我、島田流ノ息子ナリ   作:超甲形巡洋艦

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第四十話

~村跡地~アンコウside

『そろそろ合流出来そうだったんだが、確認した座標がズレてたっぽくてもう少し時間かかるかも、それじゃ』

 

「みぽりん、フクロウさんの合流遅れるって」

 

「そっか・・・」

 

「波川殿の情報によればプラウダがこちらに来てる可能性もありますが」

 

「じっとしてるのは危険かな。少し移動しよう」

 

原作でも逃げ込んでいた教会に身を隠している大洗の戦車団、遠目で外から見つかる危険は薄いが見つかったら一気にやられてしまうだろう

 

「どこに行くんだ?」

 

「この村の南の方に向かいます。プラウダの予想進路からは視界が通りにくい場所なので」

 

プラウダの予想進路とそこの間は大量雪が積もっている。元々丘のような地形だったのだろうか

 

『場所が完全に分かった。と言うか隊長らが居る廃村見えてるわ。だけど距離不明でエンジン音するんだよ。近くにプラウダの戦車が居るから気を付けな』

 

「みぽりん、フクロウさん、直ぐにでも合流出来るって。やっぱりプラウダ校も近くに居るみたい」

 

「近くに居る?可能ならフクロウチームの場所を聞いて下さい」

 

「分かった『フクロウへ、こちら武部。今村のどの辺に居るの?』

 

『えっと、あ。うさぎ見つけたわ。ついでにプラウダの本隊も。こっち見てないから放置でよさげだがこっちからはM3のケツが見えてる』

 

『そんなに近かったんだ』うさぎさんを見つけたって」

 

『こちらうさぎ、敵フラッグ発見。座標は・・・』

 

『分かった』みぽりん、うさぎさんがフラッグ車見つけたって!」

 

「分かりました・・・そうだ。フクロウさん、照明弾って積んでますか?」

 

『積んでるぞ。雪降ってきたから光源確保には使えなさそうだが』

 

「それを敵の進路上で炸裂させてください。勝負を決めます。全車、作戦は・・・」

 

~プラウダside~

「やられたわ。完全に逃げられたわね」

 

「ええ、見事です」

 

衛一に逃げられた。ここで撃破出来ればかなり優位にたてたのだが

 

『さすが衛一さん達、と言った所でしょうか。これからどうしますか?』

 

と、話していると雪が降り始めた

先ほど煙幕がばら蒔かれた時ほどでは無いが視界が効きにくくなる。そして、フラッグ車を切り離し、潜伏させた所で、プラウダの戦車隊に衝撃が走る

空は暗いが頭上に太陽が出てきた。

 

「なに!?」

 

「照明弾です!狙われています!」

 

「全車警戒しなさい!この雪の中よ。向こうもろくな視界してないはずよ。ノンナ一応乗り換えて!」

 

確かにカチューシャの読みは正しい。雪は降り始めと言えど結構ひどい。照明弾があっても視界は悪いのだ。

だがこの照明弾の役割は射撃の光源確保では無かったのだ。これは目印だ

 

~大洗side視点フクロウ~

「まさか今度は俺らが強襲する羽目になるとは」 

 

と、早崎が呟いた

 

「ま、これで勝負が決まるんだ」

 

「・・・紅葉、こっちの強襲戦力は?」

 

「俺らとアヒル、うさぎ、カメだな」

 

「内二両は撃破するなら十分な火力を持つ車両だ。固定だが75mm砲を装備してる。うさぎの砲手二名は優秀なスナイパーに育った。心配なのはアヒルチームの錬度くらいか。ま、心配所の話じゃないのは桃くらいなものだが」

 

「だが不透明じゃないか?俺らが暴れてる間に敵フラッグを奇襲するたぁ」

 

「そうでも無い。華と左衛門佐は俺を除いて狙撃成績ツートップだ。相手が豆戦車や軽戦車でも無いかぎり問題ねえよ」

 

「さて、そろそろ照明弾撃つぞ」

 

波川が照明弾を打ち上げた。そして宮古がエンジンを全開にし、他三両も追従する

 

