エールちゃんの冒険   作:RuiCa

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ゼス首都への帰途

 エール達が帰還の準備をしていると、長田君が何かに気が付いたように騒ぎ出した。

 

「そーいや、ここ確かここ有名な温泉があるハニワの里じゃん! せっかくここまで来たんだし温泉入ってかない?みんなも王様と戦って疲れてるだろうしさー!」

 長田君が嬉しそうに跳ねている。

 お風呂代わりに使わせてもらっていた温泉であるが、これで最後と思うと名残惜しい気もしてエールも長田君の案に賛成した。

「あん? さっさとこんなハニワくさいとこ出てくぞ」

「おいおいおーい。ハニワの里の温泉と言えば有名なハニー観光名所なんだぜ? 絶景でしかも混浴も!」

 長田君はハニーとしてぜひ来たい場所であったらしく、めんどくさそうにするザンスになぜか得意げに紹介していた。

「おっ、混浴か。それなら入ってやっても良いな」

 ザンスもそれを聞いてニヤリと笑っている。

 

「…くだらない。サテラ達は先に行くぞ。シーザーは男湯にいっておけ。覗くような輩が居たら潰していいからな」

「分カリマシタ、サテラ様」

 サテラはそう言ってリズナと先に女湯へ行ってしまった。

 シーザーはガーディアンで温泉など興味はないようだが、サテラの命で男湯から女湯を覗こうとするハニーをたまに潰しているらしい。

 

「そういえばまだ混浴も残っているんだったわね。せっかくだからスシヌもザンスちゃんと一緒に入ったら?」

「な、なに言ってるの!おばあちゃん、混浴なんて!」

 サテラ達を気にせず、スシヌは混浴という言葉に焦りまくっていた。

「がははは、お前もちっとは成長したかどうか見て…」

 ザンスとパセリにからかわれ焦っているスシヌを見たエールは、スシヌは恥ずかしいだろうし混浴ならボクが一緒に行こうか、と言い出した。

「は…?」

「あら、エールちゃんってば大胆」

 呆気にとられるザンスと妙に嬉しそうなパセリを横目に、ウズメも一緒に行く?と誘っている。

「にゃ!? そ、そういうのはウズメは遠慮するでござるからして! 主君殿命令でもそれはそれはダメでござる!というか、主君もダメでござる!」

「エールちゃん、変なこと言わないの! は、裸になるんだよ!?」

 別にエールは裸を見られるぐらい恥ずかしくはないのだが、ウズメとスシヌが焦りながら止めるの見て首を傾げた。

「んで、エールは俺様と一緒に混浴するか?」

 ザンスの言葉にエールはすんなりと頷くと、ザンスは少し焦りだした。

 女湯ばかりで混浴の方に行ったことはなかったので気になっている、と言って見つめ返す。

「……よく考えりゃお前らの貧乳なんぞ見ても楽しくないしな。もうちょい成長したら付き合ってやるわ」

 そう言って目を逸らしたザンスを見てエールは ザンスが行かないなら長田君が一緒に混浴行く?と長田君を誘ってみた。

「あんっ」  

 案の定、長田君は割れた。

 二人とも度胸がない、とエールが口を尖らせつつ笑みを浮かべるとその頭がポカンと叩かれた。

「アホ言ってんじゃねーぞ!」

「そういえばリズナさんはランスさんとここで混浴したことがあるって言ってたわねー」

「マジっすか!? リズナさんとか服着ててもエロいのに超羨ましい…」 

 そういえばリズナさんと温泉に入った時は凄かった。ナギのような巨乳にエロスが加わりとんでもないことになっている。

 長田君が一目見たら破片どころか間違いなく砂、いや塵になって風に流されてしまうだろう。

「え、そんなすごいん?」

 エールは力強く頷いた。

 ならボクが代わりにリズナさんの巨乳を堪能して後で教えてあげるよ、と長田君に伝える。

「いらねぇよ!? いや、でもちょっと聞きたいような怖いような、すっげー気になるからあとで教えて」

「さっさと行くぞ、陶器!」

「エールちゃん! もう行くよ!」

 アホな事を話している二人をザンスとスシヌがそれぞれ引っ張って行った。

 

………

 

