過剰能力少年のヒーロー生活   作:ナラナラ

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4話〜入学試験実技編〜

 

 ジャージに着替えてバスで演習場へと移動するが、到着したその演習場と言うのがとにかくでかい!そのまま小さい町が一つあって人が住んでいると言われれば信じてしまいかねない広さだ。

 とてつもなく広い敷地にこんなものを打ち立てるお金、国立と言えども一体どうやって捻出しているのだろうか。

 

『ハイスタートー!』

 

 俺がいる位置よりも高い場所で声急にが鳴り響く。

 

「change……ウェポンXi」

 

 瞬時に俺は能力を発動して街へと駆け出す。

 他の受験は誰も動く気配が無いが恐らく今のがヨーイドンなんだろう。

 

『どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんかされねぇんだよ!!そいつみたいに走れ走れ!じゃねぇとポイント全部無くなっちまうぞぉ!!」

 

 やはり正解のようだ。でも、実戦ではカウントはされないと言っていたけどスタートも言われないと思うけど、まあ試験だからって事なのね。

 

 そんな事を考えながら開けた大通りに到達すると、ロボットが6体待ち構えていた。

 プリントに描かれていた物と同じ形をしていて1Pが3体、2Pが2体、3Pが1体か……見た感じ、なんて事は無さそうだ!

 

「さてとっ……っっつあああ!!」

 

 拳を握って力を入れると、左右の拳から一本ずつ皮膚を突き破って刀が現れる。

物凄く痛い!だけど血が出る事は無く直ぐに傷口は塞がった。まるでウルヴァリンの爪みたいだ。

 

『標的捕捉!!ブッ殺ス!!」

 

 1Pのロボットヴィランが聞くからに機械音声という声で言うとアーム部を振り上げて俺に襲い掛かってくる。

 こちらから近付き、腕から生えた刀を一閃するとロボットのアームは切り裂かれ、更に一閃し今度は胴体を真っ二つにする。この刀は凄い斬れ味だ、本当にウルヴァリンになった気分に酔いしれる。

 そして続け様に残りの1P2体と2P2体をまずは切り裂いてスクラップにする。2Pの方は少し硬かった気もするけれど、この刀の前には強度は有って無いようなものだった。

 すると銃火器を装備した3Pのロボットがこちらに銃口を向ける。

 

「おっと!それならこうする!」

 

 一瞬強く念じる、たったそれだけの事をすると俺の視界がロボットヴィランの正面から背後に変わる。クイックシルバーのような高速移動では無い一瞬の移動、テレポートでロボットヴィランの後ろを取るとそのまま刀を突き刺して機能を停止させた。

 

「これでとりあえず10Pか、これからは他の人達が来て乱戦になるだろうし……とりあえず見晴らしのいい場所へ行こう!」

 

 強く念じて適当なビルの屋上へテレポートする。見渡すと至る所で爆発や破壊音がしていた。人の標的を取るのは気が進まないから、まだ人が居ないような所にいるロボットの位置を把握して、そこへとテレポートする。まずは3Pの溜まり場からだ!

 でも、こんなミュータントいたっけな?ウルヴァリンみたいな回復能力と固い刀にテレポート能力、それに使うつもりは無いけどアレも出せそう……こんないいとこ取りみたいな能力のミュータントは記憶にないな。それになんだか使ってると理不尽に殺されそうな気がする……まあ、いいか!

 

 

 

『あと5分〜!』

 

「よし!これで80Pってところかな!」

 

 片っ端からロボットを撃破して、途中手を焼いている人の手助けもしながら把握していたロボットは全て撃破した。残りは誰かの撃ち漏らしを倒そうとした所で目の前に1Pが現れた。

 斬りかかろうとした所で、ロボットの脇をイヤホンの端子の様な物が通り抜ける。端子の先に目をやると短いボブヘアーで三白眼が特徴的な女の子耳たぶからそれは伸びていた。

 

「ヤバい外したっ!」

 

 女の子は焦った声をあげる。仕方がない、レディファーストで譲ってあげるか。

 1Pロボットを掴んで伸び続ける端子の先にテレポートすると見事命中する。

 

「ホラ、これで倒せる?倒さないなら俺が貰うよ」

 

