呂布の子孫と成りて……   作:ヴォルト

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4話

 

 ───プチ終末(シュー)が起きる少し前───

 

 

 

 ゲオルクが旅の仲間に入って一週間が経った。

 

 

 

「ゲオルクに足りないのは、神器との会話」

 

「神器との会話?呂布、そういうのは独立具現型や封印系の神器しか出来ないだろ?神器は保有者の想いを糧に進化する物じゃないのか……」

 

 

 一週間経つ事で喋れる様になった呂布の言葉に疑問を口にするゲオルク。

 

 

「確かにゲオルクの言う通り、神器は想いで進化するが強化するならそれだけじゃあ駄目なんだよ。意思が宿っている宿ってない関係なく、神器と会話する事は出来るんだよ。現に俺は具現型である『黄昏の聖槍』との会話に成功して、聖書の神の意思と会話する事が出来たんだ」

 

 

 曹操の実体験に複雑な顔をするゲオルク。

 

 そこまで複雑な顔をする事なのだろうか?意思が宿ってないタイプの神器である『絶霧』に語りかけるのに葛藤でもあるのか……。

 

 

 オレたちは今、イギリスに来ている。移動はもちろん便利な足(ゲオルク)の神器で転移してもらった。

 

 

 

「此処は教会や魔法使いの組織があるから観光地巡りしたら直ぐに移動した方がいい。二人は狙われているから仕方ないが……」

 

「次は、北欧。グラムとグラニの事を北欧神話に言っておくつもりだから、そのつもりで頼む」

 

 

 結果論だが、オレは北欧神話の物を勝手に使っている状態だから一言言っておけば衝突も少なく済むと思う。無理なら死後の魂を渡す契約でもすればいい。英雄の魂を欲するならいけるだろう。

 

 

「そういえば……武者修行を始めたばかりの時、ジークフリートを名乗る魔剣を持った三刀流のエクソシストが居たな、呂布」

 

「ああ、グラムを使うに相応しいのは自分だって言って襲ってきた奴か……」

 

「そいつ……殺したのか?」

 

「殺してない。龍系(ドラゴン)の神器である『龍の手』を宿してた。グラムの好き(呪詛)に当てられて腹壊したから放置した」

 

「えぇ……………」

 

 

 いや、こっちも驚いたよ。いきなり顔色が悪くなったと思ったら腹を壊して動かなくなったから。人の脱糞なんて見たくないから直ぐにその場から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん。組織に入ってないからという理由で狙われるなら俺たちで組織を作るのも良いかもな」

 

「ふむ……具体的に何をする組織なんだ、曹操?」

 

 

 ………人外に挑む組織とか言ったら別行動するか。死亡フラグが立つだろうし、曹操が原作みたいなテロリストになったら真っ先に狙われそうだな、オレ。

 

 

 曹操は一度、深呼吸してゲオルクの問いに答えるために口を開いた。

 

 

「───表にも裏にも居場所がない者の為に居場所を作って守る組織……なんてのはどうだ?…………何だよ、言いたいことがあるなら言えよ。特に呂布、お前目が見開いてんぞ」

 

「……ん、会ったばかりの時とは変わったなって思っただけだから気にすんな」

 

「あ~……師匠の修業を受ける前の時か……。あのままだったらたぶん人外に喧嘩売ってただろうな、俺」

 

 

 …………マジかよ、師匠の修業で考えを変えたのかよ。師匠にお土産でも送ろう。鰻のゼリー寄せでも送ってみようかな。………なんだよ、グラニ。え?それは嫌がらせになる可能性がある?じゃあ、スターゲイジー・パイは?これも駄目か……もうバナナか芋で良いか。

 

 

 心の中での会話を止め、オープンテラスのカフェで昼飯を食べる三人。

 

 

「何処に行ってもあーいった輩って居るんだなぁ」

 

 

 曹操の言葉を聞き、目線の先を視た呂布とゲオルクは納得する。目線の先には男三人が一人の少女をナンパしていた。どう見ても、少女は断っているのにしつこくまとわりついている。

 

