呂布の子孫と成りて……   作:ヴォルト

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8話

 

 

 

「……フッ、……アーシア・アルジェント?」カァンカン

 

「オッと、そぅだ、アーシア・アルジェント」ガァインガチャチャ

 

「……そのアーシア・アルジェント、シッ、がどうした?…フッ…英雄組(ウチ)に来るのか?」キンキンガキィン

 

「まぁ…なっ、ストラーダのお爺さんからの、依頼、…何度目だ?」ガキィンフォン

 

「……確か、五度目くらい、だったハズッ」ガッァン

 

 

 

 朝の鍛練時に曹操と話ながらそれぞれの得物を振り回し鍛練を行う。

炎を纏う方天画戟と光り輝く聖槍がぶつかり合う。

鈍らない様に一振り一振りに気を乗せ、相手を出し抜くために駆け引きが行われている。

師匠の下に居た時からの習慣の様なものだ。

 

 

 

 

 アーシアが来るということは原作開始が近いということだが……アーシアが駒王町に行かないとどうなるのだろうか?

原作はアーシアがいたから話が進んだと思える部分があったハズだ。……けど、まぁ御都合主義の多いこの世界だ。何かしらの補填っぽいのがあるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「あの二人ってよくアレで会話が出来るよなー」

 

「ホントだよね。端から観ると結構ガチで闘ってるようにしか見えないよね。あそこまで激しく動いてよく息が乱れないよね」

 

「そういやー、闘戦勝仏(師匠)から聞いた話によると英雄組が出来る前、師匠の下に居た時からあんな感じらしいぞ?」

 

「マジかよ…」

 

「呂布さんは人間やめてるなーってなんとなく分かってたけど、リーダーもなんだかんだで人間やめてるよねー」

 

「半分くらいはもうやめてるとオイラは思ってるぞ?」

 

「ああー、そんな感じするするー」

 

「呂布とあれだけ互角に闘えているのに自分の事を弱っちぃ人間だって言うんだろ?リーダーが弱っちぃ人間なら俺らはかなり弱っちぃ人間にならねぇか?」

 

「まあ、あそこまでのレベルに僕らが到達出来ていないのは事実だけどね……」

 

「あの二人の足下にでも追い付かねーと何時まで経っても守られる側だ。

俺はそんなのはゼッテェに嫌だからな」

 

「ンな事言わなくたって皆同じ気持ちだっつぅーの!」

 

「その通りだね。さあ、もう一セット行くよ」

 

「オウッ、来やがれ!」

 

 

 英雄組の朝の鍛練時の一幕。

 

 

 

 

 

 

「前までの事例と違って今回はちょっとややこしい事になってる」

 

「……と言うと?」

 

 

 残心してから武器を消し、周りの鍛練を見ながら話を続ける。

 

 

「前までは話したり接触する程度だったが、どうやら教会に傷付いた悪魔が現れてその悪魔をアーシア・アルジェントが神器で傷を治した所を目撃されたそうだ」

 

「……その実行力というか、行動力を別なモンにしてほしいな」

 

「全くもってその通りだよ。それで件のシスターはウチに来ることになった。つまるところ今回は追放処分だな」

 

「……表向きは、だろ?」

 

「まあ、な。今回は色々とキナ臭い。現場を目撃した奴が消えたみたいだからな。調査が終わって教会に戻って行った娘の近くに派遣してる者たちからの定時連絡は途絶えてないし、接触もない。悪魔が諦めたなら御の字、時を伺ってるならば……地獄を見せるだけってな」

 

「……対応は変わらないってワケか」

 

「そういう事。さて、そろそろ戻ってシャワー浴びて朝飯を食いに行くか。みんなも行くぞー」

 

「「「うーッス」」」

 

 

 

 因みに英雄組の食卓はバイキング形式だったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 アーシアを迎えに行っているみんなの足(ゲオルク)が来るまでに歓迎会の準備をする一同。

 

 人手が足りない英雄組にとってはストレス解消が出来る催しの一つだ。

まだ小学生くらいの子たちの為に勉強や運動会っぽいのをしたりと学校の様な事もする。

その場合勉強は魔法使いが教えて、運動は暇している者が行う。

 

 

 

 

 

「それじゃぁ、アーシアの歓迎会を始めるぞおまえらー!」

 

『イッエーーーイッ!!!』

 

「あわわわ…?!あ、ありがとうございますぅ……」

 

 

