死の支配者と六道と   作:バックス

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第3話 死の支配者

黒い渦から現れた人物を見て、エンリ達は再び恐怖した。豪華な黒いローブに、怒っているのか、笑っているのか判別できない奇妙なマスクをした大柄な人物…いや、それだけじゃない。その人物の後から現れた赤い鎧を着込んだ女性らしき人物も現れた。エンリ達は無意識に弥彦の後ろへと隠れまた弥彦もエンリ達を庇うように前へ出た

 

「モモンガ…何故、嫉妬マスクなんて被っている?」

 

弥彦を見つけた死の支配者ーモモンガは喜びの声をあげた

 

「あっ!弥彦さん!良かった!」

 

その人物は笑いながら弥彦に駆け寄る。弥彦も同じように駆け寄り熱く握手をした。エンリ達は弥彦と奇妙なマスクをした人は握手をしているのを見て知り合いなのだろうと結論づけた

 

「…まさか、あなた様は弥彦様!?」

 

「…誰だ?」

 

「申し訳ありません、私です、アルベドでございます!」

 

「アルベド…タブラさんが創ったNPCの?」

 

「はい!そうでございます!」

 

「そうか、フルプレートの鎧を着てるから分からなかったな。モモンガはどうして此処に?」

 

「…実は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豪華な装飾が施された部屋で書類を纏める異形の姿があった。豪華な黒いローブを身に纏った骸骨…モモンガは今、ナザリックの周辺には何があるのか探るため隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)で操作してるとそこに映っていたのは小さな村で近くには大きな森があり、村の周囲には麦畑が広がっているのを見ると、この世界の文明はさして高くないように見えた

 

しかし、すぐにモモンガはなにか違和感を感じた

 

「…祭りか?」

 

村人らしき人影が、家を出たり入ったりと、朝早くなのに慌ただしく走り回っている

 

 

「いえ、これは…」

 

これに答えたのは、モモンガの横に控えていた老執事セバスだった。眉間に皺を寄せ、鋭い視線で鏡を見ている

 

確認のために、映像を拡大したモモンガは骸骨の顔でない眉をひそめるのを感じた

 

村人らしき服を着た人々が全身鎧で武装した騎士風のものたちの手に持った剣を振り下ろし殺している映像が出た

 

それは、まぎれもない殺戮だった

 

武器を持たない村人はただ逃げるしかない。騎士達は村人を捕まえては犯し、殺しを繰り返す。この様子から騎士達は虐殺を楽しんでいるように見えた

 

「…チッ!」

 

嫌なものを見たと吐き捨て、映像を変えようとして、違和感に気が付く

 

自分は人が殺されているのに何も感じなかった。テレビで、どこか遠いところで殺人が起きたというニュースを見たときの気分だ。関心がないのだ。実際に起きているにもかかわらず自分には関係無いから、特に何も思わない

 

人間だった頃は、こんなものみたら間違いなく吐き、気絶していただろう

 

(身体だけでなく、心も人間を止めたということか…それとも自分の種族に引っ張られているのか?)

 

鏡に映し出されている、騎士たちから必死に逃げる姉妹を見ても何も思わない。殺されそうな姉妹を見てモモンガは映像を切ろうとしたがそこに突如、黒い外套をした人が現れた。彼は騎士達と話すと交渉が決裂でもしたのか騎士達は青年に襲いかかったが青年は掌を相手にかざした次の瞬間、騎士達を含め前方の木々までも吹き飛ばした

 

自分はこの現象を知っている!

 

そう思い風が晴れたとき青年のかをがはっきり浮かび上がる

 

オレンジ色を髪をしていて、顔には無数の杭をさし、紫色の瞳を持つ青年

 

「モ、モモンガ様!この方はもしや!?」

 

「あぁ!そのまさかだ!セバス!私は先にこの村へと出向く。ナザリックの警戒レベルを最大限に上げておけ。それとアルベドに完全武装で来るように伝えよ」

 

「はっ!承知いたしました」

 

モモンガは急いで転移門(ゲート)を開き飛び込むように潜った

 

 

 

 

 

 

 

「という訳なんです」

 

「そうか…一先ず、話は後だ…村人を助けるがいいか?」

 

「えぇ…それでそこの騎士達の強さはどれくらいだ?」

 

「レベルは20…いや、10にも満たんだろう。鎧も剣も吹き飛ばしただけで簡単に壊れた。魔法詠唱者(マジック・キャスター)のお前でも素手で簡単に屠れる」

 

「そうですか…なら

【中位アンデッド作成:死の騎士(デスナイト)】」

 

モモンガが弥彦が殺した騎士に向かい手を翳すと、黒い何かが騎士を包み込み変貌させ始めた

 

死んだ騎士はやがて、巨大な骸骨の騎士へと変貌する。装備は大きな盾ーバスターシールドにフランベルジュを装備している

 

死の騎士(デスナイト)よ、そこの鎧を着た騎士達を殺せ」

 

 《グォォォォォォ!》

 

デスナイトは咆哮すると、そのまま村へと向かって走って行った

 

「えっ……」

 

「モモンガ…あいつは指定した相手を守るモンスターじゃないのか?」

 

「えぇ。命令したとは言え守る対象から離れることはないはずなんですが」

 

「ふむ…魔法やスキルは一部が変化しているのか?まぁそれより…大丈夫か?」

 

考察し終えた弥彦は先程から置いてけぼりのエンリ達に向き直り安否を確認する

 

「はっはい…大丈夫です」

 

エンリ達は脅えた表情でまだモモンガを見ている

 

「大丈夫だ、彼は俺の友人だ…見た目は恐いが、まぁ根は優しい奴だ。ん?お前背中を斬られたのか…ならこれを飲め治癒のポーションだ」

 

「はっはい」

 

エンリは見たこともない赤いポーションを受け取ると、覚悟を決めそれを飲んだ…すると騎士に付けられた背中の傷は始めからなかったかの様に消えた

 

「これでいいな……モモンガ。彼女達に防御の魔法を唱えてやってくれ」

 

「あぁ」

 

モモンガは、姉妹に向けて魔法を唱える

 

 

「〈生命拒否の繭〉(アンティライフ・コクーン)

 

〈|矢守りの障壁《ウォール・オブ・プロテクションフロムアローズ》〉」

 

姉妹を中心に半径三メートル程度の微光を放つドームが作り出される。この魔法は魔法と射撃を防ぐ魔法だ

 

 

「それで…その下等生物の処分はどうなさいますか?見られた以上口封じのために…」

 

アルベドは、命令があれば即座に斬りかかるという意思を見せ、右手のバルディッシュを握る手に力を籠める

 

しかし―

 

「―アルベド」

 

弥彦から、今まで聞いたこともないようなドスのきいた声が発せられたと同時にアルベドは見てしまった。弥彦の目が怒気をはらんでいることに。アルベド、そして友であるモモンガはそれを見て身を強張らせた

 

「も、もうしわけありません!!」

 

「この村を救うことに何か異論はあるか?」

 

「い、いえ…情報源に、何人か生かしておいてくれれば…」

 

だが気圧されつつも、なんとか、必要なことは返答した

 

「あぁ…分かった」

 

弥彦はそういうと、煙が出ている村に向かって、猛スピードで走っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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