 その光景を見た呂布は徐に立ち上がった。

 

 

「どーした呂布、行くのか?」

 

「……これでも英雄と云われる者の子孫だしね。……あ、先祖が英雄っぽい事してないって言うツッコミはなしで」

 

 

 仙術で集めた気を手の平に集中させて、ナンパしている三人組の背中に手を当てて集めた気を相手の身体に流し、動きを阻害させる。

 

 師匠曰く、気を対象に流すのは基礎であり、そこから気を操り対象に影響を与える事が出来て応用になるとのこと。

 

 

 動かなくなった三人組を無視して、目を点にしている少女の手を取り曹操とゲオルクが居るカフェに向かう。

 

 

 

「流石は()だな。良い手際だったぞ」

 

「…………………」グッ

 

 サムズアップで返答する。

 (レン)は、オレの本名だ。一般人の前で呂布はないので一般人が居る前では本名になる。

 

 

「あ、あの、助けていただきありがとうございます……」

 

「……………………」フルフル

 

「あ~、スマンがこいつは極端で極度の人見知りでな、初めて会った人とは話す事がないんだ」

 

「そうなんですか……あ、私はルフェイって言います。人見知りなのに助けてくれてありがとうございます」

 

 

 手を振り、大丈夫だという感じを出して答える。

 

 

「こいつの名前は恋で、俺は曹志。そこの眼鏡はゲオだ」

 

「眼鏡で片付けるな、馬鹿野郎」

 

 

 眼鏡(ゲオルク)の言葉はスルーされる。

 

 

「それにしてもさっきのレンさんのアレは魔法で止めたのですか?」

 

「「「………は?」」」

 

 

 魔法という単語にオレも驚いて声を出してしまった。

 

 

「見たところゲオさんは魔法使いですよね?魔術の系統は何ですか?私は────」

 

「ストップだ。此処じゃあ人が多いから移動した方がいい。呂布、ゲオルク」

 

「………ん」

 

「分かってる」

 

 

 曹操の言葉に合わせ、オレと曹操は仙術で気配を偽り、ゲオルクは『絶霧』を発動させて転移する。

 

 転移した場所は見晴らしのいい草原の様だ。

 

 

「まさか君も裏の関係者とはね。まぁ、取り敢えず、改めて自己紹介だ。俺は曹操、曹操孟徳の子孫で闘戦勝仏の弟子だ。君を助けたのが呂布、こいつは呂布奉先の子孫でこいつも闘戦勝仏の弟子の一人だ」

 

「…………………」コクコク

 

「俺はゲオルク。ゲオルク・ファウストの子孫で『灰色の魔術師』に所属している魔法使いだ」

 

 

 改めておこなった自己紹介に驚くルフェイ。裏の関係者なだけあって然程取り乱してはいない様子。

 

 そして……何だろう。嫌な予感するというかグラムが騒いでいるから……たぶん近くに龍が居るみたいだ。でも龍の大半は冥界に居るはずだから龍系の神器持ちかな、恐らく。

 

 

「では、私も改めて自己紹介を……ルフェイ・ペンドラゴンです。騎士王アーサー・ペンドラゴンの子孫で、魔術組織『黄金の夜明け団(ゴールデン・ドーン)』に所属する魔術師でもあります」

 

 

 何処から取り出したか分からないが特徴的な帽子をかぶった。

 

 そういえば、原作でそんな名前の魔女っ娘が居たっけ?それにしても世間って狭いな、こんなにも子孫に会うものだろうか。

 

 

「先程の名前は……」

 

「ああ、所謂表の名前ってやつさ。普段や裏ではこっちの名前だ。一般人に曹操や呂布はないからな。ゲオルクは知らないけど」

 

「いや、まぁ……ゲオルクに近い名前がいない事はないからな……アレでなくても普段からゲオルクではあるが……」

 

 

 渋面のゲオルクを後目に話を続ける。

 

 

「呂布さんと曹操さんは美猴さんが言ってた通りの容姿なのを今思い出しました」

 

「は?美猴と知り合いなのか?」

 

「はい。少し前にお会いしました」

 

 

 修業をサボって何してんだあの猿。師匠にボコられて修業させられるんじゃないか?

