オーバーロード× Re:Monster   作:漸雷

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第2話

森の中を一人の女が歩いていた。女が一人で歩いているのもそうだが、その女は生い茂った森の中に似合わないロングスカートのメイド服を着ていた。

 

「……」

 

そのメイドが森の中を少し歩いているとひらけた場所に出た。先日モモンガが見ていたゴブリンコミニュティの洞窟である。今は狩りにでも出ているのか中にいるのか分からないが洞窟周りに気配は無い。

メイドが洞窟に近づくと中から一匹のオーガが出てきた。白い髪の毛の間から二本の角が生え、黒い肌に赤い入れ墨が施してある。そして特徴的な左腕の銀腕が目に入る。

 

「…そこのメイド止まれ」

 

メイドは言われた通りにその場に立ち止まったが驚いた。オーガは種族特有の声で喋るので喋れても片言になる事があるのに、このオーガは流暢な人間種の言葉で喋ったのだ。

 

「こんな森の中でメイドが一人で来るなんて珍しいな。何者だ?」

「失礼しました。我が主モモンガ様に仕えるユリ・アルファと申します」

 

そう言いながらメイド、ユリ・アルファはオーガに対して綺麗なお辞儀をする。

 

「今回お伺いしましたのは我が主様がこの近くに引っ越してきたのでそれのご挨拶に伺いました。主より手紙も預かっております」

「引っ越しねぇ、あの急に出来たデカイ建物の事か?」

「ここから南に行った所にある建物でしたらその通りです。そこが我らがナザリック大墳墓です」

 

オーガは少し考える様にアゴに手を当てながら、

 

「…まぁいい。手紙の返事も書かないといけないからとりあえず中にどうだ?」

「はい、お邪魔させていただきます」

 

そう言って二人は洞窟の中に入っていった。

 

 

 

ユリが通されたのは洞窟と思えないほど整えられた部屋だった。壁はゴツゴツしてなく綺麗に整えられていて、ソファーやテーブル、簡単なキッチンまであった。

そしてこの場にユリとオーガと別にもう一人増えていた。小さな眼鏡と透き通る様な青い肌に美しい青い長髪、顔も一般と比べられないほどでナザリックの女性陣と良い勝負である。

 

「じゃあまず自己紹介といこうか。俺はオガ郎、このゴブリンコミニュティにボスで傭兵団『戦に備えよ』の団長をやらせてもらってる。で、こっちはダム美ちゃん。団の副団長で俺の妻の一人だ」

「ダム美です、よろしくね」

「ユリ・アルファです。よろしくお願いします」

 

そう言いながら女性陣が和かに握手をする。

 

「早速だがそちらの主殿からの手紙を貰えるか?」

「はい、こちらになります」

 

ユリは懐から手紙を取り出しオガ郎に渡す。オガ郎は手紙を受け取るとすぐに封を開け中身を読み始める。すぐにピクッと少し反応したがそのまま読み進めた。

中身を要約するとお互いよく知るために一度直接合わないか、という物である。

 

「…分かった。とりあえず返事を書いてくるから少し待っていてくれ。ダム美ちゃんは少しの間彼女の相手を頼む」

「分かりました」

「はーい、行ってらっしゃい」

 

そう言うとオガ郎は部屋から出ていった。

 

「とりあえず何か飲みましょうか、紅茶で良いかしら?」

「はい、いただきます」

 

ダム美はキッチンで紅茶を淹れはじめた。

 

(しかし、普通のゴブリン達と違うと聞いていましたが紅茶まであるのですね)

 

普通のゴブリンは嗜好品など気にせず人間を襲い食料を奪い女は犯すだけのイメージがユリにはあったので、こんなに綺麗な部屋を作っているとなると他の部屋の構造も気になりだす。

 

(他の部屋やゴブリン達については潜入させたシャドウデーモン達に任せましょう)

「お待たせ、お茶請けにドライフルーツもあるわよ」

 

思考に耽っていた所にダム美が紅茶を淹れて戻ってきた。折角なので頂く事にする。

 

「!とても良い茶葉ですね、良い香りです」

「でしょ。まぁ私はこの紅茶しか知らないから違いが分からないけどエルフの人達に貰ってる紅茶なの」

「エルフとも交流があるのですか?」

「ええ、最近近くで人間の軍との戦闘があったんだけどその前位から向こうを手伝って色々報酬として貰ってるの」

 

そう言いながら二人は紅茶を飲み進める。

 

「そういえばこのコミニュティからゴブリンが離反しませんでしたか?」

「えぇちょっと前に四匹ぐらいでてったらしいわね」

「その四匹に会って我々は此処のことを知ったんですよ」

 

尋問して聞き出した事は言わない。離反しているとはいえ元仲間が酷い目にあったなんて聞いたら穏やかじゃないだろうからだ。

 

「そうなんだ、オガ郎がトップになって元々偉そうにしてた人が良く思ってなかったらしくて着いてこれなくなっちゃったんだって」

 

ユリは少しでも情報を得るために色々聞き出す事にした。

 

「それ程までオガ郎様は今までと違ったんですか?」

「うーん、私は生まれてからずっとオガ郎と一緒だから知らないけど昔から普通じゃ無いのは確かね」

「と申しますと?」

「昔から私達の知らない武術とか武器の使い方とか知ってて教えてくれたり、料理や楽器の扱いなんかも知ってたわね」

「ほうほう。それは不思議ですね」

「あととにかく何でも食べる、鉱石だろうが毒だろうがお構いなく」

「は?」(オーガが、鉱石を食べる?)

