呂布の子孫と成りて……   作:ヴォルト

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3話

 

 

「ハハハ、まさかゲオ坊から喧嘩売って返り討ちにされるなんてねぇ」

 

「う、五月蝿い!いきなり音速を越しながら突撃して来る攻撃をどうやって対処すればいいと言うんだ!メフィストもあの音速を越す攻撃を受けてみろ。俺の気持ちが分かるぞ……」

 

「う~ん、それは遠慮しておくよ。僕はまだまだ生きるつもりだからねぇ。それにしても君たちも災難だねぇ、三勢力の馬鹿共に襲われるなんて……」

 

 

 

「まあ、それの前から襲われてたからな……。一度にあんなたくさん来たから、つい本気で殺っちまったんだよなぁ」

 

 

 お互い禁手を使って暴れまわったから本気で殺ったってのは本当の事だ。オレの浄化の炎と曹操の聖なる光りで悪魔が一瞬で消え失せた後、天使と堕天使をチマチマと串刺しにした。

 

 

「………………ん」コクコク

 

 

 やっぱり、口が動かない。曹操が喋ってくれないと話が進まないな。

 

 

 そういえば、グラニって声に出して喋れるのか?何時も思念で遣り取りしてたから気付かなかった。

 封印系の神器は会話してるから独立具現型も出来ると思うし、グラニとして覚醒した今なら会話出来ると思うんだが………。

 

 

 

 

『(出来るぞ、主殿)』

 

 

 あっ…………出来るんだ…………。これから代弁よろしくお願いします。

 

 

『(心得た。ワタシを覚醒させることが出来た唯一の宿主故、これぐらいはやらせてもらおう)』

 

 

 …………そうだった。グラニとして覚醒に成功したのはオレが初めてだったな。

 

 

 

「そういえば、君たちって組織に所属してるのかい?視たところ神器保有者なのは分かるけど、ただの神器保有者にしては強すぎるからねぇ……後、名前も教えてくれるかい?」

 

「俺は曹操。曹操孟徳の子孫で、持ってる神器は『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』だ」

 

「…………中国の英雄の子孫が神滅具(ロンギヌス)をねぇ。最初っからぶちかましてくるね……」

 

「そんで、こいつは呂布。こいつも呂布奉先の子孫だ。持ってる神器は────」

 

『『炎纏の駿馬(ブレイズ・スタリオン)』本当の名は、グラニと申します。悪魔メフィストフェレスよ』

 

「「「………は?」」」

 

 

 オレ以外の声が重なった。

 

 やっぱりいきなり神器が喋ると驚くのか。曹操が驚くのは分かる。今まで喋ってなかったのに、今喋ったのだから。

 

 

「喋れるのかよ……」

 

『喋れるんですよ。まあ、ワタシを覚醒させる事が出来た主殿のお陰ですが……でなければ喋ってなかったでしょう。そんな訳でここからは、話せない主殿に替わりワタシが代弁させて頂きます』

 

「グラニ……確か、北欧神話に登場するスレイプニルの血を引く馬だったねぇ。アザゼルから聞いた話だと『炎纏の駿馬』は独立具現型の中じゃあ、特別な神器じゃなかった筈だったんだけど……どういう事だい?」

 

『それは単に主殿以外の保有者はワタシを覚醒させるには至らなかった……それだけの話ですよ。ワタシの背に跨がりグラムを持つその姿はシグルドを思い出します』

 

 

 シグルド。グラムを持って龍殺しに成功した英雄の一人。

 グラニとグラムを持つオレはシグルドを名乗れそうだな。名乗ったら面倒なことに為るだろうけど………。

 

 

 

「え~っと、君たちは名前からして一応須弥山所属でいいのかい?神器的には、天界と北欧神話だけど……」

 

「正式に所属している訳じゃないが師匠兼後ろ楯は闘戦勝仏、初代孫悟空だから須弥山でもいいと思うけど、今の俺と呂布は武者修行の最中だから……判断しにくいな」

 

 

 所属の話なら現在は無所属(フリー)で良いんじゃないか?別に師匠は所属の話なんかしてなかったし。勧誘とかされたら須弥山所属にしておけば良いだろう。

 それにしても、アザゼルか……確か神器コレクターだった筈……グラニの事を知ったら飛んできそうだな。来ても〈絶地〉纏って音速で轢いてやる。

 

 

『主殿はフリーで良いのでは?と言ってますよ。幸い、此処には転移出来る『絶霧』の保有者が居ますから直接訊きに行けますよ』

 

 

 そういえば居たな………便利な足(『絶霧』)が……。旅に付いてきてくれるなら色々と楽が出来るのに……。

 

 

「取り敢えず、所属に関してはそのままかなぁ……闘戦勝仏の弟子なら強くて当然とも言えるし、彼は信頼できるからねぇ。僕としては、量産型の神器なら『灰色の魔術師』に誘っても良かったけど、これ以上神滅具とイレギュラーを増やすと三勢力から嫌がらせが来そうだし……特にアザゼルがやって来るだろうからねぇ……」

