せめて、好きだけは。   作:Feldelt

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年内に完結ですぜ!
最終話、仕掛けありますのでどうぞ楽しんでくださいな。


第(1)0話

ある冬の日。

 

香澄由菜と朽葉禍月は2人並んで歩いていた。

 

「ねぇ禍月。」

「どしたの由菜。」

 

禍月の進路の前に由菜は躍り出る。

動きに揺れるマフラーと白い息。

風のない中降りてくる白い雪。

 

「私、そろそろ引っ越す予定だったんだ。」

「え...?」

 

唐突で、妙な言い回しをした宣言だった。

 

「でもね、私はここから引っ越したくなんてないんだ。どうにかして、引っ越さないように親に言って、それでもどうにもならなかった。」

「それで...?」

 

由菜の話の続きを促す。

何か、変な感じがしたから。

 

「だから。殺しちゃったの。」

「え...?殺しちゃった、って、親を...?」

「うん。」

 

強い風に運ばれた雪がヒュオウヒュオウと音を立て、雪をコートに打ち付ける。

冬の空気とは違う寒さが僕の背筋を走った。

 

「私、どうすればいいのかな...」

 

頭がこんがらがってる。

何から手をつければいい。

あの優しい由菜がどうして。

 

考えても答えは出ない。

 

「由菜、は...」

「ん?」

 

絞り出した問いはこうだ。

 

「どうして、引っ越したくなかったの?」

「...優しいね、禍月は。」

「はぐらかさないでよ、優しくもない。必要とあらば警察にも行くけど...でも、それだけは聞きたい。由菜がどうしてそんなことをしたのか。その理由があるんだよね。」

「そうだよ。」

 

 

「禍月と離れたくなかったから。」

 

その時僕は、ああしまったと。僕のせいかと思ってしまった。

 


 

 

「そうなんだ、僕のせいか...僕がいたから、由菜にそんなことをさせちゃったんだね。」

「え...?なんでそうなるの...?」

 

少し考えればわかる。離れたくないから殺した。離れたくない理由がなければ殺さなかった。単純じゃないか。

 

「僕はそう思うよ。そしてきっと、同じような状況ならきっと僕も由菜のようなことをすると思う。僕だって、由菜と離れ離れになりたくないから。」

「だとしても...!禍月のせいじゃない!」

「...優しいね、由菜は。僕より。」

 

ゆっくりと由菜に近づく。

 

「...!来ないで、禍月...私は、私は...」

 

自分のやったことに気づいた由菜は震え始めた。僕ができることはなんだろう。

 

「こないで...っ!」

「っ...!?」

 

由菜の手には血の跡が残るナイフがあった。

僕の足も止まる。

 

でも由菜を放ってはおけない。

 

「持ってたんだね...」

「指紋が、あるから...でも...向けたくないよ...だから来ないで...」

「僕は由菜と離れたくないよ。だから。」

 

止まった足をもう一度進める。

 

それで刺されたとしても本望だ。

 

「来ないでって言ってるでしょ...」

「ダメだよ由菜...そんなのは捨てないと...」

 

ナイフを持つ由菜の手に僕の手を添える。

 

「禍月...」

 

由菜の表情が緩む。

僕も微笑む。

 

でも、次の瞬間。

 

「もう私は、許されないね。」

 

ナイフを僕の手に持たせて、自分から由菜は、僕を抱きしめるような動きで、ナイフに刺さりにいった。

 

「え...?」

「ごめん、禍月...生きてね...」

 

これが僕と由菜の最期の会話。

 


 

そこで、僕の走馬灯は終わりを迎えた。

 

この物語は、始まってなんていなかった。ずっと前から終わっていた。ただのエピローグに過ぎなかったんだ。




さて、仕掛けはおわかりいただけたでしょうか。

(´º∀º`)ミツカッチッタw

ヒントは"浮かび上がった"真実です。
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