そして、この二人を待ち受けるモノとは・・・
「ある日のことだ、その日は曇り空、今すぐにでも雨が降りそうな日だった。
任務が終了して残党狩りを開始しようとしていた時のことだ。」
任務内容は、一師団相当の基地の機能停止と内部の者の殲滅という形で始まった
イスラエル 北部 敵襲撃地点において
―敵は殲滅終了と―
その時、山田と鈴仙は別行動しており、鈴仙は揺動
山田は中心部にある司令塔と通信施設を破壊、基地の機能停止を完了。
その後、山田は鈴仙の揺動もあり敵の大半を殲滅することに成功し、
残りの敵、約5000人を殺すだけであった。
そして、次の狩場に向かおうとしていた時、
山田は近くの窓の外をのぞく
―あれは・・・―
そこには、鈴仙がいた。
見る感じ、トラップを仕掛けているようだった。
その時、山田は壁一面が血に染まった部屋から鈴仙の仕事ぶりを見ていた。
鈴仙の仕事ぶりは目を見張るものであった。
死体を解体する動作一つ一つに無駄がなく、手慣れている。
その上、どこで何人殺し、それの死体を何に使うのか、
そしてどうすれば冷静さをなくさせることが出来るのか
そして、一連の動作を頭の中で組み上げ、誤差を瞬時に修正する。
そのようなことは、並大抵の兵隊ができることではない、
できたとしても、どこかで歯車が噛み合わなくなり、計画全体が破綻する
それ程困難なことを、息をするかのようにいとも簡単にこなしているのだ。
そうして、見下ろす形で鈴仙を見ているその時―
カチャガチャ
二種類の金属が当たり、擦れ合い、何かにはめ込まれるような不思議な音が
山田の耳に入る
その音は常人には聞こえない程の小さい音。
その音を山田はしっかりととらえ、そして音のする方向、距離を一瞬で判断する。
―いたな―
音の方向を凝視するとそこには・・・
―スナイパー―
“いける”
割れた窓から拳銃の銃口を出し、
構え、
標準を合わせ、
引き金を引く
カチャ
カチャカチャ
弾丸が発射されない
―何―
目を見開く山田
戦闘で使って銃自体がゆがみ、部品がないことで
正常に発砲できなくなっていたのだ。
―畜生!―
もう一度、鈴仙の方へと目線を向ける
―500m弱か―
鈴仙との距離は近いようで遠いことに気が付く
山田は後ろへ下がり、走り出す
タタタタッ
パリーン
走り、窓を破って飛び降りる
風を切り裂きながら、隣のビルの二階へと飛び移る
ガンッ
パリーン
ゴロゴロ
窓枠に手をかけ、
小窓の窓を破り、
床に転がる
瞬時に立ち上がり走り出す
入り組んだ建物内を素早く走り抜ける
だが、この時山田は焦っていた
―間に合わない―
入り組んで建つ建物
予想以上の敵の多さ
そして、細かく区切られた建物内部
それらが山田の行く手を阻む
―探せ、どうやれば早く・・―
走りながら、山田は脳裏に刻んだ周辺地図を思い出す
―確かこのビル、この先の角を曲がった部屋から行けば、鈴仙がいる地点の近くに通るはず―
最短距離を瞬時に導き出す山田
―これで―
カチャ・・・
“畜生!”
金属音、山田は更に焦る・・
何故なら、トリガーに手を置き撃つ体制になったからである
迫る距離
迫る発砲までの時
“あと・・1m”
山田はバルコニーに出て、目視で鈴仙を確認する
鈴仙は気が付いていない
渡り廊下の屋根へと
屋根に飛び乗り
屋根から飛ぶ
ズドーーン
低く重低音が周囲に鳴り響く。
地面へと落ち、勢いよく転がる山田
そのことに気が付く鈴仙
とっさに建物の裏に走り出す
タタタタタタ
走り出す鈴仙
ズドッズドッズドッーーン
放たれる弾丸
パシュッ
パシュッ
地面に着弾する弾丸
鈴仙は間一髪に避け、物陰に隠れる
バッン
建物の壁に銃弾が着弾し
着弾した部分のみが砕け散る
身を隠した鈴仙は、山田の方へと視線を向ける
ぐったりとして、胸らへんからは大量の血が流れだす
鈴仙は、死んだことを確信し、その場から離れようとした
その時―
“!”
左足に激痛が走る
瞬時に距離を詰められ、
壁に打ち付けられ首を絞められる鈴仙
―殺したはずの敵が生きていたのだ―
「よくもぉぉぉ仲間をぉぉ」
殺意を向け、睨む敵の右手はもうない
大量の血を流しながらも鈴仙を押し付け続ける
鈴仙はナイフを何度も刺し、間接等を折るも
怯むことなくより一層強く締めつけられる
段々と息苦しくなる鈴仙
集まる敵
横たわる山田
「さぁ、地獄に落ちろ『ブラッド・ラビット(血のウサギ)』」
頭に突きつけられる銃口
向けられる殺気に満ちた目
鈴仙は、死を覚悟した・・とき―
バン
バン
バン
バン
バン
5発分の銃声
次々と倒れる敵
鈴仙の首から手が離れ空気が鈴仙の軌道に流れ込む
ゴホッゴホッ
咳ごみながら鈴仙は、音の方と見る
そこには
うつ伏せの体制で左手に銃を持ち、
こちらに銃口を向ける山田の姿
“!”
