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「…何者だ」
ニグン・グリッド・ルーインは先程まで、標的であるガゼフ・ストロノーフを始末する直前だった
たが、不思議な現象が起きた
標的であるガゼフ・ストロノーフは消え、変わりに現れたのは魔法詠唱者のようなフルプレートにバルディッシュを持つ戦士
ニグン達の目の前に現れたのは見たこともない二人組だった。しかもその装備品の数々はどれもが一級品と思えるマジックアイテムだろうことは一目見ただけでも分かる
「はじめましてスレイン法国の皆さん。私の名前はアインズ・ウール・ゴウン…親しみを込めて、そうですね…アインズと呼んでいただければ幸いです…そして後ろにいるのがアルベド。まずは皆さんと取引をしたいことがあるので、すこしばかりお時間をもらえませんでしょうか?」
アインズは先ほどの口調とは一転、途轍もなく冷たい口調に変わる
「実は…お前と戦士長の会話を聞いていたんだが……本当に…あぁ…本当に良い度胸をしている」
そして仮面の奥にある眼光を赤く光らせながら喋った
「お前たちはこのアインズ・ウール・ゴウンが、そして我が盟友がわざわざ手間をかけて救ってやった村人たちを殺すと公言していたな。これほど不快なことがあるものか…!」
その言葉の後に何かが飛んでくるような音が聞こえ、ニグン達は上を向いた。
「な、なんだあれは?」
部下の誰かが呟いた
そこには巨大な鳥のような物体がこちらに向って急降下してきたのだ
ボフン!
巨大な鳥は地面に衝突する訳でもなく緩やかに着地し、そして着地するや否や白い煙を上げながらその姿を消した!?
「友よ。準備はできたのか?」
「…あぁ。抜かりなくな」
白い煙が晴れるとそこにいたのは赤黒い雲をかたどった黒い外套を纏い紫色の目を持つ異様な男だった
突然降ってきた男と親しげに話しだした魔法詠唱者達。六色聖典の一つ、陽光聖典である我々を前に雑談を始めている。ニグンはこの上ない怒りを感じたが怒りを抑え冷静になろうとする。それに先程からこの者達に嫌な予感がしてならなかったが、現状此方の戦力のが圧倒的に上回っている事は事実。即座に天使を集結させ、再召喚し数を増やし攻撃陣形をとった
「それで先程の取引の話に戻るのだが、内容はいたってシンプルだ。抵抗する事無くその命を差し出せ、そうすれば苦痛無く死を与えよう。抵抗すれば……」
「て、天使達を突撃させよ! こちらに近づけさせるな!!」
ニグンは半ば悲鳴のような号令をあげながら天使達をモモンガに目掛け突撃させる
「やれやれ、まだ言い終わってないというのに…」
「…先手は譲るぞ」
「そうか。なら遠慮なく…アルベドは下がっていろ」
「はっ!」
「
ブォン!、と黒い半円状の光の波動が発生した。それはアインズを中心に発生し、その波動が周辺を飲みつくす。一瞬でその波動は消え去ったが、その結果は…
「た、隊長! て、天使達が居ません! 消えています!」
「何故だ! 何故消えたっ!」
「分かりません! あの爆音と衝撃波のせいとしか」
仲間がうろたえる中、弥彦達は
「…危ないぞモモンガ。吸収していなければ怪我をしていたぞ?」
「え!?な、なんで弥彦さんも下がってないんですか!?負の爆裂は俺を中心に発動する魔法ですよ?忘れたんですか?」
「…忘れてた。波動を正面に変更できないのか?俺はできるぞ?」
「いや…貴方は別ですよ…規格外ですし」
「…解せん」
「ありえん! あれだけの天使が一瞬で消えるなんて……ありえんだろう!な、何なんだ貴様等は!? 我々の天使を事も無げに一瞬で滅ぼす…そんな存在が今まで無名の筈がない! アインズ・ウール・ゴウン!貴様の本当の名を言え!!!」
あの波動はあの男にも当たっていた。なら無傷のはずがないのだ!
「まぁ、敵対行動をとられた以上は、もう此方が黙っている必要はない。いいな?モモンガ」
「そうだな、我が友よ。ここはあなたに任せるとしよう。私は後ろで見学させてもらおう」
そう言うと仮面の魔法詠唱者が下がり、変わりに前に出てきたのは弥彦と呼ばれた男
やられる前にやるしかない!!
「〈
ニグンの絶叫とともに放たれた命令を聞き動き出した天使の一体が光り輝く巨大なメイスを振りかぶり襲い掛かってくる
(アレ動かすと確か効果が消える筈だが…)
(彼方には余裕がないのだろう。さて…)
弥彦はアインズの前に守るように立ちふさがる。人間の骨を粉々に粉砕することが可能なメイスを常人では目視できない速度で弥彦に振り下ろされる
が…
「【神羅天征】」
天使に向けて弥彦は掌を向け唱える
次の瞬間、何かが跳ね返る音と共に天使は霧散していった。その衝撃波地面にも走り大地を抉っていった
「こ、これが弥彦様の…【六道の力】。なんと凄まじい」
「流石だな友よ」
「まだまだだ。出力をもう少し抑えたいんだがな。あと1回だけ全力で放ちたい」
「…やめておいたほうがいいだろう。ここら一帯が無くなる」
声も出なかった。奴は何をしたのだ!?
