スシヌは泣いている。
そしてこれまた色んなハニーがスシヌを見つめていた。
むしろストリップさせられているエールよりも泣いているスシヌの方に向けられる視線が多い。
「妹が自分を庇って恥ずかしい目にあっているのに何も出来ず、ただ無力に見ていることしか出来ないなんてなんてかわいそうなんだ」
「割れないギリギリのラインでの不幸な女の子作りにかけてはさすが王様と言わざる得ないよ」
エールは姉を変な目で見ないで欲しいという思う気持ちもあるが、スシヌへの視線の多さに少しだけ納得いかない複雑な気持ちになった。
「ねえねえ、着てた服ちょうだーい」
エールが着替え終わると一人のハニーがエールに声をかけた。
これはお母さんが昔着ていた服を直したとても大事なおさがりなのであげられない、と答える。
「そっか残念。んじゃ、靴下脱いでそれちょーだい!」
エールは言われるがまま履いたばかりの靴下を脱いでそのハニーに渡した。ブーツもないので足がスース―とする。
「お前何抜け駆けしてんだ!」
「早い者勝ちだよ!」
「あっ、エール。代わりにこれ履いてー」
エールはなんでか代わりの靴下を貰って履かされる。
そして履くとすぐにハニーが足元に寄ってきた。
「ぐへへ、凌辱だぞー」
そう言ってエールの靴下を脱がす。
「キャーきちくー!」
エールはそうやって楽しそうにはしゃいでいるハニー達を見つめて、よくわからないが割りたい気持ちになったがそこでハニーキングが声をかけてきた。
「うんうん、十分恥ずかしそうだったね。その調子で頼むよ! みんな、次の準備にかかってー」
エール達は城の裏庭まで案内された。リーザスやヘルマンの大きな庭ではなく、ベンチが二つあるだけの小さな裏庭である。
ただ城のすぐ後ろは浮遊大陸の端ということもあり、地平線が見えるほどの景色が広がっている。
「ここ夜は星空がとっても綺麗でロマンチックなのよね。幸せそうにデートしてるハニーさん達をよく見るわ」
パセリの言葉にエールがそれはぜひ見てみたい、と言うと
「あら、ならエールちゃんも一緒に出歯亀しましょうか」
そっちではなく見たいのは星空だ、とエールが言い返した。
そうしているとハニーたちが水の入ったバケツと大量の水鉄砲を運んできた。
「君にはいまから水鉄砲の的になって貰うよ」
ハニーフラッシュの的ではなく水鉄砲の的、というのでエールは首を傾げた。
そんなエールにまたしてもグリーンハニーが寄ってきてさっとメモを渡してくる。
"いじめられっ子風に悲しそうにする、下着が透けてきたら恥ずかしそうにめそめそする"
やはりセクハラめいた内容だったが、エールはふむふむと頷きながらそのメモを読んだ。そしてグリーンハニーと目が合うと、お互い親指を立てる。
だがめそめそするというのがどうすればいいのか、と悩んでいると
「あっ、エ、エールちゃん。やっぱり私が代わって―」
エールは首を横に振ると、スシヌはまた目に涙を浮かべて俯いてしまう。
めそめそとはああいう感じだな、とエールは気合を入れた。
「よし、んじゃスタート!」
ぐへへーといやらしく言いながらハニー達が座り込まされたエールを囲んだ。その手に持った水鉄砲から発射された液体(水)がぴゅーっとエールの体に振りかけられる。
少し警戒したが冷たさを感じるものの普通の透明な水のようでダメージはなく、メモのアドバイス通り、スシヌの真似をして目に涙をためるような仕草でエールは大人しくめそめそと水鉄砲を受けることにした。
「胸の辺りを狙えー!」
「ちっぱいだけどね!」
「そこがいいんだぞ!」
エールはムッとなったがめそめそしているのに怒るわけにはいかないと我慢をする。
体操着に水が含まれると肌に張り付き、白い下着が透け始めた。
「透けるってだけで普通に脱ぐよりもえっちな感じがするわね」
「うんうん、少しずつ見えるっていう部分がチラリズムだよね」
パセリの言葉にハニーキングも満足そうだった。
「次は股間の辺りを狙っちゃうぞー!」
そういったハニーが狙いを定めるが
「あれ、なんか引き金が重い!」
どうやら水鉄砲が壊れたようで一人のブルーハニーが騒ぎ始める。
「わーん、どうしよう! 代えの水鉄砲はないの?」
「えー、次僕の番だぞー!何壊してんだよー!」