「温泉温泉、役得でござーる」

「これでもう温泉に入れないって思うとちょっと寂しいね」

 スシヌの言葉にエールも頷いた。

 ハニー達との生活はどこか不安だったが、この温泉は間違いなくとてもいいものである。

「ここも大事なゼスの観光名所だし、ハニワ平原越えるのさえなんとかなればもっとハニワCITYにも人が増えると思うんだよね」

「姉上殿は真面目でござるなー、ハニーに酷い目に合わされたはずだというのに」

 ウズメはそう言ったが色々あったもののエールもスシヌも結局、ハニーを嫌いになるということはなかった。

 スシヌはハニー城に招かれて自信をつけたのは間違いなく、エールも既に解放された今なら城での出来事は楽しい思い出であり、ハニーキングが言っていた事は間違っていない。もし全て計算してやっていたのならさすがハニーとはいえ王様だ、とエールは感心していた。

「あれ?」

 エール達が脱衣所で服を脱いでいると、スシヌが眼鏡の縁に手を掛けて固まっていた。

「どうしたでござるか?」

 エールも気になってスシヌの顔を心配そうにのぞき込む。

 

「め、眼鏡が外れないの……」

 

 スシヌが焦りながらそんなこと言った。

 エールはそんな馬鹿なと思い、スシヌの眼鏡を摘まんで引っ張ってみるとその眼鏡は多少ずらせはするもののまるで顔に吸い付いているように外すことが出来ない。

「いたっ……うぅ、痛いよ、エールちゃん……!」

 エールは謝りながらすぐに手を離した。

「もしかしてハニーキング様が最後にやってた…」

 もしかしても何も、間違いなくハニーキングが最後にかけていた怪しげな呪文のせいだろう。

 眼鏡に並々ならぬ情熱をかけていたハニーの王ならばこんな変な呪いが出来てもおかしくはない。ハニーキングを見直した矢先にこれである、エールは憤慨した。

「……これずっと外れないのかな?」

 泣きそうになっているスシヌを見てエールも悩んでみたが、ともかくもう服を脱いでしまったのでとりあえず温泉へ行こうと言った。

 眼鏡が曇るのは我慢して貰うしかないが眼鏡をかけてはいることで絶景がより楽しめるかもしれない、とスシヌを励ます。

「う、うん…」

「主君殿はマイペースでござるなあ」

 ウズメは笑っているが、あとで神魔法で何かないか見てみるから、と言うと二人は納得したようだった。

 

………

 

「全く、なんでお前達まで一緒に入るんだ」

「いいじゃないですか。大勢で入った方が楽しいですよ」

 先に温泉に浸かっている元魔人二人にエールは改めて助けて貰った礼を言った。

「別にお前たちのためじゃないが精々感謝しろよ」

「私もエールさん達に助けられた身ですから……あら、スシヌちゃん眼鏡をかけたままなんですか?」

 エールはスシヌが眼鏡が外せなくなってしまったことを話すとサテラが笑い出した。

「ぷっ、ははははは! おかしな呪いにかけられたものだな!」

「サテラさん、そんなに笑わなくても」

 泣きそうな顔をしているスシヌを見て、エールはサテラを睨んだ。

 その視線から目を逸らしながらサテラが何かを思い出したように話し出した。

「そういえば前にも見たことあるな。眼鏡が外せなくなったっていう人間の女」

 エールは詳しく教えて欲しいとサテラに詰め寄った。

「詳しくは覚えてないな。なんかすごく地味なやつだったような……」

「もしかしてメリムさんでしょうか。確かハニーさんに呪いをかけられちゃったんですよね」

 リズナが話したそれは、間違いなくスシヌと同じものだろう。

 エールはメリムという人物について詳しく聞こうとしたが、リズナは申し訳なさそうに首を振った。

「すいません。確かヘルマンの方なんですが最後に会ったのも本当に昔の事なので今どうしているかは……それにメリムさんも眼鏡を外しているのは見たことがないですし、ハニーキング様にかけられたものならメリムさんがかけられたものより強力なものなのではないでしょうか?」

 スシヌはそれを聞いてかなり落ち込んでいるようだ。

 エールの神魔法ならば簡単な呪い程度であれば解呪出来るだろうが、リズナの言う通りハニーキングの呪いとなるとかなり難しそうだ。

「まあ、命に関わるようなものでもないでござるから」 

「ゼスに帰ったらちょっと調べてみましょ」

 エールもスシヌの頭を元気づけるように撫でて、景色が遠くまで見えないかを聞くとスシヌは遠くにゼス王宮を囲む塔が見えると少し笑った。

 