「う、うわぁぁぁ!!」
悲鳴のような声を上げながら魔法を乱射するニグンの部下達。監視の権天使が…上位天使が手をかざしただけで葬られる現実を見て正気を保てる者など居る筈が無い。ただ死にたくないという思いで呪文を叫び続けた
「知ってる魔法ばかりだな【餓鬼道:封術吸引】」
部下達が放った魔法は奥にいる魔法詠唱者には当たらず全て紫色の目をした奴の突如出現した白い膜のようなものに吸収されて行く
「…少しだけチャクラが回復したか。低下位の魔法ではこんなもんか」
「ま、まさか!奴は魔法を吸収しているのか!?」
だとしたらマズイ!自分達の部隊は魔法詠唱者を中心に組んだ部隊だ。魔法を吸収されるのなら生半可な魔法じゃ此方がやられる
「た、隊長!私たちはどうすれば…」
部下に苛立ち、怒鳴り付けようとしたが、残された最後の希望の存在を思い出し懐から取り出す
「最高位天使を召喚する!生き残りたいものは何としてでも時間を稼げ!」
ニグンが懐から取り出したクリスタルを確認するや否や、部下たちは絶望した顔を無くし希望にすがりようにニグンの前に壁として立ち塞がる。ここにきてようやく見えた、自分達が助かる一筋の希望の光を守るために
〈弥彦さん?アレって確か魔封じの水晶じゃないですか!?〉
〈そうだな。だが慌てなくていい〉
〈え、なんでですか?もしあの中に熾天使級がいた場合、俺達も本気でいかないと〉
〈その必要はない〉
〈ですがっ!?もしかしてここに来る前に言っていた準備のことですか?〉
弥彦はガゼフがモモンガと交代する前に事前に準備をするため先に行っていてくれと頼んでいた
〈察しがいいな。その通りだ〉
〈準備って何をしたんです?〉
〈時期に分かる。サプライズだ〉
〈サプライズですか…って、もしかしてアレ使う気ですか!?〉
〈思い出したか…つまらん。だが、奴らを絶望のドン底に突き落とすには十分なものだ〉
〈んん…面白そうだからよし!〉
〈話が早くて助かる〉
二人が《伝言》でそんなやり取りをしているとは露知らず、ニグンの手の水晶が輝きだした
〈そろそろだな〉
〈任せましたよ弥彦さん〉
〈…あぁ〉
「…アルベドよ」
「はっ!」
「よく見ておけ。これから起こる現象はかつて弥彦さんが嘗てナザリックへ1500人もの侵攻を食い止めた至高の一撃の1つだ」
クリスタルが砕け散り、それに合わせて上空に光が登った。夕日もほとんど落ち、闇に包まれようとしていた周囲が一瞬で白い光に染め上げられた
伝説の天使の降臨に、ニグンが今までの屈辱を塗り替えるほどの歓喜の声を上げた
「見よ!最高位天使の姿を!〈
それは、光り輝く翼の集合体だった。王権の象徴でもある笏を持つ手が生えているだけで
ほかに頭や足などといったものはない。
かつて、魔神をも単騎で滅ぼしたとされる最強の天使。人類の至高善
これで勝てる!
生き残れる!
ニグンを含め、部下の誰もがそう信じた!
あの忌々しい化け物どもに目にもの見せてやれ!
誰もがそれを願った!
だが、現実は残酷だった
自分達に大きな影がさしたのを見て一人一人と空を見上げる
「う、嘘だろ?」
「む、無理だ」
「冗談だろ!?」
ニグンはただ1人口にした
「神 の 力 か !?」
そこに広がるのは巨大な隕石のような岩の塊だった
「やっと気づいたか?だが今更知ったとこで何も変わらん」
「ま、待ってほしい!いえ!下さい!! 弥彦殿……いや様ぁ!! 取引を! 私たち…いえ私だけで構いません!! 命を助けて下さるのならば、望む物を望むだけご用意します!!!」
流石のニグンでもこの状況で命乞いの選択肢しかなかった。たとえ、最高位天使がいてもアレには敵わない
「お前は確かガゼフやらにこう言っていたな?「無駄な足掻きを止め、そこで大人しく横になれ。せめてもの情けだ。苦痛なく殺してやる」と」
「安心しろ痛みは一瞬だ」
「散れ 【天道:天碍震星】」
その直後、後ろの方から部下の悲鳴が聞こえてきたが、振り返る間もなくニグンの意識は消失した
あの後俺たちはスレイン法国の奴らをナザリック送りにした
おそらく、明日から拷問官ニューロニストが仕事するようだな…
個人的にニグンの自体は此方で預かった。
カルネ村に一旦戻り戦士長達の様子を見に行ったのだが、体はボロボロでも眼は力強く輝いている
これなら大丈夫だな
そしてモモンガさんと少し話をした後、俺たちはナザリックに戻るため人気のないところを歩いていた
「…アルベド。先にナザリックに戻り守護者達と戦闘メイドプレアデス達を玉座の間に連れてきてくれ。正式に弥彦さんの帰還を伝える」
「はっ!ではナザリックにてお待ちしておりますアインズ様、弥彦様」
アルベドは転移門をくぐり先にナザリックに帰還した
「…なぜ先にアルベドを帰らせた?」
「いえ、先に言っておかなければならないことがありまして」
「…何だ?」
コホン、と合図わ態とらしく咳をしてから話し始めた
「アルベドを見て分かったと思うんですがNPC達の忠誠心がものすごく高いんです。自分達が俺たちに対して失態を犯した場合、すぐに自害しようとしました。それほどNPC達の忠誠心が高いです。ですので信頼を崩さないためボロを出さないようにお願いします」
「それほどか」
「えぇ。後、弥彦さんは人間種なので一応、気をつけてください」
なるほど…敵対を避けるためか。ナザリックの殆どが異業種、たいして俺はモモンガ達とは違う人間種だ。敵対されてもおかしくはない
「…あぁ。分かった」
「それでは転移門を開きます」
転移門を開きナザリックの玉座の間の扉の前に転移した
「では、お呼びしましたら入って来てください」
「あぁ」
そしてモモンガは玉座の間の扉に手をかけた
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