『こちら波川。第一目標は敵を引き付ける事だ。逃げ回りつつ確実に弱点に砲撃叩き込め』

 

そして四両は九両に向け突撃した。照明弾はまだ光っている。そして波川が照明弾のおかわりを撃つ

そして雪の中から浮かび上がったシルエットに衛一が射撃を開始した。この中じゃ旗が上がっているかよく見えない

 

「衛一、分かってると思うが第一目標はis-2だ」

 

「流石に視界が悪い。影は見えるんだがいかんせんシルエットが似ててな。判別つかん。だがKV-2が見当たらん。フラッグの護衛に付いてるな」

 

「ま、分かればでいいさ『こちらフクロウ。おそらくそっちKV-2に居ると思うから注意して』

 

「装填完了!」

 

「んー、居た!」

 

もう一射する。波川が顔を出すと残り三両も射撃を開始した。砲門だけなら6門あるので少しでもこちらの戦力が多いと思ってくれればいいが

 

「・・・もう彼我の距離100m切る」

 

「お、もうか『強襲部隊全車へ、そろそろ視界がどっと良くなる。注意せよ』

 

「居た!is-2」

 

衛一が砲塔を回す。だが照準がつく前にis-2が射撃した。100mの距離を載んな程の砲手がはずす筈もないが宮古の直感で砲塔上部に命中させ跳弾を誘発した

 

「・・・俺の直感を舐めるな」

 

「ナイス変態!よっしゃこっちの番じゃオラァ」

 

狙いは車体正面のなんか出入りするところ。行進間射撃だが目標は動いていない。よし、動かれてもこの距離なら外さない!

ズドーン!

 

「あ、間違えて榴弾装填してた」

 

「ウソォ!」

 

衛一の放った砲撃は命中したが、榴弾では撃破なぞ出来ず、攻撃は正面装甲に阻まれた

 

「お前後で〆てやるよまじで。波川!機銃掃射で照準妨害!」

 

「あいよ。通信と指揮はしばらくお前にまかせる」

 

そそて7,7mm機銃が小気味良い音で連射される

 

『カメさん!一番機動力があるのはお前らだ。is-2の周りうろちょろして気散らせてくれ。確実に次で仕留める』さて、命中しても墜とされなけりゃいいんだけど」

 

「なんでだ?」

 

「Is-2の砲手、多分ノンナって奴がやってんだけどそいつは砲弾を迎撃できる」

 

「この距離でもか?」

 

「それはちょっとわかんない。次はしっかり軽量徹甲弾詰めてくれよ?」

 

「わかってるよ。二度と同じヘマはしねえ」

 

『こちらのウサギチーム。一両撃破しました』

 

『こちらカメ、is-2の履帯破壊したよ~』

 

『何気にありがてー。カモさんは無事か?』

 

『アウトスレスレで無事よ』

 

「装填完了!」

 

「照準妨害は継続中!今なら撃ってもバレないぞ!」

 

「Огонь!」

 

衛一の第二射は移動を封じられたis-2を完璧に捕らえ、その装甲を無力化し、撃破した

 

「よし!第一目標撃破!」

 

「なら指揮はまた俺が取る。『全車へ、敵の最重要目標は撃破された。残りの任務は暴れるだけだ』

 

『こちらカモ。敵一両と刺し違えました!』

 

『おー、おつかれさん』

 

「装填完了!次弾装填準備も済んでるぜ」

 

「回避重視の動きかたで良いんだな?」

 

「カチューシャはどの車両だー?」

 

「分からん。金髪のちびは少なくとも顔だしてない」

 

「ッチ、仕方ねえ適当なやっ狩るか」

 

と、衛一のお遊び()の時間が始まってしまった

 

~アンコウside~

『こちら波川。第一目標は敵を引き付ける事だ。逃げ回りつつ確実に弱点に砲撃叩き込め』

 

「みぽりん、向こうで強襲が始まった!」

 

「分かりました。後は時間との勝負です。カバさん、準備はいいですか?」

 

『うむ!いつでも』

 

「分かりました。これよりフラッグ車を奇襲します」

 

『こちらフクロウ。おそらくそっちKV-2に居ると思うから注意して』

 