 歓迎会が始まり、歓迎会恒例になりつつあるくじ引きで決める一発芸披露に当たってしまったオレ。

グラニに手伝ってもらい顔と下半身を馬に変える人馬一体ネタを披露した。

ネタでグラニは『赤兎?グラニ?否、当方こそ龍の心臓を喰らいし龍殺し、シグルド』と言い放ち笑いを巻き起こした。

 

 

 

 歓迎会が終わって片付けに入る前にヴァーリが曹操の前に歩いてきた。

 

 

「久しぶりだな、曹操、呂布」

 

「……久しぶり、ヴァーリ。北欧以来だね」

 

「俺は半年ぶりだったかな。来るなら来るって一声言ってくれれば良かったのにな、ヴァーリ。一から説明するのは面倒なんだから」

 

「ああ、それに関してはすまない。歓迎会をしてるとは思っていなかったからな」

 

 

 歓迎会中盤に差し掛かった辺りでやって来たヴァーリたち。

白龍皇の登場にちょっと騒ぎになったが、曹操の説明で何事もなくそのまま歓迎会に参加する事となった。

 

 

 

「それで、ヴァーリたちがわざわざ此処に来るって事は何かあるって言ってる様なものだが……」

 

「用は二つ……いや、三つかな」

 

「三つか。取り敢えず重要度が低い順で言ってくれ」

 

「分かった。一つ目は、闘戦勝仏に近接戦闘の稽古をつけてもらいたいから暫く此処に居させてもらいたいって事」

 

 

 師匠は定期的に此処に来て修行を見に来てくれるから自分もそれに参加したいのだろう。

 

 

「二つ目は、赤い龍が目覚めたという事」

 

「確かか?」

 

「ああ、なんとなくだが分かる上にアルビオンも目覚めたと言っている。二天龍の片割れがそう言っているんだ。まず間違いではないだろう」

 

「そうか…場所は分かるか?」

 

「日本の悪魔の領地とされている駒王町である事は判っているという程度だ」

 

「成る程、で?ライバルが目覚めたって事よりも、一番重要な話っていうのは何だ?」

 

「堕天使の総督アザゼルがお前たち英雄組と会って話がしたい様だ」

 

 

 ヴァーリが言ったその言葉はさっきまで騒がしかった部屋が一瞬で静まり返った。

アーシアや小さい子たちはどういう事か分かっていないのでキョロキョロと周りを見ている。

一部殺気立っている者もいる。

 

 

「なあ、ヴァーリ。冗談ってワケじゃぁないんだよな?」

 

「冗談ならそんな事をこんな所では俺は言わないさ」

 

「そうか……。それで、その総督殿は俺らと会って話がしたいだけってワケないだろうなぁ」

 

「須弥山から独立した人間の組織英雄組。そのリーダーは神滅具(ロンギヌス)の一つ『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』所持者。そして、構成員は英雄の末裔や魂を持つ者、神器持ちや異能者、魔法使い。聖書の三大勢力に恨みを持っているであろう集団だ。警戒するなって言うのがバカバカしいだろうさ」

 

「確かにそうかもしれない。…けど、負の連鎖を生み出しているのは人外側(そっち)だと思う。色々やらかしてはいるが堕天使の場合は神器狩りが一番だ」

 

「ああ、そうだな」

 

「三大勢力は自分たちこそ優れた種族だと疑わず、人間の存在に依存している癖に人間を下に見る」

 

 

 本当にこれが分からない。

悪魔は転生悪魔なんて事をして依存している癖に人間を見下す。

堕天使も自分たちが至高とか言う。

天使は人間は管理する存在とでも思ってるじゃあないだろうか。

 

 

「どういった思惑があるかは知らないが、まるで自分は世界の為に尽くしているとでも思ってるのかね。俺たちを勝手に危険人物扱いか……いや、帝釈天との繋がりを警戒してるのか?」

 

「そこまで深読みはしなくていいさ、曹操。アザゼルは頭がアレで腐っていても神器研究者だ。神器が沢山集まっている此処に来て神器の研究がしたいと思っているだけだ。今頃はシェムハザ辺りに仕事を押し付けてるだろうな」

 

「あ~…こう言うのはどうかと思うが、あえて言うが……馬鹿なのか?」

 

「ああ、馬鹿だ。頭に超が付くぐらいの」

 

 

 

 殺気立っていた部屋の雰囲気が物凄くビミョーな空気になった。

 

 

 


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