我、島田流ノ息子ナリ   作:超甲形巡洋艦

38 / 48
第三十四話

─────アンツィオ戦開場─

大洗のほぼ全員が揃った。しかし約一名いない

 

「ええい、あの馬鹿は何処へ行った!」

 

「えっと・・・」

 

「衛一殿なら近くで弓道大会が合ったらしく、ゲリラ参加するって言って消えました」

 

アンツィオ高校との試合があるにも関わらず、衛一は弓を引きに行った。

 

「あいつのことだ。どうせ優勝して帰ってくんだろ」

 

男子連中はもう大会が終わるまで来ないだろうと諦めている。しかし居ないなら居ないで試合をするだけ。幸い衛一の射撃技能を必要とする作戦ではないため何とかなるだろう

 

「たのもぉ~」

 

「やあチョビ子」

 

「アンチョビ!アンチョビだ!もしくはドゥーチェ」

 

「何そのドリル、スッゴい。そのウィッグ改造して回転機構着けたい」

 

「地毛だ!」

 

波川の妙なテンション、アンチョビと金髪は引いている。が何故か青髪だけは乗り気だ。

<面白そウッスね

<ダルォ?だからまずあれ剥ぎ取って・・・

 

「あー、そこのは無視してくれ、試合前の挨拶に来た私はアンツィオ校隊長、ドゥーチェアンチョビだ。そしてそっちの隊長は~?」  

 

「私です」

 

「あんたがあの西住流か、アンツィオは西住流だろうが島田流だろうが負けない!いや、勝つ」

 

と、金髪もといカルパッチョが誰かを探して居るようだ

「たかちゃん!」

「ひなちゃん!」

 

ソウルネームカエサル事、たかちゃんがカルパッチョと仲良く話をして居た。早崎がメモ帳に凄まじい勢いでペンを走らせる

 

「カエサルの意外な一面、だな」

「たーかちゃん、ぜよ」

「ひゅーひゅー、お熱いねえ」

「うっ! うるさい!」

 

 

────弓道大会、会場─

衛一の元に一本の電話が掛かってきた。着信元は西住しほからだ

 

「ただいま、電話に出ることができません。【放送規制】音が鳴ってからメッセージをどうぞ」

Pー

 

面倒臭いのでそれらしく声真似をして見る。衛一も、これしきで騙せるとは思っ────

 

「私です。みほが戦車道をしている件について話があります。夜またかけ直してください」

 

ツーツーツー

 

ウッソだろオイ、しほさんが機会音痴だというのは衛一も母さんから聞いている。衛一自身も携帯は苦手だ。しかしここまでだとは思っていなかった。掛け直すべきか否か・・・と、

 

「まさかお前が飛び込み参加してくるなんてな」

 

「その声は・・・なんだ、やっぱりお前か」

 

二澤与一(にさわ よいち)これでも女である。衛一と度々弓で競いあう選手だ。衛一と多分同年齢であり、全国大会準優勝者だ。衛一とは良好で、弓で決着がつくまで何時までも引き続ける。冷静沈着である。色々な意味で衛一と間反対。周りからは双子のようだと言われる

 

「やぁ、プラウダに進学したって聞いてたけど」

 

「色々合ってな、お前は黒森峰だったか?」  

 

「ああ、で、今お前は何処に居る?まさか中退ではないだろ?」

 

「転校して大洗ってとこに今落ち着いてる。今日は戦車道の試合があるけど、この地域の試合ならお前も出てくるだろうとの読みでシカトしてきた」

 

「お前なぁ・・・相変わらずか。で、さっきは何かを考え込んでいた様子だったが」

 

「ああ、めんどくさいからただいま、電話に出ることができませんっての声真似したらすっかり騙せたもんで、多少の罪悪感が」

 

「まだ時間は・・・無いな。取り敢えず行くよ。久しぶりにお前と競えるのを楽しみにしていたんだ!」 

 

「奇遇だな。俺もだよ」

 

─────アンツィオ戦、開始─

審判からの試合開始合図でアヒル、ウサギ、フクロウはみほの指示で偵察に出た。

アヒル、ウサギは幸先良く十字路にてCV-33を発見した。フクロウも付近を走行する集団を捕捉、追尾している・・・が発見した車両数と合計車両数が合わない

 