「そういえば元魔人のお二方は父上殿を探しているというのは本当でござるか?」

 景色を眺めている二人をよそに、ウズメは元魔人二人に話しかける。

「ああ、そうだ。こんな所にいるのもその情報を手に入れるためだからな」

「ふむふむ、それで情報屋ハニーを使って探させてると。それが母上殿の情報網に引っかかったんでござるな……では先に話しておくでござるが、おそらくその情報屋ハニーからは何も得られないでござるよ」

「……そうなのか?」

 ウズメの言葉にサテラが目を見開いた。

「父上殿に恨みを持つ人間は本当に大勢いるゆえ、その居場所は巧妙に隠されてるでござる。普通の情報屋を当たっても絶対に見つからないでござるよ」

「…ってことはここに来たのは完全に無駄足だったか。ふん、お前たちを助けたのも無駄だったな」

 見つからないっていう情報は得られたのではないか、とエールは口を尖らせた。

「そういうお前はランスの居場所を知ってるのか?」

「残念ながら母上殿ではないのでウズメは知らんでござる」

 ウズメは頭を振った。

 仮に知っていたとしてもウズメが情報を漏らすことはないだろうな、とエ―ルは考えた。

「お母さんってかなみさんですよね。魔人側からの情報はビスケッタさんがかなみさんと組んで色々とやっていたと聞いています。その節は本当にお世話になって…お礼も言えず申し訳ありません。私がお礼を言っていたと伝えておいていただけますか?」

「ういうい、母上殿に伝えておくでござる」

 ウズメは母親が褒められて少し嬉しそうに笑ったが、すぐに少し真剣な顔になった。

「しかし母上殿の情報網に引っかかった以上、お二方の居場所が魔人討伐隊とやらに見つかるのも時間の問題でござろう。早々にこの場を離れた方がいいでござるよ」

「そうですね。万が一にも景勝には迷惑をかけられないもの」

「あいつの情報が手に入らないんじゃこんな所に用なんかない。すぐ出ていくさ」

 これで夜な夜な出るビッチの噂が無くなるんだな、とそんな言葉がエールの口からでかかったがサテラを見つめるだけにしておいた。

「ウズメちゃん、すっかりお姉さんになったねー」

 スシヌがウズメを褒めるとウズメは照れ臭そうな仕草をした。

「…にょほほ、ウズメはまだまだ半人前でござるよ」

「かなみさんも私が魔人になる前はまだまだ半人前のようで、よくランスさんにお使いなんかをさせられているのを見ましたよ」

「ウズメもそんな母上殿を見習ってみんなのパシリになってるでござる。一人前の忍者の道はまずパシリから」

「ウズメさんは鈴女さんにも似てますよね」

「知ってる人はみんな鈴女の子とか言うでござるな。母上殿も生まれ変わりがどうとか」

 かなみは元々ランスの専属忍者だったそうだ。

 エールはリズナはランスとよく冒険に出ていたという話を聞いていた。つまりかなみとも知り合いなのも当然のことである。

 そして鈴女という人とも知り合いのようで、エールは鈴女という人の事をリズナに尋ねてみた。

「JAPAN一と言われるほどとても優秀なくのいちさんです。確かかなみさんの前のランスさんの専属忍者だったんですが…」

「くのいちの術は命を縮めるものが多いと聞いてるでござる、そのせいで鈴女という人も若くして亡くなったとか」

 かなみがウズメにくのいちの術を禁じている最大の理由である。

「亡くなった後も幽霊になってかなみさんに忍術を教えていましたよ。亡くなってからもなんだか楽しそうな方でした」

「あら、私のお仲間さんだったのかしら」

 そう言ったパセリも幽霊である。

 あまり話したことはなかったがリズナは鈴女のことを少し思い出す。

 幽霊となった鈴女が成仏した時、置手紙を残していった。それを見て涙を流していたかなみと勝手に成仏したと怒りつつどこか寂しそうにしていたランスを思い出した。

「でもウズメちゃんが生まれ変わりなら、その鈴女さんは転生というかちゃんと成仏したのよね。ならきっと地上に未練はなくなったんだわ。いい人生だったんじゃないかしら?」

「…おばあちゃんはまだ行っちゃだめだよ?」

 スシヌが少し寂しそうにパセリを見つめた。

 元気そうに見えても幽霊、いつ成仏してもおかしくはない。

「スシヌの子供の顔見るまではまだまだ成仏なんかしないわよ~、いっそこのままゼス代々の守護霊になっちゃおうかしらね」

 浄化されないように気を付けて欲しい、エールがそう言って温泉に顔を半分ぶくぶくと沈めた。

 