「ハァ!?アンタなに!?……まあ貰うけど!」

 

 彼女が言い終えると同時に手で掴んでいたロボットが爆ぜるように破壊される。手の感触にあった振動と耳たぶから伸びた端子の形状から恐らく何かしらの音を流し込んだんだろう。

 

「おおっ、良い力だね!ナイスコンビネーション!」

 

「とりあえずお礼は言っとくわありがとう。随分余裕なんだねウチにヴィランを譲るなんて」

 

 そう言って彼女は耳たぶの端子を地面に突き刺した。

 

「まあ、80Pもあれば合格出来るんじゃない?それにヒーローになるならチームプレーも必要でしょ?」

 

「80!?嘘でしょ!?ウチの倍以上もある……って何か凄く大きいものがコッチに来る!」

 

「なんだって!?……あー、確かに今俺も地震みたいな揺れを感じたよ」

 

 彼女が、地面から端子を抜き取って縮めると二人で正面の方を立ち止まって見ていた。

 ドシン、ドシンと大きな音まで聞こえて来たと思ったら前方に立っていたビルが崩れ出す。それは揺れで崩れたに非ず、同じくらいの大きさの大きく、とてつもなく頑丈な装甲を備えたロボットによって崩されたのだ。

 

「Wow!アレが0Pってヤツ!?デカすぎない!?まるでガッズィーラみたいじゃん!」

 

「バカな事言ってないで逃げるよ!潰されたいの!?」

 

「了か……ちょっと待って、さっき地面にそれ刺してたのって周囲の索敵が出来るからでしょ?

アレよりも前方、俺たちの方に残された人っていなかった?」

 

「えっ、ウチが聞こえた範囲だと皆逃げ出してたみたいだけど……あっ、音が入り組んでて正確じゃないかもしれないけど何か引き摺って歩いてるような人が居たかも」

 

「そっか、じゃあ俺は逃げ遅れた人が居ないか確認するよ。二重でチェックすれば正確さも上がるからね。君は避難してて!

あの人だと強すぎるから、change……ジーン・グレイ!」

 

 便利な能力のミュータントからジーン・グレイのパワーに切り替えて体内に巡らせる。

巨大なロボットがこちらに接近しているがまだ結構な距離がある。それを確認して俺は目を閉じた。

 怖がるな、意識を集中させろ。

 

『なんだよアレ!』

 

『怖ええ、怖えよ!』

 

『足を挫いちゃった……逃げ切れるかな……この人も私を置いて逃げてくれないし……誰か助けて!』

 

『ヤバいでしょあんなの!』

 

『誰か手を貸してくれないか……!!』

 

 幾多の人の心の声が頭に流れ込む、その中で本当にピンチなのは二人だけみたいだ。

 目を開けると隣にはさっきの女の子がまだ居た事に驚く。

 

「アレ、君は逃げなくて良いの?」

 

「逃げようともしないアンタを置いて行けるわけないでしょ!!だから早く!!」

 

「逃げるのが間に合わなそうな人が二人いる、君の情報と照らし合わせると足を怪我した人を助けながら逃げてる人が居るみたい。引き摺るような音ってその事じゃないかな。ちょっと助けて来る、すぐに連れて来るから君も手伝ってあげて。

change……クイックシルバー!」

 

 俺をこの世界に誘った能力、クイックシルバーの物にパワーを変換させてロボットヴィラン(デカブツ)の方へと駆け出す。そしてそれと同時に能力の発動。

 止まっていると錯覚するほどゆっくり動く逃げ惑う周りの受験者と落下する瓦礫を余所に声が聞こえた方へと人を確認しながらのため全力ではないが高速で走る。

 まるでこの世界全てが自分の自由になったと思える感覚に酔いしれながら少し走ると、紫色の髪をした結構高身長の目元の隈が目立つ男が、腕を挙げて人を担いでいるかのような体勢でいた。良く目を凝らして見ると、手袋が宙に浮いていて地面にはブーツがある。

 

「もしかして……ちょっとごめんね!」

 