「さて、衛一が居たらトリックにも速攻気づくだろうか」

 

早崎がぼやく。宮古、波川は「こいつマジか」って顔している

 

「お、おい。なんだよその顔」

 

「気付いてないのかお前・・・」

 

とっくに二人の中に仮説は立っている。てか数日前に訓練に使った手だ

「多分ダミー。でも俺たちが追尾してるのは本物」

 

宮古の仮説、エンジン音をなるべく立てないようにCV-33に追従している。恐らく発見されていない

このまま追いつづければ送り狼でフラッグの所まで案内してもらえるかもしれない、ただ今日の砲手は波川だ。しかし衛一とは天と地程の差がある。見つけた所で撃破出来るかわからない

 

「てかさ、ダミーの事連絡しなくて良いのか?」

 

「衛一みたいに言えば[あいつなら気づくだろ]かな、まあ、西住なら大丈夫だと思うが『こちらフクロウ、敵集団進路さほど変わらず』」

 

『アヒルさん、ウサギさん、その豆戦車を機銃掃射してみてださい。くれぐれも慎重に』

 

無線で流れる通信、みほが気付いたらしい。波川も双眼鏡で周囲を確認する。が特に動きはない

 

『隊長、あれ看板でした!』

 

『やっぱり、移動してください。フクロウの報告と合わせると恐らく機動力を生かして包囲してきます。フクロウさん、その敵集団の足止めは可能ですか?』

 

『やれるだけやろう「変態、早崎、合戦準備。目的は足止めだ」

 

早崎がささっと破砕榴弾を装填、100mm砲弾の至近爆発なら十分撃破できるだろう。波川が車載機銃に初弾を込め、宮古も速度を上げる。自動車部の手により強化されたT-44は速力だけなら豆戦車にも劣らない。

 

「道攻めるつもりだ?下手しなくても抜けられるぞ」

 

「速度上げろ、横から殴り付ける。早崎、装填弾種は?」

 

「破砕榴弾だ。近くで炸裂させたら撃破できると思うぞ」

 

「3・・・2・・・1・・・0!」

 

波川が大雑把に集団前方に行進間偏差射撃、撃破は無いが一両履帯が外れた。速度を出していた為か派手にスリップし、後部を向けて停止。波川が間髪いれずにそこに12,7mm機銃を集中掃射。大半が命中、撃破。薄い豆戦車の装甲ならば12,7mmでも撃破可能らしい。ならば榴弾でスリップしたところを仕留めるのがよさげか。

 

「げぇ、見つかってたか、まあ良いや。野郎共、返り討ちにしろ!」

 

当然だがペパロニも7.7mm連装機銃で反撃に転じてくる。しかしうるさいだけで撃破される心配は無いが小回りを生かし履帯や砲の照準口を狙ってくる

 

「波川、代わりに主砲使うぞ!」

 

「おう、近くに撃ち込んでくれ」

 

今度は早崎が適当に主砲を射撃、だが目立った成果はない。軽快な音を立てながら12.7mmが射撃を継続、銃身過熱なんか気にしていない。

 

「野郎共、こいつはほっとけ!進むぞ」

 

ペパロニが進軍を開始、T-44を置き去りにして走り去る。すかさずそれを追撃、後方から主砲と機銃で攻撃するも森の中ではCV-33の機動力に軍配が上がる。直ぐに見失った

 

「すまん、逃げられた」

 

『いえ、期待以上です。こちらは敵のフラッグ車を見つけました。そこから北東に向かってください。それで合流できるはずです』 

 

「『了解』変態、進路北東に変更」

 

『こちらアヒルさんチーム、敵豆戦車に囲まれました。現在応戦中』

 

『分かった。えっと・・・アヒルさん、そのまま応戦してて、フクロウを応援に出すって』

 

『了解しました!』

 

『こちらフクロウ、了解した。アヒル、現在位置知らせ』

 

さっさと位置情報を貰い、そこを目指す。幸いそこまで離れているわけではない。到着まで時間はかからないだろう

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。