 それを聞いていたのかどうなのか、サテラが青い空を見つめてつぶやいた。

「本当にどこにいるんだ、あいつは。魔王としての後始末もせずに……サテラを置いて。全く会いに来やしない」

 そう言って今度は目を伏せたサテラの表情は愁いを帯びていて、どこか色気を感じる。

「ランスさんが無事でいると良いのですが、会いたいですね」

 リズナも心配そうに、寂しそうに胸に手を当てて呟いた。

 そんな二人を見てエールはもし冒険の途中で会ったら二人が会いたがってたと伝えておく、と話した。

 色んな人から聞いたが魔王になる前の父は色々な所を冒険していたようだし、魔王から解放された今もシィルという女性と共にまた冒険に出かけているのは間違いない。

 いつかどこかで出会うような気がした。

「ありがとうございます。エールちゃん」

「ふん、期待しないでおく。でももし会えたら絶対に会いに来るんだぞ! もう使徒には出来ないがそれでもランスはサテラの……いや、とにかくあいつはサテラの使徒になるって約束したんだからな!」

 使徒うんぬんはともかくとして、エールは頷いた。

 魔物界にもいつかまた行ってみたいと思っていたし、いつか父と一緒に魔物界へなんていうのも楽しそうだと思いを巡らせる。

「ランスさんは誰にも縛られないと思うけどな。でもそんなところも素敵な人だったわよね? だからマジックも何されたって未だにめろめろなんだし」

「マ、ママってパパにめろめろなんだ」

「もちろん母上殿も父上殿にめろめろでござるよ。無事だったと知って泣いて喜んでたでござる」

 エールの母ももちろんランスを大事に思っている。

 父はとてもモテる、父の事を噂でしか知らないエールもそれだけは疑いようのない事実だと思っていた。

 

………

 

 そのまま雑談しながら温泉に浸かっていたが、エールはリズナの圧巻の巨乳をまじまじと見つめた。

 スタイル抜群なのもそうだが、温泉にその巨乳が少し浮かんでいて体を動かすたびに揺れるその光景はとても扇情的である。

 「どうかしましたか?」

 視線を感じたリズナがエールに話しかけた。

 肩が凝りそうな大きさですね、と言いながらエールはまたしても遠慮のない視線を向ける。

「エールちゃんあんまりじろじろと見るのは失礼だってば…」

 長田君に伝えるという約束をしたから、と言いながらこれは言葉で伝えるだけでも長田君が粉々になりそうである。

 スシヌとウズメは気にならないのだろうか。

「…気にならないわけじゃないけど」

 スシヌはちらちらとリズナの胸を見ながらもじもじしつつ正直に言った。

「こぼれそうですごく落ち着かないでござる…」

 ウズメの言う通りだが、リズナだけではなく魔人はみんな揃って妙に露出度が高いのがエールは気になっていた。

 特にホーネットの服装などは一枚着忘れているようにしか見えない危ない透け具合で、戦った後に思わず訊ねてしまったほどである。

「お前、ホーネット様に何て事言うんだ!!」

 怒るサテラを無視して、あの時は返事はなかったがもしかしてあの服は父の趣味なのか、とエールが尋ねる。

「私の服装はランスさんの趣味ですが……」

「サテラ達は違うぞ! 魔人だから人間なんかとは感覚が違うだけだ!」

 そう焦りながら話すサテラは置いて、エールは思い切ってリズナにおっぱい触らせてください、とお願いしてみることにした。

「何言い出すんだ!全くランスじゃあるまいし…」

 何故かサテラが驚いて焦り始めた。

 父はやっぱり揉みほぐしまくりだったのだろうか。

「それは何も私だけではありませんでしたよ。サテラさんもシルキィさんやホーネット様だって、みんなで一緒だったことも―」

「リズナは何を素直に答えてるんだ!余計なことを言うんじゃない!」

 

 エールは何事かを考えた後、素早くサテラに近付いてむにっと胸を触った。

「ひんっ!」

 すごく大きいというわけではないが、柔らかく弾力があり女性らしさを十分感じさせる。

 なんだかいやらしい声を上げたのが面白く、エールは何度か揉んでみる。

「エールちゃん、それぐらいにしてあげてくださいっ…」

 エールがむにむにとしているのをリズナが焦って止めに入る。

「お、お前、どうしても死にたいらしいな! 殺してやる!」

 とうとう本気で怒ったとばかりにサテラはエールに対し凄んだ。それは魔人と呼ばれていた者の殺気と威圧感を含み並の人間であれば震えあがって怯むものであったが、サテラが凄んだ相手はエールである。