「みぽりん、KV-2こっちに居るみたい」

 

「やはり護衛無しとは行かないな」

 

「構いません。退けて進みます」

 

「カッコいいです。西住殿」

 

「みほさん、なんだか衛一さんっぽさが移ってますね」

 

「うん。退けて進むって言う言い回し凄く島田君っぽい。なんかこう、真正面から打ち砕くってあたり」

 

『居たぞ!KV-2!』

 

エルヴィンからの報告が飛び込んだ。みほが直ぐに望遠鏡を覗く。だがKV-2はこちらの二両に気がついておらず側面を見せていた

 

「砲撃準備!」

 

『心得た!』

 

数秒後、五十鈴及びカバの砲撃準備が整った

 

「砲撃開始!」

 

二門の75mm砲が火を吹いた。衛一の無駄に過酷な射撃訓練をツートップでクリアしている二人には低速で動いている図体の大きなKV-2など動いていないも同然だった

 

「このままフラッグ車が居るところまで一気に突っ切って、報告では家と家の相田に居る筈です。挟撃します」

 

『了解した!』

 

報告が有ったのはKV-2が居た今の地点から100mくらいの場所だ。KV-2からの撃破報告を聞いて慌てて動いてももう遅い

見つかった事にKV-2の報告まで気付けず、乗員皆で小パーティーをしていたのが仇となったのだった

 

~フクロウside~ 

「衛一、向こうの奇襲開始を確認したぞ」 

 

「後は時間との勝負だな。さっさとこっちも片付けねえと」

 

と、フクロウの前に一両静止しているt-34\76が居る

 

「なあ早崎、あれは決闘の申し込みか?」

 

「じゃねーの?」

 

「時間稼ぎしてんのに誰が乗ってやるかバーカ。どうせ桐原だろ。あれ」

 

問答無用で他に砲撃した。桐原車だというのは合ってはいたのだが、決闘を申し込んでいたわけては無い。単純に自分に短時間でも衛一の目を向けることが目的だったのだ

 

「お前さぁ、そりゃスポーツマンとしてどーなのよ」

 

「気付かなかった。俺達はなにも見ていない。イイネ?」 

 

「「「アッハイ」」」

 

衛一にそれを受けてやるほどの優しさと戦車乗りとしてのプライドは無かった訳で、失敗した

 

「っと、むこうさんも俺らが相手にする気が無いのに気付いたらしい。車体と砲塔旋回全速前進ヘッドオン!」

 

「はぁ?」「いよっしゃ!」

 

全速力で近付く。桐原車のクラーラは一瞬の隙を見逃すまいと神経を研ぎ澄ます。それに対し衛一はソーラン節を口ずさみながらスコープを覗く

 

「ハァドッコイショードッコイショー」

 

「ソーランソーラン」

 

「タイミング任せる。確実に撃破し(ズドン早えよ!」

 

「タイミング任せるって言ったじゃん」

 

衛一の砲撃はクラーラが射撃する前にt-34に到達した。本城が回避機動を取るが衛一はそれすら計算に入れて射撃していたのだ

 

「よっしゃ!撃破~。桐原もまだまだだな」

 

「お前が規格外なんだと思うぞ」

 

『フラッグ車、撃破しました!私たちの勝ちです!』

 

「おっ、勝った勝った~。さすがに疲れたわ。少し寝させてもらう」

 

「おう、おつかれさん。変態、撃破されたカモ引いて帰るぞ」

 

「了解。後何両残ってるんだ?」

 

「そういえば中盤から聞き流してたな『強襲部隊残存車、途中から無線聞いてなかったけど何両残ってるんだ?』

 

『うさぎ無事でーす』

 

『履帯片方吹き飛ばされたけどカメ無事だよー。誰か助けてー』

 

『よし、うさぎさんチーム、カメさんチームを引いてくれ。俺らでカモさん引っ張るから』

 

『分かりましたー』 

 

『プラウダ学園フラッグ車戦闘不能、よって大洗学園の勝利』

 

「お、観客席も大盛り上がりだろうな」

 

═══════ 

 

『プラウダ学園フラッグ車戦闘不能、よって大洗学園の勝利』

 