山田はすぐさまあおむけになり
スナイパーの方向に銃口を向ける
瞬間―
ズドォォォン
重低音の銃声
バンバンッ
二発の重音の銃声
同時に放たれる両者の銃声
甲高い音が静寂になったその場に鳴り響く
スナイパーに向けられた銃口が下がり
ぐったりとする山田
“ブラッド”
目を見開き、左足を引きずりながら駆け寄る鈴仙
目は充血し、かすかに開け瞳孔を動かし鈴仙を見つめる
肩と心臓付近から血を大量に流しながら
それでも山田は立とうと手を動かした。
鈴仙は右手で山田の右肩を軽く抑えると、山田は左右に首を振る
も、山田は唇を噛み締め、その場に立つと足にけがをした鈴仙を担ぎ
走り始める
そして、敵を一人一人殺しつつ、緊急脱出用の車へと走りつづけた
「それでどうしたんだ」
訊ねる白山
「その後・・」
―任務後-
目標の抹殺には成功したものの、敵の殲滅に失敗
作戦は失敗となった。
山田は、大けがをしている中、車を運転し帰還
そして、俺はすぐさま手術室に運ばれ手術を受け、その後ICUに入れられた。
俺はその後3週間眠り続け目を覚ました、その後は順調に回復し1か月後には
通常病棟に移ることが出来た。
そして、
6月5日夜の9時のこと
ベッド横の電灯をつけ、本を読んでいた山田は微かな気配に気が付く。
すると、スーとドアが開く
そこから入ってきたのは、俺の担当の看護師であった
「今何時だと思っているんですか、早く寝てください」
そう言って寝かそうとする看護師
だが何かがおかしい
“こいつ、他人だな”
そう思った山田は枕に忍ばせた拳銃のセフティを右手で解除する
そいつは、段々と近づいてくる
そのたびに高鳴る鼓動、俺は静かに深呼吸をし、頭の中を無にする
相手の右手が右ポケットへはいる
そのとき、女はもう30センチまで近づいてきている
そして、右手は何かを握りポケットから出す
俺はそれと同時に銃を出し
銃口を脳幹へと突きつける
その銃口は額にぴたりとつく、
そして、俺は・・・
カリカリカリ
何か音がする
俺は女の手元を見るとその女はメモ帳に何か文字を書き始めて、こちらに向けた。
―私が誰なのか、分かるなら銃を下ろして―
そして、俺が立てた仮定が確信に変わる。
そう今目の前にいるのは、看護婦に変装した鈴仙だったのだ。
俺は
「合言葉を言え」
山田はそう返す、まぁ無理もない。証明できるものがない。それを確認せず過去に同僚がなくなった経験を持つ
山田にとっては、そう簡単に目の前にいる者を信じることもできない。
どんなにバディである鈴仙だったとしても。
そう言われると、女はまたメモ帳にペンを当て書き出す
「天に上りし日に、死をもたらせ」
その文面を確認した山田は、銃を下ろし、セフティをかける
「で、なんでそんな恰好で、ここに来た」
低い声で天井を向きながら、訊ねる山田
鈴仙はまたもメモ帳に書く鈴仙
―質問いい?―
「なんだ?その質問は」
目線だけを鈴仙に向け、訊ねる
―なぜ、あそこで大怪我を負っている中、私をかばったの。―
そう訊ねる山田
その時、山田は目線を一瞬そらし、また鈴仙のほうを見る
「仲間を助けるのは当たり前だ。それがどんな相手だったとしても・・な」
鈴仙は目を見開き、瞬きをして、再び書き出す
―どんな人でもあなたは守るの?―
「当たり前だ」
―あなたのような、兵器として育てられた人でもあなたは命を懸けて救うの?―
「当たり前だ」
―本当にあなたはお人好し―
鈴仙は山田を見下ろしながら言った。
そして、鈴仙はそういうと、黙って部屋を出て行った
その時、俺は
「えっ、その為だけに来たのかあいつは・・・」
あまりにもしょうもないことで俺は、心で思っていたことを口に出してしまった。
「おい待て、待て、お前しゃべらないとか言ってなかったか?」
白山が急にこちらを向き、突っ込みを入れてく
「突っ込むとこそこ?てか、喋るわ。なに、俺は必要な時でさえ喋らないとでも思っていたの」
それを冷静に答え、訊ねる山田
「うん」
「喋るから」
冷静に答える山田
「喋んなや」
「はあ?」
やはりこの二人、実に変人である
「で、これが彼女と最初に会話をした瞬間だったんだな」
「おう」
「ほんと、お前らは・・」
右手を額に当てながらため息をつく
「なんだよ」
「なんでもないよ」
そうこれが、化け物じみた強さであるこの二人が合うきっかけとなったのだ