死の支配者と六道と   作:バックス

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第10話 冒険者

~エ・ランテル~

 

此処は堅牢な三重の城壁に守られた城塞都市エ・ランテル

 

この街には冒険者組合というものが存在する

 

冒険者とは

 

この世界の職業の1つである冒険者は基本的には厄介なモンスターの退治を請け負う事だが、秘境の探索なども行う。もちろん、貴重な薬草採取なども行う

 

そして、冒険者になるには組合に登録する必要がある。冒険者には誰でもなる事ができる。そして登録時に銅のプレートを身分証として貰う。プレートとは簡単に言えば階級の様な物であり、最低位が銅、次に鉄、銀、金、白金、ミスリル、オリハルコン、そして最上位のアダマンタイトがある

 

そして、つい先程、冒険者の登録を行い真新しい銅のプレートを首から掛けている二人組がいた。2人は堂々と、宿屋に入って行く

 

全身鎧姿の人間が入って来たのを見て、この宿屋にいる冒険者達が彼に視線を集めたのは必然であろう

 

鎧姿の人間の隣にいるのは女性で何人もの男達がその女性を見ていた。それほど夢中になるような美貌を持つ女性である

 

「宿だな……相部屋で1日10銅貨、「2人部屋を希望したい。食事は不要だ」」

 

 店の主が視線を上げ、大男のプレートを見る

 

「はぁ…お前さん、銅のプレートだろう?だったら此処は「先程、組合で登録してきたばかりなんでな。手短めに頼む」ッチ…1日10銅貨、前払いだ。さっさと行きな」

 

それを聞き、店の主は前の机を叩きそう言った

 

「そうさせてもらおう」

 

鎧の人物は声からして男のようだ。大男がそう言うと、10枚の銅貨取り出し、店主の前に出した

 

「部屋は2階の奥だ。その階段上がりゃあすぐだ」

 

店主に示された階段に鎧の人物が行こうとすると、柄の悪いの冒険者が通る場所に足を出す。完全に嫌がらせだ。大男は溜息を吐きと、それにあえて引っかかる

 

「いってぇ!どうしてくれるんだよ、ぁあ!」

 

 男の冒険者は立ち上がると大男に絡み始めた。そして彼の後ろにいた女性に目を付ける

 

「おっ、えらくいい女じゃねぇか。こうなりゃそっちの姉ちゃんに手当てをして貰わないとな」

 

厭らしい笑みを浮かべてそう言う冒険者

 

「「くっククク……アハハハハ」」

 

 その冒険者の態度に笑いを上げる、大男

 

「あ?何笑ってんだテメェ!」

 

「いや、すまない。雑魚に相応しい台詞だと思ってな。ふむ…こう言うのをお約束と言うのか?」

 

「なんだと!テメェ!」

 

 

「モモンさー…ん。どうしますか?」

 

「手を出すな。この程度、遊びにもならん」

 

大男はそう言うと、目の前の冒険者の頭を掴み床に叩きつけた

 

ガゴンッ!という音とともに、床が少し割れた

 

 

「…あへ?」

 

周りで見ていた男たちも、その冒険者の仲間も何が起きたか理解できていない様子だった

 

白目を剥いて気絶している仲間と、鎧の大男を交互に見ながらボケッとしている

 

それなりに手加減はしているがLv,100プレイヤーの一撃だ。軽くは無いだろう

 

「さあ、次は誰だ?」

 

「ひっ!仲間が悪いことをした!許してくれ!」

 

「…次は無いぞ?わかったか?」

 

「わかりましたぁ!」

 

その低く寒気がするような声が何よりも恐ろしい。肩に置かれた手が、自分の骨を砕くのではないかと、腕自体がなくなるのではと不安で仕方がない。裏返った声で何とか答えると、男は肩から手を離した

 

「新人を歓迎するのはいいが、ちゃんと相手は見て選んだ方がいい。行くぞ」

 

そういうと2人は、二階への階段を上っていった

 

 

 

   

2人は部屋にはいると、すぐに扉を閉めた

 

中には、荷物をいれるための箱が備え付けられた木製のベッドが二つだけで、その他には特に無い

 

全体をよく見てみると汚れている箇所が多々ある。比較しているのがナザリックだとしても、この宿の汚れは目につくほどひどい

 

「ここに泊まるのか…仕方がないとはいえ、これはちょっと…ひどいな」

 

「この様な場所に至高の御方が滞在されるなど!」

 

「落ち着けナーベ…それにしてもあれが冒険者か。組合に管理され、モンスターを駆逐するか薬草採取の毎日。弥彦さんから聞いた通り夢のない仕事だな」

 

ヘルムが光りだし、現れた顔は骸骨………アインズ・ウール・ゴウンの物だった

 

「ナーベよ。人間の事をどう思う?」

 

「何の価値もないゴミです」

 

「…その考えを捨てろとは言わんが、態度には出すな。後々面倒な問題になる」

 

「はい」

 

「まぁそれは徐々に慣れて行けばいい」

 

「もう一度確認しよう。私はモモン、ナーベラルはナーベだ。いいな?」

 

「はい。モモンさー…ん」

 

「…はぁ。そこも練習だな」

 

額に手を当てながらモモンは言う

 

「我々の目的は冒険者としての身分を作り、この世界での強者、何より私たちと同じユグドラシルプレイヤーの情報を集めることだ。冒険者としてのランクが上がれば、そのランクに見合った情報も得られるようになる。そのために、冒険者として名を売る事を我々の第一の目標とする」

 

それに加えて金銭の問題もある。カルネ村を復興した際にもらったお金はあるが、もともと裕福ではない村人たちから、負担にならない程度の金額を寄せ集めたものを貰ったが高額ではない

 

「まず手始めに今日はこの周辺の散策することにして、依頼の件は明日にする」

 

「地形把握…の為ですね?」

 

「そうだ。何処に何があるのかを確認するのは非常に大事なものだ。今日は休み明日に備える。いいな?」

 

「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回は弥彦視点です

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