連載するかは不明(要するに評判次第)。
白衣を着た人間達が様々な物を抱えて皆一様に逃げていた。
洋館の地下に秘密裏に作られた研究所から、必死にそのインドラプトルの研究資料を手に取り、逃げていた。
研究内容が入ったハードディスクから、様々な薬品、そして、透明な半球のドームの形をした、孵卵器の中に入った、まだ生まれていない卵達。インドミナスサウルスの牙は、イーライが直々に持っていく事になっていた。
階段を硬質な音を響かせながら下り、その研究資料が車の中へと運び込まれていく。
その時、一人が転んだ。
ドームがぱかりと開き、卵がごろごろと転がっていく。
「何をしているんだ!」
怒鳴られ、研究者達は急いでそれを手に取り直し、ドームの中へ入れ直していく。
罅が無い事も確認し、ほっとしてドームを閉じようとした時に、気付いた。
「あれ、一つ足りないぞ?」
それだけは、試作段階とは言え、最先端の研究の成果でもあるインドラプトルの卵だけは、一つでさえも置いていくことは許されない。上司が探し出せ! と怒鳴った。研究者達が慌ててまた探し出そうとして。
その時、咆哮が響いた。
耳にまで届いた音は、小さかった。しかしそれは、おぞましく、太く、猛々しく響いていた。
研究者達が耳に良くしていた、その最先端の研究の成果の音だった。
檻に入れられていたはずだ。
なのに、何故。
それを考える暇も、探り当てる暇も無かった。
どこに居るか分からない。落ちたインドラプトルのその卵を探している暇など、もう無かった。
ドームは閉じられた。
研究者達は、卵が一つ欠けたそのドームを車の中に押し込み、発進させた。
その解き放たれた自身達の研究成果から、悪魔から逃げる為に。
卵は、ころころと転がっていた。
屋内のコンクリートの地面からやや斜面のあった屋外へと、そして茂みを抜け、丁度良く日当たりの良い場所で止まった。
夜中、シアン化水素が蔓延し、そしてインドラプトルが死に、最後に閉じ込められていた恐竜達が黒幕を食い千切りながら脱走した事も、その卵は何も知らなかった。
誰にも見つけられないまま、朝を迎え、恐竜達が檻の中に入ったまま世界各国へと旅立ち、また、アメリカ全土へと翼を伸ばした事も卵は知らず、柔和な太陽の光を浴びていた。
*****
その卵は、そしてネズミに見つけられた。
鳥の卵より何倍も硬いその殻を必死にカリカリと鋭い歯で壊そうとし、しかし同時に内側からもそれは叩かれていた。
ネズミは、それでも殻を壊し続けた。自分は弱者である。しかし、生まれたての雛に負ける程の弱者ではない。
それは事実だった。今、目の前にある卵を除いて。
殻に一つ、大きな罅が入ると、それはパキパキと連鎖的に入っていった。殻の欠片が一つ、内側に毀れ、そしてその隙間から爪が生えた。
ネズミは、それが危険なものだとは知らなかった。単なる雛だと思っていた。
ばき、と一際大きな音を立てて、殻が崩れていく。中から出たのは、鋭い爪を生やした、二足歩行のトカゲだった。
ネズミはそれに飛び掛かった。見た事の無い雛だった。しかし雛である事には変わらず、小さい事も変わらなかった。
しかし、その爪がどれだけ自分にとって脅威なのか、そこまでを察する事は出来なかった。
トカゲは、生まれたばかりに襲い掛かって来るそのネズミを、瞬時に敵と見做した。遺伝子に組み込まれた殺意が、本能的に、反射的にそうさせた。
喉笛を食い千切ろうとしたネズミは、その直前に自分の体から力が抜けていく事に気付いた。
体からどばどばと、血が流れている。
それは、自分の裂かれた首から出る血だった。意識が失われていく。
そのネズミが最後に見たのは、自分の血の滴る長い爪を美味しそうに舐める、その黒いトカゲだった。
初めての食事はそのネズミだった。血管を食い千切り、血を飲み、肉を貪った。
満腹になると木陰に身を潜めて眠り、そして起きた。
黒いそのトカゲは、木陰から出てきて、辺りを見回した。大きな草木。青い空。少し歩いてみると、道に出た。大きな屋敷に繋がる道だった。
トカゲは、何も知らなかった。親も居ない。自分しか、居ない。けれど、寂しさは感じていなかった。
そして、空腹がやってきているという一つを除いて、何も分からなかった。
トカゲは、素直にその欲求を満たすのに従う事にした。
書いた理由としては、まあ、
・インドラプトル格好いい
・インドラプトル可哀そう
の二つが主です。まあ、前作と同じく兵器とか見世物とかのように作られて、そして迷惑になったから殺されるっていう扱いだったからなあ、って感じで。
で、インドラプトルはインドミナスレックスより好みの姿形だったのと、これ、一次を(ほぼほぼ)崩さずに二次創作出来るな、的な感じで行けたので。
ま、続けるかどうかは自分のモチベがどれだけプラスされるかです。