 

 

 溜め息を吐くメフィストフェレスを後目に今後の話をしていく。携帯の番号を交換しようとしたら、小型の連絡用の魔方陣が描かれたプレートを受け取り、今日はお開きとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 今までの武者修行の疲れを癒すためにベッドに横になって眠り、次に目を覚ますと十二時前だった。肉体的にも精神的にもかなり疲れを溜めていた様だ。

 

 

 首を回すと曹操が瞑想による仙術の修業をしていた。

 

 

 仙術は暴走の危険をはらんでいると言っているが、オレと曹操には当てはまらない。オレはグラニの浄化で影響を及ぼす悪い気を浄化して影響しない自然な気に変えている。曹操も聖槍の力で聖なる光りを纏うことで悪い気を祓っている。

 暴走しないと分かった時の師匠の顔が頭に浮かぶ。あれは絶対面白い獲物を視たっていう感じの(ツラ)だった。

 

 

「………おはよう」

 

「おはよう。と言っても、もう昼だがな。今までの疲れが出てきたか?」

 

「そうみたいだな。心なしか身体が軽い気がするからたぶんそうだろ」

 

 

 身体を軽く回しながら調子を確かめる。寝すぎたせいか、身体がバキバキと音をたてている。

 

 軽くストレッチしておけば戦いに支障は出ない。そう判断して脱いでそのまましていた漢服を着る。

 せっかく用意してくれた物だからと、何も考えない様にしていたが、やっぱりこの漢服はおかしい。

 

 

 何故ならショルダーカットされていて肩が露出し、足の方はスリットがあって動きやすいのだが、男用の筈なのに女っぽいのだ。色もオレの髪色である桜色に合わせた様に淡い桜色だ。

 

 

 転生して鏡を視たとき思いましたよ。女っぽいなって、だけどオレは男だ。まだ家に居た時、正確に言えば中学入る前までたまに親にせがまれ女装していた。あれはオレの黒歴史だ。

 オレの事を女と言って馬鹿にした奴を半殺しにしたことがある。その時は、師匠と玉龍(ウーロン)が止めてくれたから良かった。まだ禁手に至っていなくてグラムも持っていなかったからかろうじて軽くで済んだ。

 

 

 

 昼飯を済ませて旅の続きをしようとなって街から出ようとしたらゲオルクが霧の中から現れた。

 

 

「どうした、ゲオルク。まさかお前も付いてくるって言うつもりか?」

 

「ああ、そのつもりだ。ここ最近、魔法が上手くなっても神器の扱いが上手くなった気がしない。禁手に至ってはいるが、それから先に進めずにいる……。現状の打破のついでに俺も世界を回ってみたくなったんだよ」

 

「成る程……現状の打破か……。俺はいいと思うが呂布はどうだ?」

 

 

 オレもいいと思う。『絶霧』で転移してくれるならこの武者修行もだいぶ楽になるだろう。

 

 それにしても、ちょっと周りの人に色々と見られそうな組み合わせだな。男用なのに女用っぽい漢服着たオレ。ジャージを着てさらに漢服の曹操。全体的に魔法使いっぽいローブのゲオルク。

 

 日本ならコスプレで済みそうだなぁ。

 

 

『主殿も異論はない、とのことです』

 

「よし!これからよろしく頼むぞ、ゲオルク」

 

「ああ、こちらこそよろしく頼む。曹操、呂布」

 

 

 二人旅から三人旅になりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───イギリス某所───

 

 

「………………禁手化(バランス・ブレイク)

 

 

「りょ、呂布さん落ち着いて下さい!?」

 

 

「呂布、マジで落ち着け!ゲオルク、気休めにしかならんと思うが、早く禁手使って空間創って放り込め!後、結界装置も創れ!」

 

 

「俺の禁手が気休めってどういう事だよ!?バ、禁手化(バランス・ブレイク)!『霧の中の理想郷(ディメンション・クリエイト)』!」

 

 

「フッ、三國最強の子孫の力見させてもらおうか」

 

 

『ヴァーリ……頼むから戦わないでくれ。グラムの龍殺しの波動のせいで寒気がヤバイんだが……』

 

 

「ルフェイを誑かした魔帝剣グラムの担い手……私の聖王剣コールブランドの錆びにしましょう」

 

 

「地雷踏み抜きやがって……ヴァーリ、マジで止めろ!相性最悪な上に呂布は怒ると初代のじぃさんと玉龍が二人がかりで漸く止まるレベルなんだぞ!後、そこのシスコンもちょい黙れや!」

 

 

「にゃあにこれぇ?」

 

 

 

 

 混沌の末、人によるプチ終末(シュー)が起きようとしていた。

 

 

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