「やあ皆、おめでとさん」
夕日を背中に無駄にカッコ良く拍手しながら歩いてきた衛一だったが
カチャ、カチカチカチカチ
いきなり波川から手錠を嵌められ、後ろには刀を持った宮古が待機、何故か畳の上に正座させられ、目の前には短刀が置かれている
「俺が何をしたって言うんだ!」
「「「「「本気で言ってんのか?/言ってるんですか?/言ってんの?/言ってるの?」」」」」
「え?」
「あ~、お前は自分がしたことを忘れたのか?」
「さっきまで聖グロの人と友人と一緒にお茶飲んでた」
「違えよ、と言うか何やってんだよ」
「そうじゃないだろ!何で試合をすっぽかした!?」
河嶋がブチギレモードだ。他のメンバーも少からず怒っていたり、呆れていたり、戸惑っていたりする
「別に良いじゃねえか、負けてねえんだしよお」
「そういう問題じゃ無いだろー!」
「まあまあ、そう怒んなって、桃ちゃん?」
的確に油を注いでいく衛一
「ウガー!桃ちゃん言うなー!」
そんなこんなしている内に来たのはアンツィオの生徒達、ただ和服を着た男が畳の上に正座しており、その後ろには刀を持った奴が待機、目の前には短刀が置かれている。完全に切腹直前としか思えない光景に戦慄した
「う、うわぁーー!」
~五分後~
「成る程、こいつが大洗の『島田』か!」
大笑いしながら衛一の背中をバンバン叩く。近くではアンツィオの生徒達が何やら野外キッチンを設営している
「ねえ?誰かこれ取ってくれない?」
回りからガン無視されている衛一、その内何故か二澤まで来た。
「何で手錠かけられてるのさ・・・」
「知らね(すっとぼけ)」
アンツィオ生がキッチンを設営し終えたのを見計らい、衛一が近くのペパロニに声をかけた。何やら企んでいる様子だが・・・
「なぁ、お詫びに何か作りたいんだけど、材料ってあるか?」
「うーん、大抵の物は揃ってるっすよ!」
「よし、二澤、手伝え」
「え?」
「いい花嫁修業にはなるだろ」
と、強制的に手伝わせた。
──────
「試合だけが戦車道じゃないぞ!試合に関わった選手、スタッフを労う!これがアンツィオの流儀だー!」
ドゥーチェの後ろではすごい量のイタリア料理が用意され、現在進行形で作ってる生徒も居る。その中にさらっと混じってる衛一には誰も触れなかった
「アンツィオ高校は食事の為ならどんな苦労も厭わない!・・・この子達のやる気が試合にもう少し生かせるといいんだけどなぁ」
全員が苦笑い、作っている生徒以外が席についた。そして食べ始める、と言うときに衛一の料理が完成した。
「ほい、和風パスタ。油そんなに使ってないから低カロリーだよ~」
衛一が作っていたのは醤油ベースのキノコパスタだ。彩りに小松菜を入れたもの。低カロリーと聞いて大洗、アンツィオ、他女性スタッフが興味を示した。なんとなく、ドゥーチェが代表?で試食してみた。結果は大絶賛!直ぐに無くなり衛一が急ぎで次々作っていった(二澤は食べる方に回っている)しかし衛一の手錠はそのままだ(誰も突っ込まない)
このパーティーは陽が落ちるまで続いた
「ねえ?衛一君、あの子誰?」
武部が料理の後片付けを終えた衛一に尋ねに来た。みほと秋山も居る
「あいつは二澤与一。弓道全国大会の総合準優勝者で女子の部優勝で俺のライバルだ」
「衛一さんのライバル?」
「ライバル何て者じゃない。どっちかと言うと私が越えるべき壁だ。こいつは私の踏み台だ」
直接二澤が来た。衛一は彼女のことを気を抜いたらあっという間に抜かれるライバルと考えているのだが、彼女は違うらしい
「でもそれはライバルと大差無いのでは?」
秋山の質問にはライバルとはお互いを高め会う関係性だが、私の目的は一方的に越える為だからと答える。衛一からすればライバルだと考えているが
「で、変態紳士、真面目に鍵どこにあんのよ」
「100mm砲で消し飛ばした」
「は?」
「まあ、がんばれ」
「ウッソだろオイ。ま、いいや。ちょっと一人にしてくれ」
と、衛一が夜にまた電話をかけ直せと言うしほさんからの伝言を思い出した。ちょうど片付けも一段落してるし、電話をかけることにした
『もしもシィ?』
『衛一ですね』
『そだよー』
『単刀直入に聞きます。なんでみほが戦車道をしているのを黙っていたんですか?』
『だって聞かれなかったんだもの。それに姐御経由で知ってると思ってたし』
『千代を口止めしてしたのは何なんですか?』
『だって、黒森峰負かした後に知れば絶対面白い事になると思ったから黙ってた』
『本当に貴方という人は・・・昔は素直で良い子だったのに』
『昔を引き合いに出さないでもらいたいねぇ』
『また今度、プラウダとの試合の時にお話しましょう』
『嫌でーす』プツッ
「あの、いまの相手って」
「ん?しほさんだけどそれがどうした?」
「いえ・・・」
「?」
衛一の手錠が外れたのは翌朝の事らしい。無理矢理拳銃で真ん中の鎖を撃ったは良いが、輪っかはそのままだった