エールが見たところ引き金の留め具が引っ掛かっただけだったのでささっと直してあげると、お礼とばかりに顔に水をかけられた。
「嫌がっているのに実は欲しがるマゾプレイってやつだ!」
そういってブルーハニーが嬉しそうにしている。エールはせっかく直してあげたのにとムッとしたが、めそめそするのが大事という事を思い出して我慢した。
そのままエールは体操服を着たまま全身をびちゃびちゃにされてしまった。髪の毛からも水が滴っている。
そうしているうちにバケツの水がなくなって終了と思った所に
「追加のバケツ持ってきたよー」
さらに水が追加された。
「この淫乱めー、もっとビッシャビシャにしてやるー! 」
エールはそう言われて思わずそのハニーから我慢の限界とばかりに水鉄砲をひったくるとその引き金を引いた。
「エールちゃん!?」
「きゃーーっ!汚された―!」
スシヌが驚いたが、騒ぐハニー達にエールは次から次に水鉄砲を乱射していく。
「ぐあー! やーらーれーたー!」
水をかけられるとノリでハニーが倒れるので水がなくなったらさらに武器を奪って発砲。
そのままなぜかハニー同士も撃ち合いはじめ、激しい水鉄砲の撃ち合いに発展した。
「僕は二丁拳銃だ!」
「花火がしけったー!」
レッドハニーやブラックハニーが騒ぎ出す。
「ここは四天王リベンジだ!」
「こっち水鉄砲の数が四本しかないぞー!」
五人のスーパーハニー四天王が水鉄砲を取り合っている。
「俺はもうだめだー…最後に彼女にこの指輪を……」
「メディーック!メディーーーック!」
そんな小芝居をはじめるハニー達もいた。
それにエールもお前も後を追わせてやるーと参加すると、庭はさらに大騒ぎになった。
……空に夕焼けがかかるころ、最終的にみんなびしょぬれになった。
「みんな目的忘れてるでしょ。 恥ずかしそうにさせたかったんだよ、僕は」
エールはもちろんはしゃいでいたハニー達もハニーキングに少し怒られてしまった。
「すいませんー…」
「ごめんなさーい」
口々にハニーキングに謝るが、そもそも深く気にしてはいないようである。
「みんな楽しめたなら別にいいか。 明日からはこうはいかないからね、たぶん」
ともあれハニー達は楽しかったらしく満足そうにしていた。
「エールちゃん、お疲れ様。 な、なんだか楽しそうだったね」
スシヌがエールに大きなタオルを渡すと、エールは楽しかったと答えた。
エールの髪の毛をスシヌが優しく拭いていると
「ほのかな百合の香り…」
そう言って近づいてくるハニーがいる。
「ふふ、ハニーさん達も楽しそうだった」
スシヌがそう言って笑った。
「スシヌが笑ったー」
「女の子は笑顔も良いよね!」
「笑顔と泣き顔は表裏一体…」
そう言ってさらに群がるハニー達に笑顔の方がいいよと言って、エールも笑いかけるとスシヌは真っ赤になってしまった。
エールが水びだしになった服を脱いで絞るとそこはとてもエロかったらしくハニーが割れている。
エールはハニー達と仲良くなれた気がした。
………
「エールちゃん、ハニーキング様が体冷やしちゃったかもしれないから温泉入ってきて良いって」
遊び終わって後片付けをしていたエールにスシヌがそう言った。
温泉に案内されるとそこはさすがに観光名所に載っていただけあり、ゼスが一望できる素晴らしい絶景温泉だった。
何人かのハニ子も温泉に浸かっている。
「もうちょっと簡単に来れればもっとゼスの一大観光名所になると思うんだよね。人が多すぎても困るのかもしれないけど、ハニワ平原って本当に危なくて普通のお客さんは行きも帰りもハニーさん達の護衛をつけないと来られないんだ。そうなると料金も上がっちゃうし……」
観光事業の相談を受けていると言っていたが、スシヌはまだそれを考えているようだ。
スシヌは真面目だねー、と言ってエールは肩まで温泉に浸かる。
芯まで温まる温泉に疲れが溶けていくのを感じて、捕らわれていることも一時忘れることが出来た。
ついでにスシヌの胸元を見ると、そんなに育ってないように見えて少し安心である。
「ん? どうかしたの?」
夕焼け綺麗だね、とエールが言うとスシヌは頷きながら笑っていた。
そういえば長田君は元気にしているだろうか?
赤く染まった空を見ながらエールは相棒のハニーを思い出していた。