─ちょ、どういうこと、禍月...─
「気付いちまったのかぁ?世の中には知らない方がいい事もあるんだぜ、禍月さんよ。」
─造禍、さん...?─
「けっ...好奇心は墓穴を掘るもんだって、麻薬だって言ってんのによぉ...まぁいい。これは他ならぬ禍月自身が禍月自身でやったことだ。」
─え...どういうことです...?─
「へぇ、わかんねぇのか。いや、そういえばお前は
─......─
「まぁいい、じゃあ教えてやるよ香澄由菜。もっとも、もう気づいてるかもだけどな...敢えて聞くが、禍月が殺した人間、そいつは誰だ?」
─...わかりません。─
「けっ...まぁいい。じゃあ答えだ。」
「朽葉禍月は、香澄由菜を殺したんだよ。」
───────
ザーザーと雨が降る音がする。
香澄由菜は朽葉禍月に殺された。
その理由までは教えてはくれなかった。
─どうして...─
考えても意味はないだろう。そもそも私は
じゃあ私は、朽葉禍月が生み出した今ここにいる
いつぞや禍月に言った、禍月が壊れる前に元通りにするための造られた人格...だとするなら教えていいものなの?知らないまま、過ごせないの?
雨の音は未だに激しい。
駄目だ。気づいちゃったら、忘れてた辛いことを思い出しちゃったらそれこそ禍月は壊れちゃう。
だったら、私が言わなきゃならない。
私を、香澄由菜を殺したのは...朽葉禍月自身であると。
───────
「ねぇ、由菜。」
─なに、禍月。─
「僕は、人を殺したことがあるのかな。」
─あるよ。─
「そっか。僕は、もう既に人殺しなんだね。」
─そうだね。─
「しかも僕は、誰より大事で、誰よりも大好きだった由菜を、殺したんだよね。」
─気づいてたの?─
「ううん、本当は覚えてる。でもずっと後悔して悲しくて、なんでそんなことしたんだろうってずっと思ってる。そんな中で記憶がぐちゃぐちゃになっちゃったんだろうね。」
─そっか。─
「怒らないの?」
─怒ってどうにかなるものじゃないよ。もう本物の私は生きていないんだからさ。私は禍月の造った偽物。でも、もう私の必要はないんじゃないかな。─
「...どうして?」
─それは...もう死人に縛られちゃだめだからだよ。お縄について反省して、更生してね。─
「嫌だよ。」
─わがまま言わない。─
「嫌だっ!!」
「僕はまだ、言ってない...由菜に一番言いたいことを言ってない!」
「僕は...由菜が好きだっ...!」
─知ってるよ。私も...好きだった。─
「そっか。じゃあ、これで最期だね。」
「二人一緒に、添い遂げよう。」
───────
雨はまだ降っている。
雷も鳴り始めている。
香澄由菜の死の真実を知った朽葉禍月が自首することはなかった。いや、ある意味では自首したとも言える。ある日の新聞の片隅に、男子高校生が首を切って自殺したという記事が載っていた。
それだけのことだ。
え、これ続きあるの?
あります。ありますよ。