「あとは指から糸を出したり、鎧みたいなの出現させたり、羽生やして空飛んだり、色々出来るわ。不思議よね」

「えぇ…」(予想以上すぎます…)

 

普通じゃ無いとは聞いていたがそこまでデタラメな存在だったとは…。

 

「それは不思議で済む様では無い気がするのですが…」

「そうね、それでも私達にとって大切な人だもの。いつか話してくれるまで待つわ」

 

そう言いながら紅茶を啜るダム美。この人達も私達の様に仲間を大切にしてるんだとユリは思った。

 

「ところであなたアンデットかなにか?」

 

ユリは急な質問で驚いた。たしかにユリはデュラハンという種族だが見た目普通の人間なので分からないと思ったのだ。

 

「よく、分かりましたね」

「あぁごめんなさいね、私吸血鬼だから血の匂いで分かっちゃうのよ」

「そうなのですか。別に隠さなくても良いとモモンガ様に言われているので大丈夫です」

「ひょっとしてそのモモンガ様って人もアンデット?」

「…はい、オーバーロードという種族です」

「そうなんだ」

 

それから少し無言で紅茶を飲み進める時間が過ぎた。そうするとオガ郎が便箋片手に戻ってきた。

 

「ただいま。返事書いてきたよ」

「お帰りなさいオガ郎」

 

オガ郎は持ってきた便箋をユリに渡す。

 

「じゃあこれ、そちらの主殿に渡してくれ」

「たしかに受け取りました。必ずモモンガ様にお渡しします」

「じゃあ出口までだが送ろう」

 

そう言い三人は立ち上がりダム美が先導し部屋から出ていった。

 

 

 

洞窟の出口に着いたところでユリの後ろを歩いていたオガ郎は、

 

「あ、そうそう」

「?なんでしょうか」

 

ユリが疑問に思い後ろを振り向くと突然壁を殴った、いや掴みかかった。

 

「ギギィ!?」

「部下にもう少し気配を隠す練習をさせておいた方が良いと思うぞ」

 

オガ郎が何も無い壁に右手を押し付けている様に見えるが確かにそこに一匹の気配があり呻き声が聞こえる。潜入させていたシャドウデーモンの一匹だ。

 

「ウチの奴らも何人か気づいている奴がいたと思うけど手は出さないように言っておいたから」

 

そう言いながら右手を離す。すると気配も離れユリの足元にくる。

 

「…ご忠告感謝いたします」

 

ユリはオガ郎の警戒洞窟を上げモモンガに報告せねばと思いながら洞窟の外に出て森の中に入っていった。

 

 

 

「…しかし、外にいた奴は強いからか気配隠す気もなかったな」

「多分吸血鬼だと思うけど私より強いんじゃないかしら」

「合流してから気配が無くなったからあのメイドの護衛か何らかの移動方法を持ってたかだな」

 

 

 

 

 

「シャドウデーモンには気づいていて見逃されたか」

 

モモンガは自室でユリ・アルファの報告を受けていた。

 

「はい、外にいたシャルティア様にも気付いていたかもしれません。直接戦闘力をはかる事は出来ませんでしたが会うだけで分かる強者の気配あり恐らくレベル70以上はあるものかと」

「そこまでか」

 

モモンガは驚いた。最初この地に着いた頃見たナザリック周辺にいたモンスターが雑魚ばかりだったのてそういう土地なのだと思っていた。しかしここに来て油断出来ない強者が複数人いるコミニュティの発見である。負けはしないが油断は出来ない。

 

「それに加えて流暢に我々と同じ言葉を発して理知的な面もあり油断出来ない存在だと思われます」

「さらに何でも食べれて糸を出したり羽を生やしたりする能力か。そういう複数のスキルを持っているのか」

「おそらくはそうでしょう」

「ダム美とかいう吸血鬼も同じぐらいか?」

「いえ、そちらは我々プレアデス より少し下ぐらいかと思われます」

「ふむ…」

 

モモンガはこの者達にどう対処するか悩んでた。確かにモモンガや守護者でかかれば全滅させる事は出来るだろう。しかし、これ程の理性的な強者の集団をただ敵対するのは勿体ないと思ったからだ。同盟かまたは自分達の下につけられないものか考えてしまう。

 

「それで此方がオガ郎様からの手紙でございます。シャドウデーモンからの情報は後ほどまとめ提出致します」

「うむ、受け取ろう」

 

受け取った便箋の封を開け中身を確認する。

 

「ふむふむ…、ん?な!?」

「どうされましたモモンガ様?」

「あ、いや、何でもない…」

 

普通に読み進めて内容は指定した日に伺うという文だったが最後の文にモモンガは驚愕した。そこには『追伸、相手に手紙を出す場合はその土地の言語を調べる事をお勧めするよ、謎の日本人君』と全て日本語で書かれていたのだ。

 

 

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