呂布の子孫と成りて……   作:ヴォルト

7 / 14
5話

 

 

 禁手を使った呂布を箱型の結界装置で止める事に成功する。

 

 

「ふぅ………ゲオルク、良いタイミングだ」

 

「ああ……それは良いが、呂布は何故怒ったんだ?」

 

 

 当然の疑問を口にするゲオルクに苦虫を噛み潰す表情で理由を話す。

 

 

「呂布は女と言われるのが大嫌いでな……女と言われるだけなら怒りはするが手は出さない、だけどそれを理由に貶されたり勝手な事を言われるとキレて言った奴をぶちのめしに行くんだよ。前回は師匠らのお陰で相手は半殺しで済んだが、今回は師匠がいないから確実に殺りに行くぞ呂布(あいつ)は……」

 

 

 ゴクッ、と喉をならす音が聴こえる程場が静まる。

 

 

「曹操、俺っちらで呂布を止められると思うかぃ?」

 

「さぁ、どうだろうね……取り敢えず、悪魔である白龍皇と黒猫の二人には戦力外通告をだそうかな」

 

「どうしてヴァーリが悪魔だって……ああ、お前さんは気配を読む方が得意だったな。でもなんでヴァーリも戦力外か訊いても良いかい?」

 

 

 この中で一、二を争う力を持つ人物に戦力外だと告げる曹操の理由が告げられる。

 

 

「そんなのは決まってる。先ず一つは呂布がグラムを持ってる事。二つ目は彼奴の炎は浄化の力もある事。最後は俺の禁手、若しくは『覇輝』を使うからに決まってるだろ。発動すれば辺り一面を聖なる光りに包まれるんだぞ?悪魔が近くに居られる訳ないだろ。最悪そのまま消滅するぞ」

 

「ちょっと!それ本当かにゃ!?私、外で影響がでない様に結界張っとくから出してにゃ!」

 

「分かった。ゲオルク、外に出してあげろ」

 

「了解」

 

 

 紫の霧が黒歌の全身を包み霧が晴れると、姿が無くなった。無事に外に転移出来たようだ。

 

 

「さてと、俺も禁手の準備するか……」

 

「曹操だったな。悪いが俺は闘うからな」

 

「ああ、その辺は自己責任ってか……お前のせいでこーなってんだから働け。後、言っておくが避けるのに集中しろよ。一発でも当たれば致命傷になるから気を付けろ」

 

「言われなくても分かっている」

 

 

 悪怯れる事なく禁手を発動して飛んでいくヴァーリに半目になって睨む曹操。

 

 決定打を打てるのは自分の禁手か『覇輝』、美猴の仙術で身体を不調に追い込む事、ゲオルクの結界、ルフェイの魔法による遠距離攻撃、金髪の剣でダメージを負わせる事、白龍皇の能力で抑える事。簡単に頭の中でどう戦うかを考える曹操。

 

 必死で考える。当然だ、一年以上一緒に行動した相棒だから、戦闘スタイルを理解しているから、そして未だに本気と全力で闘った事がないから。真面目に闘った事は何度でも有るが本気と全力でやったことはない。

 

 

 

 準備に入った瞬間、呂布を囲っていた結界に罅が入り、紫と黒の炎が隙間から見えている。

 

 

「な、何で結界装置に罅が……」

 

「クソッ、やっぱり呂布の禁手の能力が発動してたか!」

 

「曹操は呂布の禁手の能力を知ってるのか?」

 

「ああ、能力がそのままならアレは紫の炎〈奔霄〉と黒の炎〈越影〉だな。〈奔霄〉の能力は神器などの異能の力の無効化だが攻撃能力は殆どない。〈越影〉は呪詛による侵食だ。呂布の言葉に嘘がないなら、〈奔霄〉を纏って結界の効果を消して〈越影〉で侵食して破壊したって感じだな。簡単に話せば呂布は神器を八個持ってるみたいなもんだ。全く、厄介な能力を創ってくれたもんだ」

 

「よく言うぜぃ、曹操。お前さんがアレを生み出す切っ掛けだっていう自覚あんのかぃ?」

 

「そりゃあ、あるさ。呂布の禁手は俺の禁手を参考にして出来たもんだからな……」

 

「参考して出来るものなのですか?」

 

 

 ルフェイの言葉に心の中で同意する一同。

 

 

 結界装置が爆破されたように破片を吹き飛ばしながら破壊される。砂塵が晴れると光球の周りを五色(・・)の炎を浮かばせる呂布の姿が露になる。

 

 

「グラムが変化してないのを見た時点で中途半端な禁手だって事は分かってたが、緑の〈絶地〉、橙の〈超光〉、白の〈騰霧〉が無いって事はまだ勝算はありそうだ……」

 

 

 音速を越しながら動くことを可能にする〈絶地〉が無いことに曹操は少しだけ安堵する。だが、直ぐに気持ちを切り替える。

 速さが売りの呂布の十八番がないからって油断は出来ない、なぜならまだえげつない能力はまだ残っているからだ。

 

 

「呂布の奴、マジでヴァーリの方しか見てねぇな。うっし曹操、俺っちらをちゃんと援護しろよ!」

 