 誰にも聞こえていないが謝罪の言葉を吐いて男の横に手を伸ばすと、確かに人の、それも柔肌の感触があった。

 どうやら声が混み合っていて気が付かなかったが逃げ遅れてた一人は試験前に話した女の子、ハガクレトオルだったみたいだ。

 

「……テレポート系の能力にしても元の能力よりも劣るのか、俺は自分以外の人間は移動出来ないし……背に腹はかえられないよね。ゴメン!!」

 

 男の腕を彼女から離して一度彼女を少しだけ地面から離して直立させる。その際に尻であろう箇所と胸であろう箇所に手が触れた感覚があるが、無心無心、不可抗力だ何も考えるな。

 そして俺は右手で彼女の背中を、左手で彼女の首をムチウチ防止で抑えて来た道を逆走、即ちロボットから避難する方向へと駆け出す。

 今度は人を探す必要が無いため全力で元の場所、耳たぶ端子の女の子の方へと戻る。あっさりと戻って来れたのでハガクレを耳たぶ端子の女の子に体を預ける様な形で立たせて俺はもう一往復、今度は紫髪の男を連れて来た。

 

「もう私を置いて逃げっ……えっ!?

 

「置いてけないって言っ……あぁ!?」

 

「助けてってアンタ……なになに!?誰!なにも居ないのになに!?」

 

 それぞれが当然だが三者三様の反応だ。さっきまでギリギリで逃げて居たはずの二人は見ていた景色が変わり、端子の女の子は目の前になにも見えないのに身体に負荷がかかったのだから。

 

「最初に謝っておく。ハガクレで合ってるよね?ごめん、背中と首を触った。

簡単に状況説明すると俺が二人をここまで連れて来た、この距離なら足を怪我してても逃げ切れるはずだよ。で、君の体に彼女を預けさせてもらった。

紫色の髪の君は目元の隈凄いけど大丈夫?昨日は緊張して寝れなかったの?でもナイス判断、君も良いヒーローになれそうだね!

それじゃあみんなはハガクレ連れて逃げて」

 

「待ってよ!アンタ何するつもり!?」

 

 一気に言ってしまったけど、助けた二人はまだ混乱してて耳たぶの女の子だけがちゃんと話を理解できたようだ。

 

「それから、たぶんハガクレ連れて逃げればボーナスポイントみたいなの貰えると思う。だって、人を助けて不合格なんてヒーローを目指す学校なのに可笑しいよ!もしそう言った仕組みが無いなら俺はこんな学校願い下げだ!

そうそう、俺が何をするかって……」

 

『あと1分7秒〜!」

 

 プレゼント・マイクの声が響き渡ったところで俺は彼女達に背を向けて親指を立てた。

 

「アレ、ぶっ飛ばしてくる!

change……ウェポンXi」

 

 能力を謎のミュータントの物に変換させると、そのパワーを目に集中させて目を閉じる。そして燃え上がるような感覚がすると目を見開く。

 紅い光線、全てを破壊する無慈悲な紅い光の束が巨大ロボットヴィランを貫通する。それを確認したらパワーを全身に巡らせる形に戻してロボットヴィランの上空へとテレポートする。

 本当にこの能力の元のミュータントは凄い、サイクロプスのオプティックブラストまで備わっているなんて。

 そんな事を考えながら体は重力に従ってロボットヴィランの元へと落下して行く。

 

「change……コロッサス!」

 

 パワーを変換する。

 すると俺の体が上のジャージを破りながら二回り三回りほど肥大化して皮膚、いや、肉体そのものが鋼鉄へと変化する。正確には生体金属オムニウムという物質だ、この金属にはどんな物でも傷を付けることは出来ないと言われている。

 自由落下する体を捻り体制を整えると、その勢いに任せて拳を巨大ロボットへと振り下ろす。

 辺りに響き渡る轟音、振動、そして衝撃。

 X-MEN随一の怪力を持つコロッサスの能力を得た俺のパンチは一撃で巨大ロボットを鎮める事が出来た。ロボットは回路がショートしたのかバチバチと火花を所々であげていて、もう動く事は無いだろう。

 

『終了〜!!」

 

 能力を解除して生身の身体に戻ったところでプレゼント・マイクの声が試験終了を知らせた。

 ジャージ、破れちゃったな……。

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