 シーザーもおらず、鞭もなく、粘土がこねられず、無敵結界もなくなったサテラはエールにとって全く怖い相手ではなかった。

 そういえば翔竜山で戦った時、勢い余ってひんひん言わせてやる!と思いながらエールは返答とばかりにサテラをぺたぺたと触り始めた。

「う、うぁ、い、いい加減やめ……」

 触っていてわかったことだが、サテラはとても感じやすいのだろう。

 

 そんなエール達をスシヌとウズメは顔を真っ赤にして、リズナさんは止めようとしても止められなくおろおろと困った顔をしながら眺めている。

 エールはこれはリズナの方も押せばいけるのではないかと思ったので、巨乳を触ると豊乳のご利益があるから巨乳は触らせるべきと適当に言ってみる。

「そうなんですか?では、少しなら…」

 エールが一瞬戸惑うぐらいリズナはあっさりと了承した。

 おずおずと触ってみるとナギに迫る圧巻の大きさに重量感、そして柔らかい感触。羨ましい気持ちと同時にありがたやという気持ちが混じり思わず拝むポーズをとる。

 スシヌやウズメも呼んでご利益祈願したら、と言うと二人もおずおずとしつつ触っていた。

「わぁ、すごいねぇ…」

「これは確かにご利益ありそうでござる」

 三人でむにむにと触っていると

「あっ……はぁ……んっ」

 リズナの反応がおかしくなった。

 エールはてっきりナギのような余裕の反応をされると思ったのだが、リズナは息を荒げ甘い吐息を吐き出している。

「わぁ、バカバカ!何てことするんだ! お前ら、すぐに手を――」

 慌ててサテラが止めに入る。

 

 ――だが時すでに遅く、リズナの両目は開いていた。

 

………

……

 

 エールが目を覚ますとリズナにサテラ、スシヌやウズメまでみんなぐったりとして脱衣所に運ばれていた。

 頭がぼーっとしていてまだ体に違和感がある。

 

 湯冷まししてくれたのはパセリとそして人間になった日光である。

 何があったのかを聞こうとしたが、日光は返答の代わりにエールに叱るような視線を向けた。

「エールさんは軽はずみな行動が多すぎです。 実力があるとはいえ迂闊な行動が危険だというのはハニーキングを相手にした際に学んだはずでしょう。今回の事もそうです。女性に対して失礼ない事というのも含め、ちゃんと反省を――」

 エールは日光に裸にタオルだけのまま正座させられ説教を受けていた。

 怒り心頭のサテラはパセリが子供のすることだからと宥めている。

「エールちゃん、あんなことしちゃダメでしょ!ちゃんと謝りなさい!」

 普段あまり怒ることがないスシヌですら怒っていたのでエールはものすごく反省し、リズナやサテラにしっかりと頭を下げて謝った。

「い、いえ、こちらこそ。何となくランスさんを思い出しました」

「あいつもここまでじゃなかっただろ。全くとんでもないガキだ」

 体に違和感があるのか顔を赤くしながらリズナは苦笑し、サテラは呆れていた。

 

 

 温泉から出ると既に長田君達は温泉の前でエール達を待っていた。

 同じ土から生まれた者同士、長田君とシーザーが仲良くなっている様子である。

「お、来た来た!遅かったな、エール。顔真っ赤だけどどしたん?」

「サテラ様、ドウカナサイマシタカ?」

「な、なんでもない!なんでもないぞ!」

 サテラは思い出したのか顔を赤くして焦っている。

「どうせ温泉に浸かりすぎてのぼせでもしたんだろ」

「ザンスちゃんにはまだわからないわよねー」

 パセリの言葉にザンスは眉を寄せた。

 

………

 