 

 

 

「おーい!曹操、呂布ー!」

 

 

 噂をすればなんとやら……美猴が觔斗雲に乗りながらやって来た。隣に龍の気配がする神器の翼を広げる銀髪。紳士な感じのスーツを着た金髪眼鏡の青年。黒髪、黒い和服で猫耳と尻尾に悪魔の翼で属性盛りすぎな女性。

 

 

 龍の気配に反応してグラムが勝手に出てきてしまった。オレの手にグラムがあるのを見た曹操も聖槍を取り出した。ゲオルクも自分の周りに霧を発生させる。

 

 

「美猴、お前修業サボって何してたんだ?師匠が如意棒振り回しながら愚痴ってたぞ」

 

 

 曹操は聖槍を肩にトントンと当てながら美猴と会話する。その癖、直す気無いようだな。

 

 

「う、マジか……。ちょっとこいつらと一緒に行動してただけだよ」

 

「美猴、お前が言っていた曹操と呂布と言うのはあの二人か?」

 

「おう、あの槍を持ったのが曹操で、剣を持ったのが呂布だぜぃ」

 

「まさか呂布の子孫が女だとはな……神滅具の聖槍を持つ曹操の方が強そうだ」

 

 

 アイツ、オレの事を何て言った?

 

 

「おい、ヴァーリ……?お前……」

 

「それは無いと思うにゃん……」

 

「一瞬見間違えそうですがよく見ると判ると思いますが……それにしてもルフェイとの距離が近いですね……」

 

「おい、呂布。落ち着けよ、いや、ホントに」

 

「呂布さん大丈夫ですか?」 

 

「曹操どういう事だ?呂布が俯いて動かんぞ」

 

 

 そして、決定的な一言を口にする。

 

 

「は?呂布は女じゃないのか?紛らわしいな」

 

 

 その言葉を聞いた瞬間、久々にキレた。徹底的にぶっ叩かないとオレの気が収まらない。

 

 

「凄いぞ、アルビオン。力が跳ね上がったぞ。これなら楽しめそうだ」

 

『気を付けろ、ヴァーリ。奴の手にあるのは龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)であるグラムだ』

 

 

 グラムの呪詛を自分と周囲の人には影響しない様に浄化しながら外に垂れ流しにする。

 

 

「………………禁手化(バランス・ブレイク)

 

「りょ、呂布さん落ち着いて下さい!?」

 

「呂布、マジで落ち着け!ゲオルク、気休めにしかならんと思うが、早く禁手使って空間創って放り込め!後、結界装置も創れ!」

 

「俺の禁手が気休めってどういう事だよ!?バ、禁手化(バランス・ブレイク)!『霧の中の理想郷(ディメンション・クリエイト)』!」

 

「フッ、三國最強の子孫の力見させてもらおうか」

 

『ヴァーリ……頼むから戦わないでくれ。グラムの龍殺しの波動のせいで寒気がヤバイんだが……』

 

「ルフェイを誑かした魔帝剣グラムの担い手……私の聖王剣コールブランドの錆びにしましょう」

 

「地雷踏み抜きやがって……ヴァーリ、マジで止めろ!相性最悪な上に呂布は怒ると初代のじぃさんと玉龍が二人がかりで漸く止まるレベルなんだぞ!後、そこのシスコンもちょい黙れや!」

 

「にゃあにこれぇ?」

 

 

 

 炎に包まれた呂布が次に姿を現した時、曹操と美猴に冷や汗が流れる。

 

 グラムが方天画戟に成っていなかったから禁手は不完全だが、それ以上に呂布がキレていることを理解する。キレた呂布の禁手は深淵面(アビス・サイド)が目に見える形となって現れる。呂布の髪が伸びて燃え上がり、刺青の様な紋様が身体中に浮かび、赤目が黒目に変化する。

 

 

 

 創られた街に変わった瞬間、動きだそうとした呂布の身体全体を覆う結界に阻まれた。

 

 

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