このアナウンスが鳴った瞬間、会場から大きな歓声が上がった

そして終わりの挨拶を済ませた。(寝てる衛一は来なかった)後から衛一がなぜいない、と言う苦情があったが

今は撤収の準備をしている時間だ。仮眠を取った衛一が「ちょっと出てくる」と言って消えた

 

══════

 

「こんにちは、唐沢先・・・唐沢さん」

 

「別に唐沢先輩で良いんだよ?こーはい君」

 

「いえいえ、何か嫌なんで」

 

「君何気に酷いね。わざわざ例の電話の犯人特定して連れてきたのに」

 

「連れてきた?」

 

「うん。送られてきた電話番号見た瞬間自分の電話帳漁った」

 

「因みに、今居るんですよね?」

 

「ああ、居るよ。おーい、来てくれー!」

 

出てきたのは20代くらいの男性だった

 

「やぁ、久し振りだね。妙・・・島田衛一君」

 

「初めまして、Δさん。みょう、と言ったのは俺の本名を知っているので?」

 

「地獄耳だね。まあそんなところさ」

 

「ええ、自分の事Δって呼ばせてるの?」

 

「うん、本名伝えても良かったけどカッコいいじゃないか」

 

「うん、良く分かんない。衛一君、彼は優秀な探偵兼記者でね」

 

「因みに君に一度接触しようとしたのを拒まれている。砲手として取材しようとしたら生徒会に阻止されたよ」

 

「つまりナオミネキ経由で取材申し込んできたのもあなただったわけか」

 

「そうだよ。まあ取材は建前だけどね。後スイカありがとう。美味しく頂いたよ」

 

「お粗末様でした」

 

「後島田千代や西住しほとも面識があってね。彼女らに助けて貰った事もあったんだ」

 

「母さん達と?」

 

「今は探偵をしているが彼は昔戦車道に関わっていてね。彼が助けられたのはその時じゃないかな?」

 

「いや、全然違うよ?私は助けられた状況は衛一君に近いかな?」

 

「なるほど、虐待されてた訳か」

 

「うん、親に殴られてたと思ったらいきなり壁ぶっ壊れたんだもん。そこかな、私の人生の分岐点は」

 

「あー、その穴開けたのが母さん達だった訳ね。でもわざわざなんで俺に会いに来たのさ」 

 

「僕は君の本名や血の繋がった家族を知っている」

 

「ふーん。それを教えてくれるってのかい?正直教えて貰ったからと言って特になにもする気ないぞ?」

 

「いや、教える訳ではない。私が一番聞きたいのは君の持つ石についてだ」

 

「石?そいやそんなこと言ってたな。何かあんの?」

 

「いや、別に何か特別な力は無いよ、ただ地球上には存在しない物質と言うだけだ」

 

「まって、それ初耳なんだけど?」

 

「つまり宇宙から来た石ってこと?」

 

「そう。正確には宇宙から降ってきた石を僕が知り合いに加工して貰った物だよ」

 

「ふーん、じゃあ返せばいいか?」

 

「いや、別にいいよ。あれ調べ終わってるし。でもあれをどこで手に入れたんだい?日本じゃ盗品を販売するのは違法のはず、それに未知の宝石なんて販売するかね」

 

「実家の庭で愛理寿が拾ってきたのをくれた」

 

「島田家の庭・・・そんなところにあったのか」

 

「ほんとに返さなくていいのか?」

 

「うん。僕には必要ない物さ。まあ、その石を君が持ってるって多くの人に知れたら面倒かもしれないけど」

 

「やっぱり何かあるんじゃないか」

 

「考えても見なよ。それ一応地球上に存在しない物質なんだよ?僕が調べたと言っても素人が調べられるレベルだし。科学的に解析すれば何かあるかもしれない」

 

「因みに君に無断で少し前にプラウダの設備を使って調べたこともある。まあ、特になにも無かったけど。でも戦車にコーティングされてる特殊カーボンに似てたんだよね」

 

「あ、僕はそろそろお暇するよ。これ以上ここにいたら面倒な事になりそうなのでね」

 

と言い残し、Δと名乗る男は雪の中に姿を消したのだった

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