カントー地方冒険物語   作:ホウデン

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さよならマサラタウン

 目の前のタマゴが一瞬光り視界を遮る。光は一瞬でおさまり瞼を開く。そこには茶色い毛の四足動物の姿があった。

 

「これが俺の初めてのポケモン...。」

「そうだね、大切に育てるんだよ。」

 

 名前は知っていた。小さい頃親に買って貰ったポケモンの本に載っていた。生まれてきたポケモンはロコンだ。ロコンは目の前に座っていた少年を見つめている。少年は恐る恐る手を伸ばしロコンに近づくが逃げ出す気配は全くない。少年が頭を撫でるとロコンは嬉しいのか尻尾を左右に揺らす。

 

「撫でられて嬉しいのか?」

『コーン!』

 まるで少年の言葉に返事をするかのように鳴くロコン。とても心地よさそうな表情をしていた。

「よし、ロコンお前の名前は今日からイナリだ。」

『コン』

 既に夜だったので両親から寝るように言われ、その日少年はロコンと一緒に布団に入り眠りについた。

 

 

 次の日の朝親から1つのボールを渡される。赤と白色のモンスターボールだ。それと腰に巻くボールを付けれるベルトも一緒に渡された。どうやら旅に出るまで2年ぐらい待たなければならないが既に両親は旅に出ることを認めてくれたようだ。

「残り2年近く引き続き頑張りなさい。」

 少年は予想外の出来事に最初は驚き戸惑っていたが、次第に表情は満面の笑みに変わっていった。

 

 それから時が流れ10歳の誕生日を迎えた。いよいよ明日からは夢に見たイナリとの冒険の始まりの日だ。家で最後の出発に向けての準備をしていたところに村で唯一同い年の子が訪ねてきた。その子こそ自分にポケモンとの旅のことを教えてくれたり村で有名なポケモン博士の孫である人物だった。

 

 彼が言うには明日の朝冒険に出る前に一度研究所に寄ってくれと伝言を預り伝えに来てくれたようだ。場所はよく孫である友人と2人で遊びに行っていたので覚えている。何があるのかと考えていると友人は伝えたからなと言い走り去っていった。

 

 次の日言われた通り研究所に着くと博士が待っていた。

「おはようございます。何か用ですか?オーキド博士。」

「おお、おはよう。実はエル君が旅に出るとリオンから聞いてのぅ。是非エル君に頼みたい事があって来てもらったんじゃ。」

「頼みたい事ですか?」

「うむ。実はワシも昔はポケモントレーナーとして旅をしていたのじゃが、その時にこの世界の全てのポケモンをこの目で見てみたいと思ったんじゃ。しかしついにその夢は叶わなんだ、そう思った時リオンが旅に出たいと言いおってのぅ。そこで思いついたんじゃ。エル君やリオンに代わりに見て・集めて・記録してもらおうとな。そこでこれを受け取ってもらいたいんじゃ。」

 

 そう言いオーキド博士は何やら赤く四角い物体を取り出した。

「何ですか?これ。」

「よくぞ聞いてくれた。これはポケモン図鑑と言ってな出会ったポケモンを自動的に登録してくれるワシの発明品じゃ。受け取ってくれるかの?」

「分かりました。図鑑を埋めれるように頑張ります。」

「受け取ってくれるか!それじゃあ任せたぞ。それとこれはワシからの贈り物じゃ。」

 

 ポケモン図鑑と一緒にキズぐすりを渡される。

「ありがとうございます。」

「うむ。それじゃあ気をつけて行ってくるんじゃぞ〜。」

 オーキド博士から大きな夢を託され最後に生まれ育った村、マサラタウンに別れを告げる。

 

「よし、イナリ。次にこの村に帰ってくる時は冒険に一区切りしたらだ。行くぞ、冒険の始まりだ。」

『コン!』

 

 1人の少年エルと1匹のロコン、イナリは次なる目的地トキワシティを目指して旅立つのだった。

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