朽ちた殺人鬼は何を思う   作:生姜ねる

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渇いた心

 

 人気の少ない街を歩く。

唯一空いていたコンビニに立ち寄り、飲み物を買う。

置いてある新聞には2月17日と書いてある。

現在の時刻は9時前。人が少ない時間帯になりつつある。

 

私には、現在同じ時間帯で別の行動を取っていたという記憶が存在する。

その記憶のどちらが正しいのか、現状では考える事が難しい。

ならば、実際に記憶の整合性を確かめる為の情報が必要だ。

 

 私は、キャスターから多くの情報を聞かされていない。

マスターが誰で、どんなサーヴァントを使役しているのか。その程度だ。

把握しているマスターは衛宮士郎、遠坂凛、間桐慎二、そしてイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。内三人は、学園の生徒であった。

サーヴァントは、セイバー、アーチャー、メドゥーサ、ヘラクレス…

そして、あの謎の男だ、金の鎧を纏った男。

これらの情報だけを頼りに整合性を整える必要性がある。

 

マスターやサーヴァントの生死を確認するのは、非常に危険だ。

生存していた場合、攻撃を受ける可能性がある。

こちら側から接触しない限りは、魔術師でなく、令呪を持ってない私を

マスターだとは普通では気付くはずが無い。

とキャスターが言っていたが、万が一という可能性もある。

なにより、それ以外にもキャスターはそれでも私の外出を渋っていた。

戦闘になった場合、キャスターの強化もない今ではどうする事も出来ない。

 

そこで私は、教会に赴く事にした。

私の記憶の一つでは、教会を占拠し、そこでセイバーを捕らえていた。

教会を制圧する際、キャスターは監督役に攻撃をした。

その後監督役は逃げたがキャスターも使い魔で追撃をした。

おそらくは無事ではいない。つまり、教会内がどうなっているかを確認すれば

どちらの記憶の有用性が高まるか判断する事ができる。

手傷を負っている監督役が教会内に戻っている可能性もある。

だが、襲撃され放棄した拠点に再び戻る危険性を考慮すれば、おそらくは教会内は無人の筈。

 

だが、サーヴァントも無しに外を歩くのは勿論危険を伴う。

だからといって柳洞寺に留まるのも以前の様に襲撃される恐れもある。

常に動きつつも極限まで気配を断ち、早急に行動しなければならない。

 

コンビニを出て、傘を開く。時刻は現在10時を超えた。

柳洞寺を出てから既に一時間は経過している。

 

新都内は商業施設等も多く、昼夜問わず賑わいを見せる場所もある。

だが、雨が降っているのもあり、人通りは少ない。

 

…いや、何か違和感を感じる。

冬木大橋を渡っている間、少ないが車通りもあった。

だが、今は人一人として見当たらない。

辺りには雨がアスファルトを打つ音だけが響いている。

 

この静寂をどう表すのか、私にはあまりそのような知識は無い。

たまたま人が外にいないだけと言えばその通りだ。

だが、これはあまり気持ちの良いものではない。

 

私は周囲への警戒と気配を押し殺す事に意識を向けつつ、

教会への歩みを早めた。

  

 

 

 

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