呂布の子孫と成りて……   作:ヴォルト

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10話

 

 

 悪魔たちがあーだこーだ言っていたが、教会の暴力装置からの個人的な依頼で聖剣使いの二人を連れ帰るとだけと言って本拠に転移した。

 

 教会の暴力装置で通じるストラーダの爺さんって改めてスゴいな。全盛期にどれだけ暴れたんだろう?今度訊いてみようかな。

 

 

 

 本拠の運動場に転移したが、聖剣使いの二人は聖書の神の死を知って茫然としているので青の炎〈翻羽〉で強制的に平常時に戻した。

 

 青の炎〈翻羽〉は精神、感情を鎮静化させる。だが、この鎮静化はプラスの感情でもマイナスの感情でも働き、平常時まで強制的に鎮める。だから戦闘の時に感情を爆発させるタイプに刺さるし、やる気も無くせる。

元々の翻羽は精神だけを焼く能力だった。けど英雄組はトラウマ持ちが多い。トラウマで暴れる仲間を傷つけず、落ち着かせる方法として生み出した経緯がある。

余談だが能力の説明をした時、「ああ、賢者タイムか……」って言った奴がいたから取りあえず翻羽を当てながら殴っておいた。翻羽の影響下だと怒ることも喚くことも出来なくなるので重宝している。

 

 

 

 

「恋殿~詠殿~、任務ご苦労様ですぞ!」

 

「……音々、ただいま」

 

 軍師陳宮の子孫であり、神滅具にされていないが表に出れば神滅具に判定されるであろう『聖獣創造(ビジテーション・マニュファクチャ)』を持つ音々音(ねねね)が飛びついてきた。怪我をさせない様に衝撃を受け流しながら受け止める。

 

 端から見れば女の子が抱き合ってる様にしか見えないから百合好きの者や妄想癖の者にネタにされる。

 

 

 

「詠ちゃん恋くん、おかえりなさい。怪我してないよね?」

 

 

 音々音の後ろからやって来たのは董卓の子孫で賈駆の子孫である詠の幼馴染みの(ゆえ)だ。

月は『聖母の抱擁(トワイライト・エンチャント)』というペンダント型の補助系神器を持っている。その能力は対象に様々な効果を付与(エンチャント)する事。バフ効果は付与出来るがデバフ効果は付与出来ないのも特徴。

 

「ただいま、月。呂布()がいるんだから怪我してもすぐに治せるから大丈夫よ」

 

「へぅ…私が言いたいのはそういうことじゃなくて……」

 

「安心して、月が言いたい事はちゃんと分かってるから」

 

 詠と月の会話を音々音の頭を撫でながら聞いていたがその会話に首を挟む。

 

 

「……月、音々。……これから曹操に報告しに行くから後ろの二人を任せたいんだけど」

 

「でも恋、二人は恋の翻羽の影響下でしょ?後、どれくらいで効果が切れるのよ」

 

 詠の質問を受けて頭の中で少し計算する。

 

「……後、二十分くらい…かな?」

 

 翻羽は効果が持続する。対象によって効果時間が違うのでだいたいの時間を伝える。

 

 

「了解ですぞ恋殿。ささっ、ぴっちりスーツの客人は談話室と教会どちらが良いですかな?」

 

「此処には教会があるのか…私は教会の方で」

 

「あたしも教会で……今は祈りたい気分だから…」

 

 ゼノヴィアの後に紫藤イリナが答える。翻羽の影響で感情を動かす事が出来ないから色々と考えることが出来るはずだ。

 

「教会ですね。では私たちについてきて下さい。詠ちゃん恋くんはまた後で」

 

「恋殿、詠殿また後でですぞ」

 

 

 そうしてオレと詠以外の四人は教会がある方へ歩いていった。

 

 会議室等がある建物の曹操の執務室の扉をノックしてから入る。

 

 

「……曹操、戻ったぞ」

 

「おう、二人ともお疲れ様。依頼の方はどうだった?あー、何かあった、ていう顔付きだな」

 

 

 曹操は机に置いていた資料から目を離して此方を視てから言った。

 

 そんな顔をしていただろうか?と考えながら口端を触る。

 

 

「ええ、確かにあったわ。依頼の最中でね。聖剣使いの二人が聖書の神の不在を知ってしまったの」

 

「え、マジで?その聖剣使いの二人はどうした」

 

「一緒に連れ帰って、今は此処の教会に居るわ。ストラーダ猊下の判断を仰がないといけないでしょ?たぶん追放処分にされちゃうだろうし……」

 

「上層部かそれなりの地位と力が無ければそうなるだろうな。分かった、ストラーダの爺さんに訊いてみる。賈駆は客間に聖剣使いの二人を通しておいてくれよ。今日はもう遅いから朝食後に会う様に言っておいてくれ」

 

「了解。それじゃ、ボクは先に行くね。二人ともおやすみなさい」

 

「ああ、おやすみ賈駆」

 

「……おやすみ」

 

 部屋を出る詠を見送り、賈駆の気配が部屋から離れたことを確認してから曹操から話を切り出した。

 

 

「さて、“表”の方は分かった。“裏”はどうだった」

 

 表は聖剣使いのお守りの事。

 

 裏はオレが曹操から出発前に与えられた任務の事。

 裏の任務の内容は駒王町に溜まっているであろう龍のオーラの調査だ。

 

 龍のオーラは異性と争いを惹き付ける危ないものだ。駒王町はグラムが終始反応するくらいの天龍と龍王のオーラが漂っていた。

 

 英雄組所属の龍系神器持ちは龍のオーラを出さないように矯正されている。

 

 

「……グラムが外に勝手に出てきそうになるくらい溜まっていた」

 

「うわぁ…相当だな、それ。まあ、仕方ないか偶然天龍と龍王の神器持ちが住んでいたんだからな。それで、龍のオーラは……?」

 

「……喰える範囲内のオーラは全部グラムに喰わせた」

 

 本当なら発生源近くを重点にしてグラム喰わせたかったが“表”の任務があったから喰える範囲が狭かった。

 

 

「そうか。裏を知らない表の人に迷惑が無ければそれでいい。さ、次は聖書の神の不在を知った経緯を報告してくれ。ストラーダの爺さんに報告するためにな」

 

「……了解。……先ず────」

 

 

 

 こうして夜は更けていく。

 

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 時は流れ、聖書陣営の会談が始まった。

 

 

 

 駒王学園の校庭で英雄組リーダーとリアス・グレモリーの兵士が向かい合う。

 

 

 片方の目の光は死んでいて、もう片方の目は怒りで染まっている。

 

 

 

「ハァ…何でこうなるんだ?」

 

 

 曹操のため息と呟きが虚空に消える。

 

 

 

「イリナとゼノヴィアを絶対に返してもらうぞ!」

 

 

 

 盛大な勘違いをしている赤龍帝は神器(武器)を出して構える。

 

 

 

「まあ、負けるつもりなんて無いんでね。ほら、先手は譲るよ下級悪魔の兵藤一誠。胸を貸してやるから掛かってきな」

 

 

 

 相対する曹操は神器を出さず無手のまま龍を挑発するのだった。

 

 

 

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