「了解。後、白龍皇に呂布の禁手の能力の事言っとけよ」

 

 

 会話を終えた美猴は觔斗雲に乗りヴァーリの隣に飛んでいった。金髪眼鏡(アーサー)が曹操に近寄って行く。

 

 

「初めまして、私はアーサー・ペンドラゴン。ルフェイの兄です」

 

「成る程、俺は曹操だ。悪いがアーサーの出番は少しだけ後だ」

 

「地上にいるなら私の剣が良いはずでは?」

 

「理由は直ぐに分かる。ほれ、呂布を見てみな」

 

 

 呂布の方を指差す曹操にアーサーも釣られて呂布の方を見て納得した。

 

 

「…………………翻せ〈挟翼〉」

 

 

 赤い炎が呂布の身体に纏わり付き、背中で三対六枚の翼を形成し、空に飛び出して行った。

 

 

「赤い炎〈挟翼〉は飛行能力と神器に元からある武器化の能力がある。彼奴にとっちゃ場所なんてあんまり関係ないってことさ」

 

「確かに、これでは私の聖剣は届きませんね。衝撃を飛ばしてもこの距離では期待できませんね……」

 

「まあ、安心しな。ちゃんと闘える様にするから待ってな。

禁手化──『極夜なる(ポーラーナイト・)天輪聖王の輝廻槍(ロンギヌス・チャクラヴァルティン)』」

 

 

 曹操も禁手を発動させる。聖書の神の意思と邂逅したことで、信頼と理解を深めて強くなる事を想い願い修業した。その結果、曹操にも深淵面が現れる事になった。

 全体的に大きく変わったところはないが髪色がプラチナゴールドになり輝きを放ち、黄金の双眸へと変化し、汚れ無き純白の羽衣を羽織る。

 

 象宝を使い曹操も空に向かう。居士宝で分身を十体作り呂布に突撃させる。分身は今のところ自身の八割程の力の再現に成功している。聖書の神の意思に手伝って貰った結果である。

 

 しかし、此方に目も向けていなかった筈の呂布の〈挟翼〉の攻撃によって、分身四体が胴体を貫かれ消える。

 

 ヴァーリに向けて振られるグラムを美猴が気を纏った如意棒で鍔迫り合い、ヴァーリが隙を見て攻撃しようとするが〈挟翼〉の翼に阻まれて攻撃出来ていない。しかも〈挟翼〉に紫の炎〈奔霄〉が巻き付いているために攻撃を当てても神器の《半減》と《吸収》が使えない。

 

 

「能力が使えない闘いがここまで辛いモノだったとはな……」

 

「ぶっちゃけると、ヴァーリは能力使ったらぁ、大抵勝っちまうし、身体能力も常人よりも高いっとぉ!だから、能力が使えない時に、呂布みてぇな鍛えた武人と闘うと、差が出ちまうんだよぉ!」

 

 

 この時の美猴は呂布の攻撃と打ち合いをしながら会話している。

 

 

「まあ、そこは神器の使い方と身体の鍛え方の違いのせいとも言えるだろうね!」

 

「使い方と鍛え方の違いだと?」

 

「呂布の神器は独立具現型で馬だ。神器を攻撃手段にするよりも移動手段として使ってる。白龍皇の神器も同じ事が言えるけど、呂布は神器を禁手にしなければ攻撃に使うことがほぼない。それはつまり、生身を鍛えてるって事だ」

 

「俺だって体は鍛えている」

 

「近接戦闘で苦戦する様なら鍛えてるなんて言えないぞ。悪魔の身体能力に頼って戦ってきたツケだな。武を極めんとする奴に力だけ強い素人が喧嘩売るってのと同じさ。一応俺らは闘戦勝仏の弟子だからな、何度もボコられてその武を見ている。俺からしたらお前は素人に毛が生えた程度にしか見えん」

 

 

 分身を転移させながら攻撃を加えていくが、勘が鋭い呂布に紙一重で避けられたり、グラムで防がれる。

 味方なら頼もしいが、敵になると面倒な相手の典型と思う一同。

 

 

「そうか……なら、俺はまだ上に行ける。行くぞ、アルビオン!」

 

《Half Dimension》

 

 

 ヴァーリと呂布の距離を文字通り半減され、タイミングをズラされた呂布が動く前にヴァーリの拳を腹で受けて地面に向かって吹き飛び落ちていく。

 

 

「よし、追撃を……ゴフッ!?」

 

『ウグゥ……ヴァ、ヴァーリ!?』

 

 

 血を吐くヴァーリが纏う鎧に付けられた斜めの傷から罅が入り砕けていく。

 

 

「ヴァーリ、どうした!?……まさか、呂布の奴さっきの攻撃にカウンターしたのかぃ!?」

 

 

 そう、呂布は拳を受けて飛ばされる一瞬にグラムを振って鎧に傷を付けていた。龍殺しの効果によってかすっただけでもダメージが入ってしまった。

 

 戦闘狂で打たれ強いヴァーリであってもグラムの龍殺しには耐えられなかった様だ。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。