最終話、仕掛けありますのでどうぞ楽しんでくださいな。
ある冬の日。
香澄由菜と朽葉禍月は2人並んで歩いていた。
「ねぇ禍月。」
「どしたの由菜。」
禍月の進路の前に由菜は躍り出る。
動きに揺れるマフラーと白い息。
風のない中降りてくる白い雪。
「私、そろそろ引っ越す予定だったんだ。」
「え...?」
唐突で、妙な言い回しをした宣言だった。
「でもね、私はここから引っ越したくなんてないんだ。どうにかして、引っ越さないように親に言って、それでもどうにもならなかった。」
「それで...?」
由菜の話の続きを促す。
何か、変な感じがしたから。
「だから。殺しちゃったの。」
「え...?殺しちゃった、って、親を...?」
「うん。」
強い風に運ばれた雪がヒュオウヒュオウと音を立て、雪をコートに打ち付ける。
冬の空気とは違う寒さが僕の背筋を走った。
「私、どうすればいいのかな...」
頭がこんがらがってる。
何から手をつければいい。
あの優しい由菜がどうして。
考えても答えは出ない。
「由菜、は...」
「ん?」
絞り出した問いはこうだ。
「どうして、引っ越したくなかったの?」
「...優しいね、禍月は。」
「はぐらかさないでよ、優しくもない。必要とあらば警察にも行くけど...でも、それだけは聞きたい。由菜がどうしてそんなことをしたのか。その理由があるんだよね。」
「そうだよ。」
「禍月と離れたくなかったから。」
その時僕は、ああしまったと。僕のせいかと思ってしまった。
「そうなんだ、僕のせいか...僕がいたから、由菜にそんなことをさせちゃったんだね。」
「え...?なんでそうなるの...?」
少し考えればわかる。離れたくないから殺した。離れたくない理由がなければ殺さなかった。単純じゃないか。
「僕はそう思うよ。そしてきっと、同じような状況ならきっと僕も由菜のようなことをすると思う。僕だって、由菜と離れ離れになりたくないから。」
「だとしても...!禍月のせいじゃない!」
「...優しいね、由菜は。僕より。」
ゆっくりと由菜に近づく。
「...!来ないで、禍月...私は、私は...」
自分のやったことに気づいた由菜は震え始めた。僕ができることはなんだろう。
「こないで...っ!」
「っ...!?」
由菜の手には血の跡が残るナイフがあった。
僕の足も止まる。
でも由菜を放ってはおけない。
「持ってたんだね...」
「指紋が、あるから...でも...向けたくないよ...だから来ないで...」
「僕は由菜と離れたくないよ。だから。」
止まった足をもう一度進める。
それで刺されたとしても本望だ。
「来ないでって言ってるでしょ...」
「ダメだよ由菜...そんなのは捨てないと...」
ナイフを持つ由菜の手に僕の手を添える。
「禍月...」
由菜の表情が緩む。
僕も微笑む。
でも、次の瞬間。
「もう私は、許されないね。」
ナイフを僕の手に持たせて、自分から由菜は、僕を抱きしめるような動きで、ナイフに刺さりにいった。
「え...?」
「ごめん、禍月...生きてね...」
これが僕と由菜の最期の会話。
そこで、僕の走馬灯は終わりを迎えた。
この物語は、始まってなんていなかった。ずっと前から終わっていた。ただのエピローグに過ぎなかったんだ。
さて、仕掛けはおわかりいただけたでしょうか。
→(´º∀º`)ミツカッチッタw←
ヒントは"浮かび上がった"真実です。