 エールはその後リズナが世話になっていたというぷちハニーの景勝に挨拶にいった。

「どんだけ道草食うんだお前は」

 ザンスはそういうが、先ほどの事もありリズナのたっての願いであれば聞いてあげたいところだった。

 長居はしないからと言って、エールがその家に向かうとぷかぷかと浮かんでいる夢とかかれた小さなJAPAN式兜をかぶったぷちハニーが出迎える。

「おかえり、リズナ。そして君がスシヌ王女が話をしていたエールか。ささ、立ち話もなんだ、中に入りなさい」

 中に入り奥さんだというハニ子から茶を受け取り飲んでみると、ほっと安心するような美味しさである。

「リズナを魔王から……魔人から解放してくれたと聞いた。エール殿には本当に感謝する」

 景勝はエール達にリズナを魔人から解き放ってくれた事の礼を言った。

 エールは首をぶんぶんと振った。あれはみんなでなしたことである。

「スシヌ王女もそうだが、あのケダモノの子供達とは思えんな」

「いーや、こいつはランスみたいなやつだぞ」

 サテラがエールを指さして言った。

 エールは言い返せず、口を尖らせる。

「何かあったのか?いや、まぁいい。リズナは昔から騙されやすく、幸も薄くてな。とうとう魔人になってしまったと……魔人になるしかなかったと知って心を痛めていた。魔人になった後もな」

 エールはそういえばなぜリズナが魔人になってしまったのかは聞いていなかった。

「ゼスに来た魔人メディウサのこと、お前は知らないのか?」

「サテラ殿。知らないのであれば話すこともあるまい」

 景勝は詳しくは話さないもののリズナが魔人になった経緯は非常に重いものである。

 ザンスも話を知っているのか顔をしかめており、スシヌも、そしていつも笑顔を浮かべているパセリまで思い当たるのか沈痛な表情を浮かべている。

 エールもそれ以上聞けなかった。

 

 リズナの事を救ってくれたと礼を言って、もてなそうとしてくれたがそれは丁重に断る。

「そうか、はやくゼスに戻らなければならないと」

「景勝、お世話になりました。私達もここを出ていきます。情報屋さんが来たら、情報はすでに貰ったと伝えて下さい」

「分かった。しかしそうか…例の魔人討伐隊とやらか」

 リズナは小さく頷いた。

「何かあったらいつでも歓迎しよう。サテラ殿もリズナの事を頼みます」

 ただ心配そうにしている様子は娘を心配する父親のようである。

「先輩だからな。後輩のことぐらい世話してやるさ」

「サテラ、行っちゃうのー?」

「もう用事はないからな。お前たちも精々シーザーみたいにかっこよく強くなれるよう努力するんだな」

「寂しいけどまた来てね、シーザーもね」

「オ前達モ元気デナ」

 景勝の子供であるハニーに群がられ、その頭をぽんぽんと撫でているサテラとシーザーを見てエールは笑顔を浮かべていた。

 

………

……

 

「それでは皆様もお気をつけて」

「あいつを見つけたら絶対来るんだぞ!約束したからな!」

 

そう言ってハニワの里で二人と別れ、エール達はとうとうゼス王宮への帰途についた。

「やっと家に帰れるんだね……眼鏡、外せないままになっちゃってるけど」

「は、なんだそりゃ?」

 スシヌがザンスにメガネが外せなくなった事を報告すると、ザンスはおもむろにスシヌの眼鏡を引っ張った。

「まじでくっついてやがる。どうなってんだ?」

「ザンスちゃん、痛いよー…」

 痛がっているスシヌを見てエールがザンスをぺしんと叩いてやめさせる。

「ああ、眼鏡っこが眼鏡を外せなくなる呪いか。ハニーに伝わる伝説の秘術っていう」

「長田君、知ってるの?」

「解き方は分かんないというか、かけた本人じゃなきゃ無理なんじゃね?」

 それを聞いてスシヌは落ち込むが、とりあえずここは魔法大国ゼスである。

 王宮に帰れば解き方を調べられるかもしれない。

 

 ハニワ平原の野良ハニーはエールとザンスを恐れているのか全く近づいてくることもなく、帰り道はあっという間である。

 ゼス王国首都に到着すると、門番がスシヌ達に気が付いて寄ってきた。

 警備に囲まれながら王宮に到着すると、門の前にはマジック女王とゼス四天王の面々が待っていた。

 

「スシヌ! 良かった、無事で…!」

「マ、ママ…心配させてごめんなさい」

 

 マジックは娘をぎゅっと抱きしめ、スシヌも涙を流しながら母親を抱きしめかえしている。

 

 それを見てエールは笑顔を浮かべて、脇にいる長田君やウズメそしてパセリとハイタッチした。

 ザンスともハイタッチをしようとしたが、代わりに頭をこつんと叩かれる。

 

 エール達は何とか無事にゼス首都に戻ってくることが出来た。

 




※ 鈴女食券はifという設定(ウズメと鈴女は面識無し)
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